完結【マーガレット様、初対面の天才引きこもり男に股を開けと言われたらどうすればよろしいでしょうか?】

三月ねね

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「ニコラス、遅かったわね。さっさとクロエの額を冷やしてちょうだい」
わっ冷たい。氷嚢を受け取ろうとしたが、なぜかニコラス様が離してくれない。
「マーガレット、クロエのおでこがへこんでしまったらどうするんだ。その扇子は手放すべきだ」
ふんっと鼻で笑ったマーガレット様が、呆れた目でニコラス様を見る。
「手放せませんよ。淑女は扇子で戦うのです。あなたったら本当に何も知らないのね」
淑女は扇子で会話をしますが、戦っている姿は見たことがありません。
「そうなのか?知らなかったな。どの本にも書いていなかった。しかし屈強な戦士が扇子を見て縮み上がるとは思えないのだが」
そりゃそうですよ。真に受けないで下さい。
「縮みあがりますとも。狙う的はそこですからね」
真っすぐにニコラス様のアレを扇子で指し示す。
そっと腰を引いたニコラス様が青い顔になった。
「……確かに銃も落とすだろう。効果覿面だと同意するからその扇子を引いてくれ」
「情けないわね。ランドルフはこれの餌食になっても元気にしているじゃない」
微笑んだマーガレット様は壮絶に美しかったが、ランドルフ様が無事に子宝に恵まれるように祈っておこう……。
「明日の結婚式ではクロエがパートナーですからね。失礼の無いようにきちんとエスコートしなさい」
端的に告げ出て行ってしまった。
「そのようになりました。よろしくお願いします」
おでこに氷嚢を押し付けられたまま、小さくペコリと頭を下げる。
下げた頭の動きにもついてきた氷嚢をもう一度受け取ろうとしたが、放してもらえない。
「君がパートナーになってくれるなら安心だ。僕がマナー違反をしたらお尻をつねってくれよ」
最初にアレを見た時の事を思い出す。四つん這いになったニコラス様の張りのある白いお尻。あんな綺麗なお尻を摘まんだらバチが当たりそうだ。
「あのぉ、私でいいのでしょうか?今からでもマーガレット様に他の方を紹介していただいた方がいいのでは?」
「クロエが良い」
食い気味に返事をされて、顔が赤くなる。
「至らないでしょうが、精一杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします」
ニコラス様がへにょりと眉を下げる。
「畏まらないでくれ。二人の時は友達らしく話をしよう。友達で思い出したが、僕の自慰の事で確認がある。君で自慰する許可を貰っていないだろ?友達関係にも関わらず勝手に――」
「わぁーー!もうその話はいいです。忘れますのでニコラス様も忘れて下さい!」
「いや、さっきクロエを運んだ時も勃起してしまったんだ。君が気絶したにもかかわらず不謹慎だと思ったんだが、抱えた時に足首どころかふくろはぎまで見てしまい――」
「許可します!私を妄想使用してください!この話はこれでおしまいです!!」
なんでこの会話の内容でそんなに爽やかに微笑めるのか分からないが、花が開くようにふわりと笑った。
「よかった。これで心置きなく君で自慰が出来る。君を想像しながらすると非常に気持ちいいんだ。まるで今までの自慰行為が嘘の――」
「だーかーらーその話は無しです!」
「あぁ、そうだったね。悪かった。許可をもらって安心したんだ。それにあまりの快感だったから誰かとこの感動を分かち合いたくてね」
そういうのは男同士の猥談でして……いや、自分が猥談のネタになるなんて嫌だ。
頭を抱えかけて、まだおでこに氷嚢が当てられていたと思い出した。
「もう大丈夫です。十分冷やしていただきました。ありがとうございました」
氷嚢を外し、おでこを確認している。
「へこんでも膨らんでも無い。今後マーガレットの扇子には近づかないように」
くすぐったいほどそっとおでこを撫でられ、チュっと音を立ててキスをした後ペロリペロリと舐め始めた。
咄嗟に反応出来ずにいると、冷え切っていたおでこにニコラス様の生温かい舌が這う。
「なっ、何をするんですか!」
目の前の整った顔を押し返し、片手でおでこを覆う。
美しい顔が潰されているが知ったことか。
歪んだ唇からくぐもった声が聞こえて来る。
「まじないはろ。ひたいのひたいのほんでいへ」
額を飛ばさないで下さい。じゃなくて、
「なんで舐めるんですか!キスも!」
「動物もすると言っただろ?それにこの前ランドルフがアリーさんに、扇子の餌食になった腹にキスしておまじないを言って欲しいとねだっていた」
「それは恋人同士だからです!」
ランドルフ様、二人っきりの時におねだりして下さいよ。ニコラス様は真っ白なキャンバスなんで影響を受けやすいんです。
「……でも僕が扇子の餌食になった時はクロエに舐めて欲しいんだ」
「舐めませーーん!!」

【マーガレット様、下の弟君おとうとぎみは堂々たる変態で、上の弟君おとうとぎみは純粋な変態です】
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