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すぐ近くで声がする。
「あなたはどこまでも馬鹿です。まさか本人に変態行為を告げるとは」
「また気絶するなんて思わなかったんだよ。しかし変態行為とは酷いな。クロエに対して罪悪感はあるが、行為自体は健康維持の為に必要なものだ。断じて変態ではない。マーガレットだってやっと初恋を迎えたのねと言っていたじゃないか」
そよそよと顔に風が送られてくる。うるさいなぁ。せっかく風が気持ちいのに静かにしてよ。
「だからってクロエに白状する必要はなかったでしょう?すべき事は白状ではなく告白です」
「しかし、これからもクロエの足首にお世話になるのだ。きちんと断っておくのが礼儀だろう」
足首?……何か忘れているような気がする。
「あなたは秘め事という言葉を知らないのですか?間抜けな律義さは迷惑です。胸でも尻でも妄想して良いですが本人に伝えるのはお付き合いをしてからになさい」
「付き合ったら伝えるのか?なら伝えたのだから僕たちは付き合っているという事か?」
「あなたは一方的に変態行為を宣言しただけです。付き合った後ならば多少のスパイスにもなりましょうが、片思いならただの気持ち悪い変態ですよ」
「うむ、男女関係は僕には難し過ぎる」
「本当にポンコツだこと」
はっ!思い出した!
「ニコラス様を誘惑しておりませんっ!いだっ!」
ゴーンッという音がしておでこに激痛が走る。
「おっちょこちょいねクロエ。あなたが誘惑したなんて思ってもいませんよ。それより額を見せなさい」
どうやら、マーガレット様が扇子で扇いでくれていたようだが、焦って起き上がってしまったので、扇子に突っ込んでしまったようだ。
……扇子の音とは思えない音がしたけど。
「冷やした方がよさそうだわ。ニコラス、氷嚢を」
素早く扉から出て行ってしまったが、ニコラス様自ら行かれるなんて申し訳ない。
メイドを呼んだ方が良かったのではないだろうか。
「あの、自分でもらって来ます」
寝かされていたソファーから起き上がろうとして、マーガレット様に止められる。
「今まで気絶したことの無いあなたがこの短い期間で二度も気絶したのですよ?ニコラスが絡んでいなければ医者を呼ぶところです」
ニコラス様が絡んでいるなら気絶も納得という事だろうか。そんな気絶者製造マシーンを私に預けないで欲しい。
「あの子の世間知らずには驚かされるでしょう?人とのかかわりが乏しいまま大人になってしまって、このまま屋敷の中だけの狭い世界で生きて行く方が幸せだと考える人も多いわ。でもね、私はそうは思わないの」
わずかに口角を上げながらも、寂しそうな顔をしたマーガレット様が続ける。
「多くの人間は世を知ってから、より詳細な知識を求めて本を開くわ。あの子は先に本を開いただけ。だから今からでも、あの子に本の外にもっと広い世界があると知って欲しいの。気付いた時にはあの子の殻は随分と厚くなっていたわ。私ではその厚い殻を壊すことが出来なかった。クロエ、あなたはたった数日であの子を殻から出すことに成功した。お願い、あの子を見捨てないでちょうだい。明日も一緒に過ごしてやってくれないかしら?明日で最後だもの。お願いよ、クロエ……」
マーガレット様……いつも気丈なマーガレット様が俯いて肩を震わす姿を見て断ることなどできるはずがない。
「もちろんですわ!お役に立てているのか分かりませんが、私でよければ明日もニコラス様と共に過ごします」
私まで泣いてしまいそうだわ。
「よかったわ。実はドレスも作ってあるの。明日はニコラスのパートナーとして、結婚式に参加してちょうだいね」
あ、あれ?涙をこぼしているとばかり思っていたマーガレット様の顔は満足そうに口角が上がっていた。
【マーガレット様……あれぇ???】
「あなたはどこまでも馬鹿です。まさか本人に変態行為を告げるとは」
「また気絶するなんて思わなかったんだよ。しかし変態行為とは酷いな。クロエに対して罪悪感はあるが、行為自体は健康維持の為に必要なものだ。断じて変態ではない。マーガレットだってやっと初恋を迎えたのねと言っていたじゃないか」
そよそよと顔に風が送られてくる。うるさいなぁ。せっかく風が気持ちいのに静かにしてよ。
「だからってクロエに白状する必要はなかったでしょう?すべき事は白状ではなく告白です」
「しかし、これからもクロエの足首にお世話になるのだ。きちんと断っておくのが礼儀だろう」
足首?……何か忘れているような気がする。
「あなたは秘め事という言葉を知らないのですか?間抜けな律義さは迷惑です。胸でも尻でも妄想して良いですが本人に伝えるのはお付き合いをしてからになさい」
「付き合ったら伝えるのか?なら伝えたのだから僕たちは付き合っているという事か?」
「あなたは一方的に変態行為を宣言しただけです。付き合った後ならば多少のスパイスにもなりましょうが、片思いならただの気持ち悪い変態ですよ」
「うむ、男女関係は僕には難し過ぎる」
「本当にポンコツだこと」
はっ!思い出した!
「ニコラス様を誘惑しておりませんっ!いだっ!」
ゴーンッという音がしておでこに激痛が走る。
「おっちょこちょいねクロエ。あなたが誘惑したなんて思ってもいませんよ。それより額を見せなさい」
どうやら、マーガレット様が扇子で扇いでくれていたようだが、焦って起き上がってしまったので、扇子に突っ込んでしまったようだ。
……扇子の音とは思えない音がしたけど。
「冷やした方がよさそうだわ。ニコラス、氷嚢を」
素早く扉から出て行ってしまったが、ニコラス様自ら行かれるなんて申し訳ない。
メイドを呼んだ方が良かったのではないだろうか。
「あの、自分でもらって来ます」
寝かされていたソファーから起き上がろうとして、マーガレット様に止められる。
「今まで気絶したことの無いあなたがこの短い期間で二度も気絶したのですよ?ニコラスが絡んでいなければ医者を呼ぶところです」
ニコラス様が絡んでいるなら気絶も納得という事だろうか。そんな気絶者製造マシーンを私に預けないで欲しい。
「あの子の世間知らずには驚かされるでしょう?人とのかかわりが乏しいまま大人になってしまって、このまま屋敷の中だけの狭い世界で生きて行く方が幸せだと考える人も多いわ。でもね、私はそうは思わないの」
わずかに口角を上げながらも、寂しそうな顔をしたマーガレット様が続ける。
「多くの人間は世を知ってから、より詳細な知識を求めて本を開くわ。あの子は先に本を開いただけ。だから今からでも、あの子に本の外にもっと広い世界があると知って欲しいの。気付いた時にはあの子の殻は随分と厚くなっていたわ。私ではその厚い殻を壊すことが出来なかった。クロエ、あなたはたった数日であの子を殻から出すことに成功した。お願い、あの子を見捨てないでちょうだい。明日も一緒に過ごしてやってくれないかしら?明日で最後だもの。お願いよ、クロエ……」
マーガレット様……いつも気丈なマーガレット様が俯いて肩を震わす姿を見て断ることなどできるはずがない。
「もちろんですわ!お役に立てているのか分かりませんが、私でよければ明日もニコラス様と共に過ごします」
私まで泣いてしまいそうだわ。
「よかったわ。実はドレスも作ってあるの。明日はニコラスのパートナーとして、結婚式に参加してちょうだいね」
あ、あれ?涙をこぼしているとばかり思っていたマーガレット様の顔は満足そうに口角が上がっていた。
【マーガレット様……あれぇ???】
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