大魔法使いは二度目の人生を〝普通〟に楽しみたい

おみなしづき

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入学後

思い出の場所に リンゼイ視点

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 時々、時間ができたら思い出の場所に足を運んでいた。
 時間はいつもバラバラだったけれど、その日はみんなが寝静まった夜だった。
 森の中は、当時と同じように木々が生い茂り、草花が咲いていた。
 エルドは、木に登っていたり、木陰で寛いでいたりと自由に過ごしていた。
 私を見てパッと明るくなる顔が思い浮かんで、嬉しいのに胸が痛い。

 そこかしこに思い出が残っている気がして微笑む。

 魔法の練習を良くしていたのは、川の近くだった。

 その場所で魔力の譲渡も──。

 そこで誰かがその場所に寝転んでいる事に気付く。
 生徒の夜間外出は禁止のはずだ。
 声を掛けようとして思い留まる。

 その生徒はディノ・バスカルディだった。

 入学してから彼の言動や行動に疑問を抱いていた。
 今もそうだ。なぜ昼間ではなく、こんな夜中に人目を避けるようにここにいるのか……。

「…………」

 彼がボソリと呟いた言葉は、こちらには良く聞こえなかった。

 声を掛けて注意して、ここに来てはいけないと言わないと行けないのに、私はその場に隠れて彼を見ていた。

 見れば見るほどエルドには似ていない。
 それなのに、頭の後ろにてをやって、足を組んで寝転んでいる姿がエルドと被る。
 別の人物だと頭ではわかるのに、どうしてこんなにもエルドに見えるのか。
 ギュッと締め付けられる胸がドクドクと鳴る。
 この感情がなんなのか自分自身にもわからなかった。

 彼は、そのまましばらくそこでゴロゴロすると、その場から居なくなった。

 ──彼はディノ・バスカルディだ。

 エルドみたいだと思う事自体が彼に失礼だ。しっかりと彼自身を見てあげなくてはいけない。

 もしも次に見かけたら──話をしてみようか。

 彼がエルドに見えた時から、無意識にエルドとの類似点を探してしまっていたのではないだろうか。
 次は彼がディノである相違点を探せばいい。

 エルドとの思い出の場所で、ディノに会えないかと楽しみにしてしまっていた。

 それから数日、夜にその場所へ行ったけれど、ディノを見かける事はなかった。

 残念なような……ホッとしているような……訳の分からない感情に振り回されていた。

 そもそも生徒の外出は禁止だ。
 もしもここで、彼に会えたら──ダメじゃないかと叱ってやろうと思った。


 
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