暴力みたいな恋でした(完結)

回想～過ぎ去りし日々 ４～

｢ごめん。君のことが嫌いなわけではないんだよ。ただ俺が君を恋愛対象に見られないだけで、君が悪いわけじゃないんだよ｣
涙で歪む景色の中、声の主の姿は歪んで見えない。
ただ、ただ悲しくて相手を責めたてる。
何故、私ではだめなのか？
私の何が気に入らないのか？

｢お嬢様、つきましたよ。｣
気がつけば帰りの馬車の中、ねむっていたみたいだ。
最近、良く見る夢。
｢夢の中ですら愛されないのね｣
マリの手をかりて、馬車から降りる。
｢ご主人様がディナーを、ご一緒にとおっしゃっていますが？｣
私は執事に軽く頷くと自室へとむかう。
父と会うのは久しぶりだ。
継母は今は領地で領主代理として滞在していて留守だ。
湯浴みを終えワンピースへと着替える。母の形見のネックレス、父は覚えているだろうか？
｢四つ葉のクローバは幸せを運んでくれると父がデビュタントの時にプレゼントしてくれたのよ
｣それは母の父、私の祖父が母に送った母の瞳の色と同じ色のルビーがあしらわれたもの。
母がいつも身につけていたものだ。

私は何の気なしにネックレスを身につけ、父の待つ食堂へとむかった。