9 / 17
舞踏会で咲く氷の花は どこまでも青い
邪魔が入らなければいいのに
しおりを挟む
~国王は忙しい~
舞踏会、もう曲がかかっているのにまだ挨拶をしている。国王の隣に並んで笑って挨拶をしていると、何をやっているのだろうと考えてしまう。今日まで何度も考えたが、結局行き着く答えは一つ。仕事だからだ。仕事でしかないのだから、指示されたことをすれば良いだけのこと。
これで何人目だろう。あちこちから刺さるような視線を向けられ、痛い。やはり、不釣り合いなのだろう。家柄が良い訳でも無いし、国王程の容姿を持っている訳ではない。嫉妬というより、あの子で良いなら何故自分はダメなのかという視線だろう。全くもって同感だ。何故私なのか、いくら考えても分からない。
「サファイア、すごく綺麗だ。 ドレスが似合って良かった。」
にこりと笑う爽やか笑顔に、甘い言葉。普通の少女であればキュンとするのだろうか、あいにくそんな心臓は持っていない。
そのはずなのに、くぅと苦しく、熱くなる胸に激しくなる鼓動。
彼の手が頬に触れる。ゆっくりと上を向かされ、熱い視線が捕らえて離さない。止まってしまいそうな呼吸に、固まったように動けなくなる。
「サファイア! 」
相変わらず突き刺さるような、甲高い声。この状況から逃れたかったはずなのに、なんだか落ち込んでいる。
頬の手のひらも、スルリと滑り落ちる。
「なんでしょう?」
これまで姉の顔を見て嬉しいと思ったことは無いが、ここまで嫌だと感じたのはおそらくこれが一番だ。
「緑の瞳に眼鏡をかけた茶髪の人見なかったかしら?」
見てはいないが、確かどこかで見た。けれどなかなか思い出せない。
「そう、ならいいわ。 せいぜい恥をかかないよう、努めなさい!」
くるっと背を向け、ツカツカと歩いていく礼儀知らずの姉。誰を探していたのかは分からないが、おそらく恋人かその類(たぐい)だろう。
ふいに手を取られる。手を取ったのは国王だ。グイグイと引っ張られもう会場を出ていた。
舞踏会、もう曲がかかっているのにまだ挨拶をしている。国王の隣に並んで笑って挨拶をしていると、何をやっているのだろうと考えてしまう。今日まで何度も考えたが、結局行き着く答えは一つ。仕事だからだ。仕事でしかないのだから、指示されたことをすれば良いだけのこと。
これで何人目だろう。あちこちから刺さるような視線を向けられ、痛い。やはり、不釣り合いなのだろう。家柄が良い訳でも無いし、国王程の容姿を持っている訳ではない。嫉妬というより、あの子で良いなら何故自分はダメなのかという視線だろう。全くもって同感だ。何故私なのか、いくら考えても分からない。
「サファイア、すごく綺麗だ。 ドレスが似合って良かった。」
にこりと笑う爽やか笑顔に、甘い言葉。普通の少女であればキュンとするのだろうか、あいにくそんな心臓は持っていない。
そのはずなのに、くぅと苦しく、熱くなる胸に激しくなる鼓動。
彼の手が頬に触れる。ゆっくりと上を向かされ、熱い視線が捕らえて離さない。止まってしまいそうな呼吸に、固まったように動けなくなる。
「サファイア! 」
相変わらず突き刺さるような、甲高い声。この状況から逃れたかったはずなのに、なんだか落ち込んでいる。
頬の手のひらも、スルリと滑り落ちる。
「なんでしょう?」
これまで姉の顔を見て嬉しいと思ったことは無いが、ここまで嫌だと感じたのはおそらくこれが一番だ。
「緑の瞳に眼鏡をかけた茶髪の人見なかったかしら?」
見てはいないが、確かどこかで見た。けれどなかなか思い出せない。
「そう、ならいいわ。 せいぜい恥をかかないよう、努めなさい!」
くるっと背を向け、ツカツカと歩いていく礼儀知らずの姉。誰を探していたのかは分からないが、おそらく恋人かその類(たぐい)だろう。
ふいに手を取られる。手を取ったのは国王だ。グイグイと引っ張られもう会場を出ていた。
0
あなたにおすすめの小説
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
盲目公爵の過保護な溺愛
クマ三郎@書籍&コミカライズ3作配信中
恋愛
伯爵家の長女として生まれたミレーヌ。平凡な容姿に生まれた彼女は、美しい妹エミリアと常に比べられ、実の両親から冷遇されて育った。
パーティーでは家族の輪に入れて貰えず、いてもいなくてもいい存在。
そんな現実から逃れようと逃げ出した先で、ミレーヌは美しい容姿をした目の不自由な男性と出会うが──
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる