暴力みたいな恋でした(完結)

チョコパイ

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回想~父との約束~

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「父様はいつ母様を好きになったの?」
アーシャの言葉に父は苦笑いを浮かべる。
「それは私と母さんだけの秘密だ。」
父は姿勢を正して話を続ける。


シルヴィの訴えにより家紋に傷がつく事も悪評がたつ事もなかった。
3年後、ライルはアリアに想いを伝えた。 
何度も何度も断られたがライルはあきらめなかった。 

「私、貴方のお兄様を殺したのよ。そんな私と一緒になるなんて無理よ。」
アリアの言葉にライルは首を横にふる。
「違うよ。兄は自分の意志で死を選んだんだ。君のせいではないよ。両親も同じ気持ちだ。あの時兄が自死したことで家紋が守られたことは紛れもない事実だ。兄は最後まで兄だったんだよ。優秀で優しい自慢の兄だ」
ライルはアリアを眩しそうに見つめる。
「それに僕は知ってるよ。西区にある人権保護センター、君が運営してるんだろ?」
帝国との交換留学生制度や、輸出業の発展のお陰で、3年前よりはだいぶ帝国の考え方が普及
してきた。
特に人権についてはかなり帝国の習わしが見習われるようになった。
平民への教育支援。
貧民への生活補助。
女性軽視への警告。
母子家庭への援助。
同性愛への理解。
とは言え、まだまだこの手の問題については解決が難しい。
国教との矛盾や古くから根づいた慣習や倫理観はそう易々とは変えられない。

コミニティーから追い出されると生活はままならない。
そんな人達の救いになればと始めたのが人権保護センターだ。
シルヴィを慕ってくれていた皇太子様の手助けもあって、古いアパートメントを買取り、すむ場所と仕事を提供する。
現在、小さなお子さんを合わせて30人近くの人達が苦楽をともにしている。

「兄達もきっと今のアリアを見たら驚くよ。立派になったって、頑張っているんだって」

胸を焦がすような熱い恋ではなかったが、アリアにとって初めて必要とされ必要とし、互いの手をとりあえる恋となった。
そしていつしか恋が愛になり
唯一無二へと変わった。

話しながら鼻をすする父を見て、父の母への想いの深さを改めて感じた。
それと同時に何故、継母と再婚したのか疑問に感じた。
父は私の意図を読み取ったのか
「彼女は人権保護センターの入居者だったんだよ。同性愛者でね侍女として一緒にいる人が彼女のパートナーだよ。経理の仕事を探していたから領地の経理をお願いしたんだ。」
何も知らなかった。
教えてくれないのだから知るわけもないし、聞かないのだから話すわけでもない。
私達親子は会話すらしなかったのだ。
互いの想いを量りあっては、勝手に傷ついたり傷つけたり
「父様、本当にごめんなさい」
深々と頭を下げると父は驚いて
「こちらこそすまなかった。今後はちゃんと話すよ」
と約束してくれた。




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