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番外編2 王子が嫌いな理由

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 初恋の白雪姫より可愛いアリーが、赤い唇を歪めながら言う。
「あの王子様は嫌いなの」
長年、王子に憧れ嫉妬していた俺としては納得がいかない。
「なんでだ?俺が王子らしくないから気を使っているのか?」
「違うわよ。初めて白雪姫を読んだ時から気持ち悪かったの。ランドルフこそなんであんな人が良いの?変態だと思わない?」
うぐっ!
変態の自覚があるだけに、アリーの言葉が胸に刺さる。
変態だと嫌われるのか……
「違うわよ。ランドルフも変態だけど、王子は気持ち悪い変態でしょ。本当に危ない変態よ」
さっきまでねちっこく愛し合っていただけに、変態に反論は出来ない。
アリーとのピロートークは楽しいが、今夜はなぜか不穏な空気になってしまった。

「なんでだ?王子のキスで目覚めるなんて女の子が憧れる場面じゃないのか?」
「何を言ってるの?白雪姫の話よね?結末は何種類かあるけど、変態王子がキスをする話なんて聞いた事がないわ」
「は?うそだろ」
「ランドルフはマーガレットに白雪姫を読んでもらっていたのよね。マーガレットが結末をロマンチックに変えたのは優しさかしら?……まさか幼児期の刷り込み実験?」


アリーに白雪姫の話を聞いた。

死んだ白雪姫を見つけた王子。
「綺麗だから死体でもいいよ。ちょうだい」といい、お城に死体を運んでいる時、家来がつまづき、白雪姫の喉に引っかかっていた毒林檎が吐き出され、息を吹き返したという話だった。

「死体を持ち帰って何をするつもりだったのかしら。気持ち悪い」
もっと死体愛好家らしさが顕著にあらわれている話もあるのよと、何人もの死体を溜めこむ話を聞いて、魂が抜けて行く。
「俺の、俺の、純粋な憧れがぁ……」
「……ご愁傷様」
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