魔族だっていいものなんです〜転生したら魔族に愛されました〜

おみなしづき

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少し世界を知った

人間界はコワイ? ②

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 連れてかれたのは、大きな馬車だった。
 暴れようとしたらナイフを突き付けられた。

「大声出したり、逃げようとしたら足を切るからな」

 コクコクと頷く。
 後ろ手で縛られて、乱暴に馬車の中に入れられて尻餅をつく。
 中には、俺と同じように手を縛られてうずくまる男女が5人いた。
 みんな怯えている。

「あ、あの……俺達どうなりますか?」

 一番近くにいた男の子に声を掛けた。

「どこかに売られる……」

 簡潔に答えられた。
 やっぱり人攫いなんだ。
 RPGにそんな人出てくるの……?

「逃げないんですか?」

 縛られているのは手だけだ。

「逃げたやつは……もっと酷い扱いをされたから……」

 恐ろしい事を想像してゴクリと喉を鳴らす。
 ラヴィアス達は、俺がいなくなった事に気付いたはずだ。
 でも、どうやって探してもらったらいいのか途方に暮れていた。

     ◆◇◆

 馬車が動いてから少し経った。
 今がどの辺なのか全く検討もつかいない。
 そもそも人間界に来たの初めてだし……。
 それに、あまり時間が経つと髪の色……元に戻っちゃう……。

 周りを見回しても、みんな暗い顔で下を向いている。

「あ、あの……俺の家族が助けてくれると思うんです……だから、もう少し辛抱して下さいね」

 俺がラヴィアスを信じなくてどうするんだ。
 みんなは、俺を一瞥しただけで、また下を向いた。

     ◆◇◆

 馬車が急に止まった。
 外が騒がしい。
 叫ぶ声や呻き声が聞こえて何事かとみんなで怯える。

「なんだこいつら⁉︎」
「強すぎる……!」
「魔族じゃないのか⁉︎」

 魔族と聞いて思わず耳を澄ます。

「リディオ! いるのか⁉︎」

 ラヴィアスの声だ!

「ラヴィアス! 俺はここだよ!」

 やっぱり助けに来てくれた!
 不安だった心が一瞬で高揚した。

 外……ものすごい音がしている……。

 それから少しして、馬車の出入り口からケモ型のユシリスがヒョコッと顔を覗かせた。
 口の周り血だらけなんですけど……。自分の血……じゃないよね……。何をしたのか聞きたくない……。

「リディオ。外はな……その……悲惨な光景だ……」
「うん……察した」

 俺がユシリスに近付いたのに対して、中にいた人達は怯えてもっと端に固まってしまった。
 しゃべる狼なんて魔族にしかいないもんね……。

「あー……彼は……その……魔族ですけど、俺の家族なんです」
「か、家族……?」
「はい。だから、心配いりません」
「あ、あなたも魔族?」
「俺は人間なんですけどね……」

 人間なのに怯えられて苦笑いしてしまう。
 そこで、馬車の中にラヴィアスが入ってきた。
 髪の色は黒に戻っていた。ユシリスみたいに返り血はついていなくて良かった。
 俺を見るなり顔をクシャッと歪めて強く抱きしめられた。

「リディオ!」
「ラヴィアス……」

 久しぶりに抱きしめられた……。
 嬉しいとか、こんな感触だったとか、温かいとか……色んな感情が湧いてきて泣きたくなる。

「──無事で良かった」

 ラヴィアスの安心したような声に俺もホッとした。

「助けてくれてありがとう」

 胸の奥がジンとする。
 腕を縛られていた縄をヒュンッと魔法で切ってくれた。

「行くぞ」

 ラヴィアスにお姫様抱っこされた。
 こんな風に抱っこされるのも久しぶりで少し緊張する。
 そのまま馬車を出ようとするラヴィアスを止めた。

「待って。この人達の縄も切ってあげて」
「人間だろう? お前をこんな目に遭わせたのは人間だ。構う必要はない」
「でも! 俺も人間だよ……」
「…………」

 ラヴィアスの赤い瞳を真っ直ぐに見つめる。
 ラヴィアスは、俺から一緒に縛られていた人に視線を移す。
 みんな怯えている。

「──縄を切るだけだ。後は自力でどうにかしろ」

 俺の時と同じように全員の腕の縄を切ってくれた。
 ラヴィアスにお姫様抱っこされたまま、馬車を降ろされる所で俺達の背中に声が掛けられた。

「あの! あ……ありがとう!」

 俺が最初に声を掛けた男の子だった。
 魔族であるラヴィアスに向けられた言葉に無性に嬉しくなった。
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