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魔女の選んだ指輪の話②
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ようやく店内が落ち着いたところで、再び広げられたデザイン画に目を通し始めたレジーナ。
「ねぇ。石は決まっていると言ったわよね?この真ん中の石はなに?何故デザイン画によって色が違うの?」
中央に描かれた石の色は大まかに二つ、赤と緑。
同じ原石をモチーフにしているにも関わらず、こうも色が違うというのはおかしいのではないだろうか。
疑問に思うのは当然だった。
「あら。これは皆同じ石を描いてるのよ?少し珍しい石だけど、光の下で色を変える特色があるの」
アレキサンドライトというのよ、と。
何て事もないように、あっさりとした口調で疑問が解決された。
「アレキサンドライト……?」
宝石にはあまり詳しくないが、大体婚約指輪や結婚指輪とくればダイヤモンドが定番ではないのだろうか。
何故この石にしたのかと不思議に思っていれば、それには帝なりの深い拘りが込められていたらしい。
「この名前はね、ロシアの皇太子アレクサンドル2世に由来するものなの。
1830年にロシアのエメラルド鉱山で初めて発見されて、当時はその希少さから時のロシア皇帝ニコライに献上された程の特別なものだったの。アレクサンドルは彼の息子で、12歳の誕生祝いにその名を贈られたんですって」
「ふぅん……」
まぁ、かなり珍しい宝石だと言うことは伝わった。
「別名『宝石の王様』とも呼ばれているの。私からあんたに贈るにはピッタリでしょ?」
帝からレジーナへ。
なるほど、そう言う洒落かとようやく納得した。
「それに赤く色を変えるなんて、あんたにぴったりじゃない。地金はゴールドがいいかしらねぇ」
それともプラチナかしら。
そう言いながら熱心にデザイン画に目を通す帝。
正直に言えば、この中からひとつを選ぶなどとても面倒。
帝が選んでくれるなら、それに越したことはない。
素直にそう伝えれば、さもあらんといった様子の帝。
レジーナの服飾品への興味のなさは折り紙つきだ。
逆に言えばだからこそ、全てを他人に用意されたとしても特に不満に思うことがない。
(まぁ、帝が用意するやたらとゴテゴテした服や下着には、一言物申したい部分はあるが……)
ある意味レジーナは、生粋の女王様体質と言ってもいいだろう。
彼等は一言、こう言えば全てが事足りてしまう。
『よきにはからえ』とは、なんと便利な台詞だろう。
「何か一つくらい気になったものはなかったの?デザインも色々あるでしょ」
「むしろありすぎて選べないといってるのよ。どうしても選べというなら適当に候補を絞ってちょうだい。その中から選ぶわ」
それだったら文句はないだろう。
「仕方ない子ねぇ」といいながらも、何処か嬉しそうな様子で候補選びを始める帝。
早速、デザイン画の提供者である浅井と二人、互いに顔を付き合わせ、あれやこれやとデザインの細部について話し合っている。
そんなに気になっていたのなら、初めからこうすればよかったのに。
余程おかしなデザインならともかく、並べられたデザイン画は皆そう悪くないものだし、どれを選んだとてレジーナには不満はない。
そもそも石の現物を知る帝が選んだ方が、実際のイメージもつきやすいはずだ。
選択肢を完全に帝へと丸投げした事ですっかり気が楽になったレジーナ。
ふと奥のカウンターに目を向ければ、そこには先ほどの男女二人が並んで、客からのオーダー品をトレイに並べている所のようだった。
ドーム状の半円形をしたあれは、チョコレートケーキだろうか?
よく見ると丸いチョコで耳のようなものがあしらわれ、中心には顔のようなものがついている。
あのシルエットは。
「…………クマ?」
………よね、どうみても。
先ほど見たメニューの中にはそれらしき名前は見当たらなかったが、もしかしたら日替わりのメニューなのかもしれない。
普通の食事にはそれほどこだわりのないレジーナだが、彼女にしては珍しくそのケーキが気になった。
今度あの女性がやってきたら、同じものを注文できるかどうか確認してみよう。
そう、思っていたの………だが。
「……………え?」
トレイをもった女性が、一直線にやって来るのはこの席で。
見れば、乗せられた飲み物は3つ。
そのうちの一つは大きめのマグカップに入れられたカフェオレだ。
「お待たせしました」
そういって、デザインを選ぶのに夢中の二人をよそに、空いている空間へ持ってきた品物を並べる彼女。
「…………それ、頼んでないわよ?」
なにも言わずにいるうちに、当然のように目の前に置かれたケーキに戸惑う。
そんなに物欲しそうな目でもしていただろうか?
ちょっと心配になったが、どうやらこれは初めからレジーナの為に用意されていたもののようで。
「これ、中身はイチゴとチョコレートが二層になったムースケーキなんです。もしお嫌いでなかったら召し上がってください。
義父がお世話になりまして………」
迷惑料がわりにどうぞ、と。
「あ、ありがとう……」
ぺこり頭を下げれば、穏やかな笑みを浮かべ、「どうぞごゆっくり」と軽い会釈を返してくれた。
要は、先程の騒ぎのお詫びということかと、目の前の浅井を見て納得する。
確かに、面倒そうな身内である。
「あれ?僕のサンドイッチは?」
「いま薫さんが用意してますよ。 ……………ほら」
ドンッ!!
「あのさぁ、うちの店を会議室がわりに使うのはやめてくれって、もう何度もいってるだろ!?」
「おっ。今日はサバのサンドイッチか。丁度いいところに来たなぁ」
「聞けよダメ親父。
僕の雛ちゃんを軽々しく呼びつけないでよね!全く…………」
ブツブツいいながらも持ってきたサンドイッチは皿に山盛りで、とても1人前とは思えない。
「あら?これ、もしかして、私達の分も入っているのかしら」
さすがに帝もデザイン画から顔をあげ、店長らしき男性を見上げる。
一瞬、交差し合う視線。
にっこりと笑う帝とは対照的に、少し困ったような表情を見せながら、彼はいった。
「………これは僕からのサービス。
まさか、帝が婚約者を連れて店にやってくるとは夢にも思わなかったからね」
「私もよ。まさか薫に先を越されるなんて思いもしなかったもの。
お互い死ぬまで一人でなくて本当によかったわね」
「……確かに」
「運命ってあるのねぇ」
「ついでに奇跡ってやつも」
言っている意味はわからないまでも、妙に息のあった様子で掛け合いを続ける二人。
帝。
そして薫。
「あなた達………もしかして知り合いなの?」
「ねぇ。石は決まっていると言ったわよね?この真ん中の石はなに?何故デザイン画によって色が違うの?」
中央に描かれた石の色は大まかに二つ、赤と緑。
同じ原石をモチーフにしているにも関わらず、こうも色が違うというのはおかしいのではないだろうか。
疑問に思うのは当然だった。
「あら。これは皆同じ石を描いてるのよ?少し珍しい石だけど、光の下で色を変える特色があるの」
アレキサンドライトというのよ、と。
何て事もないように、あっさりとした口調で疑問が解決された。
「アレキサンドライト……?」
宝石にはあまり詳しくないが、大体婚約指輪や結婚指輪とくればダイヤモンドが定番ではないのだろうか。
何故この石にしたのかと不思議に思っていれば、それには帝なりの深い拘りが込められていたらしい。
「この名前はね、ロシアの皇太子アレクサンドル2世に由来するものなの。
1830年にロシアのエメラルド鉱山で初めて発見されて、当時はその希少さから時のロシア皇帝ニコライに献上された程の特別なものだったの。アレクサンドルは彼の息子で、12歳の誕生祝いにその名を贈られたんですって」
「ふぅん……」
まぁ、かなり珍しい宝石だと言うことは伝わった。
「別名『宝石の王様』とも呼ばれているの。私からあんたに贈るにはピッタリでしょ?」
帝からレジーナへ。
なるほど、そう言う洒落かとようやく納得した。
「それに赤く色を変えるなんて、あんたにぴったりじゃない。地金はゴールドがいいかしらねぇ」
それともプラチナかしら。
そう言いながら熱心にデザイン画に目を通す帝。
正直に言えば、この中からひとつを選ぶなどとても面倒。
帝が選んでくれるなら、それに越したことはない。
素直にそう伝えれば、さもあらんといった様子の帝。
レジーナの服飾品への興味のなさは折り紙つきだ。
逆に言えばだからこそ、全てを他人に用意されたとしても特に不満に思うことがない。
(まぁ、帝が用意するやたらとゴテゴテした服や下着には、一言物申したい部分はあるが……)
ある意味レジーナは、生粋の女王様体質と言ってもいいだろう。
彼等は一言、こう言えば全てが事足りてしまう。
『よきにはからえ』とは、なんと便利な台詞だろう。
「何か一つくらい気になったものはなかったの?デザインも色々あるでしょ」
「むしろありすぎて選べないといってるのよ。どうしても選べというなら適当に候補を絞ってちょうだい。その中から選ぶわ」
それだったら文句はないだろう。
「仕方ない子ねぇ」といいながらも、何処か嬉しそうな様子で候補選びを始める帝。
早速、デザイン画の提供者である浅井と二人、互いに顔を付き合わせ、あれやこれやとデザインの細部について話し合っている。
そんなに気になっていたのなら、初めからこうすればよかったのに。
余程おかしなデザインならともかく、並べられたデザイン画は皆そう悪くないものだし、どれを選んだとてレジーナには不満はない。
そもそも石の現物を知る帝が選んだ方が、実際のイメージもつきやすいはずだ。
選択肢を完全に帝へと丸投げした事ですっかり気が楽になったレジーナ。
ふと奥のカウンターに目を向ければ、そこには先ほどの男女二人が並んで、客からのオーダー品をトレイに並べている所のようだった。
ドーム状の半円形をしたあれは、チョコレートケーキだろうか?
よく見ると丸いチョコで耳のようなものがあしらわれ、中心には顔のようなものがついている。
あのシルエットは。
「…………クマ?」
………よね、どうみても。
先ほど見たメニューの中にはそれらしき名前は見当たらなかったが、もしかしたら日替わりのメニューなのかもしれない。
普通の食事にはそれほどこだわりのないレジーナだが、彼女にしては珍しくそのケーキが気になった。
今度あの女性がやってきたら、同じものを注文できるかどうか確認してみよう。
そう、思っていたの………だが。
「……………え?」
トレイをもった女性が、一直線にやって来るのはこの席で。
見れば、乗せられた飲み物は3つ。
そのうちの一つは大きめのマグカップに入れられたカフェオレだ。
「お待たせしました」
そういって、デザインを選ぶのに夢中の二人をよそに、空いている空間へ持ってきた品物を並べる彼女。
「…………それ、頼んでないわよ?」
なにも言わずにいるうちに、当然のように目の前に置かれたケーキに戸惑う。
そんなに物欲しそうな目でもしていただろうか?
ちょっと心配になったが、どうやらこれは初めからレジーナの為に用意されていたもののようで。
「これ、中身はイチゴとチョコレートが二層になったムースケーキなんです。もしお嫌いでなかったら召し上がってください。
義父がお世話になりまして………」
迷惑料がわりにどうぞ、と。
「あ、ありがとう……」
ぺこり頭を下げれば、穏やかな笑みを浮かべ、「どうぞごゆっくり」と軽い会釈を返してくれた。
要は、先程の騒ぎのお詫びということかと、目の前の浅井を見て納得する。
確かに、面倒そうな身内である。
「あれ?僕のサンドイッチは?」
「いま薫さんが用意してますよ。 ……………ほら」
ドンッ!!
「あのさぁ、うちの店を会議室がわりに使うのはやめてくれって、もう何度もいってるだろ!?」
「おっ。今日はサバのサンドイッチか。丁度いいところに来たなぁ」
「聞けよダメ親父。
僕の雛ちゃんを軽々しく呼びつけないでよね!全く…………」
ブツブツいいながらも持ってきたサンドイッチは皿に山盛りで、とても1人前とは思えない。
「あら?これ、もしかして、私達の分も入っているのかしら」
さすがに帝もデザイン画から顔をあげ、店長らしき男性を見上げる。
一瞬、交差し合う視線。
にっこりと笑う帝とは対照的に、少し困ったような表情を見せながら、彼はいった。
「………これは僕からのサービス。
まさか、帝が婚約者を連れて店にやってくるとは夢にも思わなかったからね」
「私もよ。まさか薫に先を越されるなんて思いもしなかったもの。
お互い死ぬまで一人でなくて本当によかったわね」
「……確かに」
「運命ってあるのねぇ」
「ついでに奇跡ってやつも」
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帝。
そして薫。
「あなた達………もしかして知り合いなの?」
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