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犬を飼うということは、(side美夜飛)
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しおりを挟む俺が知りたくなかっただけで、見たくなかっただけで。
その関係は、どちらかが一線を越えた感情を持った時点で、とっくの昔に終わってた。
「みーちゃん……」
繋がれたままの、兼嗣の手に力が入る。
無骨で長い指が、俺の指にゆっくりと絡む。
じりじりと蛇に巻きつかれているようなその緊迫感に、心臓まで捕らわれて、呼吸を忘れる。
けれど触れた指が、自分より広くて分厚い手のひらが。
尋常じゃなく熱を持って汗ばんでいくのを感じ、緊張しているのは俺だけではないことに、唐突に気づいて。
心臓にまとわりついていた恐怖が、すうっと解けていく。
「……兼嗣、俺はさ」
繋がっているのは手だけなのに、内側から全身がポカポカと温かくなる。
「お前の……、兼嗣の我慢で成り立ってる関係なんて、そんなの、絶対にいやだ」
確固たる意志を持って、言った。
声は小さくなったが、語尾にかけてはっきりと伝えられた。
本当はまだ、こわいよ、お前に触られるの。
だってずっとただの幼なじみだと思っていたんだ。
結構な衝撃で身体も心もおかしくなりそうだった。今でも。
あのことがあった前と後では、もう生まれ変わりでもしないかぎり、前の自分を取り戻せないと思う。
「……ゆるして、くれるの……?」
「お前のしたことは許さねえ。でも、認める」
謝って、許して、終わり。そんな簡単に、なかったことにはさせてやらない。
その代わり、お前の捨て身の行動を、気持ちを、認める。
認めて、丸ごと全部俺が持っておく。たぶん、それがいいんだ。俺は。
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