22 / 39
少し世界を知った
人間界はコワイ? ①
しおりを挟む
俺はフォウレのイタズラの時よりも大きくなった。
ラヴィアスは俺が大きくなる事を良く思っていないと思う。
その証拠にお風呂はもう随分前から一緒に入らなくなった。
そして、この前から一緒に寝る事も無くなった。
部屋の外に出るなと言われた時は、ラヴィアスがいなくて不安で寝れなかったけれど、今はそうでもない。
もう諦めてしまっている自分がいる。
抱きしめられる事もなくなった……。
この頃、俺の事が必要なくなるのではないかとすごく怖い……。
捨てられたくない……。
そんな中でフォウレから薬が出来たと言われた。
フォウレの部屋に連れて行ってもらって椅子に座れば、小さい小瓶を机の上に置いた。
「リディオ、これだよ」
そう言いながら、俺の髪をサラサラといじる。
フォウレは髪をいじるのが好きみたいだから、そのままにしてあげる。
机の上に置かれた小瓶を手に取って見る。
薄口のしょうゆみたいな色をしていた。
「髪の色は、僕の髪をベースにしたから、僕とお揃い」
「フォウレ! ありがとう! どれくらいで元に戻る?」
「その一回分の効力は半日程度だよ。人間界に行くときは、予備としてもう一本持って行くといい」
「わかった」
これで人間界に行ける。
ワクワクと胸が躍る。
「一人で行ってはダメだよ。僕がついて行きたいけれど、僕は人に化けられないんだ。今度人間になる薬でも作ろうかな」
そこでハッと気付く。
フォウレの言った通り、一緒に行く人決めてもらわないとだ。
「ラヴィアスに相談してみる」
「じゃあ、ラヴィアス様の所に行こうか」
フォウレと一緒に、ラヴィアスの執務室へ向かった。
ラヴィアスは俺を見て不思議そうにする。
「リディオ。どうした?」
「俺、人間界に行ってみたいんだ。だから、付いてきてくれる人いないかな?」
「人間界だって? その髪の色じゃ無理だろう」
「フォウレに、髪の色を変える薬を作ってもらったの」
「いつの間にそんなものを……」
ラヴィアスは顎に手を当てて考え込む。
「それなら、私が一緒に行ってあげますよ」
「本当⁉︎」
ユルがニコニコしながら、そう言ってくれてとても嬉しい。
「行かないなんて言ってない。私も行く」
「おや? 私とリディオだけでもいいんですよ?」
「私も行く!」
ラヴィアスも一緒に来てくれるらしい。その事にホッとした。
日付を決めて、一緒に人間界へ行くことになった。
◆◇◆
当日は楽しみで遠足前の子供みたいになっていた。
ラヴィアスとユルは、国境付近で人間になる。
ラヴィアスは幻影魔法で髪の色を変えるだけで、ユルは何もしなくて平気。
ラヴィアスの髪色がグレーになった! カッコいいからグレーも似合う。
俺はしょうゆ色をした小瓶を一気に飲み干した。
お吸い物みたいな味がして不味くはなかった。
体に変化はない。
「ラヴィアス、ユル、俺の髪変わった?」
「おや……まぁ……」
「フォウレ……」
「え? 何? どうなっているの?」
自分じゃわからない。鏡持ってくれば良かった。
「フォウレの髪色になっていますよ(それと……香りも……随分と強く香りますね)」
「チッ……」
「ねぇ、大丈夫なの?」
自分の髪の端っこを前に持ってきて見れば、フォウレと同じ薄い金色になっていた。
金髪になっているって事だよね⁉︎
「リディオ、人間に見えるから大丈夫です。ね、ラヴィアス様(ほら、笑顔ですよ笑顔)」
「ああ……」
「本当? 良かった」
ホッとしたけれど、なぜだかラヴィアスは不機嫌そうだった。
◆◇◆
人間界は、あおい空と白い雲、なんと言っても街は食べ物の露天が出ていて賑わっていた。
た、楽しい~!
武器屋に防具屋、宿屋に道具屋に食事処。RPGで見る店が並んでいる。
遠くに見える城! あの城に王様がいて、勇者を任命するらしい。
この世界の勇者はいっぱいいる。職業も色々あるそうだ。
歩いている人も勇者みたいな格好していたり、鎧を着ていたり、ローブを来てる人もいる。魔法使いっぽい!
そんな事を考えながら歩いていれば、不意に声を掛けられた。
「君! 稀にみる美人だね! この魔物の骨付き肉買ってかない⁉︎」
「え⁉︎ 俺⁉︎」
「そうだよ! 君以外に誰がいるのさ! 一緒の二人も男前だねぇ!」
「また今度お願いします」
ユルが笑顔で断った。
二人がカッコいいのは認めるけれど、俺はどうなんだろう。
赤ん坊の頃は将来カッコよくなるとか思っていたけれど、ラヴィアスは今の俺をよく思っていないから自信ない……。
「リディオ。どこに行きたいんだ?」
「あ……決めてない」
気にしないようにして考える。
人間界がちょっと見たいと思っていただけだったから何も思い浮かばない。
「それなら、食材屋でイチゴを買うか?」
「うん!」
嬉しくてラヴィアスに笑顔を向けたら顔を逸らされた……。
先に歩いて行ってしまう。
「(フォウレの香りがするからって、まったく……)では、行きましょうか」
「うん……」
ユルが笑顔を向けてくれたので笑顔を作った。
食材屋に向かっている最中は、ラヴィアスの背中ばかり見ていた。
「ラヴィアス様、リディオが可哀想です。手ぐらい繋いであげたらどうですか? 迷子にでもなったら大変です」
「無理だ……」
「なら、私が手を繋いで歩きますよ!」
「ダメだ」
「だったら──」
俺の前で二人で何か話しているけれど、よく聞こえない。
初めての人間界は少し切ない……。
すると、ガシッと誰かに腕を掴まれた。
驚いて叫ぼうとしたら誰かの手で口も塞がれた。
羽交い締めにされて、そのままズルズルと路地裏に引きずり込まれてしまった。
あっという間の出来事でパニックだ。
バタバタと暴れてもびくともしない。
路地裏は、賑わっていた表通りと違って薄暗かった。
仲間だと思われる男の人達に囲まれる。
怖い……震えてくる。
一番偉そうな人が近付いてきた。
「上玉だなぁ! これは高く売れるぞ」
「ずっと目をつけていたんですよ。連れがいましたけど、上手く連れてこれました。こんな美人、放って置けませんよね」
いやらしい笑い声が響く。
「連れてけ」
この人達……人攫いだ。
まさかの展開に頭が追いついてこない。
人間界……コワイ……。
ラヴィアスは俺が大きくなる事を良く思っていないと思う。
その証拠にお風呂はもう随分前から一緒に入らなくなった。
そして、この前から一緒に寝る事も無くなった。
部屋の外に出るなと言われた時は、ラヴィアスがいなくて不安で寝れなかったけれど、今はそうでもない。
もう諦めてしまっている自分がいる。
抱きしめられる事もなくなった……。
この頃、俺の事が必要なくなるのではないかとすごく怖い……。
捨てられたくない……。
そんな中でフォウレから薬が出来たと言われた。
フォウレの部屋に連れて行ってもらって椅子に座れば、小さい小瓶を机の上に置いた。
「リディオ、これだよ」
そう言いながら、俺の髪をサラサラといじる。
フォウレは髪をいじるのが好きみたいだから、そのままにしてあげる。
机の上に置かれた小瓶を手に取って見る。
薄口のしょうゆみたいな色をしていた。
「髪の色は、僕の髪をベースにしたから、僕とお揃い」
「フォウレ! ありがとう! どれくらいで元に戻る?」
「その一回分の効力は半日程度だよ。人間界に行くときは、予備としてもう一本持って行くといい」
「わかった」
これで人間界に行ける。
ワクワクと胸が躍る。
「一人で行ってはダメだよ。僕がついて行きたいけれど、僕は人に化けられないんだ。今度人間になる薬でも作ろうかな」
そこでハッと気付く。
フォウレの言った通り、一緒に行く人決めてもらわないとだ。
「ラヴィアスに相談してみる」
「じゃあ、ラヴィアス様の所に行こうか」
フォウレと一緒に、ラヴィアスの執務室へ向かった。
ラヴィアスは俺を見て不思議そうにする。
「リディオ。どうした?」
「俺、人間界に行ってみたいんだ。だから、付いてきてくれる人いないかな?」
「人間界だって? その髪の色じゃ無理だろう」
「フォウレに、髪の色を変える薬を作ってもらったの」
「いつの間にそんなものを……」
ラヴィアスは顎に手を当てて考え込む。
「それなら、私が一緒に行ってあげますよ」
「本当⁉︎」
ユルがニコニコしながら、そう言ってくれてとても嬉しい。
「行かないなんて言ってない。私も行く」
「おや? 私とリディオだけでもいいんですよ?」
「私も行く!」
ラヴィアスも一緒に来てくれるらしい。その事にホッとした。
日付を決めて、一緒に人間界へ行くことになった。
◆◇◆
当日は楽しみで遠足前の子供みたいになっていた。
ラヴィアスとユルは、国境付近で人間になる。
ラヴィアスは幻影魔法で髪の色を変えるだけで、ユルは何もしなくて平気。
ラヴィアスの髪色がグレーになった! カッコいいからグレーも似合う。
俺はしょうゆ色をした小瓶を一気に飲み干した。
お吸い物みたいな味がして不味くはなかった。
体に変化はない。
「ラヴィアス、ユル、俺の髪変わった?」
「おや……まぁ……」
「フォウレ……」
「え? 何? どうなっているの?」
自分じゃわからない。鏡持ってくれば良かった。
「フォウレの髪色になっていますよ(それと……香りも……随分と強く香りますね)」
「チッ……」
「ねぇ、大丈夫なの?」
自分の髪の端っこを前に持ってきて見れば、フォウレと同じ薄い金色になっていた。
金髪になっているって事だよね⁉︎
「リディオ、人間に見えるから大丈夫です。ね、ラヴィアス様(ほら、笑顔ですよ笑顔)」
「ああ……」
「本当? 良かった」
ホッとしたけれど、なぜだかラヴィアスは不機嫌そうだった。
◆◇◆
人間界は、あおい空と白い雲、なんと言っても街は食べ物の露天が出ていて賑わっていた。
た、楽しい~!
武器屋に防具屋、宿屋に道具屋に食事処。RPGで見る店が並んでいる。
遠くに見える城! あの城に王様がいて、勇者を任命するらしい。
この世界の勇者はいっぱいいる。職業も色々あるそうだ。
歩いている人も勇者みたいな格好していたり、鎧を着ていたり、ローブを来てる人もいる。魔法使いっぽい!
そんな事を考えながら歩いていれば、不意に声を掛けられた。
「君! 稀にみる美人だね! この魔物の骨付き肉買ってかない⁉︎」
「え⁉︎ 俺⁉︎」
「そうだよ! 君以外に誰がいるのさ! 一緒の二人も男前だねぇ!」
「また今度お願いします」
ユルが笑顔で断った。
二人がカッコいいのは認めるけれど、俺はどうなんだろう。
赤ん坊の頃は将来カッコよくなるとか思っていたけれど、ラヴィアスは今の俺をよく思っていないから自信ない……。
「リディオ。どこに行きたいんだ?」
「あ……決めてない」
気にしないようにして考える。
人間界がちょっと見たいと思っていただけだったから何も思い浮かばない。
「それなら、食材屋でイチゴを買うか?」
「うん!」
嬉しくてラヴィアスに笑顔を向けたら顔を逸らされた……。
先に歩いて行ってしまう。
「(フォウレの香りがするからって、まったく……)では、行きましょうか」
「うん……」
ユルが笑顔を向けてくれたので笑顔を作った。
食材屋に向かっている最中は、ラヴィアスの背中ばかり見ていた。
「ラヴィアス様、リディオが可哀想です。手ぐらい繋いであげたらどうですか? 迷子にでもなったら大変です」
「無理だ……」
「なら、私が手を繋いで歩きますよ!」
「ダメだ」
「だったら──」
俺の前で二人で何か話しているけれど、よく聞こえない。
初めての人間界は少し切ない……。
すると、ガシッと誰かに腕を掴まれた。
驚いて叫ぼうとしたら誰かの手で口も塞がれた。
羽交い締めにされて、そのままズルズルと路地裏に引きずり込まれてしまった。
あっという間の出来事でパニックだ。
バタバタと暴れてもびくともしない。
路地裏は、賑わっていた表通りと違って薄暗かった。
仲間だと思われる男の人達に囲まれる。
怖い……震えてくる。
一番偉そうな人が近付いてきた。
「上玉だなぁ! これは高く売れるぞ」
「ずっと目をつけていたんですよ。連れがいましたけど、上手く連れてこれました。こんな美人、放って置けませんよね」
いやらしい笑い声が響く。
「連れてけ」
この人達……人攫いだ。
まさかの展開に頭が追いついてこない。
人間界……コワイ……。
2
あなたにおすすめの小説
憎くて恋しい君にだけは、絶対会いたくなかったのに。
Q矢(Q.➽)
BL
愛する人達を守る為に、俺は戦いに出たのに。
満身創痍ながらも生き残り、帰還してみれば、とっくの昔に彼は俺を諦めていたらしい。
よし、じゃあ、もう死のうかな…から始まる転生物語。
愛しすぎて愛が枯渇してしまった俺は、もう誰も愛する気力は無い。
だから生まれ変わっても君には会いたく無いって願ったんだ。
それなのに転生先にはまんまと彼が。
でも、どっち?
判別のつかないままの二人の彼の愛と執着に溺死寸前の主人公君。
今世は幸せになりに来ました。
寄るな。触るな。近付くな。
きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。
頭を打って?
病気で生死を彷徨って?
いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。
見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。
シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。
しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。
ーーーーーーーーーーー
初めての投稿です。
結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。
※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。
転生×召喚
135
BL
大加賀秋都は生徒会メンバーに断罪されている最中に生徒会メンバーたちと異世界召喚されてしまった。
周りは生徒会メンバーの愛し子を聖女だとはやし立てている。
これはオマケの子イベント?!
既に転生して自分の立ち位置をぼんやり把握していた秋都はその場から逃げて、悠々自適な農村ライフを送ることにした―…。
主人公総受けです、ご注意ください。
[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません
月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない?
☆表紙絵
AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
婚約破棄と国外追放をされた僕、護衛騎士を思い出しました
カシナシ
BL
「お前はなんてことをしてくれたんだ!もう我慢ならない!アリス・シュヴァルツ公爵令息!お前との婚約を破棄する!」
「は……?」
婚約者だった王太子に追い立てられるように捨てられたアリス。
急いで逃げようとした時に現れたのは、逞しい美丈夫だった。
見覚えはないのだが、どこか知っているような気がしてーー。
単品ざまぁは番外編で。
護衛騎士筋肉攻め × 魔道具好き美人受け
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる