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釣りそっちのけで公爵夫人と一緒に新しいワインを開けた。
「魚で思い出したわ。二人にこれを差しあげるわね」
公爵夫人が宝石の付いた上品なクラッチバッグから取り出した小さな箱を私たちの手のひらに置いた。
「メイシー様!」
公爵夫人の後ろに静かに控えていた護衛の人が慌てて止めに入って来たが、公爵夫人は鼻を鳴らして話を進める。
「あなたは緩いって言ってたじゃないの。だから有効活用してくれる人にあげるのよ。これ、試作品なんだけれどちょっと大きく作り過ぎちゃったみたいなの。だから伯爵家の男性陣にぴったりだと思って持ってきたのよ」
護衛の方が耳まで真っ赤になり、両手で顔を覆っている。
手のひらの上に置かれた金で縁取りされた上品な赤い箱を開けてみたが、これなに?
指で撫でるとサラリとした手触りで触り心地が良い。
「私の若い頃は魚の浮袋とか羊の腸で作られていたのよ。でもそんなものを入れられたくないでしょう?」
「魚の浮袋ってことは……メイシーおばさん、これってまさか……」
「もちろん避妊具よ。天然ゴムが原料なのだけど、ゴムの臭いを抑えた新商品よ!自信作だから、使ったらぜひ感想を聞かせてちょうだいね」
撫で上げていた指を慌てて引っ込め蓋を閉じた。
「わ、私は使う予定が無いのでお返しします!」
「持っていて損は無いでしょ?まぁ普通サイズの人じゃ合わないけど」
公爵夫人の背後で護衛の方が崩れ落ちた。
被験体にされたのか……ご愁傷様です。
「ここまでゴム臭が無いのは素晴らしいね。他にも活用できるんじゃないか?」
避妊具に鼻を近づけクンクンと臭いを嗅ぐ美丈夫が残念過ぎる。
返すよりもらっておいた方が、話が早く終わると判断してポケットに入れた。
「まあね。でも私は快適な避妊具さえ出来ればいいのよ。魚だってアソコに被せられる為に殺されたなんて可哀想でしょ?そうだわ、ワインのお礼に私の若いころの話をしてあげる。あの頃は――――」
公爵夫人の話が面白くてついつい長居してしまい、二本のワインを飲み干してしまった。
伯爵邸へと帰る道中、護衛騎士が呆れた表情をしていた気がするが、ほろ酔いで最高に楽しい気分だった。
マーガレット様に報告をしに伺った時もまだ少しフワフワしていたので、簡単に「残念ながら釣果はゼロです」とだけ告げた。
マーガレット様も「そう」と言っただけだったが満足気に見えた。
また皆様と食事することになってしまったが、公爵夫人も加わった晩餐は大変賑やかなものだった。
それに公爵夫人とニコラス様と焚火を囲み陽気な時間を過ごした後だったので、緊張せずに食事が出来た。
「アリーを孫に会わせたかったのに、ランドルフが邪魔をしたのよ。孫の方がハンサムだし優しいの」
「メイシーおばさん、まだ諦めてなかったのか。アリーはもうすぐ俺の嫁になるのにいい加減にしてくれ」
公爵夫人はマナーもそっちのけでお肉の刺さったフォークをランドルフ様に向って振っている。
「自分に自信がないからって心が狭いのよ。アリー、まだ間に合うわ。追いかけて来る狼を振り切って逃避行なんてロマンチックじゃない?」
「誰が狼だよ。メイシーおばさん……酔っぱらってないか?」
ランドルフ様の一言に皆の視線が公爵夫人に集中する。
背中に冷や汗がたらりと流れた。
「ランドルフ、メイシーおばさまはニコラスたちと釣りをしていたの。あの湖でね」
「おいおい、魚がいないって知らなかったのかよ」
ランドルフ様に呆れられたが、話が逸れてホッとする。
あの時は楽しくって考えが至らなかったけど、公爵夫人と一緒に酔っぱらったなんて、侍女として失格だ。
「アリー、夏になったら湖で泳ぐことも出来るんだ。次来る時は領地をゆっくり見て回ろうな?」
ランドルフ様がアリー様を引き寄せキスをしている。
ランドルフ様はアリー様の姿が見えないと、猟犬のようにアリー様を捜し追いかける。普段は無愛想なのにアリー様に対してだけ執着心をみせる。こんな風に愛されるのはどんな気分だろうか。
アルコールの残った頭でぼんやりとキスする二人を眺めていると、ニコラス様がランドルフ様に声を掛けた。
「なんでキスをするんだ?」
「……愛しているからだろ?お前どうしたんだよ。恋愛に興味なかっただろ?」
「ふむ、愛しているからか。愛していないとキスしたくならないのか?」
「お前も酔っぱらっているのか?」
まずい、まずいぞ。なんてことを聞くんだニコラス様め!
「い、今っ!恋愛小説で勉強中なんです!だから興味が湧いたのだと思います!」
「クロエ、『さくらんぼ姫とチェリー』は君に禁止されたじゃないか」
ああぁ!家族の集まる食卓でなんで題名を言ってしまうのかしら。この天才ポンコツ本オタクがっ!
「あら懐かしいわ。さくらんぼ姫は私が買ったのよ。まだあったのね。私のコレクションの中でも良いストーリーだったから覚えているわ。アリーも読んでみたら?」
こ、公爵夫人!?あなたの蔵書だったのですか!
「私もぜひ読んでみたいです。ニコラス様、貸していただけますか?」
アリーさーん、読まない方がいいですぅ。読んだら絶対に公爵夫人から感想を求められますよ。
「もちろんだよ。本は知識を与えてくれるからね。さくらんぼについての描写が丁寧に書かれていたよ」
こいつ最後まで読みやがったな!
「チェリー好きなんです。美味しいですよね」
「チェリー好きとは意外だな。ランドルフは違っただろう?僕には大変参考になる内容だった」
ニコラス様、チェリー違いです!アリー様は果物の方を言っているんですよ。
「意外ですか?確かにランドルフは違いますが、私は喜んで食べます」
「俺もアリーが手ずからさくらんぼを食べさせてくれるなら喜んで食べるぞ」
童貞を並べ微笑むアリー様や、ランドルフ様に自ら胸を差し出すアリー様の姿が脳裏に浮かんでしまい慌てて首を振る。
果物の話だってば!どうも酔っぱらうと思考回路が迷子になる。
彼らの勘違いしたままの会話をケラケラ笑いながら楽しむ公爵夫人を見て頭を抱えてしまった。
なんとしてもあの本がアリー様の手に渡るのを阻止しよう!
【マーガレット様、蔵書を一冊燃やしてもよろしいでしょうか?】
「魚で思い出したわ。二人にこれを差しあげるわね」
公爵夫人が宝石の付いた上品なクラッチバッグから取り出した小さな箱を私たちの手のひらに置いた。
「メイシー様!」
公爵夫人の後ろに静かに控えていた護衛の人が慌てて止めに入って来たが、公爵夫人は鼻を鳴らして話を進める。
「あなたは緩いって言ってたじゃないの。だから有効活用してくれる人にあげるのよ。これ、試作品なんだけれどちょっと大きく作り過ぎちゃったみたいなの。だから伯爵家の男性陣にぴったりだと思って持ってきたのよ」
護衛の方が耳まで真っ赤になり、両手で顔を覆っている。
手のひらの上に置かれた金で縁取りされた上品な赤い箱を開けてみたが、これなに?
指で撫でるとサラリとした手触りで触り心地が良い。
「私の若い頃は魚の浮袋とか羊の腸で作られていたのよ。でもそんなものを入れられたくないでしょう?」
「魚の浮袋ってことは……メイシーおばさん、これってまさか……」
「もちろん避妊具よ。天然ゴムが原料なのだけど、ゴムの臭いを抑えた新商品よ!自信作だから、使ったらぜひ感想を聞かせてちょうだいね」
撫で上げていた指を慌てて引っ込め蓋を閉じた。
「わ、私は使う予定が無いのでお返しします!」
「持っていて損は無いでしょ?まぁ普通サイズの人じゃ合わないけど」
公爵夫人の背後で護衛の方が崩れ落ちた。
被験体にされたのか……ご愁傷様です。
「ここまでゴム臭が無いのは素晴らしいね。他にも活用できるんじゃないか?」
避妊具に鼻を近づけクンクンと臭いを嗅ぐ美丈夫が残念過ぎる。
返すよりもらっておいた方が、話が早く終わると判断してポケットに入れた。
「まあね。でも私は快適な避妊具さえ出来ればいいのよ。魚だってアソコに被せられる為に殺されたなんて可哀想でしょ?そうだわ、ワインのお礼に私の若いころの話をしてあげる。あの頃は――――」
公爵夫人の話が面白くてついつい長居してしまい、二本のワインを飲み干してしまった。
伯爵邸へと帰る道中、護衛騎士が呆れた表情をしていた気がするが、ほろ酔いで最高に楽しい気分だった。
マーガレット様に報告をしに伺った時もまだ少しフワフワしていたので、簡単に「残念ながら釣果はゼロです」とだけ告げた。
マーガレット様も「そう」と言っただけだったが満足気に見えた。
また皆様と食事することになってしまったが、公爵夫人も加わった晩餐は大変賑やかなものだった。
それに公爵夫人とニコラス様と焚火を囲み陽気な時間を過ごした後だったので、緊張せずに食事が出来た。
「アリーを孫に会わせたかったのに、ランドルフが邪魔をしたのよ。孫の方がハンサムだし優しいの」
「メイシーおばさん、まだ諦めてなかったのか。アリーはもうすぐ俺の嫁になるのにいい加減にしてくれ」
公爵夫人はマナーもそっちのけでお肉の刺さったフォークをランドルフ様に向って振っている。
「自分に自信がないからって心が狭いのよ。アリー、まだ間に合うわ。追いかけて来る狼を振り切って逃避行なんてロマンチックじゃない?」
「誰が狼だよ。メイシーおばさん……酔っぱらってないか?」
ランドルフ様の一言に皆の視線が公爵夫人に集中する。
背中に冷や汗がたらりと流れた。
「ランドルフ、メイシーおばさまはニコラスたちと釣りをしていたの。あの湖でね」
「おいおい、魚がいないって知らなかったのかよ」
ランドルフ様に呆れられたが、話が逸れてホッとする。
あの時は楽しくって考えが至らなかったけど、公爵夫人と一緒に酔っぱらったなんて、侍女として失格だ。
「アリー、夏になったら湖で泳ぐことも出来るんだ。次来る時は領地をゆっくり見て回ろうな?」
ランドルフ様がアリー様を引き寄せキスをしている。
ランドルフ様はアリー様の姿が見えないと、猟犬のようにアリー様を捜し追いかける。普段は無愛想なのにアリー様に対してだけ執着心をみせる。こんな風に愛されるのはどんな気分だろうか。
アルコールの残った頭でぼんやりとキスする二人を眺めていると、ニコラス様がランドルフ様に声を掛けた。
「なんでキスをするんだ?」
「……愛しているからだろ?お前どうしたんだよ。恋愛に興味なかっただろ?」
「ふむ、愛しているからか。愛していないとキスしたくならないのか?」
「お前も酔っぱらっているのか?」
まずい、まずいぞ。なんてことを聞くんだニコラス様め!
「い、今っ!恋愛小説で勉強中なんです!だから興味が湧いたのだと思います!」
「クロエ、『さくらんぼ姫とチェリー』は君に禁止されたじゃないか」
ああぁ!家族の集まる食卓でなんで題名を言ってしまうのかしら。この天才ポンコツ本オタクがっ!
「あら懐かしいわ。さくらんぼ姫は私が買ったのよ。まだあったのね。私のコレクションの中でも良いストーリーだったから覚えているわ。アリーも読んでみたら?」
こ、公爵夫人!?あなたの蔵書だったのですか!
「私もぜひ読んでみたいです。ニコラス様、貸していただけますか?」
アリーさーん、読まない方がいいですぅ。読んだら絶対に公爵夫人から感想を求められますよ。
「もちろんだよ。本は知識を与えてくれるからね。さくらんぼについての描写が丁寧に書かれていたよ」
こいつ最後まで読みやがったな!
「チェリー好きなんです。美味しいですよね」
「チェリー好きとは意外だな。ランドルフは違っただろう?僕には大変参考になる内容だった」
ニコラス様、チェリー違いです!アリー様は果物の方を言っているんですよ。
「意外ですか?確かにランドルフは違いますが、私は喜んで食べます」
「俺もアリーが手ずからさくらんぼを食べさせてくれるなら喜んで食べるぞ」
童貞を並べ微笑むアリー様や、ランドルフ様に自ら胸を差し出すアリー様の姿が脳裏に浮かんでしまい慌てて首を振る。
果物の話だってば!どうも酔っぱらうと思考回路が迷子になる。
彼らの勘違いしたままの会話をケラケラ笑いながら楽しむ公爵夫人を見て頭を抱えてしまった。
なんとしてもあの本がアリー様の手に渡るのを阻止しよう!
【マーガレット様、蔵書を一冊燃やしてもよろしいでしょうか?】
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