訳あり能力者 芙蓉儚の幽能力世界 (ハカナは国連傘下組織の依頼により、普通では解決困難な事件を担当する。)

ヨシオ ヤマモト

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2D 仁美の初戦

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 D-1  海水浴 儚と嘉紀が海水浴  不良に絡まれる
 D-2  夢とカコ 不良に絡まれて居た子達を助ける
 D-3  神園仁美 儚の事情を説明
 D-4  仁美の参戦 仁美も参戦  誰かに窺がわれて居る  迫撃砲を撃たれる
 D-5  嘉紀のアルバイト ブログラムのアルバイト


 D-1  海水浴

春は瞬く間に過ぎ、今は高校一年の夏。儚と嘉紀は、海水浴に行く。
儚が、勇気を出して嘉紀を誘った。
結局二人は、七月の終わり頃、県内の海岸に行く事になった。
「あまり、見つめないでよ。  恥ずかしいわよ。」
「いや、体が引き締まって、スタイルが良いなと思って。」
儚は、格闘術を会得しており、身体は引き締まっている。
「山臥さんだって見違えた。  かなり筋肉質だね?」
「田舎では、よく働いていたからね? 家が貧乏だと、働かざるを得なかった。」
「仕事の筋肉とは、違う様に見えるんだけど?」
「まぁ、それは置いといて、取り敢えず、ひと泳ぎしよう。」
一時間程、海で遊んだ二人は、昼御飯を食べる事にした。
「わぁ、美味しそうだ。頂きます。」
二人が、楽しそうに食事をしていると、通りかかった少年達に、声を掛けられた。
「美味そうだな、俺達も、ご馳走してくれないか?」
嘉紀が顔を上げると、少し歳上の少年達の顔が有った。
「あなた達は誰?」
儚が、先に反応をした。手には携帯電話を握っている。
「誰でも良いだろう、俺達にも、ご馳走してくれないか?」
「あなた達の分は用意して無いわよ。早く行ってくれる?  警官を呼ぶよ。」
それを聞いた横の奴が、儚の携帯に飛びついた。しかし、儚に躱され前に倒れる。
もう一人も、儚に飛び掛かる。儚はその腕を取り、前に引き関節を捻る。
そいつは痛さで、横に転んだ。嘉紀は、それを悠然と眺めている
「彼女が闘ってるのに、お前は何をしている。」
「いやまぁ、僕の出る幕は無いと思ってね?」
「えらい余裕だな?」
「あんたの方こそ、危なくなってるよ。」
男が振り向くと、まともに立っている奴がいない。
「皆引け、ひとまず退くぞ。」
その男の号令で、そいつ等は、倒れた奴を引き起こし、浜の奥へ消えた。
時間的に見て、そろそろ警官が来る頃合いだ。
「儚、お疲れさん。」
「山臥さんも、働きなさいよ。」
「いや、儚だけで充分だと思って。」
「もう。山臥さんは、ものぐさなんだから。」
「弁当も食べたし、帰ろうか?」
「そうだね、泳げたし弁当も食べた。少し早いけど、帰えろうか?」
二人は、まだ時間が早かったので、いつもの喫茶店に寄る。
「儚、あまり喧嘩は駄目だよ。」
「私は、滅多に喧嘩はしないわよ。」
確かに、儚から仕掛けた事は無い。しかし儚は可愛いい、お陰で何かと絡まれる。

今日は、儚と仁美が、高校の近くの喫茶店に居る。
「儚、山臥さんと海に行ったの?  誰かが駅で見たって。」
「あっ、見られてた?  私から誘ってみた。凄く勇気がいった。」
「山臥さんを待ってたら、歳をくってしまうからね?」
「私が喧嘩をしているのに、山臥さんは、面白そうに眺めて居るだけなのよ。」
「儚の力を測っているのよ。あの人は、それが分かるような気がするわ。」


 D-2  夢とカコ

今日は、儚、仁美、嘉紀の三人でお茶を飲む。
委員会の用事も無く、三人一緒に学校を出た。一緒にお茶を飲むのは久し振りだ。
「今日は、何処か違う所で飲もうか?」
「そうだね、南の方にでも行って見ようか?  山臥さん、何処か知ってる?」
「南の方は、あまり行った事が無いから、分からないよ。」
「歩いて行けば、何処か有るでしょう?」
と儚が言う。そんな訳で、三人は街の南を歩いている。
「あっ、あそこに有る。あの店にしよう。」
三人は、そちらへ向かって歩いて行く。繁華街には遠いが、それでも店は有る。
店を覗きながら歩いていると、路地を入った所で声がした。
女の子二人を、数人の男が取り囲んでいる。嘉紀は、その女の子と目が合った。
女の子は、怯えた目で何かを訴えている。
「儚、あの女の子達は怯えている。ちょっと行って見て。」
「分かった。」
儚は、その連中の方に向う。
「お前は何だ?」
「何か揉めてるの?」
「関係無い奴は引っ込んでいろ。」
男達は、儚が女と見て、随分と強気だ。
「そこの女の子、ちょっとおいで。前に会った事有るよね?」
「うるさい。向こうへ行け。」
「知り合いが居るのに、放っては置けないわよ。」
儚は、女の子の所へ歩いて行く。そして、女の子の側へ寄り、小声でささやく。
「どうしたの、助けようか?  私達は強いわよ。」
女の子達は、怯えた目で頷いた。
「じゃ、行こうか?  君達、この子達を借りて行くわね?」
「何を勝手な事を言ってやがる。俺達の方が先約だ。」
儚は、男達を無視して、女の子を連れ出そうとした。まあ、当然では有るが、男達は怒った。前の男が儚に掴み掛かる。儚は、その腕を引き出足を払う。男は宙に浮く。
横に居た男が儚に殴り掛かる。儚はその腕を、手ではねる。そして、脛の下を軽く蹴飛ばした。そこは痛い。
「痛ー、何をしやがる?」
「いやー、神経が有るのかなっと思って。」
それを聞いて、横の奴が腕を掴みに来た。儚はその腕を捻り、足払いを掛けた。
そいつも宙に舞う。これで、男達の半数が倒れた。
それでも、掛かって来る奴が居た。儚の後の奴だ。そこで仁美が動いた。
そいつの後から襟を掴み、引き倒す。
「まだやるの?  相手するわよ。後の二人はもっと強いよ。」
「覚えてやがれ!」
男達は慌てて逃げて行った。

「取り敢えず、私達と行こうか。話を聞くわ。」
「済みません。」
儚は、その女の子達も、喫茶店に連れていく。
「どうしたの?  脅されてたの?」
女の子達の話によると、買い物に出てきた時に男達に誘われた。断ったのだが、しつこく誘われて困っていた。そんな所に、儚達が通りかかった。
「そうか、それは気の毒だったね、  あんな奴ばかりじゃ無いんだけどね?」
「まあ、ゆっくりお茶を飲んでからお帰り。北の方へ行くのなら送るよ。」
「有り難うございます。駅の方までご一緒させて下さい。」
「名前と携帯電話を聞いて置くわ。こちらのも送るから。困った時は電話して。日本に居ない時も有るけど。私は芙蓉儚。この人は山臥嘉紀さんと神園仁美さん。」
その子達の名前は、赤位夢と吉井カコと言った。中学三年生だそうだ。


 D-3  神園仁美

神園仁美は、小学の時から芙蓉儚の友達で有る。儚も仁美も、柔刀術の道場に通っている。お蔭で、それなりの体術を持つ。
驚いた事に、高校になって迄、中学と同じ様に、三人共同じ組になってしまった。
成績は同程度なので、高校が同じなのは納得出来るのだが、組まで同じになった。
「三人共同じ組とは驚きだね?  何の因果なのかね?」
儚と仁美は、今日も一緒にお茶を飲んでいた。山臥嘉紀はアルバイトの日だ。
「山臥さんは、アルバイト?」
「週に三回行ってるからね?  良く頑張るわ。お金の為じゃ無く勉強だとさ。」
儚は、嘉紀に聞いた話しを、仁美に語る。
「ふーん。大人だね?」
「どうだかね?  実は、仁美に謝らなければならない。」
「この前の事?  何となく、分かっていたわよ。」
「あれは、遊びじゃ無く、山臥さんの手伝いをしてたのよ。絶対秘密だけどね?」
「え、仕事なの?  何をしてるのよ?」
儚は仁美に説明をした。難しい話しなので、言えなかった事情も説明した。
「仁美には、一生隠す積りだったんだけどね?  事情が変わったのよ。」
「どう変わったのよ?」
儚は、自分の状態を話した。殴られても衝撃の無い事。嘉紀の説明によると、鉄砲で撃たれても死なない事等、信じられない様な事を話した。
「それが、仁美にも伝染ったのよ。言って置いた方が良いと思って。」
「状態は分かった。私も変だとは思ったけど、何かの間違いだと思って居たわ。」
「私も、そうだった。超能力じゃ有るまいしと思ったわよ。」
「何で、そうなったの?  その変てこな能力。」
「仁美は私から伝染ったのよ。私は山臥さんから。山臥さんは父親から。」
この能力の他者への感応は、山臥嘉紀の元で、長らく留まっていた。
嘉紀は、基本的に友達を作らない。性格上、友達を必要としない。
しかし、儚とは友達になった。珍しい事では有ったが、お陰で能力が感染った。
「取り敢えず、病気じゃ無いのね?  それなら、いいわ。」
「山臥さんの父親も、長い事、掛かっているけど、体調は問題無いってよ。」
「ところで、山臥さんの手伝いって、何をやってたのよ?」
「これは、絶対秘密だよ、喋ると、身辺が煩い事になるわよ。」
「絶対言わない。」
「人質奪還作戦。中東の辺りの武装民族から、某国の役人を奪還した。」
「危ない事をやってたのね?」
「私の命は保証されてるから、ただ疲れるだけ。」
「そうか、鉄砲で撃たれても、死なないのか?」
一見すれば、相当に危ない仕事である。けれど、自分の命は保護されている。
他保護モードを発動すれば、半径6メートル以内なら、他人も保護出来る。
ただ、それ等が大人数だと、全部の命を護れない。
「仲間の命も相手の命も、両方護るのが、山臥さんの流儀。」
嘉紀は、そんな事案しか受けない。大きな作戦は大組織の仕事だ。
「怪我しないからと言っても、出来るだけ喧嘩は禁止ね?」
儚は、能力の使用についての制限を、仁美に提案した。
「強引に誘って来る奴は、どうするのよ?」
「相手から、仕掛けられるのは、しようが無いわよ。」
取り敢えず、仁美はそれで納得をした。


 D-4  仁美の参戦

ある日、儚と嘉紀は、駅前でお茶を飲んで居る。そこへ、携帯電話が掛かって来た。
秘密の組織からである。最近は、組織からの電話は、儚が受ける。
「山臥さん、東南アジアで誘拐事件だって。」
その国は、社会主義国家で有りながら、経済開放政策も取り入れる、多少複雑な国である。国内には、幾らかの不満分子も居て、その一派が外国商社員を誘拐した。
事の起こりは、商売上の些細なイザコザらしいが、誘拐にまで発展した。
そこで、或る国際組織が絡み、儚に連絡が来た。
「構図としては、前の事件と変わらないな。とにかく、人質を取り返す事だな?」
「今回も人質か? 山臥さんは、人質事件ばかりなの?」
「結果的には、そうなってる。」
「自分で行くのかな?」
「いや、現場近くまで送って貰える。手続きは、そちらに任せる。」
ややこしい事件の場合、組織の極秘ルートを利用する。
「仁美も一緒に行けないか、尋ねて見ようか?」
「そうだな。ちょっと聞いて見て。」
儚が仁美と電話をしている間、嘉紀は大人しく、お茶を飲んでいる。
「明日の朝からなら、行けるって。」
「じゃ、一緒に行こう。三人の方が安全だし、仁美の経験にはなる。」
次の日、儚の家の近くまで、組織の車が迎えに来た。嘉紀は、それに乗っている。
その車は、儚と仁美を拾い、近くの空港へ向った。
「幽閉されて居るのは、密林の集落だ。小さな見張り台も設置している。」
「見回りの頻度が問題だね、現地に行かないと分からないか?」
何時間か、組織の専用機に乗り、ジープに乗り換え、現地に着いた。
「地図は有りますか?  ここからの距離は、どのくらい有りますか?」
「近くまで車で送るが、三百米程は家がまばらで、身を隠すのが難しい。」
夜の闇と、見廻りの隙間をぬって、近づくしか無さそうだ。
「これを持って居て。暗視ゴーグルだ。暗闇でも見える。」
嘉紀は暗視ゴーグルを、儚と仁美に渡した。
間もなくジープが来たので、現地の近く迄送って貰う。
「ここ迄です。これ以上は行けません。」
「有り難う。ここで様子を見よう。情報が足りない。」
儚は、身を隠しながら、見廻りを観察している。
「見廻りの間隔は、ちょうど五分か?」
見廻りの目が、届かない所が無いか、周りを見て廻った。
「あそこの屋根が、下からなら見えにくそうだよ。」
「見廻りの隙間の時間で、屋根に登れるかが、問題だね?」
「あの高さなら僕が上がれる。見廻りが行き過ぎたら、ロープを垂らす。」
嘉紀は、ローブ二本を、所々結んだ物を二人に見せた。
手はロープを掴める。足をロープの結び目に掛ければ、体を支えられる。
「分った。これなら登れる。だけど、屋根まで飛び上がれるの?」
「手が、屋根の庇に届けば、手で体を引き上げる。」
「そんな事出来るの?」
「走る勢いで飛び上がる。そのまま体を引き上げる。低い屋根なら大丈夫。」
「まるで忍者だね?」
「忍者だって昔は野武士だ。古武術は、その延長線上に有る。」
忍者と言う名の由来は不明だが、そんな裏集団は有った模様だ。
「見廻りが行き過ぎたら走るよ。あそこ迄なら一分で着く。足音は消して。」
見回りが建物の影に消えた。三人は小屋に向って走る。嘉紀が屋根に飛び上がる。
そして上から、ロープを垂らす。儚と仁美が屋根に上がった。合計三分だ。
この家の続きに、見張り台が有るのだが、今は人が居ない。
「間に合った。見廻りが行き過ぎるのを待つよ。」
次の見廻りが行き過ぎた。儚は、人の居ない部屋の屋根に穴を空ける。
儚は、六メートルの範囲内なら、物質の排除も保護も出来る。その排除した物質の行方は不明だ。おそらく、エネルギー化して宇宙に散る。
先に嘉紀が部屋に飛び下りた。儚と仁美も部屋に入る。ここまでは成功だ。
「人質は、この家の何方かに居る。儚、幽視して。」
儚は、透視でも幽視でも出来るが、幽視は、どちらの方向からでも見える。
「こっちだよ。」
「分かった。壁に穴を空ける。」
この家の続きに本部が有る筈だが、意外と人が少ない。食事中なのだろうか?
「居た、あの白人だ、あの人だよ。」
儚は、その縛られた白人にメモを見せた。その人は頷いた。
仁美がポケットから、写真を出して、ゴーグルで見ている。
「間違い無い様だよ。」
窓の隙間から、廻りの様子を探っていた嘉紀が、合図をした。
「壁を抜いて走るよ。さあ行くぞ。」
その時、入口から数人の男達が入って来た。
「何者だ?  お前達は何だ?」
「ちょっと遅かったか?  儚、仁美、その人を連れて先に出て。絶対離すなよ。」
「分かった。追いついて来てよ。」
儚と仁美は、商社員を連れて、儚が空けた壁の穴から、外に飛び出した。
「待て。曲者だー。」
「おっと、お前は僕が相手だ。」
入り口からは、五人程が入ってくる。嘉紀は、回し蹴りで一度に二人を倒す。
後の三人を当て身で倒し外に出る。建物を出た先で、儚達が戦って居る。
嘉紀は、それに合流をした。
「儚、幕を使って。」
「了解。」
儚が周囲に幕を展開する。商社員と合わせて三人なら、幕に充分余裕がある。
その幕は、一本の棒に収められているが、ボタン一つで、長円に薄い幕を展開する。
そんな物に、何の機能も無いのだが、儚たちの他保護範囲内に展開すれば、儚たちの能力が、あたかも、その幕の効果と認識される。
「僕が前で戦うから、力押しで前に進んで。他保護で押せるから。」
嘉紀は、前の奴を投げたり、蹴り飛ばしたり、排除のふりをしている。
「止まらないで。そのまま走って。」
怯える白人を引っ張って、儚と仁美も走る。特殊服と幕で、弾は当たらないと説明しているが、撃たれると、やっぱり怖い。それが普通の感覚だが、走るしか無い。
「そうか、これだと他保護のまま押し切れるのか。外で戦う必要が無いわね?」
儚か仁美の、他保護モードで押し切れるのだが、外で戦っている方が自然に見える。
「そのオジサンは、手元から離すなよ。僕は他保護モードを切ってるからね。」
「分かった。こっちで護る。」
それからは走り詰めで、三キロは離れた。

「人質に逃げられました。」
「なんで逃げられた。拘束していただろう?」
「何人かが助けに来た様です。」
部下たちの報告で、そこに居た将軍は怒った。
「迫撃砲を持って来ただろう?  あれを出せ。」
数分後、迫撃砲が用意された。
「マーカーは付けているか?」
「服に付けました。」
マーカーの付いた服は、既に脱ぎ捨てられて居る。
「撃て。三発ほど撃って置け、当たるかも知れん。」
「分かりました。」
砲手は、言われるまま、迫撃砲を撃った。嘉紀の頭に、悪意が響いた。
「何か来る。悪意を感じた。」
それは、儚も感じている。
「迫撃砲か超小型ミサイルだよ。そんな物しか無いと思うよ。」
「そうだね?  この距離なら、迫撃砲だね?」
そんな悪意の弾は、儚や嘉紀が居る限り、ここには届かない。こんな大型銃の弾やミサイルは、発射された直後に消滅する。
この能力は、種族保存本能から来ているのは同じだが、幽体能力と言う機能で、遠方まで届くし力も強い。

大体の方角を測って走ったのだが、やっぱり、少しズレている。組織のアジトを探すのに、五分程余分に掛かった。
「疲れた。今日は走り詰めだよ。体力を大分消耗した。」
「それでも、うまく行った方だよ。」
「そうだよね?  死なないと分かって居ても、撃たれると怖いよ。」
「だけど、幕を上手く使えば、誤魔化しようが有るわね?」
「ある程度は、慣れも必要だね?」
作戦の合計は二日掛かった。近い所だけに、一日節約出来た。

そんな儚や嘉紀の行動を、窺っている奴が居た。
「あんな装置が有ったのか?  あの黒い幕は何だろう?」
「外に出ていた、忍者みたいな奴以外は、あの装置で護られて居た様だ。」
「軽そうなのに、余程強固な金属で出来ている。銃の弾迄よけられるとはな?」
「あのグループには、裏の組織が有ると言う噂が有る。」
「科学力まで有るとなると、ちょっと厄介だな?」
この、儚たちの働きを、窺ってる奴らは何者だろうか?
今のところ、敵対行為は無いのだが、他人の行動を探るとは、かなり怪しい。
「儚、この間から窺われて居る。用心して。」
嘉紀達の行動が、何処かから漏らされている。仕事の周囲を、ウロウロされると、肝心の相手に察知される。先に察知されると、人質を盾に取られる。
この事態が一番困るのだ。こう頻繁にやられると、何らかの対処が必要になる。おそらく、SSSの何処かから、情報が漏れている。


 D-5  嘉紀のアルバイト

嘉紀は、八月頃からアルバイトをしている。小遣いが、足りない訳では無いのだが、プログラムの現場を、実際に見たかったのだ。そこは、プログラムの開発会社だ。
「山臥君、このプログラム組めるかな、やってみてくれるか?」
「分かりました。解らないところは勉強します。」
半日程で、プログラムが組めた。短い物だが、実際のプログラムを組んだのは初めてで有った。
「山岡君、山臥君が組んだプログラムを、点検してくれるか?」
「分かりました。あの子の能力も見たかった事だし。」
山岡は、嘉紀が組んだプログラムの点検を終えた。
「完璧なプログラムだな、どこにも間違いが無い。普通は、一つや二つの間違いは、犯すんだが?」
「実際に、動作をさせて見たが、間違いは無い。」
「短い物を、もう二つ程やらせて見よう。」
嘉紀が、作らされて居るのは、そんなに難しい物では無い。さすがに、高校生のアルバイトに、そんなに難しい物は頼めない。普通はそれでも行き詰まる。
ところが、嘉紀は普通にこなす。嘉紀に取っても、その程度は初歩の内に入る。
「あいつは何者だ、まだ高校一年だろう?  初歩の物とは言え完璧だ。」
「ラッキーだったよ。仕事さえやって呉れれば、有り難い。」
嘉紀は、初歩の初歩とは言え、解説書まで書いている。元々かなりの実力は有る。
嘉紀は、週に三回ほど放課後出社する。さすがに毎日では、時間が取れない。
このアルバイトも、後一年で終わる。大学受験の準備が有るのだ。
「山臥君、次はこれを頼む。」
仕事の注文も、段々と難しくなってきた。嘉紀は今日も、アルバイトに来ている。
「山臥君、大分馴れて来たな?  助かっているよ。」
「初歩は解るんですけどね?  それ以上の物になると、勉強ですからね?」
「勉強すれば解決出来るのが、山臥君の凄いところだ。」
「後一年ぐらいで、辞められるのは痛い。」
「大学受験も難題ですからね?  それでは、今日は失礼します。」
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