訳あり高校生 ヨシオの変骨騒動記 (ヨシオはプログラム解説書を出版した。お陰で色々な奴等に絡まれる。)

ヨシオ ヤマモト

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1N 米主義者を説得

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 N-1  賀生と三角關係 三角関係になれば、自分が退く
 N-2  記者連の疑問 賀生の正体を探る
 N-3  米教務省 米主義者と接触  説得
 N-4  ヨーロッパで講習 フランスとイタリア
 N-5  中東系との戦い  フランス ナイフ 銃 奥義
 N-6  一年ぶりの海水浴 浜で喧嘩
 N-7  瞳がらみの喧嘩解決 誤解が元


 N-1  賀生と三角関係

いかに好きな恋人でも、三角関係に有るならば、自分が退く。
恋に命をかけないのは、卑怯かも知れない。
しかし、三角関係の相手と、比較され続けるのは、絶対に拒否をする。
「山賀さんは、他の女の子と、遊びに行ったりする?」
「それは無いな。ややこしくなる。」
「英子は言ってたよ、山賀さんは人気が有るって。」
「もし、そうだとしても、僕には、他の子と遊ぶ余裕は無いよ。」
賀生の考え方とすれば、どんなに好きな女の子でも、三角関係になるのなら、自分が退いて幕を閉じる。 賀生は、男女関係を、それ程重要視はしていない。
自然に好きになれば、それはそれで良いのだが、無理に口説く事は無い。
「私より可愛い子が居たら、とうする?」
「顔だけでは、判断出来ないよ。」
賀生は、ある程度は顔も大事だが、相性を大事にする。瞳との仲も、自然に醸成されていったものだ。賀生は、瞳の事を、人生を掛ける程の相手で有ると、信じている。


 N-2  記者連の疑問

7月も後半の頃、記者連の代表が、PC 出版に電話を入れた。
「アメリカ教務省の長官と、面識の有る日本人が居ると聞いたんですが?」  
「断念ながら、私どもでは解りかねます。」
「最近の話しだと聞いていますが?」
「やはり、そう言うニュースは、私共には届かないのですが?」
ある記者が、米教務省長官の言葉を思い出した。アメリカの教育に、貢献をしていると言う言葉だ。それも、ミドルスクールとハイスクールだ。そこに注目してみると、PC 出版が売込んでいる本があった。それは、プログラム初歩の解説書で有った。
著者名を見ると、山香ヨシオと有った。記者は早速、PC 出版に電話を入れた。
「山香さんをご存知ですか?」
「その方なら知って居ります。」
「その山香さんは、本を書かれているんですよね?」
「当社で、本を出版されて居られる様ですね?」
「何の本ですか?  有名な本ですか?」
その記者はしらばくれた。他の情報が出るかと、思ったのだ。
「それ以上の事は解かりかねます。」
「山香ヨシオが、日本人と分かった。  一度、読んで見る必要が有るな?」
次の日の各メディアで、大きく報道されたが、詳しい話は出なかった。

次の日から、記者達によって、山香ヨシオ探しが始まった。
「山賀さん、大変だよ。解説書の事が大記事になってるよ。」
「パーティーが拙かったね?  アメリカ教務省の長官と、会ってるのを見られてしまったからね?」
「また、騒がしくなるね?  やがて本名も探し出されるよ。」
「その時は、その時だ。まだペンネームだから、捨て置こう。」


 N-3  米教務省

この件とは別の話になるのだが、秋芳順子はPC 出版の重役と話している。
「山賀さんが襲われた件ですが、アメリカ至上主義の組織の様です。」
「何の事で襲ったんだ?」
「アメリカへ来るなと、言っていました。あのプログラムの著者が、アメリカ人で無いのが不満な様です。」
「そう言う事か?  単純な頭をしている。その筋に話しを通してみる。」
その重役は、教務省に話を通しておいた。やがて話は、教務省長官の耳にも届いた。
「エミリア、アメリカ至上主義の組織を、知っているか?」
「知って居るも何も、私は、それらしい奴に襲われた事が有るよ。」
「私は聞いて居ないぞ。」
「捕まって、何かを要求される前に、外国の少年に助けられた。」
「ちょっと待て。その少年は日本人じゃ無かったか?」
「そうらしいよ。まるで映画の忍者の様だった。少女も一人居た。」
「前に私が言わなかったか?  私が助けられたのと、同じ子じゃ無いか?」
「まさかね?  しかし、あの時も少年と少女だったね?」
長官は、慌てて部下を呼んだ。
「このあいだ、PC出版から、アメリカ至上主義の奴等の話が有ったな?」
「プログラム解説の著者が、米国人で無いのが不満で、著者を脅した様です。」
「余計な事をする奴が居るな?  どんな奴等だ?」
「元州代表選手も居た様ですが、相手も相当な奴らしく、力負けした様です。」
「そいつ等を止めてくれ。アメリカの恥になる前にな。」
長官の言葉も有って、教務省は、不満を持つ組織に接触をした。
「君たちは、何を考えているのだ?  アメリカに不利益な事はやめて貰いたい。」
「アメリカの教育なんだから、アメリカ人の著者を選んで貰いたい。」
「アメリカ人の本を待っていたら、他国に追い越されてしまう。」
「そんな事を言っても、悔しいじゃないか?」
「それは、我々も同じだ。しかし、便利な物は、早く使った方が勝ちだ。」
それを出来るのが、アメリカの強みである。その組織は、何とか納得をした。その後、長官はエミリアと話している。
「連中には納得させた。しかし、親子揃って同じ子に助けられるとはな?」
「こんな偶然が起こるとはね?  あの子達にお礼を言わなくては。」


 N-4  ヨーロッパで講習

何日か過ぎて、又講習の依頼が来た。今度はヨーロッパである。
「ウェブ会議システムは、整っていますか?」
「整っていない所も有るので、行って頂けますか?」
「分かりました。時間を取ります。」
賀生は、瞳に電話を掛けた。
「瞳、もう一度だけ、付き合ってくれるかな?」
「又、アメリカ行き?」
「いや、次はヨーロッパ。フランスとイタリアで、六日ほど。」
「一回で、済むかな?」
「アメリカで実績が出来たので、そんなに回らなくても良いと思う。」
「アメリカで良く売れたの?」
「学校は、利益が少ないけど数がまとまる。一般への波及効果も大きい。」
「赤字で無いのなら、良いんだけどね?」
「ヨーロッパでは、二日程余裕を貰って、イタリアとギリシャの遺跡を廻りたい。」
「遺跡巡りは魅力的だね?  往復の飛行機代が、要らないからね?」
「そう言う事だね?」

その日、瞳の家の夕食時。
「又六日程、ヨーロッパだって。イタリアとギリシャで、二日程観光をする。」
「それは魅力的だな?  瞳の希望か?」
「いや、山賀さんが、計画に入れて貰ってた。」
「やっぱり、良く気が回るな?  瞳が行きたいなら、行っていいよ。」
「今度は行きたい。明日、山賀さんに連絡する。」
瞳の許可を得て、賀生は、PC 出版の山本に電話を入れた。
「前に言ったように、イタリアを最後にして、イタリアで、二日ほど余裕が欲しいのですが?  ついでに観光をしたいので。」
「その件は、前に言ってあります。飛行機の日時を遅らせるだけですから。」


 N-5  中東系との戦い

賀生と瞳は、今 ヨーロッパへ来ている。その講習は、フランスとイタリアである。
フランスの講習も終わり、今はパリのホテルに居る。
「パリに来たのなら、エッフェル塔の夜景を見てみたいね?」
「ここは郊外だから、少し移動すれば見えると思うよ。」
瞳は、折角パリに来たのなら、買い物もしたいと言う。英子や家族に、土産物が欲しいのだろう?
「ちょっと行って見るか、アメリカよりは安全だろう?」
「多分ね?」
二人は、外出着に着替え、出掛ける事にした。動き易い様にパンツ姿で有る。
ホテルで、タクシーを呼んで貰い、商店街に向った。
運転手に、ホテルで書いて貰った行き先を見せ、目的地に無事着いた。
「ちょっとだけ、その辺りを歩いて見ようか?」
「この辺りは、古い建物が多いせいか、風情が有るわね?」
「ヨーロッパの建物は、石造りが多いので、外観は古い物が多いんだよ。」
ショーウインドウを眺めて居ると、何だか周囲の気配がおかしい。
賀生は、瞳の背中を突つき、後ろを見た。いつの間にか、数人の男に囲まれている。
その中の一人が、話し掛けて来た。英語では無い。賀生は首を振った。
「瞳、なんかヤバそうだよ。」
「本当だね?」
彼らは、二人を薄暗い路地に誘い込んだ。その路地にも数人の男達が居た。
狭い路地に移動したのは、賀生の戦略でも有る。側面からの攻撃が無くなるからだ。
「瞳、奥を頼む。僕はこっちの方を見る。」
「分かった。」
二人は背中合わせで、彼等に対峙をする。彼等の一人が手の平を差し出した。
どうやら、金を要求しているらしい。賀生は再び首を振る。
中の一人が、賀生の胸に手を出した。賀生は、その手を掴み逆手に捻る。
「ぎゃっ。」
瞳は、賀生とは逆に、その手を引き出足を刈る。そいつもキレイに転がる。
「ぐうっ。」
その後は乱戦状態である。賀生は、強そうな奴を引き受け、他は瞳に任せる。
「いやーっ。」
少々、派手な技を出して見るか?  大技は、威力も有るが隙が多い。しかし脅しにはなる。突然賀生は宙に浮いた。左足は後蹴り、右足は前蹴りで前後の敵を倒す。
「うがっー。」
「げっー。」
地に降りた瞬間に、前の奴の顎を右拳が突き上げる。
「ぐぉー。」
その間に、瞳も二人を投げ飛ばしている。一瞬に半分以上を倒され、奴等は怒った。
その中の一人がナイフをちらつかせる。賀生は、そいつに対峙する。
「奇翔流奥義天翔。」
賀生と瞳が同時に奥義を詠唱する。
その時、斜め前から殴り掛かる奴が居た。それは、賀生の手が止めた。
「おっと。」
同時に、前の奴のナイフが襲う。賀生の身体が横に動く。
「ええっい。」
一瞬、ナイフが刺さったと思ったのだが、ナイフは、賀生の脇をすり抜けた。
後の奴が懐から、拳銃らしい物を出して、賀生に向ける。
「懲りない奴等だ。」
賀生は、その武器を蹴り飛ばす。
「いっやー。」
「くそっ。」
もう一人の奴が、拳銃を撃った。同時に賀生が動く。弾は賀生の脇をかすめる。
「何度やっても無駄だよ。我々の術は破れないよ。」
賀生はスマホの翻訳アプリで、彼等に話している。何とか通じている様だ。
「くそがっー。」
「えっえーい。」
それでも、まだ諦めの悪い奴が居る。前の奴と後の奴がナイフで襲う。
「おっー。」
賀生の身体が横にズレる。ナイフは僅かに身体をそれた。後の奴が、再び拳銃を出した。引き金が引かれると同時に賀生が横にズレる。その身体の横を弾が流れる。
「幾らやっても、君達では無理だよ。この術は破れないよ。」
ナイフも弾も、当たるか当たらないかの、際ぞいタイミングでさけられて居た。
賀生と瞳の動きが早いとしか、考えられない現象である。
本当のところは、賀生達の意識が悪意を捉えれば、身体が勝手に動く。それは奇翔流奥義の効果らしいのだが、いつもギリギリの瞬間に、身体が危険から逃れる。
「畜生がっ。」
奴等の戦意が失せた。そいつらは、倒れた奴を引き起こし、路地の奥へ消えた。
「今日は買い物は諦めよう。昼に空いた時間にしよう。」
「直ぐ、ここから離れた方が良さそうだね?」
大通りでタクシーを拾い、運転手に、ホテルの住所を書いた紙を見せる。
「やれやれ、二人とも、大人しそうに見えるから、絡まれるんだな?」
「多分、そうだよね?  日本人は小柄だしね?」
賀生と瞳の二人は、買物は諦めて、ホテルでお茶を飲んでいる。
次の日は別の学校を回り、パリとは違う街で土産物を買った。
「エッフェル塔の夜景も撮ったし、フランスはこれ迄だね?」
「あれぐらいの喧嘩で良かった。」
程なく、フランスとイタリアの講習も終わり、イタリアとギリシャの観光も出来た。
この講習は、いつまで続くのだろうか?


 N-6  一年ぶりの海水浴

時節は、七月の終わりで、夏真っ盛りである。
瞳と賀生は、いつもの喫茶店でお茶を飲んでいる。今のペースは週二回である。
「山賀さん、早く海に行きたいね?」
「そうだな、勉強を頑張っているから、遊びにも行きたいな?」
二人が目指して居るのは、県立大学だが、この地域では、かなり試験が難しい。
今の儘でも、行ける気はするのだが、安全確保の為に、猛勉強を強いられている。
賀生が、嫌いな勉強を頑張っている。これも、瞳の影響であろうか?  二人は、八月の初めに海水浴に行く。場所は、いつも行ってる海岸だ。
やっと、その日が来た。明日は、瞳が心待ちをしていた海水浴である。
「やっと来たね、いよいよ明日だね?」
「海は、去年の所しか無いか?」
「日帰りなら、あそこしか無いよ。」
そうなのだ、この近辺で日帰りをするなら、去年行った海岸しか無い。
「今回は、喧嘩に巻き込まれないだろうな?」
賀生が心配げに言った。

今日は、海水浴に行く当日で有る。天気は良いが蒸し暑い。
「おはよう、弁当を作って来たよ。おかずも沢山有るよ。」
「それは楽しみだ。」
次の電車が来るまでには、後十分か?  賀生は自動販売機で、お茶を買って瞳に手渡した。電車が来るまでに飲める。しばらく待って、電車が来た。
「来た来た、早く乗ろう。」
瞳の後から、賀生も電車に乗り込んだ。しばらく乗って、海水浴場の駅に着く。
「本当に久し振りだ。ちょうど一年だね?」
去年も八月の初めだった。感無量で、二人は海岸に立つ。
「あの時は、もう少しで喧嘩になる処だったよ。」
去年の、ここでの喧嘩は偶然であろう。これは、瞳の件から除外しよう。それでも瞳絡みの事件が、まだ三件は残っている。これらの謎は、まだ解けない。
おそらく、何処かで糸が折れ曲がり、方向が変わってしまっている。
「山賀さん、海の家に行こう。」
「そうだね?」
海の家に入った二人は、お茶を飲んでいる。
「山賀さん、そろそろ着替えようか?」
「じゃ、雑衣場を借りよう。」
水着に着替えた二人は、海岸に出る。賀生は一瞬、瞳に見とれた。
「ジロジロ見られたら、恥ずかしいって。」
「いや、つい見とれていた。」
「何処に見とれてたの?」
二人は、ふざけ合いながら、海に入った。ひとしきり泳いで海から上がる。
「ご飯にしようか?」
瞳は、貸しロッカーから、弁当を持ってくる。今年は、皆と少し離れて座っている。
去年は、足を引っ掛けられたからだ。それで喧嘩になりそうになった。
「瞳さん、少し大きくなった?」
「どう言う意味よ?  それは。」
「えっ、身長測ってないの?」
「本当かな?」
「本当に、身長が伸びてるって。」
「それは、山賀さんも同じだよ。今は伸び盛りだもの。」
「そうだな?  僕も背が伸びた。」
そこへ、数人の若者が、通りかかった。
「おい、兄ちゃん達、俺らも仲間に入れてくれないか?」
又だ。何故か賀生は、厄介事に巻き込まれる。
「済みません、あなた達は、どちらさんですか?」
賀生は、一応下手に出た。何処にも、うっとうしい奴が居る。瞳はと見ると、既に片膝を立てている。待機態勢完了で有る。そのまま、携帯電話に三文字を入れた。後はボタンを一押しだ。
「誰でもいいだろうが?」
「娘さんを預かっているので、そう言う訳にはいきませんよ。」
奴らの歳の頃は、二十歳ぐらいで、少し不良っぽい。
「やかましい、その娘をちょっと貸せ。」
「駄目ですよ、脅したって。」
瞳は、携帯電話を後に隠していたが、前に出す。
「お兄さん達、110番に電話していいかな?」
「携帯を奪え。」
男の声で、横の男が瞳に襲い掛かった。瞳は、左手に携帯を持ち直した。
右手で、襲って来た相手の手を取り、関節を捻る。男は見事にひっくり返った。
「いってぇー。」
賀生の方にも、手を伸ばして来たが、逆手に捻りながら、後ろへ体を移した。その男は、痛さのあまり、後ろへ倒れる。
「くっそぅ。」
その次の奴も同じ目に合う。四人を倒されて、躊躇している奴等に、瞳は言った。
「110番してるから、もうすぐ警官が来るよ。」
奴等は、慌てて逃げて行った。周囲の人達は、何が何やら分からない様子だ。
「瞳、本当に電話した?」
「まさか、もう少し状況が悪くなれば、電話をしたけどね。」
二人は、荷物をまとめて、直ぐにその場を離れた。
他の誰かが、警察に電話をしていると厄介なのだ。被害者でも名前を聞かれる。
学校に連絡されるかも知れないので、はなはだ厄介なのである。他の脱衣場で着替えて、直ぐに帰りの電車に乗った。
「やっぱり、喧嘩になってしまったね?  あれは私じゃ無いよね?」
「幸せそうな二人が  、妬かれたんだと思うね?」
「弁当は食べたし、泳げたし、良い事にしよう。時間は有るからお茶しよう。」
瞳の提案に、賀生も賛成をした。二人は、いつもの喫茶店に席を取る。
「やれやれ、やっと落ち着いた。」
「本当だね。」
「何故か、いつも喧嘩になるな?」
「絡まれる原因が有るかな?」
一応、賀生も考えて居たが、ある事に気が付いた。
これは、ちょっと言いにくい。しかし、決心をして瞳に言った。
「瞳が可愛いからだよ。それに、僕が大人しそうだから。」
理不尽では有るが、現実に有るのだ。そんな、ふざけた奴も居るのだ。
「そんな事を言ったって。私が原因じゃ無いって。」
「瞳に責任は無い。だけど仕方のない事だよ。世の中には、そんな奴もいる。」
瞳は、一瞬不満そうな顔をしていたが、感想を述べた。
「一応楽しかったから、良かった事にしよう。」
「まあ、遊べたから良しとしようか?」


 N-7  瞳がらみの喧嘩解決

「山賀さんは変わったね、勉強は凄くやってるね?」
「あの大学に行くにはね?  男子の方が受験生が多いらしいし。」
「そうだったね?  男子の方が難しいのか?」
しばらく、そんな話をして、瞳は帰って行った。

賀生達が、海へ行った数日後、例の道場で、泰雄と直人が、義二に叱られていた。
その道場は、護身術を教えている。
「誰が手を出せと言った?  見守って上げろ、とは言ったけど。真路先生と浩司先輩に謝らないと。」
「済みません、勘違いをしていました。」
「怪我は、させていないな?」
「そっそれは、有りません。」
それはそうだ。相手の山賀賀生が手加減をしなければ、こちら側が怪我をした。
泰雄達は、先輩の為に、瞳を護るのだと勘違いをしていた。

八月のお盆明けに、瞳から電話が有った。一週間振りである。
「山賀さん、今何処?  時間はある?」
「駅前の本屋。時間は有るよ。」
「十分後に行けるから、時間が空いたら例の所へお願い。」
「分かった。」
賀生は、急いで小説を買い喫茶店に向かう。喫茶店に着くと、瞳はもう来ていた。
「山賀さん、ごめん。謝らなくっちゃ。」
「どうしたの?」
「喧嘩の件、全て私が原因だった。やっぱり元は二つ有った。どちらも悪気は無くって、私を見守る積もりだったみたい。すべて山賀さんの言う通りだった。」
瞳は、父親の真路が、義二と裕子から聞いて来た、事の顛末を話した。
「まぁ怪我が無かったから良かったよ。この件は、おしまいだな。」
賀生は、あっさりと、そう言った。
「山賀さんは、それでいいの?  謝らせなくて。」
「いいよ、面倒くさい。」
賀生は、そんな事は重要視しない。謝らせたところで、何が良くなる訳でも無い。
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