あだ花姫は18禁ジャンルからジャンル替えしたいみたいです。

チョコパイ

文字の大きさ
200 / 201
あだ花姫

Move forward only~美久編~

しおりを挟む
「これ…有り難うございました。」

夕暮れの駅前のカフェ。

向かい側に座る有希子の次兄に日記帳を返す。

「少しは役にたてたかな?」

有希子の日記帳をトートバッグにしまいながら次兄が私に尋ねる。

「はい。
色々な意味でふっきれました。」

あの後、母は弁護士を雇って父と浮気相手の女に慰謝料を請求した。

ふっ切れた母は強かった。

まるで今までためこんでいた鬱憤をはらすかのように……

一ヶ月も経たないうちに父と浮気女からガッポリと慰謝料をふんだくっただけではなく、父と浮気女の子供にも全てをぶちまけた。

大学一年のその子は自分が不倫の子で、自分の母親が略奪女だと聞いた時、声をあげて大泣きしたらしい…

母からその話を聞いた時、ザマアミロと思った私はきっと性格が悪いのだろう…

親のしたことだから子供は関係ない…とは私は思えなかった。

何故なら私も守られるべき子供だったのだから…

父と浮気女は結局、別れたらしい。

『なんであんなに意地になっていたのかしら…とっくにあんな男の事なんて好きじゃなかったのに……』

母が泣きながら笑う。

『美久、今更…母親ぶるつもりはないわ…
でも、良かったらルームメイトから始めてみない?』

母の提案は今の私にはちょうど良かった。

気にしい…の私には母と言う存在は今はまだ重いだけだから…


「それは良かった。
それで教師を目指すのですか?」

次兄が微笑む。

あっ…有希子の日記帳に私が教師にむいていると書いてあったから…

私は意を決して次兄の顔を見つめ話す。

「少し長くなりますが私の話を聞いてもらえませんか?」

次兄がうなずくのを見て私は有希子との出会いから、有希子を好きだったことまで洗いざらい話す。

次兄は何も言わず、何も聞かず最後まで私の話を聞いてくれた。

有希子と次兄は血はつながっていない。

でも…どこか有希子に似ている気がした。

だから有希子に言えなかった想い全てを次兄にぶつけた。

「有希子を好きになってくれて有り難う。」

次兄が頭を下げる。

それはまるで私の有希子への想いが間違えてはないよと言ってくれているみたいだった。

最後に私達は強く握手をして別れた。

これで二人きりで次兄と会うことはないだろう。

カフェを出るともう外は薄闇に包まれていた。

私は結局、あだ花姫をプレイ出来なかった。

何故ならソフトもセーブデーターも全てが消えてしまっていたから…

ふと立ち止まり空を見上げる。

有希子なら大丈夫だろう。

決めたことは必ず最後までやり遂げる…そんな女なのだから…

そして私も……

どこかにスネイクみたいな男はいないかしら…

有希子が皇太子ルートのハッピーエンドを目指すと決めた時、私はスネイクルートのハッピーエンドを目指すと決めたのだから…

女は有言実行よね。

スマホが着信音を響かせる。

「美久、明日の合コン行くでしょう?」

「もちろん!!
いい男捕まえて…アイアンメーデン有希子に自慢してやるんだから……」

受話器の向こう側から笑い声が聞こえる。

「まぁ…アイアンメーデン有希子ならあっちで今頃モテモテかもよ…あぁ見えて男子からも人気あったんだから…」

笑い声に包まれながら私はルームメイトの待つ家へと歩みをすすめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております

紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。 二年後にはリリスと交代しなければならない。 そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。 普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...