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話題を元に戻しましょう。
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そんなカオスな空間の中、ふと気づいたことがある。
逃亡する前と後で、人数が一人減っている。
「主任主任、あの人……龍一はもう帰ったんですか?」
確かに彼にとっては思い切りアウェイであることだし、居残るメリットはないが……。
「うん。ちょっと前にね。やけにあっさりしてたけど」
食い下がることもなくさっさと立ち去った、その事が逆に気にかかる様子の主任。
「多分その気になればいつでも連絡がつくと思ってるんじゃないですか?もう身元もばれてるし」
簡単に引き上げたということは、逆にそれだけ余裕があるということ。
前回の夢の謎が解けない以上、今後もまた夢で龍一と遭遇する可能性も十分にある。
軽い気持ちでそう口にしたのだが、予想外に主任はそれを重く捉えたらしい。
「……それって、よく考えると結構まずいんじゃないの?」
「へ…?」
確かに、身元がバレる前まではそれなりに必死に隠していたが、ここまで来てしまえばもう手遅れというか。
今更だと諦めていた部分が大きかったのだが、それは危険だと主任は言う。
「あのねぇ、高瀬君。ただのストーカーならともかく、金も権力も人脈もあって、尚且つ裏の世界にも通じてるような…そんな奴に個人情報を握られちゃってるって、君が思っている以上に結構大問題だよ?」
「はぁ…」
まぁ、呪殺やら何やらをやってると言う噂があるという話は聞いていたから、確かにそうなのかもしれないが。
「なのにあっさり懐柔されちゃうって、高瀬君の危機管理能力はお休みでもしてるの?開店休業中?勝手に合鍵作られて、ある日突然家に押し入られても知らないよ?」
脳みそ入ってる?とでもいうようなノリでツンツンと額をつつかれ、首がこてんと横に傾いた。
「主任」
「ん?」
わざとらしくちょっと真面目な顔を作る二人。
「会社のデータベースを私的に濫用して、部下の住所を勝手に調べた挙げ句押し掛けてきた人がここにいるですけど」
「それはそれこれはこれだから」
速攻のカウンターで打ち返された。
世のお母さんが一度は口にする、「うちはうち、よそはよそ」という決め台詞並みの理不尽さだ。
「卑怯なり!」
「こういう場合上司にはね、部下の管理責任っていう免罪符があるんだよ?」
「それが許されるなら部長なんて最早なんでもありだと思います」
それこそセクハラし放題かと突っ込む高瀬。
「大丈夫。俺も谷崎も部下に手を出すほど不自由してないから」
「だったら私は一体何なのかと声を大にして言いたい」
「だって下心なんて微塵もなかったしさぁ。
…………あの頃はまだ」
「「まだ?」」
ぼそりと最後付け足された台詞に、睨みあっていたはずの部長と竜児、二人の視線が揃ってこちらへ向けられた。
あれ、もしや二人は気が合うのかと一瞬思ってしまった位、タイミングバッチリで。
「なんだよ谷崎。そう驚くこともないだろ?俺だって仮にも高瀬くんにプロポーズした一人なんだぜ?」
「主任の場合その仮の感じが強すぎて信用度が狼少年並みです」
ズバリと言い放つ高瀬に、流石の主任も「そりゃないよ高瀬君」と苦笑気味だ。
しかし主任は転んでもただでは起きない男。
あっさり立ち直ると、意味ありげにこの場の全員に視線を向け、「んじゃあさ」と。
「折角その話に戻ったところで聞くけど、高瀬君にプロポーズしている男がここに三人並んだ状態で、この中の誰を選ぶかはもう決まったのかな?」
ーーー突然、デッドボールが飛んできた。
だが主任の発言はそれだけではない。
「それともさ、選べないならいっそ全員とお試しで付き合ってみる?」
にやり、主任の口許に性質の悪い笑みが浮かんだ。
主任に集まっていた視線が、今度は高瀬の元に集中するのが分かる。
いつもは行き過ぎた主任の発言を止めてくれる部長が、今回は何も言わない。
代わりにその目が、高瀬の答えを待っていると雄弁に告げている。
「りゅ、竜児………?」
こう言うとき真っ先に反応するであろう竜児もまあ、不気味な程静かで。
まさか全員とお試しで付き合うなんて納得するはずが…………と流石に動揺していれば、そこはやはり竜児。
高瀬に視線を向けたあと、いかにもお気の毒ですというような顔で残りの二人に向かい……。
「傷は浅いほうがいいと言いますから、この場でさっさと振ってあげたらどうですか?」
「ーーーーうん、やっぱり竜児は竜児だ」
わかった。最初から自分がフラレるなんて微塵も考えてないだけだなこれは、と。
呆れながらも納得していれば、むしろ誤解されることのほうが不本意と顔を歪める竜児。
「許すはずがないでしょう?この僕が」
「ーーーそれは高瀬君に選ばれる自信がないってことかな?」
間髪入れず続けられた主任の言葉に、ぴたり、と竜児の動きが止まった。
「そもそもさ、高瀬くんが君の許可を得なければいけない理由がどこにあるの?」
お前にその権利があるのか、と。
飄々とした口ぶりの、その目が竜児を嘲笑う。
「高瀬君もそう思うだろ?」
言われた瞬間、高瀬は反射的に即答していた。
「とりあえず主任はお断りさせていただく方向で」
人にキラーパスを投げつけてくるような奴はごめんです。
丁重に頭を下げた高瀬だが、顔をあげればそこには変わらぬ笑顔の主任が……。
「却下」
「!?」
拒否権なし!?
「おい、相原……」
ここでようやく主任を窘めるような素振りを見せた部長だが、どこか吹っ切れた主任の勢いは止まらない。
「谷崎がよくて俺が駄目なんて、そんな片手落ちはよくないよなぁ」
ーーーーー片手落ち?
って、なんだっけと。
考えているうちにも追い討ちはかけられて。
「そもそも分が悪いのは承知の上で挑んでる勝負なんだから、せめてスタートラインに位並ばせてくれてもいいんじゃないか?」
「相原、お前…………」
何かを口にしかけた部長が、珍しくその言葉をつまらせる。
「ーーー往生際が悪いのでは?」
一切なんの遠慮もない竜児が実にあっさりと最後通牒をつきつけるが、主任には端からその意見を聞き入れるつもりなどないらしい。
ここで困ったのは高瀬だ。
竜児も主任も、二人揃って人の話なんてまともに聞きやしない。
普段頼みの綱であるはずの部長もまともに機能せず、ストッパー不在のこの状況。
そんな時何故か思い出したのは、できたばかりの心の師匠が残した言葉。
『ーーー努力すべきは男の方なのよ!』
ハッ………!
「師匠………!」
その師匠のありがたいお言葉で、高瀬はついに悟った。
「部長」
高瀬から名指しされた部長が口を開く前に、ぴしりと主任を指差し、更なる一言。
「上司には部下の管理責任があるそうなので、主任の管理は部長にお願いします!!」
努力すべきは男。
困ったときは丸投げだ!!
とりゃーーーーー!!!
逃亡する前と後で、人数が一人減っている。
「主任主任、あの人……龍一はもう帰ったんですか?」
確かに彼にとっては思い切りアウェイであることだし、居残るメリットはないが……。
「うん。ちょっと前にね。やけにあっさりしてたけど」
食い下がることもなくさっさと立ち去った、その事が逆に気にかかる様子の主任。
「多分その気になればいつでも連絡がつくと思ってるんじゃないですか?もう身元もばれてるし」
簡単に引き上げたということは、逆にそれだけ余裕があるということ。
前回の夢の謎が解けない以上、今後もまた夢で龍一と遭遇する可能性も十分にある。
軽い気持ちでそう口にしたのだが、予想外に主任はそれを重く捉えたらしい。
「……それって、よく考えると結構まずいんじゃないの?」
「へ…?」
確かに、身元がバレる前まではそれなりに必死に隠していたが、ここまで来てしまえばもう手遅れというか。
今更だと諦めていた部分が大きかったのだが、それは危険だと主任は言う。
「あのねぇ、高瀬君。ただのストーカーならともかく、金も権力も人脈もあって、尚且つ裏の世界にも通じてるような…そんな奴に個人情報を握られちゃってるって、君が思っている以上に結構大問題だよ?」
「はぁ…」
まぁ、呪殺やら何やらをやってると言う噂があるという話は聞いていたから、確かにそうなのかもしれないが。
「なのにあっさり懐柔されちゃうって、高瀬君の危機管理能力はお休みでもしてるの?開店休業中?勝手に合鍵作られて、ある日突然家に押し入られても知らないよ?」
脳みそ入ってる?とでもいうようなノリでツンツンと額をつつかれ、首がこてんと横に傾いた。
「主任」
「ん?」
わざとらしくちょっと真面目な顔を作る二人。
「会社のデータベースを私的に濫用して、部下の住所を勝手に調べた挙げ句押し掛けてきた人がここにいるですけど」
「それはそれこれはこれだから」
速攻のカウンターで打ち返された。
世のお母さんが一度は口にする、「うちはうち、よそはよそ」という決め台詞並みの理不尽さだ。
「卑怯なり!」
「こういう場合上司にはね、部下の管理責任っていう免罪符があるんだよ?」
「それが許されるなら部長なんて最早なんでもありだと思います」
それこそセクハラし放題かと突っ込む高瀬。
「大丈夫。俺も谷崎も部下に手を出すほど不自由してないから」
「だったら私は一体何なのかと声を大にして言いたい」
「だって下心なんて微塵もなかったしさぁ。
…………あの頃はまだ」
「「まだ?」」
ぼそりと最後付け足された台詞に、睨みあっていたはずの部長と竜児、二人の視線が揃ってこちらへ向けられた。
あれ、もしや二人は気が合うのかと一瞬思ってしまった位、タイミングバッチリで。
「なんだよ谷崎。そう驚くこともないだろ?俺だって仮にも高瀬くんにプロポーズした一人なんだぜ?」
「主任の場合その仮の感じが強すぎて信用度が狼少年並みです」
ズバリと言い放つ高瀬に、流石の主任も「そりゃないよ高瀬君」と苦笑気味だ。
しかし主任は転んでもただでは起きない男。
あっさり立ち直ると、意味ありげにこの場の全員に視線を向け、「んじゃあさ」と。
「折角その話に戻ったところで聞くけど、高瀬君にプロポーズしている男がここに三人並んだ状態で、この中の誰を選ぶかはもう決まったのかな?」
ーーー突然、デッドボールが飛んできた。
だが主任の発言はそれだけではない。
「それともさ、選べないならいっそ全員とお試しで付き合ってみる?」
にやり、主任の口許に性質の悪い笑みが浮かんだ。
主任に集まっていた視線が、今度は高瀬の元に集中するのが分かる。
いつもは行き過ぎた主任の発言を止めてくれる部長が、今回は何も言わない。
代わりにその目が、高瀬の答えを待っていると雄弁に告げている。
「りゅ、竜児………?」
こう言うとき真っ先に反応するであろう竜児もまあ、不気味な程静かで。
まさか全員とお試しで付き合うなんて納得するはずが…………と流石に動揺していれば、そこはやはり竜児。
高瀬に視線を向けたあと、いかにもお気の毒ですというような顔で残りの二人に向かい……。
「傷は浅いほうがいいと言いますから、この場でさっさと振ってあげたらどうですか?」
「ーーーーうん、やっぱり竜児は竜児だ」
わかった。最初から自分がフラレるなんて微塵も考えてないだけだなこれは、と。
呆れながらも納得していれば、むしろ誤解されることのほうが不本意と顔を歪める竜児。
「許すはずがないでしょう?この僕が」
「ーーーそれは高瀬君に選ばれる自信がないってことかな?」
間髪入れず続けられた主任の言葉に、ぴたり、と竜児の動きが止まった。
「そもそもさ、高瀬くんが君の許可を得なければいけない理由がどこにあるの?」
お前にその権利があるのか、と。
飄々とした口ぶりの、その目が竜児を嘲笑う。
「高瀬君もそう思うだろ?」
言われた瞬間、高瀬は反射的に即答していた。
「とりあえず主任はお断りさせていただく方向で」
人にキラーパスを投げつけてくるような奴はごめんです。
丁重に頭を下げた高瀬だが、顔をあげればそこには変わらぬ笑顔の主任が……。
「却下」
「!?」
拒否権なし!?
「おい、相原……」
ここでようやく主任を窘めるような素振りを見せた部長だが、どこか吹っ切れた主任の勢いは止まらない。
「谷崎がよくて俺が駄目なんて、そんな片手落ちはよくないよなぁ」
ーーーーー片手落ち?
って、なんだっけと。
考えているうちにも追い討ちはかけられて。
「そもそも分が悪いのは承知の上で挑んでる勝負なんだから、せめてスタートラインに位並ばせてくれてもいいんじゃないか?」
「相原、お前…………」
何かを口にしかけた部長が、珍しくその言葉をつまらせる。
「ーーー往生際が悪いのでは?」
一切なんの遠慮もない竜児が実にあっさりと最後通牒をつきつけるが、主任には端からその意見を聞き入れるつもりなどないらしい。
ここで困ったのは高瀬だ。
竜児も主任も、二人揃って人の話なんてまともに聞きやしない。
普段頼みの綱であるはずの部長もまともに機能せず、ストッパー不在のこの状況。
そんな時何故か思い出したのは、できたばかりの心の師匠が残した言葉。
『ーーー努力すべきは男の方なのよ!』
ハッ………!
「師匠………!」
その師匠のありがたいお言葉で、高瀬はついに悟った。
「部長」
高瀬から名指しされた部長が口を開く前に、ぴしりと主任を指差し、更なる一言。
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とりゃーーーーー!!!
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