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第五章
新しい医者 ② ラト視点
誰かの気配で目が覚めた。咄嗟に起き上がり、片足をついてそこにあった剣を取って鞘から抜くと、切先を喉元で止めようとした。が、剣が手からすっぽ抜けたぁぁぁ!
手に力が入らなかったらしい。クルクルと勢いよく回転しながらガンッと派手な音を立てて、剣がベッドと反対の壁に刺さった。
そこにいた人物は咄嗟にしゃがみ込んで飛んできた剣を回避したようだ。
「…………」
「…………」
この握りしめて伸ばした手のやり場に困る。なんて間抜けな……。
そこにいたのはテアロだった。すぐに立ち上がるとニコッと笑顔を向けられた。
一歩間違えたら殺してしまっていた。怪我がなさそうでホッとした。
「とても驚きました。偶然避けられてよかったです」
「す、すみません……」
すると、視界がグラッと揺れた。倒れそうになったのをテアロに抱きしめる形で支えられた。俺を支えられるとは医者のわりには逞しい気がする。
俺は相当具合が悪いらしい。呼吸も荒くなっていた。
「具合が悪いのに急に動くからですよ」
「すみません……」
護衛として誰かの気配で起きなければ、レイジェルの命を危険に晒す事になる。もしもこれがテアロではなく敵だったなら、すぐに斬らないとだ。これは俺にとって当たり前の行動だ。
「脳筋……」
「何か言いました……?」
「いいえ」
そっとベッドに戻されて正座させられた。
「目が覚めたなら、この薬を飲んで下さい」
「へ……?」
グラスに入った水と紙に包まれた薬を差し出された。
思考が追いついてこなくて、ボーッとしてしまう。
「早く」
「あ……はい……」
言われるままに薬を飲んだ。
「ばんざい」
「え……?」
「ばんざーい」
両手を上げて手をヒラヒラとする。真似をしろという事かと思い、同じように万歳すればシャツの裾に手をかけて一気に引き上げられた。
パンツ一枚に正座……浮気がバレた旦那の気分で恥ずかしいので少し照れる。
「キモい……」
「え? なんて?」
「いいえ。何も言ってません」
手早く新しいシャツと長袖を着せられた。
「汚いもの見せてないで下も履いて下さいね」
ズボンを渡される。
「履かせてくれたり……」
「は?」
「すみません……」
めちゃくちゃいい笑顔にめちゃくちゃ強調された『は』だった……。
冗談だったけれど、そんなに嫌か? さりげなく汚いって言ったよな? 俺が何かしたのか?
もんもんとしながら着替えればすぐに横にされた。
「服も着ないで寝るなんて悪化しますよ」
「俺は……何の病気ですか……?」
「え……」
視線を逸らして気まずそうにされた。
何かを言い淀んでいる。この反応はなんだ?
風邪じゃないのか? もしかしたらもっと重大な病気なんじゃ……。
体温は高いし、体はうまく動かせない。風邪よりも深刻な病気でベッドから出れないなんて事になれば、レイジェルの護衛ができなくなる。そんな事になったら俺は生きていけない。
テアロの深刻な顔がやけに心拍数を上げる。
「大変申し上げにくいのですが……」
はっ! もしや移る病気なんて事も!?
コルテスにもミリアンナ様にも会えなくなるなんて絶対に嫌だ!
「風邪です」
ニッコリ笑顔で言われた。
そうか……俺は……風邪か……。うん? 風邪?
「風邪……ですか……?」
「はい。ただの風邪です」
「なんで……申しあげにくいと言ったんですか……?」
「病気は何だって申しあげにくいでしょう?」
そうなのか……? 熱のせいで思考がうまくできない。
テアロのせいで余計に熱が上がった気さえする。
先程のことが嘘のようにいつもの笑顔を向けられる。
「熱は高いですが、薬も飲んだので一晩寝ればすぐに回復しますよ」
「あ……ありがとうございます……」
ありがとうでいいんだよな?
布団をかけ直された。
テアロの手が俺のおでこを触った。ひんやりとした手が心地良かったのに、すぐになくなってしまった。その感覚が名残惜しかった。
「さぁ、ゆっくり寝て下さい」
目を閉じるように手をかざされた。
敵意は感じない。目を閉じても大丈夫そうだ。目を閉じてしまえば、睡魔が襲ってくる。
「このきったない部屋も片付けておきますね」
何かを言われたみたいだったけれど、もう力尽きていた。
◆◇◆
次の日には熱も下がって風邪を引いたのが嘘みたいに体が軽かった。よく効く薬だったのだろう。
起きたら部屋が綺麗に片付いていた。剣ですら鞘に戻されて俺が寝た時と同じ場所に置いてあった。さすがに壁は穴が空いたままだ。脱ぎ散らかした騎士服もクローゼットに掛けてあった。
「テアロ先生が片付けてくれたのか……」
俺は誤解していたみたいだ。とてもいい人のようだ。わざわざ俺の部屋まで来てくれたし、部屋まで片付けてくれた。
何かお礼しないといけない。そう思って、街に出て美味しいと評判の菓子を買ってから医務室へ行った。けれど、いつものように居なかった。
会いたくないと思う時にはいたのに、会いたいと思った時にはいない。
他にいそうなところもわからないので執務室へ行った。そこにはレイジェルとコルテスがいた。
「ラト、もういいのか?」
俺に気付いたレイジェルが声をかけてくれた。
「はい。ご迷惑をおかけしました。あの、それで……テアロ先生はどこにいるのか分かりますか?」
レイジェルとコルテスが顔を見合わせた。
「わからないな」
「僕もです」
お礼をしたかったけれど、どこにいるのかわからないのではどうしようもできない。
「ふふっ」
レイジェルに笑われた。
「なんですか?」
「先日までは気に入らないと言っていたのに、菓子を持って探しているのか?」
レイジェルには俺がお礼がしたいのがわかったらしい。
「お、俺だってお世話になればお礼ぐらいしますよ」
「ああ。そうだな」
微笑ましく見られてなんだか気まずい。
「それで、彼に変わった様子はなかったか?」
レイジェルはテアロのことがどうしても気になるようだ。
「はい。普通の医者──」
昨日の事を思い返しながら返答しようとした。ちょっと待て。
テアロは俺の剣に驚いたと言っていたが、すぐに笑顔を向けてきてそこまで動揺したようには見えなかった。あの時、剣の動きは予測できないものだった。俺でも避けられるかと言われたら自信がない。あれは偶然だったのか?
「ラト?」
熱があった頭では状況も把握できなかった。偶然しゃがんだと言われれば、そうだったのかもしれない。テアロは俺の面倒を見て、部屋の片付けまでしてくれた人だ。それが事実だろう。
「少し気になった事があったのですが、報告できるほどの事ではないかと……」
「そうか。わかった」
コルテスが俺の目の前にやってきて額に手を当てた。コルテスの優しい温度が額に伝わってきた。コルテスも心配してくれていたみたいだ。
「大丈夫そうですね」
「おう。悪かったな」
「ミリアンナ様も心配してました。後で顔を見せに行きなさい」
「それなら、先にミリアンナ様の所に行ってくる。レイジェル様もいいですか?」
「ああ」
二人から了承を得て執務室を出てミリアンナ様の部屋に向かった。
その途中の廊下でテアロに会った。偶然だけれど、探していた人物に会えて嬉しかった。
「こんにちわ。もう良さそうですね」
ニッコリ笑顔で挨拶された。手元にあった菓子を忘れずに渡してお辞儀をする。
「昨日は、部屋まで来て頂いてありがとうございました」
「お気になさらず」
お礼も言えた。菓子も受け取ってくれた。自然と笑顔がこぼれた。やっぱりいい人だ。
「ですが、最初から医務室まで来てくれていたら、僕以外の誰かが診てくれて、僕が部屋まで行く必要もなかったんです」
笑顔で言い切られた。
「ミリアンナ様が、ど~うしても様子を見てきて欲しいとお願いしなければ放っておいたので、お礼ならミリアンナ様にお願いします。この菓子もミリアンナ様と食べさせてもらいますね」
笑顔が引きつる。
この人、いい人なんだよな?
「僕の国では脳筋は風邪を引かないと言うんですが、こちらは脳筋も風邪を引くんですね」
それは俺が脳筋だと言いたいのか?
俺だって色々考えている。それに、そこまでムキムキじゃない。どちらかと言うと細マッチョ……どうでもいい事を考えてしまった。
「では、お大事にして下さい」
一気に捲し立てて、スタスタと通り過ぎて行った。最後まで笑顔で言われた。その笑顔がなんだか納得がいかなかった。
「あいつ……なんなんだ……?」
言い返す事もできなかった。彼に振り回されたような気になって立ち尽くす。全然優しい人じゃなかった。
言われた事を反復すると段々と怒りが湧いてくる。
「やっぱり気に入らない!」
暫くモヤモヤとした気持ちが続いていた。
手に力が入らなかったらしい。クルクルと勢いよく回転しながらガンッと派手な音を立てて、剣がベッドと反対の壁に刺さった。
そこにいた人物は咄嗟にしゃがみ込んで飛んできた剣を回避したようだ。
「…………」
「…………」
この握りしめて伸ばした手のやり場に困る。なんて間抜けな……。
そこにいたのはテアロだった。すぐに立ち上がるとニコッと笑顔を向けられた。
一歩間違えたら殺してしまっていた。怪我がなさそうでホッとした。
「とても驚きました。偶然避けられてよかったです」
「す、すみません……」
すると、視界がグラッと揺れた。倒れそうになったのをテアロに抱きしめる形で支えられた。俺を支えられるとは医者のわりには逞しい気がする。
俺は相当具合が悪いらしい。呼吸も荒くなっていた。
「具合が悪いのに急に動くからですよ」
「すみません……」
護衛として誰かの気配で起きなければ、レイジェルの命を危険に晒す事になる。もしもこれがテアロではなく敵だったなら、すぐに斬らないとだ。これは俺にとって当たり前の行動だ。
「脳筋……」
「何か言いました……?」
「いいえ」
そっとベッドに戻されて正座させられた。
「目が覚めたなら、この薬を飲んで下さい」
「へ……?」
グラスに入った水と紙に包まれた薬を差し出された。
思考が追いついてこなくて、ボーッとしてしまう。
「早く」
「あ……はい……」
言われるままに薬を飲んだ。
「ばんざい」
「え……?」
「ばんざーい」
両手を上げて手をヒラヒラとする。真似をしろという事かと思い、同じように万歳すればシャツの裾に手をかけて一気に引き上げられた。
パンツ一枚に正座……浮気がバレた旦那の気分で恥ずかしいので少し照れる。
「キモい……」
「え? なんて?」
「いいえ。何も言ってません」
手早く新しいシャツと長袖を着せられた。
「汚いもの見せてないで下も履いて下さいね」
ズボンを渡される。
「履かせてくれたり……」
「は?」
「すみません……」
めちゃくちゃいい笑顔にめちゃくちゃ強調された『は』だった……。
冗談だったけれど、そんなに嫌か? さりげなく汚いって言ったよな? 俺が何かしたのか?
もんもんとしながら着替えればすぐに横にされた。
「服も着ないで寝るなんて悪化しますよ」
「俺は……何の病気ですか……?」
「え……」
視線を逸らして気まずそうにされた。
何かを言い淀んでいる。この反応はなんだ?
風邪じゃないのか? もしかしたらもっと重大な病気なんじゃ……。
体温は高いし、体はうまく動かせない。風邪よりも深刻な病気でベッドから出れないなんて事になれば、レイジェルの護衛ができなくなる。そんな事になったら俺は生きていけない。
テアロの深刻な顔がやけに心拍数を上げる。
「大変申し上げにくいのですが……」
はっ! もしや移る病気なんて事も!?
コルテスにもミリアンナ様にも会えなくなるなんて絶対に嫌だ!
「風邪です」
ニッコリ笑顔で言われた。
そうか……俺は……風邪か……。うん? 風邪?
「風邪……ですか……?」
「はい。ただの風邪です」
「なんで……申しあげにくいと言ったんですか……?」
「病気は何だって申しあげにくいでしょう?」
そうなのか……? 熱のせいで思考がうまくできない。
テアロのせいで余計に熱が上がった気さえする。
先程のことが嘘のようにいつもの笑顔を向けられる。
「熱は高いですが、薬も飲んだので一晩寝ればすぐに回復しますよ」
「あ……ありがとうございます……」
ありがとうでいいんだよな?
布団をかけ直された。
テアロの手が俺のおでこを触った。ひんやりとした手が心地良かったのに、すぐになくなってしまった。その感覚が名残惜しかった。
「さぁ、ゆっくり寝て下さい」
目を閉じるように手をかざされた。
敵意は感じない。目を閉じても大丈夫そうだ。目を閉じてしまえば、睡魔が襲ってくる。
「このきったない部屋も片付けておきますね」
何かを言われたみたいだったけれど、もう力尽きていた。
◆◇◆
次の日には熱も下がって風邪を引いたのが嘘みたいに体が軽かった。よく効く薬だったのだろう。
起きたら部屋が綺麗に片付いていた。剣ですら鞘に戻されて俺が寝た時と同じ場所に置いてあった。さすがに壁は穴が空いたままだ。脱ぎ散らかした騎士服もクローゼットに掛けてあった。
「テアロ先生が片付けてくれたのか……」
俺は誤解していたみたいだ。とてもいい人のようだ。わざわざ俺の部屋まで来てくれたし、部屋まで片付けてくれた。
何かお礼しないといけない。そう思って、街に出て美味しいと評判の菓子を買ってから医務室へ行った。けれど、いつものように居なかった。
会いたくないと思う時にはいたのに、会いたいと思った時にはいない。
他にいそうなところもわからないので執務室へ行った。そこにはレイジェルとコルテスがいた。
「ラト、もういいのか?」
俺に気付いたレイジェルが声をかけてくれた。
「はい。ご迷惑をおかけしました。あの、それで……テアロ先生はどこにいるのか分かりますか?」
レイジェルとコルテスが顔を見合わせた。
「わからないな」
「僕もです」
お礼をしたかったけれど、どこにいるのかわからないのではどうしようもできない。
「ふふっ」
レイジェルに笑われた。
「なんですか?」
「先日までは気に入らないと言っていたのに、菓子を持って探しているのか?」
レイジェルには俺がお礼がしたいのがわかったらしい。
「お、俺だってお世話になればお礼ぐらいしますよ」
「ああ。そうだな」
微笑ましく見られてなんだか気まずい。
「それで、彼に変わった様子はなかったか?」
レイジェルはテアロのことがどうしても気になるようだ。
「はい。普通の医者──」
昨日の事を思い返しながら返答しようとした。ちょっと待て。
テアロは俺の剣に驚いたと言っていたが、すぐに笑顔を向けてきてそこまで動揺したようには見えなかった。あの時、剣の動きは予測できないものだった。俺でも避けられるかと言われたら自信がない。あれは偶然だったのか?
「ラト?」
熱があった頭では状況も把握できなかった。偶然しゃがんだと言われれば、そうだったのかもしれない。テアロは俺の面倒を見て、部屋の片付けまでしてくれた人だ。それが事実だろう。
「少し気になった事があったのですが、報告できるほどの事ではないかと……」
「そうか。わかった」
コルテスが俺の目の前にやってきて額に手を当てた。コルテスの優しい温度が額に伝わってきた。コルテスも心配してくれていたみたいだ。
「大丈夫そうですね」
「おう。悪かったな」
「ミリアンナ様も心配してました。後で顔を見せに行きなさい」
「それなら、先にミリアンナ様の所に行ってくる。レイジェル様もいいですか?」
「ああ」
二人から了承を得て執務室を出てミリアンナ様の部屋に向かった。
その途中の廊下でテアロに会った。偶然だけれど、探していた人物に会えて嬉しかった。
「こんにちわ。もう良さそうですね」
ニッコリ笑顔で挨拶された。手元にあった菓子を忘れずに渡してお辞儀をする。
「昨日は、部屋まで来て頂いてありがとうございました」
「お気になさらず」
お礼も言えた。菓子も受け取ってくれた。自然と笑顔がこぼれた。やっぱりいい人だ。
「ですが、最初から医務室まで来てくれていたら、僕以外の誰かが診てくれて、僕が部屋まで行く必要もなかったんです」
笑顔で言い切られた。
「ミリアンナ様が、ど~うしても様子を見てきて欲しいとお願いしなければ放っておいたので、お礼ならミリアンナ様にお願いします。この菓子もミリアンナ様と食べさせてもらいますね」
笑顔が引きつる。
この人、いい人なんだよな?
「僕の国では脳筋は風邪を引かないと言うんですが、こちらは脳筋も風邪を引くんですね」
それは俺が脳筋だと言いたいのか?
俺だって色々考えている。それに、そこまでムキムキじゃない。どちらかと言うと細マッチョ……どうでもいい事を考えてしまった。
「では、お大事にして下さい」
一気に捲し立てて、スタスタと通り過ぎて行った。最後まで笑顔で言われた。その笑顔がなんだか納得がいかなかった。
「あいつ……なんなんだ……?」
言い返す事もできなかった。彼に振り回されたような気になって立ち尽くす。全然優しい人じゃなかった。
言われた事を反復すると段々と怒りが湧いてくる。
「やっぱり気に入らない!」
暫くモヤモヤとした気持ちが続いていた。
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