35 / 39
34
しおりを挟む
応接室に戻って来て座らされる。
さっきと違うのは、ハンナさんに代わりニコラス様が居るところだ。
皆が無言で紅茶を飲んでいる中、手は繋がれたままで放してくれない。
前に座る二人の視線が繋がれた手に集まっていて、汗が出てきた。
「マーガレット、あれをよこしなさいな」
「まだ決着はついていませんわ」
「あきらめの悪い子ね」
「正確に判定しないと」
やっと無言の壁が崩れたけれど、何の話?
「二人に聞くわ。結婚するの?」
「いいえ!」
「もちろん!」
ほぼ同時に別の返答をしてしまい、気まずい空気が流れる。
「……やっぱり僕は捨てられたんだね。童貞だったから?下手だった?」
「いいえ!そうでは無くて!」
「あら、ニコラスの童貞を奪った責任は取らないの?」
公爵夫人が前世紀の乙女のような攻め方をしてくる。でも処女を奪ったならまだしも、童貞を奪って結婚は聞いたことが無い。
「下手じゃなかったならなんで?僕を好きだって言ってくれたよね?嘘だったの?」
号泣しながら、血走った目で瞬きもせずこちらを凝視する美丈夫の扱い方が分からない。
純粋な女性を騙して処女を奪った悪い男になった気分がする。
「馬鹿ねニコラス。好きにも色々あります。結婚するほどの恋情は無いののよ。あなたの妻になるより私の侍女の仕事の方が好きと判断したのではないかしら」
「そんなことありません!あ、いえ、あの、侍女のお仕事は好きです。マーガレット様にお仕え出来て幸せです。なのでどちらが好きと言うのではなくて、ニコラス様には相応の家柄の方がふさわしいと……」
前に座る二人ともが扇子を広げ口元を隠しているが、楽しんでいるように見えるのは気のせいだろうか?
「アリーの事を認めていないの?彼女は平民だけど、ランドルフと結婚したわ」
「アリー様は素晴らしい方です!ランドルフ様とお似合いで、心から祝福いたしております!」
本当にお二人は素晴らしい。愛し愛され信頼し合っているのが分かる。魂の片割れを見つけたのだと思っている。
「伯爵家は家柄など気にしないわよ。ベルもアリーも貴族じゃないけど、誰もそんなこと指摘しないわ。当人たちが幸せなら良いのよ」
黙って聞いていたニコラス様が握っていた手にぎゅっと力を入れたので、恐る恐るニコラス様を見ると真剣な目で私を見ていた。
……お願いですから瞬きしてください。
「あの時、目覚めたら真っ先に告げようと決心していたんだ。ちょっとおじさんだけど大事にするから結婚して欲しいと……僕にはクロエしかいない。一緒に過ごした数日間で初めて生きていると感じたんだ。だからクロエが去ってから僕の世界はまた太陽の無い世界に戻ってしまった。お願いだ、同情でもいいから僕の傍にいて欲しい」
まだ無精ひげは生えているし、髪もボサボサだけど、今までで一番カッコよく見える。
「いいんでしょうか……隣にいても」
好きな人の隣に居られる人生を送りたい。
「当たり前だよ!僕がクロエしかダメなんだ。結婚してくれる?」
ニコラス様の隣に居たい。
「はい。よろしくお願いいたします」
抱きしめ合って二人でおいおい泣いた。幸せ過ぎてどうしても涙が止まらなかった。
「もうそろそろ次に進めても?」
はい?マーガレット様?
「ですから、結婚式はいつにするのよ」
公爵夫人?
「「いつ!?さっさと決めなさい!」」
い、今プロポーズを受けたばかりで、急に言われても……それにランドルフ様が結婚したばかりだし。
「今日とか?」
ニコラス様!?無茶を言わないで下さい!昨日の今日でも無理ですけど、今日の今日は前代未聞です!
「今日は無理よ、せめて明日にしなさい。侯爵家の教会ですればいいわ。明日なら他の伯爵家連中も間に合わないでしょう?静かでまともな結婚式なんて何世紀ぶりかしら。楽しみだこと」
待ってーーほんとに待ってぇーー!
焦ってニコラス様に助けを求める。
「クロエは式に呼びたい人いる?」
祖母も両親も亡くなっているし、叔父たちとは祖母が亡くなってからは疎遠になっている。友達もここの使用人たちばかりだし……。
でも誰かの名を言わないと明日結婚式に主役として登場することになってしまいそう。
「ラ、ランドルフ様とアリー様にも出席していただきたいです!」
確かあの二人はまだ新婚旅行中だ。王都に帰って来たらご飯でも食べましょうとアリー様と話をしていたが、その前に結婚式で食事することになりそう。
「「「……いる?」」」
「い、いります!あのお二人には参列して欲しいです!お呼ばれしておいて、お呼びしないなんてありえないです!それにニコラス様のたった一人の弟ですし!!」
三人が仕方ないというようにため息をついた。
「ではあの子たちが帰って来てからだから……二週間後に伯爵家でしましょうか。また騒がしいお式になるわね」
「二週間、我慢する。仕方ない。クロエの望みだ。結婚してくれるなら我慢する」
我慢って二回も言いましたね?二週間でもありえない程に早いですよ?
「マーガレット、あなたの負けよ。よこしなさい」
「仕方ないわね。出会って半月以内に結婚すると思ったのに。いい年して我慢するなんて随分のんびりとした子だこと。まぁゴミ同然の物なので惜しくはないですが、賭けに負けたのは悔しいわ」
何やら聞き捨てならない単語が出てきた気がする。賭けとはなんでしょうか。
マーガレット様が執務机の引き出しから、赤い箱を出して公爵夫人に渡した。
非常に見覚えのあるデザインの箱だが、私のクローゼットに入っている箱より色あせていて年季が入っている。
公爵夫人がパカリと箱を開け、中から取り出したのは……やっぱり避妊具?でも私の知っている物と違う。リボンまで付いている。
「状態が良いわね。さすが侯爵家の宝物庫に保管されていただけあるわ」
避妊具なのか違うのか気になって、じーっと見ていると公爵夫人に笑われてしまった。
「これが魚の浮袋よ。今度避妊具の歴史という展覧会を開くつもりなのだけど、状態の良いものは残っていなくてね。マーガレットに相談したら宝物庫の一覧に書いてあったというじゃありませんか。手に入ってよかったわ。あなたたちのおかげよ」
そうですか、それはよかったです……。
「メイシーおばさん、まさか重要な場面で邪魔をしてたのは賭けに勝ってそれを手に入れる為じゃないよね?そうだ!隣国の魚の件だって、一刻も早く手を打つべきだとか言って、直ぐに追いかけようとした僕を足止めしただろ!?」
「嫌だわ。老人を疑うなんて趣味が悪いわよ。マーガレット、こんなに疑心暗鬼な弟を持ってあなたも大変ね。おほほほほっ」
【マーガレット様、停滞していた時間が一気に進み始めました。速すぎて目が回りそうです】
さっきと違うのは、ハンナさんに代わりニコラス様が居るところだ。
皆が無言で紅茶を飲んでいる中、手は繋がれたままで放してくれない。
前に座る二人の視線が繋がれた手に集まっていて、汗が出てきた。
「マーガレット、あれをよこしなさいな」
「まだ決着はついていませんわ」
「あきらめの悪い子ね」
「正確に判定しないと」
やっと無言の壁が崩れたけれど、何の話?
「二人に聞くわ。結婚するの?」
「いいえ!」
「もちろん!」
ほぼ同時に別の返答をしてしまい、気まずい空気が流れる。
「……やっぱり僕は捨てられたんだね。童貞だったから?下手だった?」
「いいえ!そうでは無くて!」
「あら、ニコラスの童貞を奪った責任は取らないの?」
公爵夫人が前世紀の乙女のような攻め方をしてくる。でも処女を奪ったならまだしも、童貞を奪って結婚は聞いたことが無い。
「下手じゃなかったならなんで?僕を好きだって言ってくれたよね?嘘だったの?」
号泣しながら、血走った目で瞬きもせずこちらを凝視する美丈夫の扱い方が分からない。
純粋な女性を騙して処女を奪った悪い男になった気分がする。
「馬鹿ねニコラス。好きにも色々あります。結婚するほどの恋情は無いののよ。あなたの妻になるより私の侍女の仕事の方が好きと判断したのではないかしら」
「そんなことありません!あ、いえ、あの、侍女のお仕事は好きです。マーガレット様にお仕え出来て幸せです。なのでどちらが好きと言うのではなくて、ニコラス様には相応の家柄の方がふさわしいと……」
前に座る二人ともが扇子を広げ口元を隠しているが、楽しんでいるように見えるのは気のせいだろうか?
「アリーの事を認めていないの?彼女は平民だけど、ランドルフと結婚したわ」
「アリー様は素晴らしい方です!ランドルフ様とお似合いで、心から祝福いたしております!」
本当にお二人は素晴らしい。愛し愛され信頼し合っているのが分かる。魂の片割れを見つけたのだと思っている。
「伯爵家は家柄など気にしないわよ。ベルもアリーも貴族じゃないけど、誰もそんなこと指摘しないわ。当人たちが幸せなら良いのよ」
黙って聞いていたニコラス様が握っていた手にぎゅっと力を入れたので、恐る恐るニコラス様を見ると真剣な目で私を見ていた。
……お願いですから瞬きしてください。
「あの時、目覚めたら真っ先に告げようと決心していたんだ。ちょっとおじさんだけど大事にするから結婚して欲しいと……僕にはクロエしかいない。一緒に過ごした数日間で初めて生きていると感じたんだ。だからクロエが去ってから僕の世界はまた太陽の無い世界に戻ってしまった。お願いだ、同情でもいいから僕の傍にいて欲しい」
まだ無精ひげは生えているし、髪もボサボサだけど、今までで一番カッコよく見える。
「いいんでしょうか……隣にいても」
好きな人の隣に居られる人生を送りたい。
「当たり前だよ!僕がクロエしかダメなんだ。結婚してくれる?」
ニコラス様の隣に居たい。
「はい。よろしくお願いいたします」
抱きしめ合って二人でおいおい泣いた。幸せ過ぎてどうしても涙が止まらなかった。
「もうそろそろ次に進めても?」
はい?マーガレット様?
「ですから、結婚式はいつにするのよ」
公爵夫人?
「「いつ!?さっさと決めなさい!」」
い、今プロポーズを受けたばかりで、急に言われても……それにランドルフ様が結婚したばかりだし。
「今日とか?」
ニコラス様!?無茶を言わないで下さい!昨日の今日でも無理ですけど、今日の今日は前代未聞です!
「今日は無理よ、せめて明日にしなさい。侯爵家の教会ですればいいわ。明日なら他の伯爵家連中も間に合わないでしょう?静かでまともな結婚式なんて何世紀ぶりかしら。楽しみだこと」
待ってーーほんとに待ってぇーー!
焦ってニコラス様に助けを求める。
「クロエは式に呼びたい人いる?」
祖母も両親も亡くなっているし、叔父たちとは祖母が亡くなってからは疎遠になっている。友達もここの使用人たちばかりだし……。
でも誰かの名を言わないと明日結婚式に主役として登場することになってしまいそう。
「ラ、ランドルフ様とアリー様にも出席していただきたいです!」
確かあの二人はまだ新婚旅行中だ。王都に帰って来たらご飯でも食べましょうとアリー様と話をしていたが、その前に結婚式で食事することになりそう。
「「「……いる?」」」
「い、いります!あのお二人には参列して欲しいです!お呼ばれしておいて、お呼びしないなんてありえないです!それにニコラス様のたった一人の弟ですし!!」
三人が仕方ないというようにため息をついた。
「ではあの子たちが帰って来てからだから……二週間後に伯爵家でしましょうか。また騒がしいお式になるわね」
「二週間、我慢する。仕方ない。クロエの望みだ。結婚してくれるなら我慢する」
我慢って二回も言いましたね?二週間でもありえない程に早いですよ?
「マーガレット、あなたの負けよ。よこしなさい」
「仕方ないわね。出会って半月以内に結婚すると思ったのに。いい年して我慢するなんて随分のんびりとした子だこと。まぁゴミ同然の物なので惜しくはないですが、賭けに負けたのは悔しいわ」
何やら聞き捨てならない単語が出てきた気がする。賭けとはなんでしょうか。
マーガレット様が執務机の引き出しから、赤い箱を出して公爵夫人に渡した。
非常に見覚えのあるデザインの箱だが、私のクローゼットに入っている箱より色あせていて年季が入っている。
公爵夫人がパカリと箱を開け、中から取り出したのは……やっぱり避妊具?でも私の知っている物と違う。リボンまで付いている。
「状態が良いわね。さすが侯爵家の宝物庫に保管されていただけあるわ」
避妊具なのか違うのか気になって、じーっと見ていると公爵夫人に笑われてしまった。
「これが魚の浮袋よ。今度避妊具の歴史という展覧会を開くつもりなのだけど、状態の良いものは残っていなくてね。マーガレットに相談したら宝物庫の一覧に書いてあったというじゃありませんか。手に入ってよかったわ。あなたたちのおかげよ」
そうですか、それはよかったです……。
「メイシーおばさん、まさか重要な場面で邪魔をしてたのは賭けに勝ってそれを手に入れる為じゃないよね?そうだ!隣国の魚の件だって、一刻も早く手を打つべきだとか言って、直ぐに追いかけようとした僕を足止めしただろ!?」
「嫌だわ。老人を疑うなんて趣味が悪いわよ。マーガレット、こんなに疑心暗鬼な弟を持ってあなたも大変ね。おほほほほっ」
【マーガレット様、停滞していた時間が一気に進み始めました。速すぎて目が回りそうです】
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる