暴力みたいな恋でした(完結)

チョコパイ

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追想~砂上の城1~

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「アリア、今日から君の兄になるテオグランだよ。」
アリアが6歳の時、父の弟夫婦が馬車の事故で亡くなった。
弟夫婦の忘れ形見であるテオグランはアリアより5つ歳上のしっかりした男の子だった。
ひとりっ子だったアリアにとって、テオグランは何でも望みを叶えてくれる人。
疲れたと言えばおんぶし
喉が渇いたと言えば飲み物を
お腹がすいたと言えば食べ物を
どんな我儘も嫌な顔ひとつもせずに叶えてくれるそれがテオグランだった。
テオグランにしてみたら、親をなくし孤児院へとおくられる自分を救ってくれた家の1人娘で、自分がこの家に置いてもらう為には機嫌を損ねてはいけない人それがアリアだった。
もちろん、アリアと同じひとりっ子として育ってきたテオグランにとって、我儘だけど可愛い妹分とも言える存在でもあった。

テオグランが15歳になり学園に通うようになった頃、アリアに婚約者が出来た。
隣接した領地を持つ伯爵家で
道路や市場など共有する事業を多く共同経営するにあたり、結ばれた政略婚である。
婚約者の名はシルヴィ。
アリアより7つ上の17歳。
彼にとってアリアは婚約者と言うより弟のライルより幼い守るべき妹だった。
一方、アリアにとってシルヴィは絵本の中の王子様そのものだった。勉強もスポーツも何でもそつなくこなし、アリアのわがままも笑顔で聞いてくれる。
もちろん、テオグランに言う我儘と違ってシルヴィに対しての我儘は我儘にはならない位可愛いものだった。

学園が同じシルヴィとテオグランは急速に仲を深めていった。
学園帰りに街へ遊びに行ったり、供に剣を学んだりと行動を供にする事が多くなっていった。
周りも婚約者の身内ということ もあってか、仲の良い義兄弟として認識されていた。
そう、たった1人を除いては……





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