完結【マーガレット様、初対面の天才引きこもり男に股を開けと言われたらどうすればよろしいでしょうか?】

三月ねね

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「ところでクロエは妊娠しているのかしら?」
公爵夫人の言葉にニコラス様が瞬時に反応した。
「妊娠したの!?」
満面の笑顔に喜んでくれるのかと嬉しく思うと同時に申し訳なくなる。
「いえ、頂いた避妊具はきちんとお仕事を全うしたようです」
さっきから腹部になじみのある鈍痛がする。夜までには来るだろう。そろそろ鎮痛剤を飲んでおかないと痛みで眠れなくなってしまう。
「そう破れなかったのね。まぁよかったじゃないの。ニコラスの奇人変人ぶりが嫌になって直ぐに離縁したくなるかもしれないし」
「メイシーおばさん!まだ結婚もしてないのになんてことを言うんだ!僕は絶対にクロエから離れないからな!」
「この子も面倒くさい夫になりそうね……」


 あの後、家族になるのだから一緒に晩餐を食べましょうと誘われたが、丁重にお断りした。
まだマーガレット様の侍女だもの。大好きな仕事だから、辞めるその時まで侍女として扱って欲しいとお願いした。
ニコラス様には一緒に食べたいし離れたくないと言われたが、勤務時間外の夜を一緒に過ごす事で妥協してもらった。
ネグリジェに着替え、ニコラス様の隣にすべり込む。シングルベッドだから、抱きしめ合って眠ることになりそうだ。
「クロエ愛してるよ」
「私も愛してます」
やっと伝えられて嬉しい。
また泣き出してしまったニコラス様を胸に引き寄せ頭を撫でる。
「泣き虫ですね」
「愛してるって初めて言ってくれたから」
気が付いていたのね。活字には敏感だけど言葉には鈍感だから気が付いていないと思っていた。
「思い返せば最初からクロエの言っていることを理解したいと思っていた。クロエは特別だったんだ」
「思い返せばマーガレット様は最初から私をニコラス様に会わせるために連れて行ったのかしら?」
「またマーガレットのこと?クロエはいつもマーガレットの事ばかりだね。妬けちゃうよ。でも、そのつもりだったんだろうね。じゃないと賭けなどしていないはずだからね」
生理の始まったお腹を温めるように撫でながら、可愛いやきもちを告白してくれた。マーガレット様に対する愛とニコラス様への愛は全く違うのに。
「いつからだったのかしら?まさか侯爵邸で働き始めた頃からじゃないわよね」
「もうマーガレットの話はいいよ。それよりお腹は大丈夫?」
硬いモノが当たっているので我慢させてしまい申し訳なく思うが、残念がる様子も見せずに労わってくれている。
「ごめんなさいね。あの、手でしましょうか?」
びくんっと返事をするようにブツが跳ねたが、我慢できると言う。
「これから先もクロエの傍にいるんだから勃ちっぱなしになるよ。その度にお願いしてたらキリがないから、こいつにも我慢を覚えさせないとね」
……私が我慢できなくなってきたと言えば、軽蔑されるだろうか。でもニコラス様が好き過ぎて甘やかしたいのだ。
体の一部でも我慢して欲しくないし……可愛がりたい。触れたいし、キスしたい。血液とは違う液体がじわりと流れ出た。
「私がしたいの。触らせて?」
先ほどより大きくなって、パジャマのズボンを押し上げている。
「うっ、しかし、体調が」
明日の夜はきっと痛みが出るだろうから無理だ。でも今夜は薬を早く飲んだので問題ない。
「大丈夫。お願い、可愛がらせて欲しいの」
私に擦り付けるように、腰が揺れているのに気が付いているだろうか。
「で、では、その、少し、触ってもらえるだろうか。ご、ご迷惑でないなら」
なぜか敬語になったニコラス様が、張り付けられた生贄のようにベッドに転がる。
「す、好きにしてくれていい。その、どんな風でもクロエが触れてくれるなら快感になるから。僕は君の奴隷だ」

【マーガレット様、新しい扉を開いてしまったかもしれません】
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