暴力みたいな恋でした(完結)

チョコパイ

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追想~愚か者は誰1~

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昨夜したためた手紙を制服の上着の内ポケットにしまう。
「大丈夫。シルヴィ様は惑わされているだくだわ。それにテオグランだって私の頼みを断るわけないし…きっと大丈夫」

学園が終わりお願いしてあった店へとむかう。
頼んでおいた個室は魔法で防音されていて、友人が言うには密会場所としても利用されているらしい。
もしかして2人も…
あの日の光景がよみがえる。
「くっ………」
胸がきしむ音がする。
「大丈夫、わかってくれるわ」
トントン
ドアが静かに開く
まさか一緒に来るなんて
そこには愛すべき2人の姿があった。

「何のようだ?子供の相手をしてるほど暇じゃないんだ。」
シルヴィの不機嫌な声が、より一層私を惨めにさせる。
テオグランは黙ったまま私を見つめる。
「知ってまして、我が国では同性愛は禁じられてることを?」
私の言葉に2人は息をのむ。
「まさか優秀なお2人が知らなかったなんてことはないですわよね」
黙り込む2人に
「まさか執務室であんなことをしているなんて、お父様方が聞いたら何て言うかしら…」
「それだけはやめてくれ」
テオグランが叫ぶ。
「叔父上達には本当に助けられたんだ。困らせたくない」
震える声で私に許しを乞う姿に余計に腹が立った。
「じゃあ、何故私の婚約者と知っていてあんな事が出来るの?」
黙り込むテオグランに変わってシルヴィが私を睨みつける。
「それは私が彼を好きになってしまったからだよ。私は君の言う通り同性愛者だ。だから君を愛することはない。
たとえテオグランと別れたとしても…」
シルヴィが、テオグランの手を握りしめる。
「テオ、すまない。好きになってしまって君を苦しめてしまって」
シルヴィの甘く優しい声に胸が悲鳴をあげる。
テオグランがシルヴィに優しく微笑むと
「シル、好きになってくれて有り難う。僕なら大丈夫だ」
そう言って私を見つめ
「アリア、君を悲しませるつもりなんてなかったんだ。でもシルだけは譲れない、シルを愛しているんだ」
テオグランは深々と頭を下げ部屋を出ていく。

「わかっただろう。俺は男しか愛せないんだ。だからもう俺を諦めてくれないだろうか?」
冷たく刺すような眼差しで私を見るとシルヴィは背をむける。
「行かないで、お願い……」
冷たいシルヴィの背にすがりつく。
「いい加減にしてくれないか!!何度言えばわかるんだ。俺は君を愛せないし、触られるのも嫌なんだ。」
シルヴィの叫び声に私は身を縮める。
走るように消えていくシルヴィを見送りながら私はただ、泣くことしかできなかった。

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