訳あり能力者 芙蓉儚の幽能力世界 (ハカナは国連傘下組織の依頼により、普通では解決困難な事件を担当する。)

ヨシオ ヤマモト

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2S 宗教闘争

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 S-1  民放のテレビ座談会 久し振りに民放で座談会
 S-2  負けを納得した? 今回の奴は納得した
 S-3  全員で大騒動
 S-4  アジア某国宗教トラブル 夢とカコの初舞台
 S-5  ベティと紅葉 紅葉会にベティ参加

 
 S-1  民放のテレビ座談会

夏も過ぎて今は九月。PC 出版から電話だ。最近あそこからは、余り良い話は無い。
「こんにちは。山臥さん、又テレビ局です。又、違う民放からです。」
「生放送しか出ない事は、言ってくれてますか?」
「それは言っています。教育庁からも、念を押された様です。」
以前そんな話で、民放と揉めた。結局、その放送は立ち消えになった。
「今頃、何故僕なんですかね?」
「アメリカで評判になったので、やっと動いた。と言う処ですか?」
「出演は構いませんが?  ただ、流れ通りの話は、出来ないと思いますよ。
「法に触れなければ、いいんじゃ無いですか?」
やっぱり、教育庁の人が出演するらしい。その人が、嘉紀を指名した。
今回は、初めから条件が分かっていたらしく、すんなりと決った。
その日、嘉紀は軽い変装をしている。名前は、ペンネームの山香ヨシオとした。
「山香さんは、今高校三年生ですよね?  本は何冊書かれますか?」
「今で、簡単なプログラムの本が、三冊になっています。当分終わりです。」
「もう書かないんですか?」
「はい、初歩で終りにします。専門書は沢山有りますし。」
「何故終るんですか?  理解が出来ないのですが?」
「いまさら、難しい本を書いたとしても、売れませんしね。」
専門書は、たくさん出版されている。その領域になると、各専門に枝分かれする。
一冊当たりの読者が激減する事になるのだ。嘉紀の様な、初歩まがいの人間が書いても、見向きもして貰えない。
「山香さんの本を読みたい人は、どうしたら良いんですか?」
「初歩が解かれば、後は誰の本でも読めますよ。」
「それでも解らない人は、どうしますか?」
「そんな人は、プログラムを止めて下さい。」
「やめた人は、どうしたら良いんでしょうね?」
プログラムの不得意な者は、時間の無駄である。自分に向いている方向を探す事が、重要である。そして、その方向の勉強をする。
「自分に向いている方向を、探して下さい。」
「そんなに、単純では無いと思いますが?」
「得意で無い者が、幾ら頑ばっても時間の無駄です。得意な分野を探して下さい。」
「山香さんは、プログラムが得意なのですね?」
「いえ、初めて興味を持ったのが、プログラムだったんです。」
嘉紀は、歳が一番若いので、珍しいのだろうが、質問が集中をして、困っている。
それでも、何とか時間が過ぎた。嘉紀は、質問を他の人に向けるのに、苦労をした。
座談会では、話題を集中させる訳には行かない。
座談会の後、教育庁の人が話し掛けて来た。
「君の本は読ませて貰った。中学生にも良く解りそうだ。良く書けている。」
「有難う御座います。大変苦労をしましたので。」
「また、何処かで会おう。」
「よろしく、お願い致します。」


 S-2  負けを納得した?

「おい、お前達は、YA グループだな?」
「そう呼ばれる事も有るけど、何の用事かな?」
そいつの話によると、前に闘った奴等は、国際試合に出る程の奴だと言う。それが、こんな高校生に負けたのが、どうにも納得出来ないと言う。
「俺と闘って貰う。俺が負けたら納得する。」
又、面倒な奴が現われた。闘いは直ぐに終ると思うが、厄介な事だ。
「儚、ご指名だよ。」
「山臥さんでも、いいんじゃ無いの?」
「この前、やったのも儚だし。頑張って行こう!」
確かに、以前に闘ったのは儚だったので、やむを得ず儚が出て行く。
「分かりましたよ。やるわよ。それで貴方が相手なの?  じゃ始めようか?」
「女だと?  舐めとんのか?  女でも容赦せんぞ。」
そいつは突然、飛び蹴りを掛けた。やっぱり女だと、舐めて掛かっている。
儚は、あっさりと腕で払う。
「ええっい。」
そいつは、足が地に着くと同時に、後ろ回しの蹴りを出す。
儚は、それも腕で止めた。今度は鋭い突きが来る。
それも、儚の手ではねられる。
男はそのまま、前蹴りを出す。儚は、その足を掴み、男の勢いのまま、放り投げた。
「いや、分かった。君達が強いのは納得した。世話を掛けた。」
男は、そう言いながら、路地の奥に消えた。
「これで済んだのかな?  次々出てくると面倒だよ。」
「多分、この件は終わると思う。」


 S-3  全員で大騒動
 
今は高三の秋、儚は、街に買い物に出ている。秋物の服を買いに来たのだ。
買い物は、仁美と行く予定だったが、仁美の都合が悪く、今日は一人で来ている。
その途中、知らない男に話し掛けられた。
「儚さん、珍しい所で会った。お茶でもどうですか?」
「えーと、どちらさんでしたか?」
儚は、こんな男に覚えは無い。
「三組の吉田です。分かりませんか?」
「済みませんが分かりません。今から買い物に行くので、お茶は無理です。」
「今日で無くても良いんですが、日を決めて貰えませんか?」
こいつは、やたらしつっこい。儚の嫌いなタイプだった。
「済みません。知らない人とは、ちょっと無理です。」
「そこを何とか出来ませんか?」
その時、別の男が声を掛けて来た。若干、不良っぽい奴だ。
「おい、吉田。何をやっとる?」
「お茶を誘っているんだけど、難しくて。」
「そこの女、吉田が嫌なら俺と飲もうや。」
そこで、儚の辛抱が切れた。
「いい加減煩いわね?  ひとが大人しくして居たら、しつっこい。」
それを聞いた吉田は、儚に噛み付いた。
「こっちのセリフだ。俺と付き合え。」
「御免だよ。知らない奴と、飲める訳が無いでしょうが?」
「俺と付き合わんと、彼氏がどうなっても知らんぞ」
彼氏とは、嘉紀を指して居るんだろうか?  こいつ等は、嘉紀の本性を知らない。
「お好きにどうぞ。」
そこへ、一人の女の子が、近付いて来た。神園仁美である。
「儚、そこで何をやってるのよ?」
「仁美か、来れたんだね?  このゴミ共が煩くって。」
「何だ、そんなゴミは放って置いて、買い物に行こうよ。」
「そうしようか?  私が付き合わないと、山臥さんが危ないそうよ。」
「ふーん、勇気の有る人達ね?  それは放って置こう。」
二人の会話を聞いて、男達が怒った。
「彼氏は、どうなっても良いんだな?」
「お好きな様に。さあ行こうか仁美。」
「今日は、何を買いに来たの?」
「秋になったので、服を買おうと思って。」
「それなら私も買うわ。バイト料が大分有るしね?」
「あれは、貯金をして置きなよ。まあ、服ぐらいなら良いか?」
放って置かれた男達は、カンカンに怒ってしまった。
「何を勝手に喋ってやがる。二人共俺達と付き合え。」
そこへ、路地から出て来た、二人の女の子が声を掛けた。
「儚姉さん、どうしたんですか?  沢山の男を引き連れて。」
「あちゃー、無茶苦茶になってしまった。どうしょう?  仁美。」
その時、別の路地から、違う男の声がした。
「儚、どうした?  合コンの相談か?」
近くの路地から、嘉紀が現れた。
「もう、私は知らない。仁美、何とかして。」
「私に言われても困るわよ。どう纒めるのよ?  夢、カコ助けて。」
何とも分からないまま、夢とカコは、男達と話して居る。
「先輩方、今日は帰って下さい。収集が付かない様です。」
「そんな事で済まされるか?  とにかく誰でも良い。俺らと付き合え。」
「それは無理です。知らない人と遊んだら、お母さんに叱られます。」
夢も、事情が分かりかけた様子で、男達を、からかっている口調だ。
「吉田、お前に任せた。俺達は帰るわ。」
「先輩、それは酷いです。どうするんですか、これ?」
「今日は、君も帰った方が良さそうだよ。どうにもならないよ、これは?」
仁美が、吉田某を諭している。
「分かった。どうにでもしてくれ。俺も帰るわ。」
「儚、何とかなったよ。ご苦労さま、夢、カコ。」
「何だったんですか、これは?」
夢が疑問を口にする。
「今の男が、私を誘ったのか発端だった。次々と人が現れて、ああなった。」
「何だ、儚姉さんが蹴り飛ばせば、済んだ話か?」
夢が纏めている。
「じゃ、改めてお茶を飲もう。五人揃って居るしな。」
「それがいいわね?」
儚も納得をした。
嘉紀は、儚から一部始終を聞いて、皆んなに解説をした。
「儚が、良い子のふりをして、話を引き伸ばしたから、ああなったんだよ。」
「そうだよね?  ピシャっと断るか、蹴飛ばして置けば済んだ話だった。夢が出した結論が合ってるよね?  夢、偉い偉い。」
「あははは、本当に、それで良いんですか?  突然、蹴飛ばせば訴えられますよ。」
「それもそうか?」
「彼氏が、どうなっても知らんぞって、脅されたんだよ。もっと大騒動になるよ。」
「奴等が言う彼氏って、山臥さんの事だよね?  これは、只では済まないわね?」
「ああ、もういいわ、忘れよう。」
「それがいいね。」


 S-4  アジア某国宗教トラブル

数日後、組織から連絡が来た。アジアの某国で、宗教間のトラブルが有った。
その時、一方の高官が、もう一方に捕まって、政治的な圧力になっている。アジアや中東の諸国では、宗教がかなりの重要度を持つ。このままでは、国を上げての大騒乱になり兼ねない。結局その話は、国連傘下の組織に持ち込まれた。
「儚、仁美、今回は、僕と夢とカコでやる。夢達の本当の初舞台だ。」
「良い経験になるわね?  分かった、任せたわ。」
そう言う事で、嘉紀と夢とカコは、西アジア方面に向かう。今回は幸い 、SSS の専用機に乗る事が出来た。それでも、空港に降りてから、車で一時間は走り廻った。
組織は、人質の居場所の近くに、現地事務所を作っているが、ビルの隣と言う訳には行かない。情報を隠す為か、田舎の村が人質の居場所だ。
「随分な田舎ですね?」
「町は人目が多くて、警戒がしにくいと思ったんだろう?」
嘉紀は、組織の人に尋ねた。
「人質は、ここから、どのくらいの所ですか?」
「約二キロと言う所か?  夜なら、ジャングルを歩いて、三百米までは近づける。」
「山臥さん、日本では、考えられない環境ですね?」
「今迄も、こんな所が多かったけどね?」
嘉紀は、改めて現地の人に尋ねていた。
「すみません。現地の服は、用意出来ますか?」
「三着ぐらいなら有ると思う。ちょっと待って下さいよ。」
事務所の人は、倉庫を漁っていたが、暫くして倉庫から出て来た。
「この大きさなら、着られると思う。」
「有り難う御座います。お借りします。」
服を着換えた三人は、暗視ゴーグルを着けて、ジャングルを歩く。
三十分程歩いて、少し開けた場所にたどり着いた。そこには小さな村が有った。
百米ぐらい迄は何とか近づけたが、後は難しそうだ。
「見回りを避けて、せめて三十米まで行きたいな?」
「私が、先に行きましょうか?」
嘉紀は、何か考えている様子だったが、思い切って作戦を決めた。
「夢、見張りに見つかって、足止めを頼む。その間に建物に近付く。」
「カコ、僕と来てくれ。人質が見付かったら、その人に張り付くように。」
「分かりました。そうします。」
夢は、そこを離れて歩いて行く。少し先で見張りと、ぶつかった。
「お前は誰だ、何処の村の者だ?」
見張りが尋ねているが、言葉は分からない。夢は首を傾げているだけだ。
その間に、嘉紀とカコは、人質の居る建物に近づいた。
嘉紀は、部屋の中を透視する。人質は近くの部屋に居た。
「カコ、この扉の横に居て。屋根を抜いて中に入る。ここから出て来るから。」
嘉紀は、低い屋根に飛び上がった。目を付けていた屋根を抜いて、部屋に飛び込む。何事かと驚いている見張りに、当て身を当て部屋を見る。そこに人質が居た。
嘉紀は、カコの側の扉を開けた。部屋に入ったカコは、人質にメモを見せる。
人質の高官は、それを見て頷いた。カコは、ロープを切り、高官を連れ出した。
「カコ、高官に張り付いて。森に走るよ。」
三人は、ジャングルに向かって走る。嘉紀は、見廻りに捕まった夢に声を掛けた。
「夢、もういいぞ。森へ走れ。」
それを聞いた夢は、見廻りを投げ飛ばし、森に向かって走る。
無茶苦茶に、銃を撃って来るが、一同に弾は届かない。保護能力が阻止をする。
こんなにバラバラでは、防御幕も張れない。動き廻って誤魔化すしかない。
ジャングルの中で合流した三人は、かなり迂回して、組織の事務所に辿りついた。
組織も、事務所を畳み撤退した。
「ほんの百米走っただけで疲れた。運動不足だね?」
来る時は、組織の特別機が有ったが、帰りは都合が付かなかった。旅客機に空きが見つからず、二便を待って日本に帰って来た。
飛行場には、儚と仁美が待っている。嘉紀が連絡をしておいたのだ。
「ご苦労さま。頑張ったわね。大成功じゃない?」
「凄い経験になりました。大分自信が出て来ました。」
五人は、取り敢えず、空港内の喫茶店に入った。
「成果は凄いですけれど、疲れる仕事ですね?」
「そうなのよ。だけど、それなりのバイトにはなるわよ。絶対内緒だけど。」
「人には言えない訳ですね?」
「そうだよ。この能力が知られたら、世界に大混乱を引き起こすわよ。」


 S-5  ベティと紅葉

今は11月の中半である。既に、紅葉の季節になっている。
「山臥さん、紅葉の季節だよ。紅葉を見ながら弁当を食べるのは、楽しいよ。」
「そうだね、今週末ぐらいに、行ってみようよ?」
儚と仁美が、嘉紀に提案している。
「夢とカコも呼ぼう。アメリカのベティも呼んでみる。」
ベティは、祖父のアメリカ教務省長官と共に、日本に来ている。
「夢達の都合を聞いて見る。」
仁美が、夢とカコに電話をする。二人共大丈夫のようだ。
その後で、嘉紀はベティに電話を入れた。
「ベティ、今、日本だよね?  いつアメリカに帰るの?  今週の土曜日に、日本の紅葉を見に行くんだけど、関心が有るなら行って見ようか?」
「行く。お兄さんも行くんでしょう?」
「行くよ。皆んなで五人、ベティを入れて六人だね?」
「儚さんや仁美さんも行くんだね?  久し振りに会えるね?」
そうだった。幾らか前の事件で、儚と仁美もベティに会っていた
「前の日に、お兄さん達の町まで行くわ。大阪迄、迎えに来れるかな?」
「分かった。大阪に着く前に電話して。迎えに行くから。」
「分かった。」
それから三日。紅葉狩りは明日の土曜日だ。昼頃にベティから電話が来た。
「お兄さん。ベティです。後一時間で大阪の予定です。」
「分かった。大阪駅の南出口で待ってる。儚も仁美も一緒だ。」
嘉紀達は、ベティを迎える序でに、久し振りに大阪で買物をした。
その後三人は、直ぐに大阪駅に向かった。
「お兄さん達、お出迎え有り難う。お姉さん方も、お元気で。」
この時分の女の子は、成長が甚だしい。ベティも、随分大人になった。
「晩御飯には、早いけど、何か食べるか?」
嘉紀がベティに尋ねた。
「お茶でいい。食事はまだ早いわ。」
「じゃ、その辺りで、お茶を飲もうか?」
「そうしよう。」
話は弾んだが、時間が過ぎ、ベティの泊まるホテル迄、嘉紀が送る。
そこは、新幹線で一駅だった。
「新幹線だと、いつもの駅まで、どのぐらい掛かるんだっけ?」
「半時間程で着くでしょう?」
「そうだったっけ?」
「もう直ぐ着くよ。荷物は忘れない様にね?」
「分かってる。」
そして次の日。皆んな九時に駅に集まった。ベティも来ている。
「一度、大阪方面の電車に乗って、途中で私鉄に乗り換える。」
「直接行けないの?」
「無理だ。直行の鉄道会社が無い。まあ、全部で一時間余りだから、頑張って。」
「着いたぁ。私は久し振りだわ。子供の頃に来た事は有るけど。」
仁美が、懐かしそうに言う。ここは、猿がいる公園として有名な所だ。
「弁当は確り持って居て。猿に取られる事が有るそうだから。」
「この辺りにしよう。人が混んでないから。」
儚が、弁当を食べる場所を決める。
「全然居ないのも、寂しいけれどね?  このぐらいなら、丁度良いか?」
「ここにしよう。シートを敷くのを手伝って。」
仁美がシートを準備している。シートが整って、皆んなが坐る。
「弁当を広げるよ。猿に注意をしてよ。」
儚は、弁当の役割りだ。
「うわっ、豪華な弁当。美味しそうだ。」
「お姉さん方、弁当まで済みません。私達は、役にたたないで。」
「今日はいいわよ。仲間ばっかりなんだから。」
「あ、夢とカコは知らなかったな?  この子は、米国の教務省長官の娘さん。」
「私はベティです。嘉紀お兄さんは、お友達です。」
「私は夢、こちらがカコ。よろしくね。私もお友達です。」
「お兄さん、日本の紅葉って、色がキレイだね?」
ベティも感想を述べる。
「そう、秋の終わり頃に、それを眺めながら、弁当を食べる習慣が有るんだ。」
「変わった習慣だね?  日本特有だよね?」
「そうみたいだな?」
話が、随分盛り上がったが、そろそろ時間だ。
「皆んな先に帰って。僕は東京まで、ベティを送って行く。」
「分かった。気を付けてね?」
「じゃ、又明日。」
「お兄さん、送って貰わなくても良かったのに。」
「いいよ。旅行には慣れてるから。」
新幹線の中で、ベティは居眠りをしている。少し歩いたので、疲れたのか?
嘉紀は、そう思いながら、車外の夜景を眺めていた。
大阪から約三時間、居眠りをしているベティを起こす。
「ベティ着いたよ。起きて。」
「あ、寝てしまってた。もう着いたの?」
「もう直ぐ着く。降りる準備だ。」
駅を出た二人は、ホテルの方へ歩いて行く。
「兄ちゃん。外人のべっぴんを連れて、何処へ行くんだ。俺達も仲間にしてくれ。」
「これは又、典型的な不良の兄ちゃん。あんた達に関係無い。」
「おっ、威勢の良い兄ちゃんだな?  余計、好きになったぞ。」
「ベティ、ちょっと辛抱しててよ。怖くないから。」
「うん。お兄さんを信じているから。」
その対話を聞いて、連中は、益々騒いでいる。
「俺らも信じているよ。仲間に入れてくれ。」
「君達ちょっと煩い。大人しくしてくれんかな?」
嘉紀が不良達を、たしなめて居る。
「なんだと、生意気に逆らうか?」
「君達は五月蝿い。邪魔するなら相手をするよ。」
「くそ生意気な。一発かませて置け。」
それを聞いた、嘉紀の横に居た奴が、胸ぐらを掴みに来た。嘉紀は一度は避ける。
再び掴みに来る。嘉紀は、その瞬間足を払った。相手は、背中から地に落ちた。
「ぐっー。」
次の奴は、怒って殴りに来た。それを避け、行き過ぎる所に足を払う。べたんと顔から落ちる。
「いったー。」
他の奴も殴って来る。今度は腕を取り逆に捻る。相手は痛さで倒れる。
「くそ、二人で掛かれ。」
左右の奴が一緒に掛かって来た。嘉紀は横に避け、片一方の奴の足を払った。そいつは一瞬、宙に浮いて地に落ちた。
「ぎゃっ。」
もう一人は、背中を蹴飛ばす。そいつも地に這う。周囲には、人が集まっている。
不良共は、不利と見て路地裏に消えた。
「さあ、行こうか?  ベティ。」
「うん。お兄さんは、一人でも強いんだね?」
「あははは、まあ、あのぐらいはね?」
ベティの泊まるホテルは、直ぐ近くに有る。嘉紀は、部屋の前まで送って行った。
長官は、既に帰って居て、ベティを出迎えた。
「山臥君、有り難う。ベティは、良い経験を積ませて貰った。」
「いえ、このぐらいの事しか、出来ませんので。」
「お兄さん。又アメリカで会えたらいいね?」
「そうだね。元気で居てね?」
「うん、今日は有り難う。又会いましょう。」
「長官、失礼します。」
ホテルを出た嘉紀は、直ぐに新幹線に乗り、いつもの街に帰ってきた。
今年の秋も、もうすぐ終わりだ。来月から、寒い冬が待っている。
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