訳あり能力者 芙蓉儚の幽能力世界 (ハカナは国連傘下組織の依頼により、普通では解決困難な事件を担当する。)

ヨシオ ヤマモト

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2L 組織復元

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 L-1  民間雑務会社M M社への勧誘
 L-2  夢とカコに再絡み 護衛をつける
 L-3  夢とカコ YAに参加 YAは嘉紀のグループ
 L-4  オーストラリアで人質
 L-5  昔の仲間 仁美の昔


 L-1  民間雑務会社M

「君達、ちょっと待ってくれ。話がしたい。」
儚と嘉紀は、謎の男達に道を塞がれた。
「何か用事ですか?」
それに儚が反応した。
「この間から、君達の力を見せて貰った。その力が欲しい。」
「それで?」
「我々の組織に入って貰いたい。報酬ははずむ。」
「それは出来ないよ。今の仕事でも手が足りない。」
その組織は、国連とは関係が無く、民間の組織らしい。儚や嘉紀達の力を目にして、その力が欲しくなった。それで、この前から接触をして来ていた。
「上層部は、どうしても君達の力が要ると言って居る。力を貸して欲しい。」
「それは無理筋と言う物だ。そちらの都合だけでは、決めようがない。」
「我々の組織の方が儲かるぞ。是非とも参加して欲しい。」
「正直に言うと、君達の組織とは、おそらく、我々と条件が合わない。」
「今日は引くが、我々は諦めていない。又会う事になるだろう?」
儚や嘉紀の情報では、民間にも、そんな組織が有るのは分かっていた。
「面倒くさいのが出て来たね?  今迄の現場では、会った事は無いわね?」
「SSSの雑務下請けと同じ雑務屋だ。あそこも、うちを欲しがっている。」
「そうか、仕事を広げたいのかな?」
「まだ絡んで来ると思うけど、雑務と危機処理では、仕事の条件が違う。」
「そうだよね?  しかし、同じ雑務屋が二つも絡んでいたのか?」


 L-2  夢とカコに再絡み、、、

今日、夢とカコは、学校から帰る途中に、お茶を飲んでいた。
その喫茶店を出た所で、例の男と鉢合わせをしてしまった。
「良い所で会った。ちょっと来い。」
「嫌だ、あなた方とは、もう行かない。」
「うるせい。俺から逃げられると思ったか?」
「嫌だぁ、誰か助けて。」
そこへ、三十歳前後の男が、声を掛けて来た。
「お嬢さん、どうしました。」
「助けて下さい。不良に絡まれています。」
「おっさん邪魔だ。どけ。怪我するぞ。」
その男に、不良達が脅しをかける。
「君達の仲間に警告をして置いたんだが、聞いていないのか?」
その男は、不良共に疑問を投げ掛ける。
「そんな事知るか?」
「この子達に構うな?  痛い目に会うぞ。」
「うるせい、そこをどけ。」
「この子達に絡むな。今なら見逃してやる。」
「皆んな、やってしまえ。この、なまっ白いオッサンに、一発かましとけ。」
それを聞いた何人かの不良が、男に殴り掛かった。男は素直によける。そして、強烈な一発が、不良の顎に刺さる。不良は、何メートルか吹っ飛んだ。
横に居た奴にも、蹴りを浴びせる。その不良も同じ様に吹っ飛ぶ。
そこに居たリーダーにも、男の回し蹴りが襲う。リーダーは気絶をしてしまった。
「後は誰だ。何発でも食らわすぞ。今後、この子達に何か有ったら、命は保証せんぞ。俺達は加減はせんぞ。」
「これで懲りなければ、本気で潰すぞ。」
そう言いながら、気絶した振りをしていた、リーダーを蹴飛ばした。
不良達は、倒れた奴を起こし、すごすごと帰って行った。  
夢とカコには、既に能力が付いており、護衛の必要は無い。しかし、まだ経験が浅く、単独では怖れる可能性が有る為、嘉紀が気を効かせて、護衛を付けて居た。
これで、不良共は、本気で分かったのだろうか?
ところが後日、そのリーダーが、又、夢とカコに絡んだ。その時、山臥嘉紀は本気で怒った。このリーダーは、嘉紀に本当に恐怖した。殺されると思った程だった。
その後、このグループでは、嘉紀達に手を出す奴は、居なくなった。


 L-3  夢とカコ YAに参加

在る日の放課後、儚、仁美、夢、カコの四人がお茶を飲んでいる。
儚と仁美は、夢とカコに誘われた。
「お姉さん達に、少し、お話があるんですけど?」
「なあに?  又、誰かに脅されたの?」
「そうじゃ無いんですけど、仁美お姉さんは、私達には、他の人に無い力が有ると、言われてましたよね?」
「そうだよ。実は私達から感染ったのよね?  仁美から聞いてる?」
「聞きました。ただ、その実感が無いんです。だから、その自信が無くて。」
「これね、迷惑かも知れないけれど、ウィルスや細菌では無くて、精神的な信頼関係から伝染るらしいのよ。山臥さんから私、私から仁美の順で感染ったのよ。あなた方は、誰から移ったのかは、解らないのよ。多分、山臥さんからだと思うけど。」
「お姉さん方の最後の、仁美さんからじゃ無いんですか?」
「実は、仁美で最後と言われていたのよ。それが伝染ったのだから、誰からかは解らなくなったのよ。世界中に、幾らいるかも解らないけど、多分、他には居ないと言うのが、山臥さんの考え方なの。」
「じや、世界中で、私達五人だけですか?」
「山臥さんのお父さんも能力が有るけど、世界中を廻っていて、遭遇した事が無いと言われているのよ。自分で解らずに利用していない人も、居る可能性は有るんだけどね?  動いている人は、お父さんも入れると、六人になるわね?」
そこで仁美が、自分と山臥嘉紀が話した事を説明した。
「世界中で、ある数量以下の能力者になると、数を増やそうとして、例外的な事が、起こるんじゃ無いか?  だから、山臥さんから夢とカコに、再感染したんじゃないかと、山臥さんは考えているのよ。」
仁美の意見を聞いて、儚が説明している。
「山臥さんの屁理屈はともかく、実際に力が有る事は、間違い無いと思うよ。」
「そうだね?  簡単な事から、経験してみる事ね?」
「どんな経験が良いのですか?」
夢が尋ねた。
「喧嘩だね?  日本では殴り合いだから、余り危険は無い。」
「仁美も、初体験は喧嘩だったね?」
「そうなんだよ、殴られても、痛くも痒くも無かった。」
「山臥さんか、私達に食っ付いていれば、直ぐに体験出来るわよ。」

夢とカコへの説明が終わり、一同は喫茶店を出て、駅の方に歩いていた。
この辺りは、繁華街には少し距離が有る。店の数も少ない。
その向こうから、数人の男たちが歩いてくる。知った顔は無い。ところが、向こうの奴等の中に、夢の顔を知った奴がいた。夢が知らない奴だ。
「おっ、夢じゃ無いか、親分は元気か?」
こいつは、最近の経緯を知らないらしい。夢は、返事をせずに行き過ぎる。
「こら、ひとが聞いているのに、知らん顔で行く気か?」
「貴方は誰ですか?  見た事が無いんですけど。」
夢が男達に尋ねている。
「まだ、面倒くさいのが居るわね?  あんた、最近の事知らないらしいね?」
儚が相手の男に訊ねた。男は、儚の肩を掴もうとした。
儚は、ヒョイとその手をずらし夢を見る。それを見て、仁美が夢を押した。
「夢、こいつを譲るわ。柔刀術で通じるわよ。」
目の前に、夢が現れたので、男は夢の肩を掴みに来た。男の手が、肩を掴んだと思ったが、夢にかわされた。怒った男は夢の顔を殴った。夢のスキー以来の経験である。
殴られても痛く無かった。夢が平気な顔をしているので、男は再び殴りかかった。
確かに、夢の顔に当たったが、夢は感じていない。
「夢、腕を掴んで投げてみて。柔刀術でも通用するわよ。」
儚の声で、我に帰った夢は、殴って来る奴の腕を掴んで、逆手に捻る。
その痛さに、男の身体が崩れた。夢は、そこに足払いを掛けた。男の体は宙に浮く。
「お見事。夢、成功よ。カコも見たでしょう?  カコも出来るわよ。」
そのカコに、怒った別の男が殴り掛かる。カコも、夢と全く同じ体験をした。
夢とカコは、目を見合わせた。
「私達にも、出来た。少し自信が付いた。」
「今日の勉強は、これまでね?」
仁美が、夢とカコに言った。
「君達は、どうする?  動き足らないなら、相手するわよ。」
それを聞いた男達は、すごすごと引き上げて行った。


 L-4  オーストラリアで人質

儚と嘉紀は、今日も街の喫茶店で、お茶を飲んでいる。
「山臥さん、最近忙し過ぎだね?  遠い所も多いし。」
「そうだなあ?  三人も動けだして、対応力が増えた結果だけどね?」
以前は、嘉紀一人だったので、ややこしい事件は、対応出来なかった。
それが、儚に能力が備わり、仁美にも能力が感染った。その結果として、対応力が何倍にもなった。それで、年に何度かの注文が、年に十五件以上にもなった。その上、日本での雑事も増えた。
「お陰で、遊ぶ暇が無くなってしまった。 少し制限が要るかな?」
「そうよねえ?  たまに旅行に行くと、飛行機は不時着するし、全くツイて無い。」
「あれは、我々がツイて居たんだよ。崖から落ちそうな人も助けられたし。」
そう説明する方が、理屈に合っている。現に長距離の大型旅客機は、何度も乗って居るのに、殆んど事故を起こしていない。
「本当だね?  さすが山臥さん。誤魔化し方が上手い。」
「誤魔化しじゃ無いよ。アメリカの教務省長官も、ツイて居たんだよ。」
「そうだよね?  私達が通り掛かったお陰で、不良共から助かった訳だし。」
そんな事に、話がはずんでいる時、儚に電話が掛かった。組織からだった。
最近、組織から連絡が来なくなっていた。引継ぎ無しに、担当者が代わった為、こちらのセキュリティに引っ掛かって居たのだ。それが何故か元に戻った。
儚は、しばらく話をしていたが、電話を切って、嘉紀の方を向いた。

「山臥さん、オーストラリアで事件だって。人質が二人居る。」
「じゃ、仁美も行った方がいいな?  仁美に連絡してみて。」
儚は早速、仁美に電話を入れた。
「大体、二日で片付ける。家に言い訳して置いてよ。二時間後に家に来て。」
「余裕を見て三日間だね?  そのぐらいなら、何とかなる。」
三時間後、儚達は飛行機の中に居た。SSS の特別機だ。一般便では時間が掛かる。
それでも、現地まで八時間は掛かる。過激派が、暴発しなければ良いのだが?
結局、現地迄九時間近く掛かってしまった。
「今、どんな状態ですか?  人質の命は、まだ有りますか?」
「それは、何とか大丈夫だ。」
「建物の位置と、平面図を見せて下さい。直ぐ動きます。」
儚は、現地の担当者に、平面図を要求した。
「建物は、ここから約七百米。平面図はこれだ。人質はこの部屋だ。」
「直ぐ動くわよ。これを付けて。」
儚は、二人にゴーグルを渡した。頭の横にも、機械が付いている。
「いつもの暗視装置。真っ暗闇でも見える。」
本来は自然の赤外線を見る眼鏡だが、横の装置から、赤外線を出しているので、外からの赤外線が無くても視える。
「それで、夜でも動ける訳なのね?」
「余分に持ってて。人質に渡す分。」
「了解。」
三人は、暗闇の中を歩いて行く。暗視装置で道は見える。時々、見廻りが巡回しているので、それを避けながら進む。その建物まで、二十分程掛かった。
「あの部屋らしいけど、窓はある?」
「カーテンで、中は見えない。部屋を幽視してみる。」
儚は、透視でも幽視でも出来るが、普通は幽視を使う。幽視の場合は、目的の物質を、縦からも横からも、どの方向からでも見る事が出来る。
「監視が二人か?  監視か人質かが、他保護範囲に入ればこの作戦は成功する。」
そんな風に、嘉紀が説明している。
「何故、そう言う事になるのよ?」
「敵でも、他保護範囲の中からは、攻撃出来ない。」
「結局、人質の方が、的が絞りやすいだけか?」
三人は、巡回が通り過ぎた後、その壁の下方に穴を空け、中に入った。
「ドアは開くか?」
「大丈夫。開く。」
その部屋には、人質の二人と監視が居た。嘉紀は、その扉から、人質と監視の間に飛込む。そして他保護自保護等の基礎保護を切り、監視に当て身を当てる。とにかく、気付かれない内に、助けなければならない。当て身を当てた後、基礎保護を戻す。
自保護他保護の両方を切れるのは、嘉紀だけである。普通は自保護は切れない。
助けに来たのを感知されると、人質の命が危ない。人質を盾に取られても面倒だ。
「直ぐ出るよ、次の巡回まで三分だから、急いで。」
今度は、外部への壁を抜き、外に抜け出す。その建物から、百米の所でサイレンが鳴り響いた。逃げたのが発見されたのだ。
「あなた達は、この幕の中に居て。命は保証する。出たら命は無いよ。」
儚は中央に陣取り、防護幕を展開する。それは、長径六米程の長円形だ。
この中に居る限り、銃ぐらいでは届かない。それは幕に見えるが、他保護範囲の中に展開される可視光線の遮断層だ。外から見ると、いかにも物理的な構造物に見える。
部分的に、所々透明層がある。そこから、明かりも入るし外も見える。
「外に出たら駄目だって。銃で撃たれるよ。」
「こんな所に居たら、銃の的じゃないか? 散った方が安全だろうが?」
「この中なら、命は保証すると言ってるでしょうが?」
今日は比較的にツイていた。前に回り込む程の兵が居なかった。
ここで使った保護膜は、光の遮断層であり、本来は何の機能も無いのだが、自分達の能力を、その層の機能と誤魔化す為に有る。
「山臥さん、これは幽力でも良いんじゃない?」
「幽体機能は、範囲が大き過ぎるので、基本能力の他保護を使っている。」
「そう言う事か? 中途半端な位置に膜を造ると、敵との間が開き過ぎるか?」
嘉紀達の能力である他保護モードでは、ほんの数米だけでは有るが、その範囲に入れば、その人の命を護れるし、岩や金属に穴を穿つ事も出来る。人間は、押しのける事しか出来ないが、逃げる時には役に立つ。
儚たち一行は暗闇に紛れ、遠回りをして、組織の陣地に向かった。
結局、組織の仮事務所まで、一時間近く掛かってしまった。
「後はお任せします。よろしく。」
助けた人を担当官に渡し、嘉紀達はその地を離れた。
帰りは特別機を使えなかった。SSS は、余る程の航空機は持っていない。
日本便の有る空港まで、公共便や私鉄を乗り換え、やっと日本に帰ってきた。
「そんなに、遠くは無いと思ったけど、結構時間が掛かったね?」
「そうだね、交通がネックだな?」


 L-5  昔の仲間

仁美は今日、街へ買い物に来ている。洋品店を出た所で、以前の仲間に捉まった。
「仁美、最近は付き合いが悪いね?  ちょっと付き合ってよ。」
不良っぽい男女が数人、仁美に絡んでくる。最近は無かったのだが、今日はどうしたのか?  以前は、気軽に付き合っていたグループだが、最近柄が悪くなったので、縁を切った。仁美はその積りだったのだが、向こうは違った。
中学の半ばに、儚のような友達が出来、グループから離れた積りだった。
「あなた達とは、もう付き合えない。用事も有るし。」
「それでも、来いと言ってるんだよ。」
そこへ、約束の儚が現れた。儚は仁美より一段と優しい風情だ。
「仁美どうしたの?  今日は、山臥さんが用事が有るって。」
山臥嘉紀も、普段は、大人しい振りをしているので、誰も気にしていない。
「煩い。今日は俺達の用事が有る。」
「仁美、どうする?  山臥さんをすっぽかす?」
「それは出来ないわね?  手伝ってよ。」
「御免ね。仁美を借りて行くわね。仁美行こう。」
儚は、彼らに一目も置かない。彼等にすれば、面目を潰された形だ。
「勝手に、何を言ってやがる。俺等が先約だ。」
「断念だけど、あなた達と、約束をした覚えはないわよ。」
仁美が彼の言葉を否定する。それでも奴達は仁美の腕を掴み、連れて行こうとした。そこで、初めて仁美が動いた。
その不良を、見事な一本背負いで放る。次の男が向って来る。そいつは簡単に足払いで倒れた。仁美には、基礎能力が付いた時点で、対応力が倍加している。
「うつーっ。」
儚にも、一人の女が向かって来る。儚も優しげで、脅せば逃げると思われていた。
見せかけとは逆に、儚は仁美よりも強い。柔刀術の先輩でもある。
儚も、女を足払いで倒す。流石に女子には、強い術は掛けられない。
「痛っ。」
「まだ、やるの?  相手するわよ。」
奴等も、しつっこい。まだ絡んでくる。儚は、一人の男をすくい投げた。
「痛っ。」
不良共は、倒れた奴を残したまま、路地裏に消えた。
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