完結【マーガレット様、初対面の天才引きこもり男に股を開けと言われたらどうすればよろしいでしょうか?】

三月ねね

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魔女たちの密談2

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「やっと片付いたわねぇ。これを機に引退しようかしら」
深夜の侯爵邸応接室。光量を落とした薄暗い中で二人の女性がワインを楽しんでいる。
「あら、メイシーおばさま、スタンの息子たちが適齢期ですわ。そろそろ策を練り始めないと。スタンの時と同じでは芸がないでしょう?」
「次はマーガレット一人で頑張ってちょうだいよ。スタンはまだベルが入団出来るようにお膳立てしたのが私だと気付いていないのね」
「あの子は一生知らないままでしょうね。今も昔も脳に血が通っていないのよ」
年かさの女性の方が「よっこらしょ」と声をだして、ソファーに寝そべった。
「そのまま寝ないでくださいね。それにしても我が家の男どもはどうして、放っておくと結婚できないのかしら?」
「ほんとに手が掛かるわよねぇ。ランドルフかニコラスの所に女の子が生まれてくれないと、伯爵家は誰も結婚できなくて断絶してしまうわ。あなたも長生きして次世代に引き継がないとね」
もう一人の女性も両足をソファーの上にあげ、いつもはピンと伸ばしている背を丸め、足を抱き込むように座る。
「今までも必ず一世代に一人は女の子が生まれて来たから心配はしていないけれど……直接、男性陣にこれを授ければいいのに」
「相性測定能力のこと?」
「おばさま、もう少しマシな言葉で呼んで欲しいですわ」
「運命の相手発見能力とか?これもダサいわね。伯爵家の男たちが情けないから女性に押し付けるんじゃないかしら。結ばれると溺愛する癖に、それまでが情けないのよ。あなたのお父さんだって出会いをお膳立てするだけで大変だったわ」
若い方がソファーの隙間から扇子を取り出し撫でながら、兄弟の名を呟く。
「スタン、ニコラス、ランドルフ。やっと片付いたわ……さっさと女の子が生まれないと私も引退できないというのに」
横になった方が、欠伸をしながらゆっくりと言う。
「ふぁあ、あなたは根っからの策略家だから引退なんて出来ないわよ。諦めて生涯現役を貫きなさいな」
「それはおばさまも同じですわ。まだまだ動いてもらいますからね。さぁ次はどんな出会いが良いかしら……」
暗い中キラリと輝いた姪の瞳を見てから目を閉じる。
「んー賭けの報酬次第では動きますよ」
「東洋のヒゴなんとかをご存じ?芋の茎だと書いてあったかしら。あれは性具でしょ?おばさまの奇妙なコレクションにピッタリじゃなくて?」
眠りかけていた女性がカッと目を開き勢いよく起き上がった。
「ずいきのことね!のったわ。さあ次のターゲットを決めましょう!」
フェルナンが扉をノックするまで、二人の密談は続いた。

【マーガレット、侯爵家のご先祖様に私と同じ趣味の人がいたはずよ。天に召される前にこの家の宝物庫を隅々まで見せてちょうだいね】
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