6 / 21
1E 日本の国粋主義者
しおりを挟むE-1 初めての海水浴 不良と喧嘩
E-2 日本でテレビ座談会
E-3 日本国粋主義 テレビ座談会が原因で喧嘩 ナイフ銃 奥儀天翔
E-4 寄付集めとサファリ 寄附集めの誤解、サファリ約束
E-1 初めての海水浴
山賀賀生は、出来るだけ喧嘩は避ける。余計な敵は作りたくないし、騒ぎが大きくなると、後の処理も面倒だ。警察沙汰になると、もっと煩い。
山賀賀生は、喧嘩が弱い訳ではない。祖父から習った古武術も有る。しかし、これは秘密だ。それで無くとも、プログラムの解説書で、名前が売れている。
賀生は今、夏休みの最中で有る。休み中でも、瞳から電話が来る。
「今から会える?」
「大丈夫だけど、十五分ぐらい掛かるよ。」
瞳も、そのぐらい掛かって、駅前の喫茶店に現れた。
「中学の時だけど、山賀さんの喧嘩を、何度も見たんだけど。」
瞳には、知られたくないのだが、賀生は、割合によく喧嘩をする。
不良に絡まれても、退かないので喧嘩になる。喧嘩はこれが一番多い。
「なるべく、喧嘩にならない様、努力はしているんだけどね。」
「そうしてね、怪我をしたら大変だから。」
瞳は、賀生を心配してくれている。それが分かるので、ここは素直に聞いておく。
実際は、賀生の方が、相手に手加減を加えている。
「ねえ、海に行かない?」
瞳が、突然そんな事を言う。
「学校の友達とは行かないの?」
「それとは、また別。」
「いいよ。海ぐらいなら付き合える。」
賀生は、友達との付き合いが、ことさら苦手と言う訳ではない。付き合いが面倒なので、あまり誘わない。しかし、瞳の誘いを断わった事が無い。
「約束ね。 いつがいい?」
「ここ三日程で、決めてくれたらいいよ。」
「分かった、親と相談して決める。」
結局、海へ行ったのは八月の初めになった。近くの観光地の海岸に行く。日帰りで行けるのは、そこしか無かったのだ。瞳が、弁当を作ると言うので、賀生の荷物は、海水パンツとタオルだけだ。その日は、駅で待ち合わせをした。賀生が駅に着くと、瞳と爽香がいる。爽香と言うのは、瞳の妹だ。今は、中学の二年生になる。
「爽香ちゃんも来てたのか?」
「うん、今年は行くあてが無かったので、付いて来た。邪魔だったかな?」
「いいよ。大丈夫だよ。」
「良かった。久し振りの海だわ。何分ぐらいで着くのかな?」
「三十分ちょっとで着くよ。」
「男の子と海水浴に行くなんて、小学校以来だよ。」
と瞳が言う。かく言う賀生も、女の子達と、海へ行った経験は無い。ただ、瞳とは中学からの知り合いなので、比較的緊張感は少ない。それに、この間は仕事とは言え、瞳と二人で、ニューヨークへも行った。海辺に着いた三人は、海の家に入る。
軽く飲み物を頼み、そこで着替える。三人は、飲み物を注文して、腰を降ろした。
「結構人が居るね?」
「今は、海水浴のシーズンだからね。」
「近場だけど、綺麗な所だね?」
「一応は観光地だから。」
お茶を飲みながら、三人は観光気分に浸っている。
「そろそろ、着替えて来るわ。山賀さんもね。」
そう言いながら、瞳と爽香は、脱衣所に向かった。
「分かった。」
賀生は着替えて外で待つ。数分して、瞳と爽香も脱衣所から現れた。
「そんなに、見つめないでよ、恥ずかしいわよ。」
瞳は、体がよく締まっていて、スタイルも良い。思わず賀生も見とれていた。
「いや、スタイルが良いなと思って。」
中学の時、瞳は体育委員をしていた訳で、身体能力も有り、体は引き締まっている。
「山賀さんこそ凄いわよ。外見に似合わず筋肉質なのね?」
「本当に凄いね。」
瞳も爽香も驚いて居る。
「良く働いて居たからね? 家が貧乏だと、働かなければならない。」
「昔は貧乏だったの?」
「田舎に居る時は、食べ物は有るけど、お金が無い。」
「そうか、転校して来たんだったね?」
「中学二年の始めからね。」
賀生は、二年の初めから転校して来たが、体育委員になったのは、二学期からだ。
「そうだった、それで体育委員が、山賀さんに変わったんだ。」
「瞳と爽香ちゃんは泳げる?」
「程々にね。山賀さんは?」
「泳げるけど、深い所は止めて置こう。足が痙攣しても、他人の足は治せない。」
「自分の足なら、治せるの?」
「大概は治せる。木登りしてても水泳中でも、つる事が有る。」
「そんな方法が有るんだね? 又、教えてね?」
「了解。」
瞳の泳ぎを見ると、結構泳げそうだった。賀生も泳げるが、全くの我流である。
爽香も、それなりに泳げている。しばらく泳いでから、弁当にする。
「はい、山賀さんの分。」
「美味しそうだね? 早速頂きます。」
「私が作ったから、美味しいかどうか?」
「美味しいよ。こんなに凝ったのは、久し振りだな?」
「山賀さんも、毎日お弁当でしょう?」
「そうだけど、お袋は料理が上手くないんで、毎日玉子焼。」
そうなのだ、賀生の母親は、体は良く動くが、料理は上手くない。
楽しそうに弁当を食べている時、後ろを通る誰かが、賀生の足を引っ掛けた。
「痛い。」
思わず、賀生は声に出した。
「こらボウズ、もっと足を引っ込めて置け。」
通りすがりの少年が怒鳴る。あきらかに、向こうのミスと思うが、一応謝る。
「ご免。」
「ご免で済むか? 足の怪我はどうしてくれる?」
初めて相手の顔を見たが、賀生達より、少し年上の男が三人と、その連れらしい女が二人居た。
「やめなさいよ、おとな気ない。みっともないわよ。」
女の一人が、男をたしなめている。
「そんな事で済ませられるか。」
男も、何を焦っているのか、まだ喚いている。
女に、強さを見せたい様子だが、男が細かい事にこだわると、逆効果であった。
「何とか言え」
男の一人が、賀生に噛み付いた。
「本当は、そっちが悪いと思うんだけど。」
謝って済むものならと謝ったのだが、それ以上責められると、つい本音が出る。
「やめなさいよ山賀さん、ジュースで良いのなら買って来るわ。爽香お願いね?」
「そんなもので済むか。」
もう一人の男が喚いた。
「どうする? 不細工な事になってるけど。」
賀生は、近くに居た女の方に尋ねた。
「私は、もう知らない。」
女の方は、投げやりな様子だ。以前からの付き合いでは無さそうだ。
「兄ちゃん達、女の子に振られるよ、このままでは?」
「うるさい。ジュースの五本も買ってこい。」
男達は、まだまだ、たかりそうなので、賀生は爽香を止めた。
「爽香ちゃん、もういいよ。このままでは済みそうにない。」
かなわないな、 瞳や爽香が居る事だし、あまり喧嘩をしたくは無いんだが?
早く済ませるか? そう思いながら瞳を見ると、あまり怖がっている様子はない。
「本当にやめなさいよ。」
もう一人の女が、男達に言っている。
「うるさい、黙っとれ。」
男は女に喚いた。
「分かった、もう知らない。行こう渚ちゃん。」
「そうよね、恥ずかしいわよね?」
「振られちゃったね?」
男達は、本当に引っ込みが、付かなくなってしまった。
「どうしてくれる? 代わりに、そこの女を寄こせ。」
「あーあ、本当に不細工な事になっちゃったよ。」
瞳が、他人事のような調子で言う。瞳も、以前から護身術を習っている。
「そこの女、ちょっと来い。」
男の一人が、爽香の腕を取る。爽香が瞳を見る。瞳が頷いた。
爽香は、その男の手を掴み、逆に捻った。そいつが、ふらついた所で足を払う。
男の体が、宙に浮く。
「ぎゃっ。何をしやがる?」
「臭い手で、乙女の体に触らないでよね。」
爽香も瞳も、護身術の道場に通っている。普通の少年では、歯が立たない。
もう一人の男が瞳に向かった。
「お前でも良い。こっちへ来い。」
「私は、その子の代わりには、ならないわよ。」
「うるさい。ちょっと来い。」
男は懲りもせず、瞳の手を取る。瞳は逆にその手を取り、背負いで放る。
「ぎぇっ。」
もう一人の男は、二人を引き起こし、浜の裏手に逃げて行った。
「二人共ご苦労さん。爽香ちゃんも強いね?」
「もう三年ぐらい、道場に通っているもの。」
「山賀さんも、可弱い少女に任せてないで、働きなさいよ。」
「いやぁ、僕は、喧嘩が嫌いなもので。」
「嘘ばっかし、散々喧嘩をしていた癖に。」
「それより、場所を変えよう。人が寄ってる。」
周囲を見ると、大分人が集まって来ている。賀生達三人も、男達とは反対の方向に、場所を移動した。警官が来ると、家に電話を掛けられかねない。
「もう少し泳ぐ?」
「帰るには早いね、もう少し泳ぐか?」
「じゃ、ボートに乗らない?」
「分かった、ボートを借りて来る。」
それから、一時間程ボートで遊んで、シャワーを浴びた。帰りの電車が、いつもの駅に近ずいた時、瞳が言った。
「まだ早いわね、お茶でも飲もうか?」
「あの騒ぎで、お茶を飲み損ねたしね。」
「うん、私も喉が乾いた。」
その日の夕食時、瞳は、賀生の写真を両親に見せていた。
「へー、これが山賀君か? いい体をしている。大分鍛えているな?」
「春の写真からは、信じられないね?」
「本人は、よく働いていたと、言うんだけど。」
それを聞いた、瞳の父親が解説している。
「これは、そう言う筋肉では無いよ。何らかの武術の筋肉だな?」
「そうなのよ、年上の不良達に絡まれても、平気な顔をしていた。」
E-2 日本でテレビ座談会
以前に関係した、東都テレビの吉野から、電話があった。
「もしもし、山賀さんですか? 東都テレビの吉野です。」
「山賀です、久し振りです。何か有りましたか?」
「又、テレビ座談会が有るのですが、出演出来ますか? 植芝さんも出られるのですが、久し振りに会いたいと言われています。」
「関西支局長でしたね?」
「植芝さんは、東京支局長になられてます。少し栄転ですかね?」
植芝は、東京支局長になっている。本来なら、教育局の関係者等には、会いたく無いのだが、関西当時からの顔見知りなだけに、断りにくい。
利害関係に有るのなら断るところだが、今のところ利害関係は無い。
「放送は、いつ頃になりますか? あの人なら、話しは出来そうですが?」
「九月の中頃になります。詳細はメールを送っておきます。」
その東都テレビの吉野が、放送の前日に電話をして来た。
「東都テレビの吉野です。」
「山賀です。なにか?」
「明日は、一時間程早く来れますか?」
「その積りをしています。そちらに着けば、電話を入れます。」
「お待ちしております。」
賀生は明日、余裕を持って東京へ行く。二時間前には、着きたいと思っている。
今日は、テレビ出演の当日で有る。既に賀生は、東京に着いている。
賀生は、東都テレビの受付けに向かった。
「十時から出演予定の山香ですが、吉野さんは居られますか?」
「吉野でしたら、今は会議中なんですが?」
「局の前の喫茶店に居ます。終わりましたら、連絡を下さい。」
「分かりました。その様に伝えて置きます。」
そのまま賀生は、前の喫茶店に向かった。
コーヒーを飲んでいると、見たような顔が入って来た。
教育局の、東京支局長をしていると言う、植芝である。
「植芝さん、お久し振りです。以前にお会いした山香です。」
「おっ、山香君か?」
「髪型を変えましたから、顔が違ったでしょう?」
「全然、分からなかった。あちらの席に来てくれるか?」
その席には、何人かが集まっていた。東京支局の連中らしかった。
「こちらは、わざわざ来て貰った山香君だ。雑誌に記事を書いている。」
「今日は、都合が付きましたので、お伺いしました。」
「雑誌に記事を書いてるんですか、若いですね?」
「何とか、書いています。高一になります。」
支局の皆んなと話していると、会議を終えた吉野も合流した。
「山香さん、急だったのに助かりました。」
「大分勉強が整いましたので、前よりは、話しが出来るかなと思いまして。」
「植芝支局長と山香さんに、意見が集中すると思うので、覚悟して置いて下さい。」
「今日も、ペンネームの山香ヨシオ、と言う名前を使いますのでよろしく。」
「分かりました。」
東都テレビの吉野の言う通り、植芝と賀生に、質問が相次いだ。
植芝は、教育界で知られて居る。賀生は、若くして、プログラム解説の記事を書いており、珍しがられている。
「山香さんは、雑誌の記事を書いて居られるそうですが、どんな記事ですか?」
「はい、初歩のコンピュータープログラムです。」
「まだ高校生でしょう、凄いですね?」
「そうですね? 初歩の初歩から、と言う事なんですが、読まれて居るかどうか?」
「来年ぐらいから、プログラムや英会話を、小学校で始めようと言う雰囲気ですが、山香さんも、忙しくなりそうですね?」
「いえ、小学生向きの記事は、書いて居ないので。」
「なる程。英会話も始めそうですが、あれは、どうでしょう?」
「英会話は、多くの人がやって居るようですが、 私は英会話はやりません。」
「どうしてですか?」
「私は、英会話は不要です。無駄が多いので。」
「日本では、国を上げて、英会話とプログラムの教育を、進めておりますが?」
「私は、外国語は不要です。その時間が有れば、自分に必要な勉強をします。」
「国の方針に反対ですか? 皆それに不満は無いようですが?」
「それは、個人の自由です。どちらも、必要な人は数パーセントです。全部の人が習う必要性を、感じられません。」
「山香さんは、プログラムの本を書いておられて、その意見ですか?」
「いや、まあ、アルバイトを兼ねているので、偉そうな事は言えませんが?」
「アルバイトですか? 普通の人は、プログラムでアルバイトは出来ませんが?」
「それは、色々な場合が有ると思います。ただ、私としましては、全ての人がやるのは、反対の立場です。」
「プログラムや英会話は、不要だと言う事ですか?」
「基礎は必要です。その後は、必要な人が習えば良いと思います。」
「そうですね、後の教育次第ですね?」
「素養のある人は、自然にそちらへ進みます。数%の人の為に、皆んなが習う必要は無いと思います。時間の無駄です。私も、プログラムの本は、初歩で終わります。」
「どうしてですか?」
「初歩の本を読んで、進む道を決めて欲しいのです。私の役目はそこ迄です。専門的な本は、既にたくさん有ります。」
「初歩の本も、出ていると思いますが?」
「私の勉強の時、もう少し易しい解説書が、欲しいと思いましたので。」
「なる程、分かりました。」
「中々、変わった意見だったな? 面白い。」
植芝支局長が、感想を述べた。
「いや、有り難う御座いました。全く面白い意見になりました。」
帰り間際に、賀生は、植芝に別れを告げた。
「植芝さん、それでは失礼します。」
テレビでは、今回も軽い変装をして見たが、周囲へ誤魔化せただろうか?
E-3 日本国粋主義
山賀賀生は、テレビの仕事も終わり、駅の方に歩いて居る。その途中の路地で、男に呼び止められた。
「ちょっと待て。山香ヨシオだな?」
「そうですが?」
「お前は何故、国の方針に釘を刺す。」
「何の事ですか?」
「さっき、テレビで言っていただろうが?」
「単なる意見だよ。あの程度の言葉で、国の方針が変わる訳でも無い。」
「それでも、国民に動揺を与える。言動を慎んで貰いたい。」
「何だ、阿呆臭い。」
賀生は、男達を無視して、立ち去ろうとした。
「待てと言ってるだろうが?」
「煩いな、まだ何か有るのか?」
「発言を撤回しろ。それなら赦してやる。」
「お断りだよ。しようも無い」
馬鹿らしくなった賀生は、再び踵を返した。男の一人が賀生の前に回る。
「それでは、非常に断念だが、ちょっと痛い目を味わって貰う。」
そいつは突然、回し蹴りを掛けてきた。賀生はその足を腕で払う。今度は跳び蹴りが来る。これも腕で払う。次は顔を目掛けて突きが来る。これも、手で止める。男はまだ頑張っている。次は組み打ちで来た。流石に賀生は飽きて来た。
賀生はその手を掴み、背負いで放る。
「ぎゃっ。」
「ほう、中々強いな? 今度は俺が行く。」
そいつは、どっしりと構え右の突きを放つ。言うだけ有って中々鋭い。
それでも、避けられない訳ではない。その手を賀生は素直に払う。
次は、後の回し蹴りだ。賀生は、その脚を掴み、その勢いのまま放り投げた。
「まだだ。」
そいつは、慌てて立ち上がり、飛び蹴りを出す。賀生は、その脚を蹴り上げた。
そいつはバランスを崩し、地に落ちた。その時、賀生は後に悪意を感じた。
「うん? まさか!」
日本主義の奴等が、銃を使うとは思わなかった。日本主義者も段々落ちて来た。
賀生の四方から銃が狙う。やむを得ず賀生は上に翔ぶ。その下を銃弾が流れる。
又、後から害意が襲う。
「奇翔流天翔!」
賀生が奥義を唱える。賀生の身体が空中で横にずれる。その横を弾がかすめる。
この術は、身体に危機が及べば発動するのだが、武術を強調する為に声を出す。
奇翔流奥義天翔は、武術として伝わっている奥義だが、動きが少々怪しげである。
その為、ことさら武術を強調している。
「くっそー。弾か当たらん。」
「畜生!、覚えておれ。」
捨てゼリフを残して、男達は路地の奥へ消えた。今の男達は、何の団体だろうか?
日本の国粋主義者に見えたが、頭が固い。
E-4 寄付集めとサファリ
次の日曜日、賀生は古本屋にいた。三日分程の本を買う積もりで有る。
賀生が、本を買い終えたのは、昼を少し回った頃だった。
次の朝、賀生は眠い頭で学校へ向かった。読書で徹夜になったのだ。
その日の授業は、殆んど寝て過ごした。賀生の居眠りは、公認のようなものだ。
目立たない積もりだが、教師の目に付かない筈はない。教師が、諦めているだけだ。
「あぁよく寝た。」
最後の授業が終わった頃に、眠気から覚めた賀生で有った。
さて帰ろうかと思った時、三年生が呼んでいると言う。
寄附集めの時、寄附を強要されたと、三年の不良に言い付けた生徒が居る。
無視をすると、余計に揉めそうなので、賀生は、指定の場所まで出向いていった。
「山賀ですが、誰ですか、僕を呼んだ方は?」
「えっ、山賀君?」
「あれっ、先輩どうしたんですか?」
その先輩は、以前の揉め事で、賀生に助けられた事があった。
「寄附を、強要されたと言うので、話しを訊かせて貰おうと思ってな?」
「強要した覚えは無いんですが、言い方が、強かったですかね?」
「いや、山賀君が、そんな無理を言う筈がない。」
「誤解ですので、心配しないで下さい。これからは、言葉を下げます。」
その先輩を助けたと言うのは、他校の不良に絡まれていた時に、賀生が加勢をして、事無きを得た。
「先輩、あれで良いんですか?」
「大丈夫だ。しかし手を出すなよ、あいつはヤバいぞ。」
「あいつは、組でも大人しいですよ。」
「それが曲者なんだよ。」
賀生は、事件が終わったので、教室まで、カバンを取りに戻った。
「あれ、山賀さん、三年の不良に、呼び出されたんじゃ無いの?」
同じ組の女の子が聞いて来る。
「それなら済んだ。」
「暴力沙汰になっていないか、心配してたのよ。」
「いや大丈夫。誤解が有ったようで、もう解決した。」
その同級生たちは、何か腑に落ちない様子で、帰って行った。
普通は、不良が絡むと無事では済まない。誰も賀生の本性を知らない。
その日、賀生は直接家に帰った。取り敢えず、この前やり残した、プログラムを組まなくてはならない。夕方迄かかって、続きのプログラムが組み上がった。
次の日、賀生と瞳は、いつもの喫茶店に居た。
「山賀さん、どこかへ行きたい。」
「行くあては無いの?」
瞳は、最近は大人しいと思っていたのだが、久し振りに遊びの提案だ。
「何処も、行ってしまったし、どこか無いかな?」
「一つ残っているけど、この前は、はねられた。」
「何処の事?」
「サファリパーク。あそこなら、日帰りで行ける。」
「そこでいい。いつ行ける?」
賀生は瞳と、サファリパークへ行く約束をした。サファリパークまで、駅からバスに乗るので、当日は駅で待ち合わせだ。それ迄に、まだ日はある。
賀生は、プログラムの整理をする事にした。解説書は、初歩で終わる積もりだが、自分の為には、もう少し勉強を進めて置きたい。初歩だけでは、応用が効かない。
いつでも利用出来る程には、進めて置きたい。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!
本条蒼依
ファンタジー
氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。
死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。
大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる