16 / 140
画策
真綿で首をしめるよに…
しおりを挟む
「陛下、何故…私では駄目なのですか?」
母は父にすがりつき泣き叫ぶ。
母が泣けば泣くほど父の心は離れていくのに…
母は自分の想いばかりを押しつけるだけで父の様子に全く気がついていない。
父の瞳に母が映ることなどないのに…
母が公爵夫人をまねればまねるほど、父の心は母を遠ざける。
当たり前だ。
愛する人のまねをされれば余計に想い知らされるのだろう。
愛しているのは公爵夫人だと…
月に一度…父は公爵家を訪れる。
公爵夫人がティセ王国の王女であり帝国の聖なる導きの光だからだ。
ティセ王国は聖導光教会
の総本山でここから各地の聖導光教会に導人を派遣している。
公爵夫人は帝国での聖導光教会のトップ聖なる導きの光であり、信徒である父は公爵邸の敷地内にある教会に帝国代表として祈りを捧げに行くのがならわしだったからだ。
父の公爵夫人への態度はあからさまだった。
公爵夫人は決して父に微笑むことも話しかけることもない。
父が一人、夢中になって話すのを表情一つ変えることなく聞いているだけだ。
そう…ただそれだけだ。
想いを打ち明けることもなければ、現状を変えることもない。
ただ見つめるだけの愛。
それが父の愛だ。
私は父や母みたいにはなりたくない。
フレイヤの身体も心も欲しいのだ。
だから皇命を使って無理矢理手に入れることはしない。
母みたいにはなりたくないからだ。
心のない関係など無と同じだからだ。
かといって…父のように見守り続けるのはごめんだ。
私はフレイヤの全てがほしいのだから…
だから根気強く一番近い関係を築いていた。
友達であり親友であり…
「フレイヤとの婚約はあきらめろ。」
十歳の時、父に告げられた。
「嫌です。
私はフレイヤ以外とは婚約したくありません。」
父が大きくため息をつく。
「フレイヤは公爵家の後継者だ。
婚姻は無理だ。」
だから公爵家に薬師をおくった。
重要な薬を任されるまでに五年の歳月がかかった。
公爵婦人に避妊薬ではなく妊娠を促す薬を処方していたのだ。
父にタイムリミットを決められていた。
十八歳までに答えを出すと…
だから公爵家に忍ばせている間者からもたらされた公爵夫人の懐妊の知らせはまさしく天からの授かり物だった。
後は無事に生まれてさえくれれば…後継者問題はかたがつく。
それと同時に攻略対象の一人とされていた隣国の王子に罠をはる。
実は何度か留学の申請が来ていたのだ。
無論、断りを入れていたのだが…断り続けるのは国際問題につながると言われ、来年度から学園に来ることになっている。
だからその前に王子を徹底的に調べあげた。
そして…
おめでたいニュースが届く。
王子と我が国の侯爵家の令嬢の婚約が決まったのだ。
恐ろしいことに王子の好みはフレイヤそのものだった。明朗活発で賢く美しい……
だから侯爵家の令嬢をフレイヤに似るように教育した。
案の定、王子は一目で侯爵令嬢を気に入り侯爵令嬢が十五歳を迎えたら、すぐに婚約することが決まった。
少しずつゆっくり近づいていけばいい。
逃げないように囲いながら…
警戒されないように友達の仮面をかぶって
真綿で首をしめるように
ゆっくりとでも確実に
フレイヤとの距離をつめていく。
母は父にすがりつき泣き叫ぶ。
母が泣けば泣くほど父の心は離れていくのに…
母は自分の想いばかりを押しつけるだけで父の様子に全く気がついていない。
父の瞳に母が映ることなどないのに…
母が公爵夫人をまねればまねるほど、父の心は母を遠ざける。
当たり前だ。
愛する人のまねをされれば余計に想い知らされるのだろう。
愛しているのは公爵夫人だと…
月に一度…父は公爵家を訪れる。
公爵夫人がティセ王国の王女であり帝国の聖なる導きの光だからだ。
ティセ王国は聖導光教会
の総本山でここから各地の聖導光教会に導人を派遣している。
公爵夫人は帝国での聖導光教会のトップ聖なる導きの光であり、信徒である父は公爵邸の敷地内にある教会に帝国代表として祈りを捧げに行くのがならわしだったからだ。
父の公爵夫人への態度はあからさまだった。
公爵夫人は決して父に微笑むことも話しかけることもない。
父が一人、夢中になって話すのを表情一つ変えることなく聞いているだけだ。
そう…ただそれだけだ。
想いを打ち明けることもなければ、現状を変えることもない。
ただ見つめるだけの愛。
それが父の愛だ。
私は父や母みたいにはなりたくない。
フレイヤの身体も心も欲しいのだ。
だから皇命を使って無理矢理手に入れることはしない。
母みたいにはなりたくないからだ。
心のない関係など無と同じだからだ。
かといって…父のように見守り続けるのはごめんだ。
私はフレイヤの全てがほしいのだから…
だから根気強く一番近い関係を築いていた。
友達であり親友であり…
「フレイヤとの婚約はあきらめろ。」
十歳の時、父に告げられた。
「嫌です。
私はフレイヤ以外とは婚約したくありません。」
父が大きくため息をつく。
「フレイヤは公爵家の後継者だ。
婚姻は無理だ。」
だから公爵家に薬師をおくった。
重要な薬を任されるまでに五年の歳月がかかった。
公爵婦人に避妊薬ではなく妊娠を促す薬を処方していたのだ。
父にタイムリミットを決められていた。
十八歳までに答えを出すと…
だから公爵家に忍ばせている間者からもたらされた公爵夫人の懐妊の知らせはまさしく天からの授かり物だった。
後は無事に生まれてさえくれれば…後継者問題はかたがつく。
それと同時に攻略対象の一人とされていた隣国の王子に罠をはる。
実は何度か留学の申請が来ていたのだ。
無論、断りを入れていたのだが…断り続けるのは国際問題につながると言われ、来年度から学園に来ることになっている。
だからその前に王子を徹底的に調べあげた。
そして…
おめでたいニュースが届く。
王子と我が国の侯爵家の令嬢の婚約が決まったのだ。
恐ろしいことに王子の好みはフレイヤそのものだった。明朗活発で賢く美しい……
だから侯爵家の令嬢をフレイヤに似るように教育した。
案の定、王子は一目で侯爵令嬢を気に入り侯爵令嬢が十五歳を迎えたら、すぐに婚約することが決まった。
少しずつゆっくり近づいていけばいい。
逃げないように囲いながら…
警戒されないように友達の仮面をかぶって
真綿で首をしめるように
ゆっくりとでも確実に
フレイヤとの距離をつめていく。
10
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい
マロン株式
恋愛
「おまえは前提条件が悪すぎる。皇妃になる前に、離縁してくれ。」
新婚初夜に皇太子に告げられた言葉。
1度目の人生で聖女を害した罪により皇妃となった妹が処刑された。
2度目の人生は妹の代わりに私が皇妃候補として王宮へ行く事になった。
そんな中での離縁の申し出に喜ぶテリアだったがー…
別サイトにて、コミックアラカルト漫画原作大賞最終候補28作品ノミネート
【完結】一番腹黒いのはだあれ?
やまぐちこはる
恋愛
■□■
貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。
三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。
しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。
ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
婚約者に好きな人がいると言われ、スパダリ幼馴染にのりかえることにした
みみぢあん
恋愛
子爵家令嬢のアンリエッタは、婚約者のエミールに『好きな人がいる』と告白された。 アンリエッタが婚約者エミールに抗議すると… アンリエッタの幼馴染みバラスター公爵家のイザークとの関係を疑われ、逆に責められる。 疑いをはらそうと説明しても、信じようとしない婚約者に怒りを感じ、『幼馴染みのイザークが婚約者なら良かったのに』と、口をすべらせてしまう。 そこからさらにこじれ… アンリエッタと婚約者の問題は、幼馴染みのイザークまで巻き込むさわぎとなり――――――
🌸お話につごうの良い、ゆるゆる設定です。どうかご容赦を(・´з`・)
私と義弟の安全は確保出来たので、ゆっくり恋人を探そうと思います
織り子
恋愛
18歳で処刑された大公家の令嬢、セレノア・グレイス。
目を覚ますと――あの日の6年前に戻っていた。
まだ無邪気な弟ルシアン、笑う両親。
再び訪れる“反逆の運命”を知るのは、彼女だけ。
――大公家に産まれた時点で、自由な恋愛は諦めていた。だが、本当は他の令嬢達の話を聞くたびにうらやましかった。人生1度きり。もう少し花のある人生を送りたかった。一度でいいから、恋愛をしてみたい。
限られた6年の中で、セレノアは動き出す。
愛する家族を守るため、未来を変えるために。
そして本当の願い(恋愛)を叶えるために。
悪女として処刑されたはずが、処刑前に戻っていたので処刑を回避するために頑張ります!
ゆずこしょう
恋愛
「フランチェスカ。お前を処刑する。精々あの世で悔いるが良い。」
特に何かした記憶は無いのにいつの間にか悪女としてのレッテルを貼られ処刑されたフランチェスカ・アマレッティ侯爵令嬢(18)
最後に見た光景は自分の婚約者であったはずのオルテンシア・パネットーネ王太子(23)と親友だったはずのカルミア・パンナコッタ(19)が寄り添っている姿だった。
そしてカルミアの口が動く。
「サヨナラ。かわいそうなフランチェスカ。」
オルテンシア王太子に見えないように笑った顔はまさしく悪女のようだった。
「生まれ変わるなら、自由気ままな猫になりたいわ。」
この物語は猫になりたいと願ったフランチェスカが本当に猫になって戻ってきてしまった物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる