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「あのぉ、あんまり見ないでもらえますかね。それに足元に注意しないと危ないですよ」
伯爵家の敷地内にある教会まで歩いて向かっているのだけれど、顔に穴があきそうなほど見られている。
「うっ、申し訳ない。あまりに美しくて……」
鏡を覗いたら絶世の美人が見れるのに。
顔から視線は外れたが、今度は汚れないように少し持ち上げながら歩いているドレスの裾辺りを見られている気がする。
「……足首見てます?」
「い、今、見始めた所だから、たまたまだと言い逃れできるくらいしか見ていない」
言い訳を相手にばらしちゃダメでしょ。ほんとに嘘が付けないんだから。
「見ないで下さいよ。それにしても髪を切ってさっぱりしましたね」
伸ばしっぱなしだったサイドが短くなって、中性的な雰囲気に爽やかさが加わった。
「……クロエは短い方が好きか?」
「どうでしょう?長さと言うより似合っていればいいんじゃないでしょうか。ニコラス様はどちらでも素敵だと思いますよ」
「よかった。短い方が好きだと言われたら、魚屋の店主のような髪型にしようかと思ったが手入れが大変そうだからな」
二人で買い物に行った魚屋さんを思い出す。あー、あれは短いんじゃなくてツルツルだ。薄くなったから残りも剃ってるタイプの人だ。
「そうですね、毎日剃るのは大変ですよ。でも、あれはあれで潔くていいと思います。お似合いでしたしね」
「難しいな。似合う似合わないの基準が分からない」
小さな事でも難しく考えるニコラス様にとっては、何気ない日常もストレスになるのではないだろうか。あのおつかいは私が考えるよりも大冒険だったのかも。
無理をして部屋の外へ出る必要はあるのだろうか。
もちろん領地経営をするためには、領民を知らなければいけない。
でも、今までも、信頼できる人に外の情報を教えてもらっていたから、健全な領地経営が出来ていたのだろう。
ストレスになるのなら……。
「ニコラス様、今までの私の言動とは反するかもしれませんが、もし外に出るのが苦痛なら無理する必要は無いと思います」
「ありがとう。クロエは本当に優しいな。でも苦痛ではないんだ。学校に通っていた頃も楽しかったし、今でも何人かの友達は訪ねて来てくれる」
杞憂だったわ。でも帰る前に確かめておいてよかった。帰ってから気が付いても何もしてあげられないもの。
「じゃあニコラス様は学校を卒業して以来、会話の回数が少なかっただけですね」
コミニュケーション力を高める為に、買い物や領地の見回りも適しているが、一番良いのは……
「女性とお付き合いをしてみては?」
言った瞬間にズキリと心が痛んだが、明日ここを去る私に出来ることはもう少ない。心が痛もうがニコラス様の事を思うなら言うべきだ。
「クロエが良い。好意を抱いたのはクロエが初めてだし、僕のアレが反応したのもクロエだけだ」
直球!また、ニコラス様の下半身を確認してしまった。お元気そうで……。
「ねぇ、クロエ?そのドレスの下は僕が見た白い下着なんだよね?水色のパンツと甲乙つけがたいほど似合っていた」
「禁止―――!卑猥な話は禁止です!今日は結婚式なんですから特に気を付けて下さいね!!」
「残念。人生で初めて女性を誘ってみたんだけど失敗しちゃったな。また頑張るよ」
頑張らないでくださいよ。
到着した教会は石灰岩で作られた真っ白な教会だが、その形がなんとも奇妙で、まるでフレアスカートを半分にして地面に置いたよう。
半円形の入り口は小さくて、奥に向かって大きく広がっている。
「おとぎ話に出てくる妖精のお家みたいですね」
周囲に野花が咲き、背後には釣りをした湖が広がっている。
「数代前の伯爵が建築に凝っていたらしい。こじんまりとしているが、この教会の本当の素晴らしさは入らないと分からないんだ」
高さが二メートルほどの扉を開けて中に入ると、言葉を失った。
薄暗い入り口から徐々に広くなる壁の突き当りが全面ガラスになっていて、鮮やかな青が網膜を打ち振るわす。
キラキラ輝く湖面と空の青。次々に色を変える無限の青がそこにある。
踏み出しそうになって慌てて足を引く。危ない、ヴァージンロードを歩くところだった。
「……言葉が出ないほど綺麗です」
「暗い入り口から明るい正面までが計算つくされた設計になっているんだ。壁が白いから湖面の反射が壁に映りゆらゆらと揺れる。だから水の中に居るみたいだろ?」
この教会で永遠の愛を誓ったら本当に叶いそうな気がする。
「さぁ、控室に挨拶に行こうか」
もう少し見ていたかったが、あまり時間の余裕がない。
花嫁控室では、多くの参列者がアリー様を囲んでいた。
「おめでとうございます。お姫様のようです!」
繊細な百合模様のレースが清楚な雰囲気でとってもお似合いだ。
「ありがとうございます。クロエさんもそのドレスお似合いです」
ふわりと笑ったアリー様は本当に幸せそうだ。
お祝いの品を渡し、ニコラス様の方を振り向いた時……
「ぐぇぇーー!」
「神聖な結婚式でありえません。なんて非常識で破廉恥な弟なんでしょう。いっそのこと不能になればいいわ」
あわわわっ!どうやらマーガレット様に大きくなったままだったアレを扇子で成敗されたみたいだ。
人とは思えない声を出した後、呻きながら床をゴロゴロと転がっている。
あまりの痛みにじっとしていられないのだろう。この痛がりようは尋常ではない。
部屋の隅まで転がってやっと止まったニコラス様に駆け寄り腰をさする。
さすって楽になるのか分からないけど、打たれた所をさするわけにはいかないし、この方法以外に思いつかない。
「ばっかだなぁ。マーガレットの目の前でおっ勃てるなんてタイミングの悪い奴だ。クロエちゃん、おっさんが代わってやるよ」
伯爵様が我が子の災難を笑いながら、ニコラス様の腰を拳で叩く。
なるほど叩けばよかったのか。勉強になりました。
でもハレの日なのにこんなことで良い訳がない。どうにか収拾しないと。
「それにしても弟の結婚式で勃起がおさまらんなんてマヌケだな」
伯爵様、結婚式で勃起とか言わないで下さい。一生の思い出になるのにアリー様が可哀そうだ。
「あら、年を取ると自分のことは忘れてしまうのかしら。私はあなたの結婚式の事を忘れちゃいませんけどね。新妻を見ながら一日中同じ状態だったじゃないの。姉として恥ずかしかったわ。あの時鉄骨入りの扇子があったら、私もマーガレットと同じことをしていたでしょうね」
伯爵の姉である公爵夫人が加わった為、潔く諦めた。釣りの時だって夫人の独断場だったもの。
あぁ、アリー様ごめんなさい。もうこの家族を止めることは私には無理です。
オロオロしていると、袖を小さく引っ張られ振り返る。なんとアリー様は笑っていた。
「ランドルフに結婚式もお葬式も主役より招待客の方が目立つと言われてたから、それも良い思い出になるって楽しみにしてたのよ。まぁ、こんな事になるとは思っていなかったから、ニコラス様には申し訳ないけど……」
心の広い方だわ。アリー様ならこの家でもやっていけるに違いない。
「アリー様……」
アリー様を取り囲んでいた人が、ニコラス様の周りに流れて行って、過去の笑い話に花が咲いている。
「クロエさん、私のことはアリーと呼んで。平民だから様を付けられるのは慣れていないし、クロエさんとはもっと親しくなりたいの」
伯爵家のご子息に嫁ぐ方をそのように呼んでいいのだろうかと思うが、私もアリー様と仲良くなりたいと思っていた。
「プライベートな場所ではお言葉に甘えさせてもらいますね。どうか私の事もクロエと呼んでください……アリーおめでとう。幸せになってね」
「嬉しいです!私、長女なのでお姉さんが欲しかったの。ベルやクロエと知り合えて幸せよ」
ニカッと笑ったアリーの笑顔はフォーマルな服装とギャップがあって可愛い。
これはランドルフ様が一日も早く囲い込もうとするのも分かる。危険だわ。誘拐して愛でたくなる。
「そろそろランドルフ様にもご挨拶に行かないと……」
「ランドルフの所は立ち入り禁止なの」
立ち入り禁止?
「私に会いに来ようとするから、スタン様と兵団の皆で押さえつけているのよ。だから誰も会いに行かないの。これも良い思い出になるはずよ……きっと……いつか……たぶんね」
遠い目が痛々しい。
「そ、そうですか、そうですね。きっと今日のことも皆さんが喜んで笑い話にしてくれますよ」
「ふふっ、そうね、すぐに笑い話にしてくれるわね。ネタが提供できてよかったわ」
二人で諦めのため息をついて、アリー様が持ったままだった使用人一同からのお祝いの品を開ける。
「……シーツ?」
ベッドシーツが二枚入っていた。それも侯爵家に用意されたランドルフ様とアリー専用の部屋で使われているのと同じシーツだと思う。
複雑な織の入ったシーツは、あの部屋だけで使われている特注品だもの。
でも、なぜシーツが二枚?カバーとシーツのセットの方がいいよね?まさか間違えた?
「なるほどそう来たか」
なぜかくすくす笑い出したアリーを見て不思議に思う。
「ありがとうと伝えておいて下さい。マーガレット様に仕えているだけあって洒落の利いた方たちね。あははっ、間違いなくランドルフが盗んだシーツと同じ物だわ」
全く理解できていないけど、花嫁が幸せそうだから、お祝いの品選びは正解だったのだろう。
【マーガレット様、合計三本あっても持ち主にとってはたった一本なんですよ】
伯爵家の敷地内にある教会まで歩いて向かっているのだけれど、顔に穴があきそうなほど見られている。
「うっ、申し訳ない。あまりに美しくて……」
鏡を覗いたら絶世の美人が見れるのに。
顔から視線は外れたが、今度は汚れないように少し持ち上げながら歩いているドレスの裾辺りを見られている気がする。
「……足首見てます?」
「い、今、見始めた所だから、たまたまだと言い逃れできるくらいしか見ていない」
言い訳を相手にばらしちゃダメでしょ。ほんとに嘘が付けないんだから。
「見ないで下さいよ。それにしても髪を切ってさっぱりしましたね」
伸ばしっぱなしだったサイドが短くなって、中性的な雰囲気に爽やかさが加わった。
「……クロエは短い方が好きか?」
「どうでしょう?長さと言うより似合っていればいいんじゃないでしょうか。ニコラス様はどちらでも素敵だと思いますよ」
「よかった。短い方が好きだと言われたら、魚屋の店主のような髪型にしようかと思ったが手入れが大変そうだからな」
二人で買い物に行った魚屋さんを思い出す。あー、あれは短いんじゃなくてツルツルだ。薄くなったから残りも剃ってるタイプの人だ。
「そうですね、毎日剃るのは大変ですよ。でも、あれはあれで潔くていいと思います。お似合いでしたしね」
「難しいな。似合う似合わないの基準が分からない」
小さな事でも難しく考えるニコラス様にとっては、何気ない日常もストレスになるのではないだろうか。あのおつかいは私が考えるよりも大冒険だったのかも。
無理をして部屋の外へ出る必要はあるのだろうか。
もちろん領地経営をするためには、領民を知らなければいけない。
でも、今までも、信頼できる人に外の情報を教えてもらっていたから、健全な領地経営が出来ていたのだろう。
ストレスになるのなら……。
「ニコラス様、今までの私の言動とは反するかもしれませんが、もし外に出るのが苦痛なら無理する必要は無いと思います」
「ありがとう。クロエは本当に優しいな。でも苦痛ではないんだ。学校に通っていた頃も楽しかったし、今でも何人かの友達は訪ねて来てくれる」
杞憂だったわ。でも帰る前に確かめておいてよかった。帰ってから気が付いても何もしてあげられないもの。
「じゃあニコラス様は学校を卒業して以来、会話の回数が少なかっただけですね」
コミニュケーション力を高める為に、買い物や領地の見回りも適しているが、一番良いのは……
「女性とお付き合いをしてみては?」
言った瞬間にズキリと心が痛んだが、明日ここを去る私に出来ることはもう少ない。心が痛もうがニコラス様の事を思うなら言うべきだ。
「クロエが良い。好意を抱いたのはクロエが初めてだし、僕のアレが反応したのもクロエだけだ」
直球!また、ニコラス様の下半身を確認してしまった。お元気そうで……。
「ねぇ、クロエ?そのドレスの下は僕が見た白い下着なんだよね?水色のパンツと甲乙つけがたいほど似合っていた」
「禁止―――!卑猥な話は禁止です!今日は結婚式なんですから特に気を付けて下さいね!!」
「残念。人生で初めて女性を誘ってみたんだけど失敗しちゃったな。また頑張るよ」
頑張らないでくださいよ。
到着した教会は石灰岩で作られた真っ白な教会だが、その形がなんとも奇妙で、まるでフレアスカートを半分にして地面に置いたよう。
半円形の入り口は小さくて、奥に向かって大きく広がっている。
「おとぎ話に出てくる妖精のお家みたいですね」
周囲に野花が咲き、背後には釣りをした湖が広がっている。
「数代前の伯爵が建築に凝っていたらしい。こじんまりとしているが、この教会の本当の素晴らしさは入らないと分からないんだ」
高さが二メートルほどの扉を開けて中に入ると、言葉を失った。
薄暗い入り口から徐々に広くなる壁の突き当りが全面ガラスになっていて、鮮やかな青が網膜を打ち振るわす。
キラキラ輝く湖面と空の青。次々に色を変える無限の青がそこにある。
踏み出しそうになって慌てて足を引く。危ない、ヴァージンロードを歩くところだった。
「……言葉が出ないほど綺麗です」
「暗い入り口から明るい正面までが計算つくされた設計になっているんだ。壁が白いから湖面の反射が壁に映りゆらゆらと揺れる。だから水の中に居るみたいだろ?」
この教会で永遠の愛を誓ったら本当に叶いそうな気がする。
「さぁ、控室に挨拶に行こうか」
もう少し見ていたかったが、あまり時間の余裕がない。
花嫁控室では、多くの参列者がアリー様を囲んでいた。
「おめでとうございます。お姫様のようです!」
繊細な百合模様のレースが清楚な雰囲気でとってもお似合いだ。
「ありがとうございます。クロエさんもそのドレスお似合いです」
ふわりと笑ったアリー様は本当に幸せそうだ。
お祝いの品を渡し、ニコラス様の方を振り向いた時……
「ぐぇぇーー!」
「神聖な結婚式でありえません。なんて非常識で破廉恥な弟なんでしょう。いっそのこと不能になればいいわ」
あわわわっ!どうやらマーガレット様に大きくなったままだったアレを扇子で成敗されたみたいだ。
人とは思えない声を出した後、呻きながら床をゴロゴロと転がっている。
あまりの痛みにじっとしていられないのだろう。この痛がりようは尋常ではない。
部屋の隅まで転がってやっと止まったニコラス様に駆け寄り腰をさする。
さすって楽になるのか分からないけど、打たれた所をさするわけにはいかないし、この方法以外に思いつかない。
「ばっかだなぁ。マーガレットの目の前でおっ勃てるなんてタイミングの悪い奴だ。クロエちゃん、おっさんが代わってやるよ」
伯爵様が我が子の災難を笑いながら、ニコラス様の腰を拳で叩く。
なるほど叩けばよかったのか。勉強になりました。
でもハレの日なのにこんなことで良い訳がない。どうにか収拾しないと。
「それにしても弟の結婚式で勃起がおさまらんなんてマヌケだな」
伯爵様、結婚式で勃起とか言わないで下さい。一生の思い出になるのにアリー様が可哀そうだ。
「あら、年を取ると自分のことは忘れてしまうのかしら。私はあなたの結婚式の事を忘れちゃいませんけどね。新妻を見ながら一日中同じ状態だったじゃないの。姉として恥ずかしかったわ。あの時鉄骨入りの扇子があったら、私もマーガレットと同じことをしていたでしょうね」
伯爵の姉である公爵夫人が加わった為、潔く諦めた。釣りの時だって夫人の独断場だったもの。
あぁ、アリー様ごめんなさい。もうこの家族を止めることは私には無理です。
オロオロしていると、袖を小さく引っ張られ振り返る。なんとアリー様は笑っていた。
「ランドルフに結婚式もお葬式も主役より招待客の方が目立つと言われてたから、それも良い思い出になるって楽しみにしてたのよ。まぁ、こんな事になるとは思っていなかったから、ニコラス様には申し訳ないけど……」
心の広い方だわ。アリー様ならこの家でもやっていけるに違いない。
「アリー様……」
アリー様を取り囲んでいた人が、ニコラス様の周りに流れて行って、過去の笑い話に花が咲いている。
「クロエさん、私のことはアリーと呼んで。平民だから様を付けられるのは慣れていないし、クロエさんとはもっと親しくなりたいの」
伯爵家のご子息に嫁ぐ方をそのように呼んでいいのだろうかと思うが、私もアリー様と仲良くなりたいと思っていた。
「プライベートな場所ではお言葉に甘えさせてもらいますね。どうか私の事もクロエと呼んでください……アリーおめでとう。幸せになってね」
「嬉しいです!私、長女なのでお姉さんが欲しかったの。ベルやクロエと知り合えて幸せよ」
ニカッと笑ったアリーの笑顔はフォーマルな服装とギャップがあって可愛い。
これはランドルフ様が一日も早く囲い込もうとするのも分かる。危険だわ。誘拐して愛でたくなる。
「そろそろランドルフ様にもご挨拶に行かないと……」
「ランドルフの所は立ち入り禁止なの」
立ち入り禁止?
「私に会いに来ようとするから、スタン様と兵団の皆で押さえつけているのよ。だから誰も会いに行かないの。これも良い思い出になるはずよ……きっと……いつか……たぶんね」
遠い目が痛々しい。
「そ、そうですか、そうですね。きっと今日のことも皆さんが喜んで笑い話にしてくれますよ」
「ふふっ、そうね、すぐに笑い話にしてくれるわね。ネタが提供できてよかったわ」
二人で諦めのため息をついて、アリー様が持ったままだった使用人一同からのお祝いの品を開ける。
「……シーツ?」
ベッドシーツが二枚入っていた。それも侯爵家に用意されたランドルフ様とアリー専用の部屋で使われているのと同じシーツだと思う。
複雑な織の入ったシーツは、あの部屋だけで使われている特注品だもの。
でも、なぜシーツが二枚?カバーとシーツのセットの方がいいよね?まさか間違えた?
「なるほどそう来たか」
なぜかくすくす笑い出したアリーを見て不思議に思う。
「ありがとうと伝えておいて下さい。マーガレット様に仕えているだけあって洒落の利いた方たちね。あははっ、間違いなくランドルフが盗んだシーツと同じ物だわ」
全く理解できていないけど、花嫁が幸せそうだから、お祝いの品選びは正解だったのだろう。
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