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2H 教務長官救出

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 H-1  儚と嘉紀の距離
 H-2  テレビ座談会 ニューヨーク 教務省長官救出  夢カコ再絡み
 H-3  パーテイ ニューヨークでパーティ
 H-4  夢とカコ スキー  夢カコ能力感応
 H-5  民間の雑務会社M 儚に変なオジサンが話しかける


 H-1  儚と嘉紀の距離

今日は、儚と仁美が、お茶を飲んでいる。
「儚、山臥さんとは、上手くいってる?」
仁美が儚に尋ねている。
「上手くいってるよ。これまでと同じだよ。」
そう、儚が答えた。
「そんな事では無くって、進展はどうかと言う事よ。」
「私としては、今の儘が一番いいわよ。」
仁美の問いに、儚が再び答えた。
「何故よ?」
「今の山臥さんが、べたべたして来れば、気色悪いわよ。」
儚は、山臥嘉紀の、クールな部分が気にいっている。二言目には口説いて来る奴、体に触りたがる奴は、虫酸が走るのである。
「それもそうか?  今の儘がベストかな?」
儚の気持ちとしては、社会人になる迄は、この儘で良い。後の事は、その時考える。
「私にだけ、特別に対応してたら、他の子達も、やりにくいだろうしね?」
「そうだね?  山臥さんは、自然体が、一番合ってるみたいだね?」


 H-2  テレビ座談会

「山臥さん、お茶する?」
儚の提案である。今日は寒いので、熱いお茶でも飲みたい気分だ。
「うん。いつもの所でいいか?」
「お茶が飲めれば、何処でもいいわよ。」
儚と嘉紀は、学校の帰りにお茶を飲む。週に二回は喫茶店に寄る。
「寒い日は、温かい飲みものに限るな?」
「この冬は、スキーに行けるかな?」
「もうシーズンだけど、今年は、どうだろうな?」
「余裕が有れば、夢とカコも誘ってやりたいんだけど。」
冬休みが済んだ今、行くとすれば土曜日と日曜日になる。
「今月は、ニューヨークでテレビ座談会やパーティが有る。スキーに行くとすれば、来月の初めだな?」
「パーティって、何処でやるのよ?  聞いて無いわよ。」
「言うの忘れていた。いつもと一緒だ。ニューヨークで、座談会とパーティが有る。儚、三日程付き合ってくれるかな?」
「やっぱりアメリカか、前の時と同じだね?」
「そう。付き合ってくれると助かる。」

儚と嘉紀は、ニューヨークに来ている。嘉紀は、テレビ座談会に出演する。
そのテレビ座談会の時間が来た。
「皆様、お疲れ様です。それでは、座談会を始めます。」
司会が言うには、主題は教育だが、今流行りの、プログラムも入れると言う。
「それでは、一番若い山香さんからお尋ねします。山香さんは、プログラムの解説を書いて居られますが、プログラムの普及が狙いなんですか?」
「そんな大それた事は、考えて居りません。自分が習った事を整理したまでです。」
「それが今アメリカで、教育にも使われているのですね?」
「非常に幸運でした。解説書は沢山有りますが、ミドルには難しかった様です。」
「分かりました。それでは、次にいきます。、、、」
話は進んで行き、色々な著者達や、評論家が、激論を交わしている。
嘉紀は顔が出る為、多少は変装している。髪型を変え眼鏡を掛けた。

その日、儚と嘉紀は、パーティ迄の間、街なかのカフェで、お茶を飲んで居る。
ところが、カフェを出た所で、変な兄ちゃん達と鉢合わせた。
「道を空けろ。邪魔だ。」
言葉は分からないのだが、嘉紀は、携帯端末の自動翻訳を聞いている。
嘉紀は、黙って端へよった。
「もっと、そっちへ行け。まだ邪魔だ。」
充分に通れる筈だが、まだ狭いと言う。
「それで、通れるでしょうが?」
儚が、ジェスチャーで、抗議をしている。
「うるさい、もっと端へ寄れ。」
相手は、理不尽な事を言う。二人は無視をして歩く。
「生意気な奴だ。お前等も来い。」
そいつ等は、突然、刃物をちら付かせて、向こうを指す。それを見た儚が、嘉紀に尋ねた。
「どうする?  他の人も居る様だから、確認してからにしようか?」
「その方が良さそうだ。助けられるものなら、助けておこう。」
数分歩いて、そいつ等のアジトに着いた。そこには、初老の紳士が捕まって居た。
「おい、金を持ってるか?」
不良達が尋ねる。嘉紀は、英会話は苦手だが、携帯電話で翻訳をしている。
イントネーションが多少変だが、意味は分かる。耳に無線の端末を付けている。
最近のアプリには、自動翻訳が出来る物も有った。
紳士には孫娘がついて居る。奴等は、その孫を盾に金を要求する積りだ。
「金は用意する。孫に手を出すな。」
「無事に返して欲しければ、直ぐ金を出せ。」
「今は無い、家族に持って来させる。」
「カードが有るだろう?  それで出せ。」
「これからパーティが有るので、何も持っていない。」

「女の子を助けて置かないと、何をするか分からないよ。」
儚が嘉紀に囁いた。嘉紀は、その娘と紳士の近くに居た為、それとなく近づく。
「動くな、殺すぞ。」
儚は、二人が嘉紀の保護範囲に入ったのを見て、突然動いた。
「えーいっ」
儚は、不良共を蹴り飛ばす。相手はぶっ飛ぶ。次の奴の腹に突きを入れる。
そいつは、腹を抑えて倒れ込む。他の不良共が儚に向かう。
儚は、それを無視して、そいつ等に近寄る。そして、中の一人に回し蹴りを掛けた。
「げっー。」
残った奴等は、儚にナイフを向けた。儚は、それにも無視をした。
怒った不良共が、儚にナイフを近づける。それでも儚は、不良達の方に歩み寄る。
「天勝流奥義翔天!」
儚が奥義を唱える。儚は、後に不穏な気を感じた。儚の身体が横に動く。その場所にナイフが流れる。
突然、儚の身体が宙に浮く。その下を銃弾が流れる。飛び上った儚の足が跳ね、左右の男を襲う。
「ぎゃっ。」
降りた儚に、横の男がナイフを突き刺す。それを、嘉紀が足で蹴り上げた。
「天勝流奥義翔天!」
嘉紀が唱える。突然、嘉紀の身体が左にズレる。瞬間、そこに銃弾が通り抜ける。
儚にも、銃弾が襲う。その寸前、儚は右に逃げた。その儚に、前に居た奴のナイフが襲う。儚は平気な顔で、その刃を掴んだ。血が出ない。指も切れた様子がない。
その不良がナイフを見ると、ナイフの刃はちゃんと有る。
「うわっ、こいつは化け物だ。逃げろ。」
紳士は声も出ない。不良共は、我先に逃げていった。
「有り難う。手品を見ている様だった。助かった。」
儚と嘉紀は、手を振って、その場を離れた。

「あれは何の術だ?」
「多分、刃を何かで止めた。手に特殊防具を持っていたんだろう。」
「日本の裏の術だ。忍者の技だな?」
「体術も相当な物だ。相手が不良共とは言え、中には強い奴も居た。」
「ますます、分からなくなったな?」
こいつ等は、この前から窺っている奴等と、同類と思われるのだが、こんな所まで張り付いていた。
「やはり、強い奴と闘わせて見るしかないか?」
「まず、日本の奴と、一度やらせて見よう。」


 H-3  パーティ

「そろそろ、パーティ会場に行こうか?」
「そうだね?  通訳の佑美さんも、来ているでしょう。」
儚と嘉紀が顔を出すと、山芳佑美も現れた。
「ご苦労さま。お久し振りです。」
「久し振りです。今日もよろしく。」
まもなく、パーティが始まった。ヤッパリ、教務省副長官も現れた。
「山香くん、久し振りだったな?  テレビでは、挨拶の暇が無かった。」
「そうですね?  中々面白かったです。」
「いや、山香君も本を書いた発想が、面白かった。」
「副長官も、お元気そうで。」
副長官が去り、しばらくしてから、小学生ぐらいの女の子が現れた。
その女の子は、しばらく儚の顔を眺めていたのだが、横の嘉紀の顔を見た。
「あっー」
叫び声を上げて、向こうへ走って行く。
程なく、初老の紳士が、女の子と共に現れた。何か言っているのだが、儚たちには分からない。気が付いた佑美が通訳をしてくれた。
「先程は助かった。言葉が通じなかったので、失礼をした。」
「えーと、どちら様ですか?  ちょっと失念をしてしまいまして。」
「不良共から、助けて頂いた者です。」
「あっ、さっきの方。お嬢ちゃんも居たのか?」
「しかし凄かった。魔法としか思えなかった。」
「チョットした手品でした。」
「お兄ちゃん有り難う。怖かった。」
そこへ、さっきの副長官が現れた。
「長官、山香君をご存知でしたか?」
「さっき、不良共に脅されて居るのを助けられた。孫が居たので危なかった。」
「君達は強いんだな?」
「まあ程々に。」
「いや、強いどころじゃ無い。あれは奇跡だ。」
「長官でしたか?  さっきの事は、内密に願いたいんですが?」
「何故かね?  大評判になるだろうに。」
「あんな事で評判になっても、興味の対象だけですから。」
「分かった。ここだけの事にする。皆んなも頼む。しかし、副本の著者の言葉としては、興味が有るな?」
その後、佑美に問いかけられた。
「山臥さん、長官を助けたの?  今度は大物だね?」
「僕は何故か喧嘩に遭遇する。ついて無いんだろうな?」
「そんな大物を助けられたのは、ついているんですよ。私だって感謝ですよ。」
そう言えば祐実も、儚と嘉紀が不良共と喧嘩になった時、一緒に居た。
次の日、儚と嘉紀の二人は、関空直通便で日本に帰って来た。
「疲れた。お茶でも飲んで帰るか?」
「ちょっと冗談が過ぎたかな?  あれは、特殊防具が有ったと誤魔化して置こう。」
「あれは不自然だったかもな?」
儚や嘉紀は、刃も弾も体には当たらない。攻撃された場合は、刃も弾も消滅するのだが、意思次第で物質の保護も出来る。もちろん、どんな場合も体に傷は付かない。
しかし、普通は見せない様にしている。今回は冗談が過ぎた。


 H-4  夢とカコ

儚と嘉紀は、学校から帰っている。仁美も一緒に居る。駅の近くへ来た時、十人程の男に道を塞がれた。
「そこを通してよ、邪魔なんだけど。」
儚が男達に抗議をしている。
「お前達は、夢の知り合いだったな?」
「そうだけど。それが何か?」
「あいつ等から手を引け。それなら勘弁してやる。」
「それは無理だよ。知り合いに、なってしまったからね。」
「しようが無い。先輩頼みます。少々懲らしめて下さい。」
そこで、嘉紀が口を挟んだ。
「先輩、この件は、そちらに非が有ります。手を引いた方が良さそうですよ。」
「そんな事は関係ない。」
「そうですか。一応、警告しましたからね?」
儚と仁美は、既に奴等と戦闘中だ。殆どの奴が倒れている。後は嘉紀の相手だけだ。
「いゃーっ。」
そいつの蹴りが嘉紀を襲う。嘉紀は、その足をちょんと手ではねる。
「儚、代わってくれるか?」
「分かった。だけど、たまには山臥さんも働きなさいよ。」
「かっー。」
次は鋭い突きが来る。これは儚の予測範囲だ。儚は突きを手で止めた。
不良の割には強い方だが、儚でも通じる。次は回し蹴りだ。儚は腕で止めた。
「先輩、警察が来ない内に止めましょう。夢達は被害者ですよ。」
「うるさい、お前達は何だ。大会でも目にした事も無いぞ。」
「そんな面倒な事は、やりませんよ。今は目を瞑りますが、次は別荘ですよ。」
「山臥さんには、気を付けて下さいね?  報復も怖いですよ。」
儚が、火をつける様な事を言う。
本当のところは、蹴りを受けようが、突きが入ろうが、儚や嘉紀に衝撃は無い。
それを隠すために、足をはねたり、突きを止めたりと、演技をしている。
これは、仁美も同様だ。この能力は、他人に知られる訳には行かない。

今日、儚と仁美は、夢達と会っている。
儚は、夢とカコに尋ねた。
「二月初めの、土曜と日曜に時間は取れる?」
「予定は有りませんけど、何か有るんですか?」
「山臥さんと、スキーに行くんだよ。夢達もどうかなと思って。」
「行きたいんですけど、部屋は有りますか?」
「私達の部屋に泊まれる。私と仁美は、別部屋を取っているので、大丈夫だよ。」
「一泊だと、幾らくらい掛りますか?」
「それは心配しなくてもいい。体だけ空ければいいわよ。山臥さん持ちだから。」
「それで、いいんですか?」
「いいわよ。私達の慰安旅行みたいな物だから。」
夢とカコは、親の承諾を取ってから返事をすると言う。
翌日、夢から儚に電話が有った。
「親の許可は取りました。カコも大丈夫です。」
「分かった。後でメールを送るわね?  カコにも私から送って置く。」
儚は、夢とカコの了解が取れた事を、嘉紀に伝えた。
「夢達大丈夫だって。」
「分かった。晩と朝の人数を言って置くわ。昼は食堂で食べるから。」

まもなく、スキーに行く日が来た。
「山臥さん起きてる?  スキーだよ。」
「なんだ儚か?  分かってるよ、遅れない様に行く。」
「夢達も来て、お茶を飲んでるんだよ。早く来てね?」
「分かった直ぐ出る。」
嘉紀は、本を片付けて家を出る。喫茶店には20分程前に着いた。
「まだ飲めるな。コーヒーを下さい。」
「山臥さん、10分余りしか無いよ。」
「飲む時間は有る。夢、カコ、ご苦労さん。付き合ってくれて有り難う。」
「こちらこそ、何もかも任せっきりで。」
「儚と仁美が、やってくれてるから、僕も何もしてないよ。」
コーヒーが来たので、嘉紀はしばらく、コーヒーを飲んでいた。
「そろそろ行こうか。早い目にホームに上がろうよ。」
儚が、一同を急かせた。改札を入って、発車時間の少し前にホームに着いた。
「スキーも一年ぶりだわ。なんか楽しみ。」
電車に二時間乗って、バスに乗り換える。バスは、僅か10分で旅館に着いた。
「着いたー。久し振りのスキー場だ。」
「荷物を置いたら食事にするよ。その後スキー場に行くから、用意して置いて。」
儚が予定を話す。昼食は一階の食堂で取る。
「山臥さんて、思って居たより大人しいですね?」
「屁理屈は、うるさいわよ。」
儚が、嘉紀をそんな風に言う。
「余計な事を言わないでくれるかな?  僕は、昔から大人しいよ。」
「そう言う事にして置くわよ。皆んな五時には、帰って来てね?」
皆んなは、スキーを借りて、滑りに行く。
しばらく滑って、儚と嘉紀は一休みしている。数十メートル程向こうに、夢とカコが見える。滑るのを止めて、誰かと話していたが、突然、相手が殴っている。
拳が当たった筈だが、夢の身体はブレない。カコも殴られたが、やっぱり、身体は動いていない。
「儚、夢達は見えてるか?」
「見えてるわよ。感染っちゃった見たいね?」
「本人達は、気がついていないと思う。」
「当分は放って置くしか無いわね?」
「そうだな、しばらくは観察して置こう。」
その夢とカコも帰ってきて、五時には全部揃った。皆んな一緒に風呂に行く。
「六時に、女部屋で晩御飯にするからね?」
「それより、夢とカコ、男達と揉めてたわね?」
儚が、夢達に尋ねている。
「一緒に遊ぼうと言われたのを、断ったんですけど、怒ってしまって。」
「なんだ、そんな事か?」
程なく料理が揃った。それからは、皆んなの楽しい、ひと時だ。
「皆さん、いつも、三人揃って居られますね?」
「そんな事が多いかな?  委員会が別々の時は、揃わないけどね?」
「誰が委員をされてるんですか?」
三人は、顔を見合わせて居たが、儚が説明をした。
「えーとね?  仁美が副委員長で、私が会計で、山臥さんが厚生委員かな?」
「全部委員なんですか?  凄いです。」
高校になると、入試試験で受かった者が集まる訳で、成績は似通っている。
「高校って、同じ様な成績の者が集まるから、油断すれば順番が変わるわよ。」
「本当に仲が良いですね?  一緒に外国へも、よく行かれている様だし。」
「みんな同じ中学で、同じ組だったからね?」
夢とカコは、本当に不思議がっている。同じ中学で、組まで同じだったからだ。
これは、誰でも不思議に思う。本人達が、一番驚いて居たのだから。
「外国へは、なんの為に、行かれてるんですか?」
外国と言っても、殆んどがアメリカである。嘉紀の用事に、儚が付き合って居る。
「私は、山臥さんの仕事に、付き合って居るんだよ。」
「山臥さんが、良く行かれるんですか?」
「そうだよ。本の講習と、出版社のパーティだね?」
本の講習って言われても、夢達には分からない。儚が説明をしている。
「山臥さんは、プログラムの解説書を出版しているんだよ。それが、アメリカの中学校や高校で採用されているので、生徒達に講習をしているのよ。」
「えっ、プログラムの本を書かれてるんですか?」
「そうだよ。中学の終わりに書いて、今では大分売れだした。その関係で、講習やらパーティやらに、引っ張り出されてるんだよ。」
「山臥さんて、大人しそうなのに、凄い人なんですね?」
「凄いと言われても、初歩の本しか書いて無いんだけどね?」
嘉紀が夢達に説明している。食事も終わって、皆んな、もう一度風呂に入ると言う。
次の日、午前中は滑って、昼から帰りになる。楽しいスキーもそれで終わりだ。
帰りの列車の中で、儚と仁美が話している。
「久し振りだから、楽しかったわね?」
「そうだね?  人数も多かったし、話しが弾んだ。」
「夢達が、微妙な事になってしまったけど、いつ言うかだね?」
「あの子達が手伝ってくれると、大分楽になるんだけど、まだ言えないかな?」
「そうだよねぇ?  かなり特殊な能力だから、戸惑うだろうね?」
当分は観察する事にした。悪い能力とも言えないが、邪魔に思う者も居るだろう?


 H-5  雑務会社M

「君は、儚だな?」
「えーっと、誰だったかな?」
儚は、学校の帰りに、変なオジサンに捉まった。嘉紀は用事で居なかった。
どうやら、少し前に電話が来たが、切ってしまった相手らしい。
「あの時の人?  それで何か用事が有りましたか?」
「どうしても、代表に会いたいんだが?」
「今は私が代表をして居ますが、話を聞いても、結果は同じですよ。」
「代表なら、話を決められるのではないですか?」
「合議で決めるので同じ事です。」
そのオジサンは、何か考えて居たのだが、素直に帰って行った。
少し前にもM社から勧誘が有った。YAグループをM社に吸収したい様だった。
今回の奴と何かが違う。何か方針の変更が有ったのだろうか?
しかし、今窺って居る奴等とは、雰囲気が違う。又違うグループだろうか?
「あまり詳しい事は言えないし、煩い事だわ。」
儚は、そんな事を考えて居た。
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