異世界に転移したんだけど……、自由に生きてもいいよね?

リン

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異世界でお金稼ぐって言ったら冒険者だよね!(ただし冒険者になるとは言ってない)

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11「異世界でお金稼ぐって言ったら冒険者だよね!(ただし冒険者になるとは言ってない)」

 その後"月下亭"から走り去った俺は、見た目でバレないように洋服屋に行き…、そこで麻のフード付きローブとズボンを購入した

 そうして見た目を変装させた俺は、情報収集と新しい仕事を探す目的で冒険者ギルドに向かっていた

 こんな真昼間からフードを被っていては、街中で少し浮いているかもしれないが…身バレして捕まるよりは全然マシだ


「この姿なら…、魔法使いですって言っとけば大丈夫か?
 形だけでもそう見せるために、魔法の杖でも買っとこうかな?」


 などとテキトウにそんな事を考えながら、そのままギルドを目指してスタスタと歩き続けていると…

 歩みを進めた先に、何やら大きな建物が見えてきた


「おっ!ここが冒険者ギルドかな?」


 目の前に冒険者ギルドらしき大きな建物がそびえ立っている

 思いのほか大きい建物でちょっと驚いたが…、見たところ冒険者風の人々がそこに足を運んでいることから、ここが冒険者ギルドで間違いないだろう


「おお!なんかいっぱいいる!」


 中に入ってみると…カウンターには数人の受付嬢が座っており、そこに冒険者たちが列を成して並んでいるみたいだ

 カウンターの横にはボードが置いてあり、そこに何十枚もの依頼書が張り出されている

 うん…、漫画通りの展開で非常にわかりやすいもんだ

 受付嬢がいることだし…、冒険者についての説明でも聞いてみればいいだろう
 それで冒険者が良さげであれば…、ここで登録してお金を稼ぐのもアリだ

 なので俺は、比較的空いていた列に並び…、自分の番が来るまでぼーっとしながら待つ

 おー、それにしても男ばっかりだなぁ
 冒険者って荒くれ者が多いイメージだし、やっぱ男の方が多いのかね?

 と、そんな取り留めのない事を考えながら順番を待っていると…、遂に俺の番がきた


「次の方どうぞ!ようこそ我がギルドへ!
 それで…、今日はどういったご用件でしょうか…冒険者さま?」


 と、言って…、綺麗なお姉さんが俺のことを対応してくれた

 というか他に座っている受付嬢もどれも美人揃いで…、あんまりパッとしないような人は1人もいなかった


 まあ、男ばっかの冒険者たちには…こういう綺麗な人がいる方がモチベ上がるんだろうな


 と、俺はそんなことをボンヤリ考えつつ…、その女性に今日来た目的を伝える


「ああ、今日は冒険者のシステムとギルドとの関係について聞きに来たんだ
 具体的に言うと…、どうやって冒険者がお金を手に入れるのかを聞きに来た」


 と、俺は要点だけをまとめて受付嬢に伝えた

 するとそれを聞いた受付嬢は「はい」と頷き


「あっ、冒険者は初めてなんですね…
 では、基本的な事から冒険者について説明させていただきますね?
 冒険者というのは………」


 と、受付嬢は俺に基本的なギルドの仕組みから、冒険者についての説明を一通りしてくれて…、更には俺の質問にまで答えてくれた


 まあ、受付嬢の話を大体纏めると

 ①冒険者はギルド発注の依頼クエストを達成してその報酬を得る

[クエストで討伐したモンスターを売却することでも稼ぐ事が出来る]

 ②依頼の受注や報酬の受け取り、モンスターの売却は冒険者出なくても可能 

[ただし獲得報酬が20%削られてしまう]

[モンスター売却は別の業者にギルド経由で依頼すれば、手数料分引かれるだけでそのままの額で売却出来るみたい]

 ③冒険者の階級はG~SSまであり、その階級によって受注できる依頼のレベルが変化する

 ④冒険者は国の緊急事態の場合、率先して緊急事態を解決しなければならない

 といったような内容だった


 そして話を書き終えた俺は、その女性に「ありがとう」とだけ伝え…、そのままギルドを後にすべくその席を立ち上がる

 すると…「えっ?」と受付嬢は言ってポカンとした顔をしたのち…

 なぜか慌てた様子で立ち上がって、俺の服の袖を掴み…帰ろうとするのを引き止める


「あのっ!冒険者登録しに来たのでは?
 冒険者登録は冒険者ギルドで…、ここ街ではこのギルドでしか出来ませんよ!?」


 などと、至って当たり前の事実を俺にそう言ってくる

 あれ?俺がちゃんと話を聞いてないって思ったのかな? 
 綺麗な見た目に反して…結構お茶目なお姉さんだなぁ

 などと考え…、俺は苦笑しながら「わかってますよ」と言って、再び席を立とうとする

 しかし、やはりお姉さんは再び俺の手を掴んで、帰してはくれない


「えっ?えっ?……なんでそうなるの?
 普通、冒険者の話を聞いたら…ここで登録する流れじゃないの?」


 と、お茶目なお姉さんは本当に訳がわからないといった様子で、混乱しながら俺のことを見てくる

 そして何度も言うが…、俺の服の袖は離してくれない


 ていうか…お姉さんは焦りすぎて、その口調が変わってしまっている程だ


 続けて、お姉さんも意地なのか、なんなのかわからないが…、俺に色々と言ってくる


「ほら!君も今から頑張れば…、Bランク、いや!Aランクになれるかもしれないんだよ?それでみんなから憧れられるなんて…、想像しただけで楽しそうじゃないかな?
 それに…、もしそうなったら女の子だって選びたい放題だよ?
 もしかすると、お姉さんだって君に興味津々かもしれないよ?」


 と、お茶目なお姉さんは…、もう接客もへったくれもない様子で俺を説得してくる

 ていうか、そもそもなんで俺が、お姉さんのことを落とさないといけないんだよ……


 色々とお姉さんには突っ込みどころがあるが…、これは非常にマズイ

 お姉さんが周りを気にせず大声で俺を引き止めるせいで…、周りから非常に注目されてしまっている

 なぜ俺はこうなってしまうんだ……

 俺はそんな自分の不幸っぷりに、思わず溜息を吐きたくなるのだった……
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