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1H 賀生の小説感
しおりを挟むH-1 雑誌座談会 アメリカの雑誌座談会に推薦
H-2 賀生の小説感 小説は娯楽。涙は要らない
H-3 WhDLと遭遇 ホワイト•ドクターズ•ライン(白人至上主義) 奇翔流奥義
H-4 プログラム解説と国粋主義者 日本の国粋主義者に襲われる
H-5 賀生の人間考 賀生の性質
H-1 雑誌座談会
山賀賀生は小説が大好きである。但し、人間の物語りが読みたいのである。例え愚かで有っても、人間が主人公の物語りが読みたいのだ。最近は、アニメも見る事が有るが、これも同様である。動物の姿をして、喋らせるのは止めて貰いたい。
ロボットもアンドロイドも同様だ。そして、悲劇や泣かせる物語りも嫌いである。
そんなある日の事、家に帰ると、又封書が届いていた。
PC 出版ニューヨーク本部からであった。それによると、PC 社で出版した著者の中から、何人かを選んで居ると言う。その人達で、PC 出版の、雑誌用座談会を行う。
場所は、ニューヨークのPC 出版本部。
「もしもし、山賀です。」
それから三日後に、PC 出版から、携帯電話が掛かった。
「PC 出版の板倉です。今度の会合は、一月後になりますが、参加出来ますか?」
「おそらく大丈夫です。しかし、何故僕が選ばれましたか?」
「本の内容と、知能指数でしょうね?」
「ふーん、知能指数は、言ってない筈でしたけど?」
「以前に、メールでパズルが届きましたね? あれが、 簡易測定でした。」
「そうでしたか、本の内容と IQ ですか?」
「参加をして貰えると、有り難いです。」
内容が教育的なのと、16歳と言う若さが、選定に影響した様だ。
「まあ、取り敢えず参加させて頂きます。」
「それでは、日が決まりましたら、連絡しますので。」
「分かりました。待っています。」
H-2 賀生の小説感
賀生は今日も、本屋に向かっている。今日は、SF小説を買う積もりだ。
SF小説は、殆んど未来の物語りである。異世界物や異星の物語りも、SFと言えるのだろうか? 殆んどファンタジーである。SFとファンタジーは紙一重だ。賀生としては、ジャンルは何でも良い。面白ければ良いのだ。書店に着いて、SF小説の棚に向かっていると、賀生を呼ぶ声が聞こえた。
「山賀さん。」
神衣瞳の声であった。賀生に声を掛けるのは、瞳か英子しか居ない。特に瞳との付き合いが深い。海水浴にも遊園地にも行った。今日は、その瞳が声を掛けてきた。
「今日は、本を買いに来たの?」
賀生が瞳に尋ねた。
「前に買った本は、読んでしまったからね。」
瞳も、賀生程は読まないが、少しは読んでいるらしい。
「どんな本を買うの?」
「山賀さんの想像通り、恋愛小説だよ。」
「いや、想像はしていなかったけど、可愛いね?」
「私には、恋愛小説は似合わないとでも?」
「いや、可愛いなと思って。」
二人のやり取りに、英子が割り込んで来た。
「そこの二人、こんな所で、何の漫才をやっているのよ。」
「あっ、河上さん、こんにちわ。河上さんも本を買いに?」
「いえ、今日は瞳の付き合いで。私も少しは読むけど、山賀さん程じゃ無い。」
わざわざ、英子を呼び出したのは、この後、お茶を飲もうとして居たのだろう。
賀生は、SF小説を一冊買って、瞳に言った。
「じゃ帰るからね。楽しい本を探してね。」
「ちょっと、可愛い女の子を二人も残して、何処へ行くのよ。」
「話しの邪魔をしては、悪いと思って。」
賀生が瞳に説明している。
「私達は大丈夫だから、今日は山賀さんに付き合うわよ。」
「分かったよ。お茶でも飲もう。今日は違う所へ行って見ようか?」
「そうしよう。山賀さん、案内してね?」
この駅前には、喫茶店は何軒か有る。今日は、少し場末の方に行ってみよう。
そう思った賀生は東に向かう。駅から少し東に、小さな喫茶店がある。
賀生が、時々行く所で、ママさん一人でやっている。五分程歩いて、そこに着いた。
「こんにちは。」
「お久し振り、あら、可愛らしいお客さん。」
ここのママさんは、三十才ぐらいで、中々綺麗な人である。中学の頃、叔母に連れられて訪れてから、ちょいちょい顔を出している。
「何になさいますか?」
「私は、ミートソーススパを、お願いします。」
「私は、ナポリタン。」
「僕はコーヒー。」
「分かりました。暫く待って下さいね。」
「小さいけど、居心地の良さそうな、お店だね?」
ママさんが行ってから、瞳が小声で言った。賀生は、以前はよく来ていたが、高校生になってからは、ご無沙汰である。
「今日、山賀さんは、どんな本を買ったの?」
「今日は、SF小説を買った。」
「SFって、サイエンス・フィクションの事だよね?」
河上英子が聞いてきた。
「そうだよ、日本語だと科学小説だね。」
「面白いの? 」
「宇宙物が多いけど、面白いよ。」
「宇宙ねぇ?」
「一番好きなジャンルだな? 未来の科学が多いから、面白いよ。」
このジャンルの小説は、未来小説と銘打つているものも多い。
「一番好きって事は、他の種類のものも、読んでるのよね?」
「僕は雜読だな。最近はSFが多いけど。」
そうなのだ。賀生はどんな小説でも読む。しかし、出来るだけ避けたい物がある。
まず、登場人物は、人間で有りたい。悲劇は出来るだけ避ける。擬人化も駄目。賀生の読書は、あくまで娯楽であり、心が楽しくなる物を求めて居る。読後感の残る小説は求めていない。
「山賀さんの読書って、何か変わってる。」
「絶対的に人間が良い訳でしょう?」
「ロボット物も、あまり好きではない。」
具体的に、そんな事を言う人は知らない。ヤッパリ変わっていると、二人は言う。
「だけど、完全に避けてる訳では無いよ。それでは読む本が無くなる。」
「山賀さんは、本を沢山読んでるから、こんな風になったのね?」
「そうかも知れない。昔はそうでも無かった。」
本は沢山有るから、少々選別しても、読む本が無くなる事は無いのだが、面白い本を探すのが大変なのである。
「ハッキリしているのは、山賀さんは、人間が好きって言う事よね。」
英子が、話をまとめてしまう。
「人間が好きってのは有るかもね? だけど、泣かせる物は嫌いだよ。」
「何故泣かせる物が嫌いなのよ? 人間の物語りが多いでしょう?」
瞳が疑問を挟む。
「あれは、心に残るから嫌なんだよ。心に残るものは読みたくない。」
「それが、名作とされて居ても?」
「感傷は要らない、小説は娯楽だ。読んでいる間だけ楽しければ良い。」
話しをしている内に、帰る時間になった。
「美味しかった。又来ようね?」
「いつでも案内する。そろそろ帰ろうか? 駅迄送ろう。」
賀生が、会計を済ませている内に、二人は先に出て行った。
賀生が外に出ていくと、少し先の路上に英子が倒れている。
「真っ直ぐ歩いてよね。危ないじゃない?」
瞳が、高校生らしい男達に抗議をしていた。
「やかましい、お前がよけろ。」
「どうしたの?」
「この人達が、英子にぶっかったのよ。」
賀生は英子の手を引き、体を起こした。怪我はしていないようだ。
「まぁまぁ、英子さんに、怪我は無さそうだから、勘弁してやりなよ。」
「大丈夫よ瞳。」
英子も瞳を止める。
「そっちはいいかも知れんが、こっちの怪我はどうしてくれる。」
又、こんな奴等か? 最近はこんな奴が増えた。
「そっちが、ふらふらと、歩いて居るからでしょうが?」
瞳が抗議をする。状況を見れば、明らかに、向こうに非が有りそうなのだが?
「うるさい、治療費をよこせ。」
相手は、まだごねている。
「そっちが悪いんでしょうが。それに、どこに怪我が有るのよ?」
瞳も負けては居ない。三人を相手にしても、びくともしていない。
賀生は、瞳がこっちを見た時、自分の顔を指差した。自分が行こうかと言う合図だったが、瞳は首を横に振った。
「何を余所見をしてやがる。そこのボウズも来い。」
賀生は、しぶしぶと側へ行く。
「先輩、こんな観衆の中では、まずいよ。」
「やかましい。」
一人の男が、いきなり殴ってきた。賀生は、スッと体を横にずらし、足を払った。
その男は宙に浮く。
「ぎゃっ。」
瞳の方を横目で眺めると、あちらの男も足を掬われ、体が回転してしまっている。
一瞬で二人を倒されて、残った奴は、気力が失せた。
「ちょっと走って。」
瞳と英子を促し、横の路地に走り込む。角を二つ程曲がって、賀生は速度を緩めた。
「最近は、うっとうしい奴等が増えて、困ってしまう。」
「ごめんね、変な事に巻き込んで。」
英子が謝ってきたが、いや英子さんのせいじゃない。と賀生は顔を横に振った。
駅に着いてから、賀生は言った。
「今日は真っ直ぐ帰ろう。味噌が付いてしまった。二人は同じ電車だったね?」
二人は黙って頷いた。
「山賀さんも気を付けてね? さよなら。又電話するわ。」
そう声を掛けて、二人は素直に帰っていった。
女達が、二人きりになった時、瞳が口を開いた。
「山賀さんを横目で見てたけど、あまり動かなかったわよね。どうなってたの?」
「山賀さんは、足を払っただけだよ。」
瞳も忙しかったので、充分には見られなかった様だ。
「大ごとに、ならなくて良かった。警察沙汰は御免だわ。」
賀生は、帰るとは言ったが、気が向いて、もう一度本屋に向かった。
本を探して居ると、今の三人が入ってきた。しかし賀生は、知らない振りをした。
その三人も、気がついた様子だが、解らない振りをしている。
H-3 WhDLに遭遇
本を買い、家に帰っている時、又白人達に捉まった。
「ヨシオ、プログラム解説書を、アメリカで出版して居たな?」
「そうだけど、それが何か?」
こいつ等は、何の組織だろうか、面倒くさい奴が居る。
「アメリカで出版するのは止めろ。」
「しようが無いだろうが、アメリカの出版社に頼まれているんだから。」
アメリカでの講習も有り、賀生としても面倒くさいのだが、契約してしまった以上、どうにも成らない。
「いい加減に手を引け、命の保証はせんぞ。WhDLの組織をなめとるんか?」
「そんな立派な組織が有るのなら、出版社に言えば良いだろうが?」
「うるさい! お前が手を引けば解決する。」
こいつ等は、前に遭遇した、アメリカ主義とは別口だ。こいつ等は、WhDLと言っていた。それは、ホワイト•ドクターズ•ラインと言い、白人主義の組織の様だ。
まあ、日本にも、日本主義の団体が有る雰囲気で、何処の国も似た様なものだ。
「そんな、いい加減な理由を聞けるか? 出直して来い。」
「あの口を閉ざさせろ。子供のくせに生意気だ!」
それを聞いていた一人の白人が、賀生の胸元を掴みに来た。賀生はその腕を取り、体を廻す。思わず男は足を一歩踏み出す。その出足を賀生の足が刈る。男は宙に浮く。
「くそっ。もっと強い奴がやれ。怪我をさせても構わん。」
「何を手こずってやがる。俺が出る。」
今度は、かなり大柄の白人が賀生の前に立つ。そして、いきなり殴り掛かる。
賀生は、ヒョイとよける。男は横蹴りを出す。賀生の左手が祓う。次は廻し蹴りだ。
「そんな見え透いた様な技を、幾ら出しても無駄だよ。」
「ジョワン頼んだ。最悪、殺しても構わん。」
ジョワンと言う男が、奴等の後から、のそのそと出てくる。かなり自信が有る様だ。
「そこの少年、悪く思うなよ。出来るだけ早く済ませる。」
「分かった。その様に努力しよう。」
賀生もそう言いながら、ジョワンの前に進む。
ジョワンは、いきなり廻し蹴りを放つ。賀生は素直によける。そして、流れた脚を蹴り上げる。ジョワンは思わずふらついた。その軸足を賀生の右足が掬う。ジョワンは宙に舞う。
「いってー。」
「全部で掛かれ。必ず潰せ。」
そいつ等のリーダーが叫んでいる。
「奇翔流奥義天翔!」
賀生は、そう唱えながら腰を据える。賀生の動きが早くなった。その時、横に不穏な空気を感じた。賀生は前の奴を引き寄せ盾に取る。そいつを、横の奴の拳が襲う。
「ぎゃっ。何をしやがる。気をつけろ。」
賀生は、取り囲んだ奴等の外に出る。そして、端に居た男の足を刈る。
それからは、乱戦の模様だ。前から後から横から、蹴りやら突きが襲う。賀生の身体が宙に浮く。それを拳銃三丁が狙う。
「天翔!」
賀生は、奇翔流奥義を唱える。賀生の身体が、空中で横にずれた。その場所を、銃弾三発が行き過ぎる。
「何故だ、空中で横に動くなんて、有り得ない。」
再び三丁の拳銃が狙う。賀生は、三つの悪意を感じた途端、側に居た奴の肩を蹴り飛ばした。その反動で身体を横にずらした。肩を蹴らなくても、奥義の天翔で、空中で横にずれるが、相手を蹴った反動の方が自然に見える。
「そんな事、幾らやっても無駄だよ。僕には届かないよ。」
それからも攻撃の嵐だが、賀生に届いた攻撃は無い。
呆然としている奴等を残して、賀生は、その場を離れた。
H-4 プログラム解説と国粋主義者
ある日、瞳と賀生が学校から帰つている時、携帯に電話が掛かった。
「山賀さんですか? PC 出版の山本です。」
「山賀です。」
「又雑誌の記事を入れて置いて下さいね?」
「分かりました。早い目に入れて置きます。」
「それと、初歩と初歩上級編の二シリーズ共、アジアで良く売れた様です。」
「これから、覚える人が多いんですよ、きっと。アジアは、人口も多いですし。」
「あの本は、非常に分かりやすいのです。今迄の作者が迂闊だったんですよ。」
今迄の本は、上手く書いた積りが、初歩者の実情を読み切れ無かった。実力の有る人程、難しい事を書く。自分の常識を、初歩者の常識と勘違いする。
「本が解り易いのは、僕自身がまだ初歩者ですから、苦労が良く分かるんですよ。」
「なる程。それは有るかもですね。又連絡します。」
「それと、僕の本は、ここ迄ですよ。後は書けませんよ。」
「本部に、言っておきます。」
そんな話をした帰り道、今度は日本人の男達に囲まれた。
「おまえは、山香ヨシオだな?」
「そうですけど?」
「お前は、アメリカで解説書を出版しているな? 何故日本で出版しない?」
この男達は、日本人が日本で出版しない事が、気に入らないらしい。
「しようが無いだろう? 日本の出版社は、依頼して来なかったんだから。」
「それだけなら、まだ良いが、教育に使われる雰囲気だ。これは許せん。」
こんな話は、日本の教育機関に言うべきなのだが、こいつ等は、日本の教育機関には接点が無い様だ。
「そんな事なら、日本の教育機関に言え。日本では使う気は無い様だよ。」
「お前が、日本の出版社に、持ち込めば良いだろうが?」
「日本の出版社が印刷しても、政府が動かなければ同じ事だよ。」
この解説書は、賀生が初めて書いた解説である。売れるのか売れないのか等、予想の範囲外である。だから、ホームページの片隅に掲載して居ただけだ。それをアメリカの出版社が見つけた。そして、出版の話になった。
「お前の都合なんか知るか? アメリカの出版社を断われ。」
「こっちから契約を破って、罰金なんか喰らえん。そんな阿呆が出来るか?」
そんな時、後の方から男が現れた。武道の経験者らしく、中々強そうだ。
「チョット痛いけど我慢してくれよ。一瞬で終わる。」
「君は痛みに強い方かな? 加減するから勘弁してな?」
「全く生意気なガキだ。少々怒ったぞ。」
よほど腕に自信が有るのか、負ける積もりは無い様だ。
「瞳、やって見るか?」
「やってみるけど、かなり強そうだよ。」
「いざとなれば、僕が出るから。」
それを聞いた男は怒ってしまった。自分より、かなり小柄な女の子が、相手をすると言うので、自尊心にキズがついた様だ。
「じゃ、やって見ようか?」
瞳が挑発する。
「捻り潰してやる。覚悟しろよ。」
「奇翔流奥義翔天!」
瞳はとりあえず奥義を発動する。
男は正拳で瞳を狙う。瞳はその拳をやり過ごし、後から手を掴み、肘を押す。男は肘の痛さに、思わず前に転んだ。
「くっそう。もう怒ったぞ。」
男は、廻し蹴りを瞳に放つ。瞳は、その足をやり過ごし、軸足を払う。男は背から地に落ちた。
「畜生!本気で怒ったぞ。覚悟しやがれ。」
男の飛び蹴りが、瞳を襲う。瞳は平気で腕で祓った。今迄見ていた、他の奴等が二人を取り巻いた。
賀生や瞳は、古武術の訓練を通して、何かが変わった。危険に対する感知力が、異常に鋭い。危険を感ずれば、身体が勝手に逃げる。後からの攻撃でも、身体に危険を感ずれば、身体が勝手によける。
相手の男も、こちらの腕を警戒した。腰を据え身構える。男は改めて正拳を放つ。
「ほう。やっと本気になったか?」
「これでどうだ?」
男の蹴りが、ミゾオチを狙ってくる。賀生の右腕が、それを祓う。瞳が、賀生の背に付き、後の敵に対応する。それからは乱戦になってしまった。
「断念ながら、その程度では当たらないよ。」
「畜生!舐めやがって。」
相手は十人程も居たのだが、賀生達に届いた攻撃は無い。一人なら難しくても、二人でなら対応出来る。いかに多くの人間が取り巻いたとしても、一度に攻撃出来るのは、六人程度が限度だ。一人当たりにして三人が限界になる。
「皆引け。今日は引くぞ。」
H-5 賀生の人間考
二日後の放課後、瞳から電話が有った。
「もしもし、今どこ?」
「本屋。」
「やっぱり? 今、駅の方に向かっているんだけど、時間は取れる?」
「それなら、本屋に来てくれる? 本を探しているから。」
「分かった。」
しばらくして、瞳が現れた。
「相変わらず本の虫だね?」
「僕から本を取ったら、ただの脱け殻になってしまう。」
「嘘ばっかし。山賀さんの頭の中は、混沌だね。」
賀生が本を買って後、二人は、いつもの喫茶店に寄った。
「この前の事。英子の動画を見たけど、影になって、よく解らなかった。」
「足を払っただけだよ。」
「なるほど、英子の言った通りだったか?」
「それより瞳、身体が良く動いてたね?」
「柔刀術も習っているからね。」
瞳と賀生は、どちらも武術の心得が有る。それに古武術の影響も有る。最近は、賀生と瞳の二人で、古武術の訓練もしている。
「小説の主人公は、人間が好きって言うのを、お父さんに話して見たのよね?」
「こいつは、変な奴って言わなかった?」
「相当、小説を読んで居ないと、出て来ない結論だなって。」
賀生は、小説の主人公は人間が良いけれど、実際の動物が嫌いな訳では無い。
「僕は、犬とか猫とか、小さな動物は好きだよ。だけど、世話が出来ないから。」
「えっ、動物が好きなの?」
「好きだよ、小さな動物は。小さい頃は犬を飼ってたし。」
「なんか、又、分からなくなった。いつも、相反する意見が出てくるから。」
「動物は動物で良いんだよ。動物に喋らせるのが、嫌いなだけなんだよ。」
そうなのだ。賀生は、人間以外の物に、人間の言葉を喋らせるのが嫌いなだけだ。
「なるほど。だけど普通は可愛いと思うわよ。私もそうだもの、」
「僕は、理屈が先に立つからね。まぁ、他人の事は理解しなくて良い。」
「全く、山賀さんの頭の中は、混沌として理解出来ないわね?」
「僕も、いつから人間の物語りだけに、なってしまったのかな?」
昔はもっと、小説の幅が広かった。読める小説が、今より多かった。
「小説を読んでいる内に、そうなってしまったのね?」
「昔、読んでた小説が、今は読めない物も有る。」
何故そうなったのか、賀生は考えてみた。おそらく読んでいる内に、好きと嫌いが、はっきりと出て来だしたのだ。
「山賀さんも、本を読むのは、程々にしないとね?」
「努力は、しているんだけどね。」
「なんやかやと言っても、山賀さんは、人間が好きと言う結論だね?」
「そう言う事になるのかな?」
人間が好きと言い切るのは、何か違うような気もするけれど、動物もロボットもアンドロイドも嫌いで、人間なら良いと言うのなら、人間が好きと言う外に、言いようが無い。いや、人間が好きと言うより、人間なら許せる、と言うべきか?
賀生は、孤独で友達が殆んど居ない。いかにも人間嫌いの様に見える。
しかし、小説の主人公は、人間が良いと言う。
賀生は小説と実生活の間に、全く逆さまの好みが、しばしば出てくる。
「山賀さん、小説は程々にしておきなさいよ。学校の勉強もしようね。」
「分かっているんだけど、中々その気にならなくて。」
今日も、賀生と瞳は、いつもの所でお茶を飲んでいる。
「そろそろ本気にならないと、大学にすべるよ。」
「それも困るな? 真剣に考えよう。」
賀生は、最近の小説に疑問を持っている。初っ端からの悲劇は、勘弁して貰いたい。
物語りの構成が、賀生の好みに合わない。主人公の身に不幸が起こると、物語り自体が面白く無くなる。
「しかし、山賀さんの読書は、変わっているわね?」
「やっぱり、僕が変わって居るんだろうか? 最近の物語りは趣味に合わない。」
基本的に、賀生は人間が好きなのだ。イジメられている少年や少女を見ると、放って置けない性格でもある。何故、人は人をイジメるのか、理解に苦しむ賀生で有る。
弱い者を、大勢で構って、何が面白いのだろうか?
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