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第二章
前途多難
軽い軟禁状態から逃げられるわけもなく、その日はやってきた。
「さぁ行こう」
そう言って俺に手を差し伸べてくるレイジェルに顔を引きつらせる。
来た時とは大違いの大きくて綺麗な馬車。それも三台……。
それを囲む護衛は、レイジェルの獅子団のマークを腕に付けた騎士達。
結構な大所帯にびびっている。
「レイジェル殿下……こんなに派手にする必要は……」
「派手? 普通じゃないか?」
そう言いながら、レイジェルはラトにも確認する。
ラトは、頬を怪我したのか手当てしてあった。もしかしたら、痴情のもつれで殴られたんじゃ……察して見なかった事にする。
「ええ。普通ですね。お二人が乗る馬車が一台。フロルさんとコルテスと他の従者の為に一台、荷物の馬車が一台ですからね」
マジで……?
これって普通なんだ……。
あれ? ちょっと待て。
「今、私とレイジェル殿下が二人で乗ると言いましたか?」
「ええ」
ラトに笑顔で頷かれた。
「普段は騎士として騎馬が多いですが、今回はレイジェル様は王太子の立場なので、ミリアンナ様と一緒です」
「わ、私はフロルと一緒でもいいんですが……」
「ははっ。婚約者なんですから、照れないで下さい」
「ま、まだ婚約者じゃありません!」
確か書類にサインしないといけないはずだ。
本人二人のサインと国王のサインがある書類を教会で司祭様が受け取って完了だ。
結婚も同じだったはずだ。
「それならもう出した」
「は……?」
「婚約は済んでいる。サインだってミリアンナがしている」
「え……?」
まさか……? そんなはずは……。
この数日の間に起こったことを思い出す……。
そう言えば、アスラーゼに帰るのに書類にサインだけ欲しいとコルテスに言われて何枚か……。
あの書類の中に混ぜてたって事か!?
キッと睨めば、レイジェルにニッコリと笑われた。
「既にもう婚約者だ」
嘘だろぉぉぉぉぉ!
騙された! 最初の一枚を読んだだけで、他の書類はそのままサインしてしまった! ちゃんと読んでサインしないとダメだった! コルテスがまともそうだと思っていたから余計に疑わなかった!
「本来なら婚約式もしたかったのだが、アスラーゼに行く前にと急いだからな。問題はないだろ?」
「も、問題大ありですよ! 結婚したくないって言ったじゃないですか!」
「まだ婚約だ」
訂正するのそこ!?
レイジェルが本当に話を聞かなくなってしまった。
「婚約破棄の方法は!?」
「教えるわけないだろ?」
「同じ方法じゃないんですか!?」
「さぁ? どうだったかな? 同じ方法だとしても、ミリアンナでは陛下にサインは貰えないだろう」
ニヤリと笑った。なんてこった……。
仕方ない……今はもう出発前だ。後でレイジェルを説得するしかない。どうやってかは全く思い浮かばないけどな!
ラトがニヤニヤと見てくる。
「仲良いですよね」
ラトくん、君の目には俺らはどんな風に見えているのかな?
どう見ても俺は獅子に捕らえられた可哀想な小鳥だ。
ニッコリ笑顔のまま遠い目をする。
「馬車の中で二人きりだからって羽目を外しすぎないで下さいね」
なにを言い出すんだ!
「努力する……」
レイジェルはなに顔赤くして少し照れてんだ!
もうやだ! フロル! 助けて!
そう思ってフロルに目で訴える。
「ミリアンナ様、私がいないからってくれぐれも羽目を外ないで(男だとバレないようにして)下さいね」
何言ってんだぁぁぁーー!
なんでフロルまでそんな事言うんだ!
前途多難……もう出発前から疲れたよ……。
「さぁ行こう」
そう言って俺に手を差し伸べてくるレイジェルに顔を引きつらせる。
来た時とは大違いの大きくて綺麗な馬車。それも三台……。
それを囲む護衛は、レイジェルの獅子団のマークを腕に付けた騎士達。
結構な大所帯にびびっている。
「レイジェル殿下……こんなに派手にする必要は……」
「派手? 普通じゃないか?」
そう言いながら、レイジェルはラトにも確認する。
ラトは、頬を怪我したのか手当てしてあった。もしかしたら、痴情のもつれで殴られたんじゃ……察して見なかった事にする。
「ええ。普通ですね。お二人が乗る馬車が一台。フロルさんとコルテスと他の従者の為に一台、荷物の馬車が一台ですからね」
マジで……?
これって普通なんだ……。
あれ? ちょっと待て。
「今、私とレイジェル殿下が二人で乗ると言いましたか?」
「ええ」
ラトに笑顔で頷かれた。
「普段は騎士として騎馬が多いですが、今回はレイジェル様は王太子の立場なので、ミリアンナ様と一緒です」
「わ、私はフロルと一緒でもいいんですが……」
「ははっ。婚約者なんですから、照れないで下さい」
「ま、まだ婚約者じゃありません!」
確か書類にサインしないといけないはずだ。
本人二人のサインと国王のサインがある書類を教会で司祭様が受け取って完了だ。
結婚も同じだったはずだ。
「それならもう出した」
「は……?」
「婚約は済んでいる。サインだってミリアンナがしている」
「え……?」
まさか……? そんなはずは……。
この数日の間に起こったことを思い出す……。
そう言えば、アスラーゼに帰るのに書類にサインだけ欲しいとコルテスに言われて何枚か……。
あの書類の中に混ぜてたって事か!?
キッと睨めば、レイジェルにニッコリと笑われた。
「既にもう婚約者だ」
嘘だろぉぉぉぉぉ!
騙された! 最初の一枚を読んだだけで、他の書類はそのままサインしてしまった! ちゃんと読んでサインしないとダメだった! コルテスがまともそうだと思っていたから余計に疑わなかった!
「本来なら婚約式もしたかったのだが、アスラーゼに行く前にと急いだからな。問題はないだろ?」
「も、問題大ありですよ! 結婚したくないって言ったじゃないですか!」
「まだ婚約だ」
訂正するのそこ!?
レイジェルが本当に話を聞かなくなってしまった。
「婚約破棄の方法は!?」
「教えるわけないだろ?」
「同じ方法じゃないんですか!?」
「さぁ? どうだったかな? 同じ方法だとしても、ミリアンナでは陛下にサインは貰えないだろう」
ニヤリと笑った。なんてこった……。
仕方ない……今はもう出発前だ。後でレイジェルを説得するしかない。どうやってかは全く思い浮かばないけどな!
ラトがニヤニヤと見てくる。
「仲良いですよね」
ラトくん、君の目には俺らはどんな風に見えているのかな?
どう見ても俺は獅子に捕らえられた可哀想な小鳥だ。
ニッコリ笑顔のまま遠い目をする。
「馬車の中で二人きりだからって羽目を外しすぎないで下さいね」
なにを言い出すんだ!
「努力する……」
レイジェルはなに顔赤くして少し照れてんだ!
もうやだ! フロル! 助けて!
そう思ってフロルに目で訴える。
「ミリアンナ様、私がいないからってくれぐれも羽目を外ないで(男だとバレないようにして)下さいね」
何言ってんだぁぁぁーー!
なんでフロルまでそんな事言うんだ!
前途多難……もう出発前から疲れたよ……。
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