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雷鳴は内側を暴く 煌麻視点
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その日は、ずっと天気が悪かった。
夜になってもそれは変わらないらしく、自分の部屋のソファで窓の外の空を見つめた。
暗い夜の闇の中で遠くの雲がピカッと光った気がした。
「嫌な天気だ……」
遠くでゴロゴロと雷が鳴っているような気がして目を閉じた。
雷は嫌いだ。
段々と近くなる雷鳴と、夜でも辺り一面を照らす眩しい光。
部屋が揺れているんじゃないかと錯覚するほどの轟音は、僕の恐怖の対象だった。
幼い頃に独りきりの部屋で布団にくるまってジッと耐えた記憶が蘇ってくる。
使用人はいるのに、僕の側にいてくれる人はいなかった。
雷が怖いなどとカッコ悪い事が言えるわけもなく、誤魔化しながら日々を過ごしていた。
ある時、その事に気付いたのは崇臣だった。
初等部だった頃に、部屋にいる時に雷鳴に驚き、ティーカップを持つ手がカチャカチャと震えているのに気付かれた。
『煌麻様、雷が苦手なんですか?』
崇臣に誤魔化す事はできなかった。
『だ、誰にも言うな!』
雷が怖いなんて恥ずかしい。
『はい。私と煌麻様だけの秘密ですね──』
人差し指を唇に当てて微笑む崇臣に僕は安心したんだ。
あの時からだ。夜中でも雷が鳴ると必ず僕の部屋を訪ねてくれて、手を握ってくれるようになったのは──。
ふと窓に打ち付ける雨音が、強くなっている事に気付き目を開けた。雷鳴も大きくなってくる。
「くそ……」
ゴロゴロと嫌な音を立てる空を睨む。
足がすくんでしまい、その場から動けなくなっていた。
崇臣の事なんて考えていないで、そうなる前に寝室に行って布団に入るべきだった。
段々と近付いてくる雷鳴に胸がドキドキと鳴り始める。
ピカッと光った空と、どこかで爆発したんじゃないかと思う音にびっくりして、テーブルの下に隠れて膝を抱えた。
ギュッと膝を抱えた手に力がこもる。
膝に顔を埋めて目を閉じてジッと耐える。
雷が早く過ぎ去る事を願うばかりだった。
「崇臣……なんでいないんだ……」
いない人を想うのは、こんなにも辛い事だったんだ……。
崇臣は、常に僕の隣にいて、僕の為になんでもしてくれた。
崇臣と一緒なら、苦手な雷も怖くなかった気がする。
独りになった途端、こんなにも雷が怖いものだったのだと思い出してしまった。
崇臣が僕以外の誰かを優しく見つめるなんて──耐えられない。
「煌麻様、こちらへ」
急に聞こえた声に顔を上げれば、崇臣がしゃがみ込んで僕に手を伸ばしてくれていた。
これは幻か……?
「煌麻様」
僕を優しく見つめて微笑んでくれる。
幻なんかじゃない……!
「た……崇臣……っ!」
テーブルの下から這い出て抱きつけば、崇臣が尻餅をついてその腕の中に収まる。
なんでいるんだとか、そんな事は関係なかった。
来てくれた……!
「煌麻様も大きくなられましたね。でも、雷が苦手なのは相変わらずですね」
久しぶりの崇臣に抱きしめられる感触が嬉しかった。
「どうして……どうして僕のそばを離れたんだっ! お前はずっと僕のそばにいてくれるんじゃないのか!? 勝手にいなくなるな!」
雷鳴に動揺しているのか、一気に捲し立ててしまう。
「煌麻様は、私に触れて欲しくないのでしょう?」
「違うっ……! そんな事、本気で思っていない!」
「触れてもよろしいのですか? 私はあれ以上の事も煌麻様に望んでいます。煌麻様が私を求めるのなら、私はこれ以上、遠慮は致しません」
崇臣のしている白手袋が僕の頬を撫でた。
僕を見つめる崇臣は真剣で、いつもの人を揶揄うような態度が見えない。
あれ以上の事、それが何を意味するのかはなんとなくわかる。
崇臣は、僕にそれを望んでいるのか?
それでも僕は──。
「僕は、崇臣に、そばにいて欲しいっ!」
崇臣がいないなんて考えられない。
こんな寂しい想いはもう嫌だ。
雷鳴が鳴り響いてビクリと震えた。
崇臣は僕をギュッと強く抱きしめてくれる。
この腕を誰にも渡したくない!
「あなたが望むのなら、私はずっとおそばにおりますよ」
「嘘だ! いなかったじゃないか……! どこにも行かないでくれ!」
「煌麻様……そうやってもっと私を本気で欲しがって下さい──」
崇臣は、嬉しそうに笑った。
頬に触れていた手が顎に移動した。
「私とキスをしたいと思った事はありますか?」
ずっと崇臣のキスが欲しかった。
「──ある……」
「ならば、言葉にして──」
僕を見つめる崇臣に酔わされたみたいだ……。
僕が欲しがれば、崇臣はキスをくれるのか?
「キス……して……欲しい……」
こんな事を言うのは恥ずかしい。
でも、それ以上に崇臣のキスが欲しい。
「よくできましたね──」
上向かされると崇臣の顔がゆっくりと近付く。そのまま唇を塞がれた。
キスだ──今までされた事がなかったキス──。
崇臣は、触れるだけのキスを僕にくれた。
純粋に嬉しかった。
「崇臣……もっと……もっとしろ……」
「仰せのままに……」
真っ直ぐに僕を見つめる崇臣の顔は、いつも見ているどの顔とも違う、色気を纏う顔だ。それが僕の心を高揚させた。
こんな顔もするんだ……もっと早く見たかった。
「そうやって、もっと私を欲しがって下さい──」
再び唇を塞がれると、崇臣の舌が僕の口内に侵入した。僕の舌を絡めとる。
舌と舌を絡めるキスは、僕と崇臣が溶け合うような気がして気持ちが良かった。
何度も何度も強請る。
崇臣の顔に欲望が見え隠れしてくる。
「煌麻様、私のものになって下さい──」
これは、この前の話の続きか……?
「ど、どういう意味だ……?」
今度は間違えないように、崇臣をジッと見つめる。
「私はもう煌麻様のものです。キスもその他の事も、あなたが望めば差し上げます。だから──私にも煌麻様をください──」
僕の手を取って手の甲に口付けられる。
「私があなたを自由にする事を許して下さい」
「それが、崇臣のものになるという事か……?」
「そうです。こうやってキスをするのも、あなたに触れるのも私だけで、他の誰にもさせないで──」
手にキスしながら見つめられたら、ゾクリとした。
僕は崇臣以外にこんな事をしたいと思わない。
崇臣と一緒にいれるなら、僕は崇臣のものになる。
「──……やる……僕自身をお前にやる……」
だから、ずっとそばにいて──。
崇臣は、それはそれは嬉しそうに笑った。
「私はこの時をずっと待っていました──」
ドサリと床に押し倒された。
そのまま首元のボタンを外されて、首筋にキスされた。
「ひゃっ……!」
崇臣の唇の感触が驚きと恥ずかしさと嬉しさを与えてくれる。
「私に触れられるのは、お嫌ですか……?」
「嫌では……ない……」
それどころか、胸がドキドキと鳴っていて止まらない。
「僕は……もっと……触れて欲しい……」
「煌麻様──……」
崇臣が僕を呼ぶ声がとても甘く感じた。
心臓がキュウッと縮まってしまうような感覚が心地よかった。
僕の気持ちを崇臣に伝えたい。
ずっと言えなかった本当の気持ちを──……。
「崇臣……僕はお前が──」
好きだと言おうとしたけれど、床から見上げた窓の向こうがピカッと光った。雷鳴に驚いてビクリと震えてしまう。
崇臣はそれに気付いて僕から離れて立ち上がると、僕をそっと抱き上げた。
「崇臣……?」
「申し訳ありません。煌麻様を床に寝かせるなんて、自分を見失っていました」
お姫様抱っこで寝室へ連れてかれる。
「ここでも良かった……」
崇臣のものになれるなら、場所なんてどこでもいい。
「煌麻様……意味をわかっておりますか? あまり煽らない事です──」
「意味ならわかっているつもりだ……僕はまだ崇臣のものではないのだろう? は、早く崇臣のものになりたいんだ……」
崇臣はすぐにどこかに行ってしまいそうで、そうしないと安心できない。
崇臣をどこにも行かせたくなくて、首にギュッと抱きつく。
「煌麻様が尊いです──」
「なんだそれは? どういう意味だ?」
「ふふっ。こっちの話です」
チュッと頬にキスされれば嬉しい。
雷はまだ怖い。
でも、崇臣の腕の中はものすごく安心して擦り寄った。
夜になってもそれは変わらないらしく、自分の部屋のソファで窓の外の空を見つめた。
暗い夜の闇の中で遠くの雲がピカッと光った気がした。
「嫌な天気だ……」
遠くでゴロゴロと雷が鳴っているような気がして目を閉じた。
雷は嫌いだ。
段々と近くなる雷鳴と、夜でも辺り一面を照らす眩しい光。
部屋が揺れているんじゃないかと錯覚するほどの轟音は、僕の恐怖の対象だった。
幼い頃に独りきりの部屋で布団にくるまってジッと耐えた記憶が蘇ってくる。
使用人はいるのに、僕の側にいてくれる人はいなかった。
雷が怖いなどとカッコ悪い事が言えるわけもなく、誤魔化しながら日々を過ごしていた。
ある時、その事に気付いたのは崇臣だった。
初等部だった頃に、部屋にいる時に雷鳴に驚き、ティーカップを持つ手がカチャカチャと震えているのに気付かれた。
『煌麻様、雷が苦手なんですか?』
崇臣に誤魔化す事はできなかった。
『だ、誰にも言うな!』
雷が怖いなんて恥ずかしい。
『はい。私と煌麻様だけの秘密ですね──』
人差し指を唇に当てて微笑む崇臣に僕は安心したんだ。
あの時からだ。夜中でも雷が鳴ると必ず僕の部屋を訪ねてくれて、手を握ってくれるようになったのは──。
ふと窓に打ち付ける雨音が、強くなっている事に気付き目を開けた。雷鳴も大きくなってくる。
「くそ……」
ゴロゴロと嫌な音を立てる空を睨む。
足がすくんでしまい、その場から動けなくなっていた。
崇臣の事なんて考えていないで、そうなる前に寝室に行って布団に入るべきだった。
段々と近付いてくる雷鳴に胸がドキドキと鳴り始める。
ピカッと光った空と、どこかで爆発したんじゃないかと思う音にびっくりして、テーブルの下に隠れて膝を抱えた。
ギュッと膝を抱えた手に力がこもる。
膝に顔を埋めて目を閉じてジッと耐える。
雷が早く過ぎ去る事を願うばかりだった。
「崇臣……なんでいないんだ……」
いない人を想うのは、こんなにも辛い事だったんだ……。
崇臣は、常に僕の隣にいて、僕の為になんでもしてくれた。
崇臣と一緒なら、苦手な雷も怖くなかった気がする。
独りになった途端、こんなにも雷が怖いものだったのだと思い出してしまった。
崇臣が僕以外の誰かを優しく見つめるなんて──耐えられない。
「煌麻様、こちらへ」
急に聞こえた声に顔を上げれば、崇臣がしゃがみ込んで僕に手を伸ばしてくれていた。
これは幻か……?
「煌麻様」
僕を優しく見つめて微笑んでくれる。
幻なんかじゃない……!
「た……崇臣……っ!」
テーブルの下から這い出て抱きつけば、崇臣が尻餅をついてその腕の中に収まる。
なんでいるんだとか、そんな事は関係なかった。
来てくれた……!
「煌麻様も大きくなられましたね。でも、雷が苦手なのは相変わらずですね」
久しぶりの崇臣に抱きしめられる感触が嬉しかった。
「どうして……どうして僕のそばを離れたんだっ! お前はずっと僕のそばにいてくれるんじゃないのか!? 勝手にいなくなるな!」
雷鳴に動揺しているのか、一気に捲し立ててしまう。
「煌麻様は、私に触れて欲しくないのでしょう?」
「違うっ……! そんな事、本気で思っていない!」
「触れてもよろしいのですか? 私はあれ以上の事も煌麻様に望んでいます。煌麻様が私を求めるのなら、私はこれ以上、遠慮は致しません」
崇臣のしている白手袋が僕の頬を撫でた。
僕を見つめる崇臣は真剣で、いつもの人を揶揄うような態度が見えない。
あれ以上の事、それが何を意味するのかはなんとなくわかる。
崇臣は、僕にそれを望んでいるのか?
それでも僕は──。
「僕は、崇臣に、そばにいて欲しいっ!」
崇臣がいないなんて考えられない。
こんな寂しい想いはもう嫌だ。
雷鳴が鳴り響いてビクリと震えた。
崇臣は僕をギュッと強く抱きしめてくれる。
この腕を誰にも渡したくない!
「あなたが望むのなら、私はずっとおそばにおりますよ」
「嘘だ! いなかったじゃないか……! どこにも行かないでくれ!」
「煌麻様……そうやってもっと私を本気で欲しがって下さい──」
崇臣は、嬉しそうに笑った。
頬に触れていた手が顎に移動した。
「私とキスをしたいと思った事はありますか?」
ずっと崇臣のキスが欲しかった。
「──ある……」
「ならば、言葉にして──」
僕を見つめる崇臣に酔わされたみたいだ……。
僕が欲しがれば、崇臣はキスをくれるのか?
「キス……して……欲しい……」
こんな事を言うのは恥ずかしい。
でも、それ以上に崇臣のキスが欲しい。
「よくできましたね──」
上向かされると崇臣の顔がゆっくりと近付く。そのまま唇を塞がれた。
キスだ──今までされた事がなかったキス──。
崇臣は、触れるだけのキスを僕にくれた。
純粋に嬉しかった。
「崇臣……もっと……もっとしろ……」
「仰せのままに……」
真っ直ぐに僕を見つめる崇臣の顔は、いつも見ているどの顔とも違う、色気を纏う顔だ。それが僕の心を高揚させた。
こんな顔もするんだ……もっと早く見たかった。
「そうやって、もっと私を欲しがって下さい──」
再び唇を塞がれると、崇臣の舌が僕の口内に侵入した。僕の舌を絡めとる。
舌と舌を絡めるキスは、僕と崇臣が溶け合うような気がして気持ちが良かった。
何度も何度も強請る。
崇臣の顔に欲望が見え隠れしてくる。
「煌麻様、私のものになって下さい──」
これは、この前の話の続きか……?
「ど、どういう意味だ……?」
今度は間違えないように、崇臣をジッと見つめる。
「私はもう煌麻様のものです。キスもその他の事も、あなたが望めば差し上げます。だから──私にも煌麻様をください──」
僕の手を取って手の甲に口付けられる。
「私があなたを自由にする事を許して下さい」
「それが、崇臣のものになるという事か……?」
「そうです。こうやってキスをするのも、あなたに触れるのも私だけで、他の誰にもさせないで──」
手にキスしながら見つめられたら、ゾクリとした。
僕は崇臣以外にこんな事をしたいと思わない。
崇臣と一緒にいれるなら、僕は崇臣のものになる。
「──……やる……僕自身をお前にやる……」
だから、ずっとそばにいて──。
崇臣は、それはそれは嬉しそうに笑った。
「私はこの時をずっと待っていました──」
ドサリと床に押し倒された。
そのまま首元のボタンを外されて、首筋にキスされた。
「ひゃっ……!」
崇臣の唇の感触が驚きと恥ずかしさと嬉しさを与えてくれる。
「私に触れられるのは、お嫌ですか……?」
「嫌では……ない……」
それどころか、胸がドキドキと鳴っていて止まらない。
「僕は……もっと……触れて欲しい……」
「煌麻様──……」
崇臣が僕を呼ぶ声がとても甘く感じた。
心臓がキュウッと縮まってしまうような感覚が心地よかった。
僕の気持ちを崇臣に伝えたい。
ずっと言えなかった本当の気持ちを──……。
「崇臣……僕はお前が──」
好きだと言おうとしたけれど、床から見上げた窓の向こうがピカッと光った。雷鳴に驚いてビクリと震えてしまう。
崇臣はそれに気付いて僕から離れて立ち上がると、僕をそっと抱き上げた。
「崇臣……?」
「申し訳ありません。煌麻様を床に寝かせるなんて、自分を見失っていました」
お姫様抱っこで寝室へ連れてかれる。
「ここでも良かった……」
崇臣のものになれるなら、場所なんてどこでもいい。
「煌麻様……意味をわかっておりますか? あまり煽らない事です──」
「意味ならわかっているつもりだ……僕はまだ崇臣のものではないのだろう? は、早く崇臣のものになりたいんだ……」
崇臣はすぐにどこかに行ってしまいそうで、そうしないと安心できない。
崇臣をどこにも行かせたくなくて、首にギュッと抱きつく。
「煌麻様が尊いです──」
「なんだそれは? どういう意味だ?」
「ふふっ。こっちの話です」
チュッと頬にキスされれば嬉しい。
雷はまだ怖い。
でも、崇臣の腕の中はものすごく安心して擦り寄った。
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