妄想の根っこ

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【あなたの妄想を活字にしませんか?】

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無駄に大きなダンボールで、宅配便が届いた。
注文していた白いヘッドフォンが届いたのかと思ってウキウキして開封したんだ。

白いヘッドフォン…だったよ?

だけど…違うんだよ!
僕が注文したのは、ヘアアクセサリーのカチューシャみたいなのに丸い耳に当てるのが付いてるやつだよ?
それが普通だよね?
僕は、それしか知らない。

でもね…僕の手にあるヘッドホンは…
丸い帽子に耳当てが付いてる。

なに?
どうなってるの?
怖い!
返品しよう!
うん。
それがいい。
と思って箱を見たら…

【あなたの妄想を活字にしませんか?】

え?
妄想って活字にできるの?
どういう事?
僕の妄想が活字になるの?

僕の心の半分は妄想で成り立ってるんだ。
小さな頃から、外で元気に走り回って遊ぶより本を読んだりぼーっとしてるのが好きだった。
ぼーっとしながらいろんなことを頭のなかで想像してた。
妄想って想像してるだけだから、ずっと覚えてる訳じゃないし僕には、文才なんてないから活字にしようにも出来ないし…って妄想を活字にする発想なんて無かった!!

もし…
もしもだよ?
僕の妄想が活字にできたなら…
僕は、その妄想を記録できるってことで…
忘れちゃってた妄想たちを残せるんだ…
ヤダ!
凄くない?!
毎日毎日同じ事の繰り返し。仕事して家に帰って…休みの日も特に予定も無い。
学生時代の友人とも疎遠になってるし、
恋愛…恋人いない歴=年齢です。
もちろん、童貞。
僕の恋愛対象は同性で、いつでもどこでも妄想しちゃってる。
そんな僕の妄想が全部活字になるなんて…

はぁ~
ドキドキしてきた。
落ちつこう。
興奮してしまった。
冷静に考えて?
注文した商品とは、違うのが届いて…
それが聞いたこともない商品だよ?
安全なのかな?
やっぱり怖い。

でも、気になる。

でも怖い。
気になる
怖い。
気になる…

せ‥説明書だけ見てみるか?
見るだけね?
見るだけだから…ね?

うん…一応読んだから…
ヨシ!!
帽子かぶってみるか!

僕の妄想が活字になること…
ワクワクとソワソワ。


少しの好奇心から始まる。

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