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しおりを挟む「フレンド殿がルーナとの婚約を破棄し、マリアと婚約を結びたいと申し出てきた」
やっぱり、ね。
チラリと隣を見れば義妹は頬を赤く染め、嬉しそうに笑っていた。
「承知致しました」
婚約者を愛していた訳では無いし、これは政略結婚だと分かっていたから悲しくは無い。
けれど、私のことを勝手に決められるのは癪だわ。
「お父様に1つお願いがあります」
「......何だ」
「私を伯爵家から出してくださいませ」
どうせ、婚約を破棄させられたらキズものとしてどこかの貴族の後妻に収まるだろう。この父のことだ。そうそうに私を家から出すために縁談をまとめてくるだろう。
「ああ、分かって......」
「勘当してくださいと、申しているのです。縁談などいりませんわ」
被せ気味に私が答えると、父は不愉快だと眉を寄せる。
あら、そんな顔怖くわないわ。むしろ、愉快ね。
「何故だ」
「何故、何故ですか。それを私に聞きますか?理由などお父様が1番よく分かっているはずでしょう?まあ、1つ言うなれば、私があなた方の事が嫌いだからですよ」
ポカンと口を開けて驚く彼らの姿に、脱力しそうになる。
なぜ、嫌われてないなどと思っていたのだろう。今までの事を思い出せば今でも寒気がする。
「私があなた方の事を好きだとでも?笑わせないでくださいませ。それに、私はお父様の事父とは思ったことなどありません。血の繋がりがあるだけの他人では無いですか」
この人たちとこんなに喋ったのは初めてだ。
「早く、勘当してください。ああ、対外的にな病気により死んだ、とでもしとけばよろしいのでは?そちらの方があなたがたにも都合がいいでしょう?」
「る、ルーナ。勘当など私は、認め」
「許可はいりません。私が勝手に出ていくので。今さら、何を言われようと私の決意は変わりません。これからも三人で仲良くお過ごしください」
それでは、とカーテシーをして背を向ける。
1つ言い忘れていた。
「お母様はあなたの事を愛していましたよ」
そう、言ったところで父がどう思うかは知らない。
けれど、これだけは知っておくべきだ。
母の想いを。母の憎しみを。
その日の夜は少しだけ眠れた。
家を出ることに安心したのだろうか。
夢の中で、私はお母様と話をした。
何年ぶりの悪夢ではない夢に嬉しくなった。
お母様は笑って怒って、私の話をたくさん聞いてくれた。久しぶりの幸福な時間は私を元気づけた。
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