44 / 89
第2章 異世界と交易しよう
第44話 日本で晩ご飯を食べよう
しおりを挟む
借りた部屋に1人で戻ってきた僕はショートソードを部屋に置いて、靴を脱いでから日本へとキャラクターデータコンバートする。
自室に靴を手に戻ってきた僕はそっと廊下の様子を覗って玄関に靴を戻しに行った。部屋に戻った僕は勉強机の椅子に座り、大きく息を吐いた。
だがまだ気持ちを緩めることはできない。僕は気を引き締め直す。時計を確認すると18時45分を少し過ぎたところだ。我が家では平日こそ遅くなりがちだが、休日は19時に合わせて夕食になる。
ギリギリ間に合ったというところだ。19時を過ぎたら母さんから電話で居場所の確認が入るところだった。もちろんあちらの世界に電波が届いているはずもなく、電源を切っているか、電波の届かないうんぬんというアナウンスが流れるだろう。
よもやダンジョンに行っているとは思われないだろうが、疑われはするだろう。そうすると僕の行動に監視とまではいかなくとも注意されて身動きが取りづらくなるに違いない。
少しでも良い子の振りをするために僕は教科書を開いて目を通した。勉強に追い付かなくてはならないのも事実だ。
そうしているうちに19時を回って水琴が部屋に僕を呼びにきた。
「お兄ちゃん、ご飯だよー!」
「分かった。すぐ行くよ」
僕は教科書を閉じて立ち上がる。2階のリビングに行くと配膳はまだ終わっていないので、手伝うために僕はキッチンに入った。
「和也、今日はどこに行ってたの? お昼にいなかったからびっくりしたわよ。まさかダンジョンに行ってたんじゃないわよね?」
「まさか、橿原ダンジョンはもうこりごりだって。行方不明で友達に心配かけちゃったから会って説明してたんだ」
「ならいいけど、今度から出かけるときは何処に行くのか知らせておいてね」
「分かった。そうするよ」
「それからアンタ勉強もしないと駄目よ。遅れちゃってるんだから」
「分かってるって。明日は1日家で勉強してるよ」
「明日はお父さんとゴルフだからご飯は自分でどうとでもしなさいね」
「りょーかい」
ご飯だけ食べにあっちに行っても良いかも知れない。ついでに鍛冶屋で合鍵も作ってもらおうかな。そういえばメルの働いている酒場はお昼も営業してるんだっけ。メルが辞めちゃったら給仕姿も見れなくなるし、一度行ってみてもいいかも。私服にエプロンだって言ってたけどね。
アーリアの食事事情は日本と比べると貧しい。一般市民に出回っている調味料は塩くらいで、他の調味料はお祝い事でもない限り手が出せる値段ではない。後は素材の味だけだ。
その素材にしても味が粗雑だ。野菜は青臭くえぐみがあり、肉は臭い。
「いただきます」
こうして日本の食事を口にすると、品種改良のありがたさがよく分かる。だけど一方でアーリアの食事を懐かしくも感じる。あれはあれでなんかいいんだよなあ。不思議だ。
食事を終えた僕は部屋に戻り、勉強の続きを再開はせずに筋トレをして過ごした。腕立て腹筋スクワット、今日はあまり運動をしていないので筋肉が寂しがっている。
「お兄ちゃん、お風呂空いたよって、なにやってるの!?」
「なにって筋トレだけど?」
「お兄ちゃんが筋トレしてるところなんて初めて見たよ! どんな気まぐれ!?」
「僕だって筋トレくらい……、いや、あんまりしたことないかな」
「別にいいけど、良いことなんだけど、三日坊主にならないようにね」
「これくらい大したことないぞ」
「めっちゃ汗かいてるのに!?」
製材所で働き過ぎたせいか、もっと追い詰めないと筋肉が満足しないんだよね。正直、自分の体重を負荷にしたレベルの筋トレでは温すぎる。回数で誤魔化すか。
「僕はもうちょっと筋トレするからお父さんかお母さんが入ってなかったら先に入ってもらって」
「分かったけど、お勉強もしなきゃだよ」
「ハッハッハッ、お前には言われたくないな」
ソフトテニスの部活に夢中で勉強が疎かになっているのは知っているぞ。
水琴は怪訝な顔をしながらも部屋を出て行く。
僕は満足行くまで筋トレして風呂に入って寝た。勉強は忘れてた。
自室に靴を手に戻ってきた僕はそっと廊下の様子を覗って玄関に靴を戻しに行った。部屋に戻った僕は勉強机の椅子に座り、大きく息を吐いた。
だがまだ気持ちを緩めることはできない。僕は気を引き締め直す。時計を確認すると18時45分を少し過ぎたところだ。我が家では平日こそ遅くなりがちだが、休日は19時に合わせて夕食になる。
ギリギリ間に合ったというところだ。19時を過ぎたら母さんから電話で居場所の確認が入るところだった。もちろんあちらの世界に電波が届いているはずもなく、電源を切っているか、電波の届かないうんぬんというアナウンスが流れるだろう。
よもやダンジョンに行っているとは思われないだろうが、疑われはするだろう。そうすると僕の行動に監視とまではいかなくとも注意されて身動きが取りづらくなるに違いない。
少しでも良い子の振りをするために僕は教科書を開いて目を通した。勉強に追い付かなくてはならないのも事実だ。
そうしているうちに19時を回って水琴が部屋に僕を呼びにきた。
「お兄ちゃん、ご飯だよー!」
「分かった。すぐ行くよ」
僕は教科書を閉じて立ち上がる。2階のリビングに行くと配膳はまだ終わっていないので、手伝うために僕はキッチンに入った。
「和也、今日はどこに行ってたの? お昼にいなかったからびっくりしたわよ。まさかダンジョンに行ってたんじゃないわよね?」
「まさか、橿原ダンジョンはもうこりごりだって。行方不明で友達に心配かけちゃったから会って説明してたんだ」
「ならいいけど、今度から出かけるときは何処に行くのか知らせておいてね」
「分かった。そうするよ」
「それからアンタ勉強もしないと駄目よ。遅れちゃってるんだから」
「分かってるって。明日は1日家で勉強してるよ」
「明日はお父さんとゴルフだからご飯は自分でどうとでもしなさいね」
「りょーかい」
ご飯だけ食べにあっちに行っても良いかも知れない。ついでに鍛冶屋で合鍵も作ってもらおうかな。そういえばメルの働いている酒場はお昼も営業してるんだっけ。メルが辞めちゃったら給仕姿も見れなくなるし、一度行ってみてもいいかも。私服にエプロンだって言ってたけどね。
アーリアの食事事情は日本と比べると貧しい。一般市民に出回っている調味料は塩くらいで、他の調味料はお祝い事でもない限り手が出せる値段ではない。後は素材の味だけだ。
その素材にしても味が粗雑だ。野菜は青臭くえぐみがあり、肉は臭い。
「いただきます」
こうして日本の食事を口にすると、品種改良のありがたさがよく分かる。だけど一方でアーリアの食事を懐かしくも感じる。あれはあれでなんかいいんだよなあ。不思議だ。
食事を終えた僕は部屋に戻り、勉強の続きを再開はせずに筋トレをして過ごした。腕立て腹筋スクワット、今日はあまり運動をしていないので筋肉が寂しがっている。
「お兄ちゃん、お風呂空いたよって、なにやってるの!?」
「なにって筋トレだけど?」
「お兄ちゃんが筋トレしてるところなんて初めて見たよ! どんな気まぐれ!?」
「僕だって筋トレくらい……、いや、あんまりしたことないかな」
「別にいいけど、良いことなんだけど、三日坊主にならないようにね」
「これくらい大したことないぞ」
「めっちゃ汗かいてるのに!?」
製材所で働き過ぎたせいか、もっと追い詰めないと筋肉が満足しないんだよね。正直、自分の体重を負荷にしたレベルの筋トレでは温すぎる。回数で誤魔化すか。
「僕はもうちょっと筋トレするからお父さんかお母さんが入ってなかったら先に入ってもらって」
「分かったけど、お勉強もしなきゃだよ」
「ハッハッハッ、お前には言われたくないな」
ソフトテニスの部活に夢中で勉強が疎かになっているのは知っているぞ。
水琴は怪訝な顔をしながらも部屋を出て行く。
僕は満足行くまで筋トレして風呂に入って寝た。勉強は忘れてた。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる