平凡顔吸血鬼が極上の獲物に捕食されました。

隆駆

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月を孕む夜~恥をさらして子供用サプリを貰うことにした筈が③~

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そもそもの話であるが。

吸血鬼にハーフと言うものは存在しない。
人間との間に生まれようが、仲間同士の間で生まれようがそれは変わらず。
特定の因子を持つものの中に一定の確率で発生する先祖帰りのようなもの。

「吸血鬼」とはつまり、遺伝子に仕掛けられた悪戯とでも言うべき特異な存在なのだ。

実際にレジーナには姉がいるが、姉は極普通の人間。
(その割にはレジーナより余程吸血鬼らしい美貌の持ち主なのが解せない)
しかし数年前に生まれた姉の息子は吸血鬼だった。
姉の場合、吸血鬼であるレジーナに屈折した嫉妬心を抱いていたため、夫は親戚筋にあたる吸血鬼。
義兄は我が子が吸血鬼であろうとなかろうと構わず溺愛しているが、姉にとってはようやく誕生した待望の吸血鬼家族
レジーナとしても可愛い甥っ子ではあるのだが、そんな甥っ子(5歳)が現在常用しているのがとある吸血鬼専用サプリ。
吸血鬼の中でも、まだ自力での吸血を行えない幼児に対して与えられる特殊な栄養剤のようなものだ。
通常は幼児用だが、様々な事情により希に成人してもこのサプリを必要とすることがある。
その場合、吸血鬼同士のネットワークを通じて互助会に連絡し、薬の流通を依頼する必要があるのだが…………。

                   ※
  
「つまりアンタが出てったのは、その得体の知れない互助会とやらに連絡を取るためだったってこと?」
「…………あっ…………ちょ……今は話しかけ…………あぁ!!」

真面目な話をするかエロいことをするか、せめてどちらかにして欲しいと思う今日この頃。

四つん這いにされ、お仕置きだと言われて血を吸うことも許されぬまま延々背後から秘所を穿たれ続けているレジーナは、もはや息も絶え絶えで、とてもではないが話をしている余裕はない。
例えるならば陸に打ち上げられた魚だ。

「面白くないわねぇ……」
「…………っ………え?」

ポツリと漏らされた言葉に聞き返せば、顎を持ち上げられ、息もつかせぬほどの激しい口づけが与えらる。

「やっ…………………!!」

苦しい。
酸素を求めて、心臓と肺とがばくばくと喘いでいる気がした。

「あんたには私がいるんだから、そんなもの初めから必要ないでしょ」
「や……んっ!!」

口づけの合間に節くれだった指の腹で唇を拭われ、戯れに口の中を蹂躙された。
元気があればその指ごと噛み付いてやるところであるのだが、今は満足に口を閉じることすらままならない。
流れ落ちる唾液もそのままに、帝のされるがままだ。

隠し事は全て話した。
帝と出会う前、元々住んでいた家に一度帰ろうとしていたことも、そこから互助会へ連絡を取ろうとしていたことも。
サプリの受け渡しのために、繁華街にある怪しげな店に出入りしようとしていたことも。

時に激しく穿たれ、時に甘く焦らされ、帝の思うがままに嬲られ続けてはや数時間。

そうまでレジーナを追い込んで尚、帝は未だ満足したわけではない。
むしろ、その苛立ちは更に増しているようだ。

「ーーーーーあんたはね、私の物って決まってるのよ。
それが今更どこへ行こうっていうの?」

「…!だか…ら……えるって…ってるじゃ……ないっ……  あぁぁ!!!」

いつもとは逆に、レジーナのその白い首筋に噛み付いたのは帝。

「あんたの吐く否定の言葉なんてもううんざり。
言ったでしょ?ーーーーーーーーあんたはもう、私からは逃げられないのよ」

第一ね、と。
皮肉るように歪められた唇から吐き出すのは、甘く残酷な言葉。

「毎晩、あなたの腹の中にどれだけの精子を注いできたと思ってるの?
そんな体で勝手に出て行って、もし子供が出来ていたらどうするつもりだったの」
「……あっ!!そ……んなの………」

私の知ったことじゃない。
そう言おうとして、なぜか口にすることができなかった。

体がひっくり返され、一度レジーナを貫く自身を引き抜いた帝は、まだ種も芽吹かぬレジーナの薄い腹に頬ずりをし、愛おしげに口付ける。

「早く孕めばいい。ーーーーーいくらでも孕んで、俺の子を産め」
「……あぁああぁぁ!!!」

再び突き入れられた帝の楔がレジーナの腹の中を乱暴に犯し、吐き出される白濁が熱く水っぽい音を立てて秘所から伝い落ちる。

「あらあら。せっかく注いだものを零すなんて、お行儀の悪い子ねぇ……」
「あ………んっ……!!」

こぼれ落ちた白濁を拭う帝の指がレジーナの口内を犯し。
もはや、体中で帝に侵されなかった場所などどこも存在しないのではないかという気すらしてきた。


「ーーーーあんたは私のもの」

そう告げる帝の狂おしい視線に、レジーナは既に心すら犯されている。


「……かどの……かっ……!!」

ーーーーーーー帝の、馬鹿。


「た…は……たのおもちゃ…な……」

「ーーーーー私は。あんたをおもちゃだなんて思ったこと、一度もないわ」

馬鹿な子ね、と。
そういう帝こそ、本物の馬鹿だ。

レジーナが言いたいのは、そんなことではない。

「しは…ただ……」

ーーーーーーーー私は、ただ。

「…たと……に………」

ーーーーーーーー帝と、対等に。

訥々と語られる言葉に焦れたのか、それともその唇から拒絶の言葉が放たれることを恐れたのか。

「――――ーもういいわ。あんたはただ、黙って喘いでいればいいの」
「……!!!あぁぁぁぁぁぁ!!!」
「あとは全部、私に任せておけばいいのよ」

言葉通り、一層激しく奥深くまで突き入れられ。
レジーナは言うべき言葉の全てを失った。

その最中、ようやく求めていたものを与えられ、無我夢中で帝の首筋に牙を立てれば。
おし当てられた帝の心臓が、激しく鼓動を鳴り響かせる。


乱暴なほど、激しく求められる行為の中。
繰り返し告げられる「孕め」という言葉はまるで、「離れないでくれ」とすがりつかれているようで。
普段は傲慢なこの王様が、時々見せるその不安が、愚かで、愛しく。


ーーーー馬鹿な、帝。

そんなことをしなくても、私はもうとっくに、あんたに囚われてるのにーーーーーーー。


一筋の涙をこぼしながら、レジーナはその白い喉を大きく反らせ、甘いその血を嚥下する。


「・・・・・・・してるわ」


みかど。
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