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回想~手折れぬ想い2~
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「ひどいわ。私の事騙していたのね。」
胸が張り裂けるほど苦しい。
「私の気持ちを知っているはずなのに、何故彼を奪うの?」
声はいつの間にか怒号に変わり最後は嗚咽になる。
世界が暗転する。
「お前が殺したんだ。お前が2人を追いつめて殺したんだ!!」
男の怒鳴り声と
パシーン
乾いた音が耳元で熱い痛みとなって襲う。
「お前が……お前が」
「違う、違う、私はただ苦しくて私を受け入れてくれない彼が愛しくて憎くて...困らせたくて、私の痛みを知って欲しくて...」
互いの手と足を紐で結び川へと身を投げた2人の遺体はまるで眠っているようだ。
私が愛した元婚約者のシルヴィ、そして私の義兄であったテオグラン。
私だけが取り残された世界。
私が何をしたの?
私が悪いの?
私を愛さない彼が悪いんじゃないの?
私から彼を奪った義兄が悪いんじゃないの?
世界がまた暗転する。
「アリア、私と一緒になってくれないだろうか?」
どこかで聞いた声がする。
「父も母も兄のことは水に流すと言ってくれている。大丈夫、私が守ると誓うよ。アリアどうかこの手をとってくれないだろうか?」
目映い光の中
母の目の色をした四つ葉のクローバがクルクルと回り出す。
「2人の分も幸せになるんだよ。あの時は手を上げてすまなかった。」
胸元に光る四つ葉のクローバ
オギャア…オギャア…
天をさくような泣き声と
喜びに満ちた笑い声。
「名前なんだがアーシャはどうだろうか?」
「アーシャ(希望)……素敵な名前ね。貴方はアーシャ、私の希望の光。」
四つ葉のクローバは回転する。
「貴方、ありがとう。私を最後まで愛してくれて。大罪を犯した私なんかを愛してくれて本当にありがとう。アーシャをお願いします。ありがとう、愛してます。」
「お母様…」
息苦しさと気だるさが私を襲う。
無意識に伸ばした手をマリが優しく握る。
「お嬢様、覚えてらっしゃいますか?3日前に熱を出してずっと寝たきりだったんですよ」
マリは私をゆっくりと起こし、水を飲ませる。
ガシャーン乱暴に開けられたドアと悲痛に歪む父の顔
「アーシャ、もい起きていて平気なのかい?」
息をきらしながら話す父は、震える手で私のおでこに手をあてる。
「父様、私…」
涙がこぼれ落ちる。
「母様が夢に出てきて、私…」
言葉が出ない
「母様が大罪を犯したって…母様が私を希望だって…」
支離滅裂の言葉がポツリポツリと涙と供にこぼれていく。
「うん。うん。」
父は私の背を優しくさする。
「アーシャ、元気になったら全てを話すよ。だから早く元気になっておくれ…」
結局、お医者様からゴーサインがでるまで10日もベッドの住人となった。
胸が張り裂けるほど苦しい。
「私の気持ちを知っているはずなのに、何故彼を奪うの?」
声はいつの間にか怒号に変わり最後は嗚咽になる。
世界が暗転する。
「お前が殺したんだ。お前が2人を追いつめて殺したんだ!!」
男の怒鳴り声と
パシーン
乾いた音が耳元で熱い痛みとなって襲う。
「お前が……お前が」
「違う、違う、私はただ苦しくて私を受け入れてくれない彼が愛しくて憎くて...困らせたくて、私の痛みを知って欲しくて...」
互いの手と足を紐で結び川へと身を投げた2人の遺体はまるで眠っているようだ。
私が愛した元婚約者のシルヴィ、そして私の義兄であったテオグラン。
私だけが取り残された世界。
私が何をしたの?
私が悪いの?
私を愛さない彼が悪いんじゃないの?
私から彼を奪った義兄が悪いんじゃないの?
世界がまた暗転する。
「アリア、私と一緒になってくれないだろうか?」
どこかで聞いた声がする。
「父も母も兄のことは水に流すと言ってくれている。大丈夫、私が守ると誓うよ。アリアどうかこの手をとってくれないだろうか?」
目映い光の中
母の目の色をした四つ葉のクローバがクルクルと回り出す。
「2人の分も幸せになるんだよ。あの時は手を上げてすまなかった。」
胸元に光る四つ葉のクローバ
オギャア…オギャア…
天をさくような泣き声と
喜びに満ちた笑い声。
「名前なんだがアーシャはどうだろうか?」
「アーシャ(希望)……素敵な名前ね。貴方はアーシャ、私の希望の光。」
四つ葉のクローバは回転する。
「貴方、ありがとう。私を最後まで愛してくれて。大罪を犯した私なんかを愛してくれて本当にありがとう。アーシャをお願いします。ありがとう、愛してます。」
「お母様…」
息苦しさと気だるさが私を襲う。
無意識に伸ばした手をマリが優しく握る。
「お嬢様、覚えてらっしゃいますか?3日前に熱を出してずっと寝たきりだったんですよ」
マリは私をゆっくりと起こし、水を飲ませる。
ガシャーン乱暴に開けられたドアと悲痛に歪む父の顔
「アーシャ、もい起きていて平気なのかい?」
息をきらしながら話す父は、震える手で私のおでこに手をあてる。
「父様、私…」
涙がこぼれ落ちる。
「母様が夢に出てきて、私…」
言葉が出ない
「母様が大罪を犯したって…母様が私を希望だって…」
支離滅裂の言葉がポツリポツリと涙と供にこぼれていく。
「うん。うん。」
父は私の背を優しくさする。
「アーシャ、元気になったら全てを話すよ。だから早く元気になっておくれ…」
結局、お医者様からゴーサインがでるまで10日もベッドの住人となった。
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