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入学前
実技試験
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「次は実技試験です。訓練場へ行ってください」
「はい」
魔法の練習ができる訓練場はとても広い。そこで実技試験がある。
訓練場に足を踏み入れて、そこにいた人物に胸がドキリと鳴った。
一瞬頭が真っ白になる。
リンゼイ──なんでこんな所にいるんだ……。
そう思っても顔に出さないように注意する。
俺にとっては数ヶ月だけれど、リンゼイの時間は3年以上経っているんだよな……。
それでもリンゼイは変わらず、彫刻のような綺麗な顔をしていた。
少し痩せたか?
黒髪は肩まであって、深海のような青い瞳が俺を見た。
ああ……良かった……こんな形でも、無事だったのだと知れた。
「こちらへ」
「はい」
なんでリンゼイが試験官なんかしているんだろう……。
「名前は?」
「──ディノ・バスカルディです」
これ以上、何も考えるな──関わらないようにしようと決めたばかりだ。
「そこの用紙に描いてあるどの魔法陣を使ってもいいので、あそこにある木を倒して下さい」
「はい」
リンゼイが指差したその場所には、自分の身長より少し大きめな木があった。
机の上にある手のひら位の大きさの魔法陣が描いてある用紙を手に取って見てみる。
なるほど。この初級の魔法陣が何の魔法陣なのかもわからないといけないわけだ。
知識も必要な試験だ。
どれどれ──なんだこれ……ふふっ。頭に花が咲く魔法陣か。
水を頭から被る魔法陣。
落とし穴が出現する魔法陣。
こんな悪戯みたいな魔法陣を作ったのはリンゼイか?
魔法陣を知らない人はこれに引っかかるわけだ。
クスクスと笑ってしまう。
「君にはその魔法陣がわかるのかい?」
リンゼイに声を掛けられてドキリとした。
「あ……いえ……」
なんと答えたらいいのかわからない……初級なら知っていても大丈夫なはず……。
「少しだけ……」
「それなら、どれを使うのかはわかるよね?」
優しく笑う顔に胸が痛くなる。
「はい……」
エルドが受けた試験と違うんだな。
毎年実技は試験が変わるみたいだ。
風の魔法陣を選んでしゃがみ込み、魔法陣を地面に置いて手をついて風を起こそうと魔力を通す。
魔法陣の使い方はまだ慣れなくて時間が掛かる。
いちいち魔法陣に魔力を通すという行為が自分に合っていないのだ。
すると、集中しているところに背後からポンッと肩を叩かれてビクリと震えた。
急に触るなよ……びっくりするだろ……。
リンゼイを見れば、さっきと同じように優しく微笑んでくれた。
胸の奥がズキズキと痛む──。
「緊張しないで。ゆっくりでいいから」
「は、はい……」
俺が緊張していると思ったのか。
相変わらず優しいやつだ。口角が少し上がりそうになるのを我慢する。
どうにか魔法陣から小さい竜巻のような風を出して木を薙ぎ倒した。
「魔法陣がわかった大抵の子は火を選んだ。火は攻撃魔法の最上位だ。そっちの方がアピールにもなる。それなのに、君はどうして風魔法に? 火魔法が使えないのかい?」
「──木はまだ生きています。倒すだけでいいのなら、火を使う必要はありません。焼き尽くしてしまうのは可哀想でしょう?」
フッと笑ってやれば、驚いたように目を見開かれた。
どこかに驚くような要素があったか……?
「君は……」
今度は考え込んだ。
これで不合格って事はないだろうな?
余計な事を言ってしまう前にリンゼイと離れたい。
「リンゼイ先生、もう終わりですよね? 戻ります」
そのまま訓練場を出ようと歩き出せば、なぜだかガシッと腕を掴まれた。
俺の腕を掴んでいるリンゼイの腕に着けられていた腕輪に目が行った。
まだそんな物を持っていたのか……効力も何もないただの腕輪になってしまったはずだ。
それを見て、どうしようもなく胸が痛い。
「待って。私は君と会った事があるんだろうか……?」
なんで急に……。
「いいえ。ありません」
じっと見つめられて、視線を逸らす。
この時間が気まずい。
すると、手を離してくれてホッとした。
「すまなかったね……私の勘違いみたいだ」
見た目が全然違う。俺だと気付くはずはない。
訓練場を出るまでじっと見られているような視線を背中に感じて、なんだか緊張した。
「はい」
魔法の練習ができる訓練場はとても広い。そこで実技試験がある。
訓練場に足を踏み入れて、そこにいた人物に胸がドキリと鳴った。
一瞬頭が真っ白になる。
リンゼイ──なんでこんな所にいるんだ……。
そう思っても顔に出さないように注意する。
俺にとっては数ヶ月だけれど、リンゼイの時間は3年以上経っているんだよな……。
それでもリンゼイは変わらず、彫刻のような綺麗な顔をしていた。
少し痩せたか?
黒髪は肩まであって、深海のような青い瞳が俺を見た。
ああ……良かった……こんな形でも、無事だったのだと知れた。
「こちらへ」
「はい」
なんでリンゼイが試験官なんかしているんだろう……。
「名前は?」
「──ディノ・バスカルディです」
これ以上、何も考えるな──関わらないようにしようと決めたばかりだ。
「そこの用紙に描いてあるどの魔法陣を使ってもいいので、あそこにある木を倒して下さい」
「はい」
リンゼイが指差したその場所には、自分の身長より少し大きめな木があった。
机の上にある手のひら位の大きさの魔法陣が描いてある用紙を手に取って見てみる。
なるほど。この初級の魔法陣が何の魔法陣なのかもわからないといけないわけだ。
知識も必要な試験だ。
どれどれ──なんだこれ……ふふっ。頭に花が咲く魔法陣か。
水を頭から被る魔法陣。
落とし穴が出現する魔法陣。
こんな悪戯みたいな魔法陣を作ったのはリンゼイか?
魔法陣を知らない人はこれに引っかかるわけだ。
クスクスと笑ってしまう。
「君にはその魔法陣がわかるのかい?」
リンゼイに声を掛けられてドキリとした。
「あ……いえ……」
なんと答えたらいいのかわからない……初級なら知っていても大丈夫なはず……。
「少しだけ……」
「それなら、どれを使うのかはわかるよね?」
優しく笑う顔に胸が痛くなる。
「はい……」
エルドが受けた試験と違うんだな。
毎年実技は試験が変わるみたいだ。
風の魔法陣を選んでしゃがみ込み、魔法陣を地面に置いて手をついて風を起こそうと魔力を通す。
魔法陣の使い方はまだ慣れなくて時間が掛かる。
いちいち魔法陣に魔力を通すという行為が自分に合っていないのだ。
すると、集中しているところに背後からポンッと肩を叩かれてビクリと震えた。
急に触るなよ……びっくりするだろ……。
リンゼイを見れば、さっきと同じように優しく微笑んでくれた。
胸の奥がズキズキと痛む──。
「緊張しないで。ゆっくりでいいから」
「は、はい……」
俺が緊張していると思ったのか。
相変わらず優しいやつだ。口角が少し上がりそうになるのを我慢する。
どうにか魔法陣から小さい竜巻のような風を出して木を薙ぎ倒した。
「魔法陣がわかった大抵の子は火を選んだ。火は攻撃魔法の最上位だ。そっちの方がアピールにもなる。それなのに、君はどうして風魔法に? 火魔法が使えないのかい?」
「──木はまだ生きています。倒すだけでいいのなら、火を使う必要はありません。焼き尽くしてしまうのは可哀想でしょう?」
フッと笑ってやれば、驚いたように目を見開かれた。
どこかに驚くような要素があったか……?
「君は……」
今度は考え込んだ。
これで不合格って事はないだろうな?
余計な事を言ってしまう前にリンゼイと離れたい。
「リンゼイ先生、もう終わりですよね? 戻ります」
そのまま訓練場を出ようと歩き出せば、なぜだかガシッと腕を掴まれた。
俺の腕を掴んでいるリンゼイの腕に着けられていた腕輪に目が行った。
まだそんな物を持っていたのか……効力も何もないただの腕輪になってしまったはずだ。
それを見て、どうしようもなく胸が痛い。
「待って。私は君と会った事があるんだろうか……?」
なんで急に……。
「いいえ。ありません」
じっと見つめられて、視線を逸らす。
この時間が気まずい。
すると、手を離してくれてホッとした。
「すまなかったね……私の勘違いみたいだ」
見た目が全然違う。俺だと気付くはずはない。
訓練場を出るまでじっと見られているような視線を背中に感じて、なんだか緊張した。
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