恋の秘密はサファイアの瞳

十人 秋夜

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舞踏会で咲く氷の花は どこまでも青い

素直になれない恋心

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~質問の意図は・・・~

  会場を出て、静かな廊下についた。グイグイと引っ張られ、何故こんな所に来たのかもよく分からない。
  気づけば、向き合っていた。ただ互いの顔を見るだけなのに、頬に少しずつ熱が集まり出す。

「サファイア、私のことをどう思う?」

 そう言う国王の顔は厳格さも無く、頬を染め、国王というよりアレルキトの顔だ。  そんな些細なことなのに、サファイアは気づけなかった。激しく煩い(うるさい)心臓ばかりが気になり、見つめ合うだけなのに緊張に似た気分になった。

「どうと、言われても仕事ですし・・・」

  本当は、なんて言って良いか分からなかった。他人と言うよりも近い関係になっていることには気付いているし、彼に対して何かしらの感情を抱いていることだって気付いていないわけでは無い。けれどその感情をどう表せば良いのか、自分は一体彼にどんな感情を抱いているのかも分からない。
  
(伝えたいけれど・・・・・  どうしたら良いのかしら・・・ 私は国王のことをなんと思っているのだろう)

「じゃあ、仕事で無かったらどうだ?   私のことをどう思う?」

  まただ。彼は質問の意図が分からない質問ばかりだ。もし、その質問の意図が自分が思っているものだったら・・・もしかしたらと、誤解をしてしまいそうになる。  このような質問をされる度に、「口説かれているだけだ」と自分を戒める。
  今だって、きっと口説き落とそうとしているだけだ。それ以上、何でもない。

「立派な国王だと聞いております。 尊敬しています。」

  とても厳しいが、それと同じくらい王宮で働く者を労わり心優しい一面もあると聞いている。秘密魔術科は警察の長官や、一部の者からの依頼で仕事をすることもあるが、王宮直属である限り王宮を出入りすることも多い。だからこそ、国王の噂を聞くことも多かった。
  けれど、サファイアの言葉を聞いた国王は、どこか切なげな顔をした。胸を強く握られたように苦しくなる。

(そんな顔するなんて・・・)

「本当にそれだけなんだ・・・  私が君のことをどう思っているのか、教えよう。」

「 国王様! 少しよろしいでしょうか。」

  誰だか知らないが、どこかの使いの者だろう。

「サファイア、少しここで待っていてくれ。」

  どこか不満げな面持ちで、使いの者のところへ歩いていく。


  その背中を見ていると、どこか寂しいと思ってしまった・・・



~本当の気持ち~

  国王がどこかへ行ってから、だいぶ時間が経つ。どこへ行ったのだろうか、何をしているのだろうか。少し近くを見に行ってこよう。
  舞踏会の会場はざわついた感じだったが、少し離れたこの廊下は静かだ。通る人もおらず、人気が無い。まっすぐ歩いて来たが、ここは曲がるしかないようだ。豪華な壁紙や、所々にある少し小さいシャンデリア。ソデバスクは裕福で、大陸である。だからこそ貴族や人々は割と優しい。けれど、自分に無いものを持っている人のことを許せないというところはどんなに綺麗に着飾っても隠しきれていない。貴族の世界なんてまさにその鏡である。表向きは華やかなおとぎ話でも、中を割ってみれば人間の持つドロドロとした感情が行き交う真っ黒な世界である。
   角を曲がると、瞬発的に戻ってしまった。曲がった瞬間目に入ったのは、抱き合う男女。なんだか邪魔したらいけない雰囲気だった。ふと、もう一度覗いて見る。
  

嘘・・・・・・・

  抱き合っている男女の女の方は知らない。格好や、顔からして有力貴族の娘かそのあたりだろう。男の方は知っている。よく知っていると思う。つい先ほどまで一緒にいた。

アレルキト様・・・・・・・

  苦しくて苦しくてどうにかなってしまいそう。なんとも思っていないはずなのに、辛くて、寂しくて、苦しい・・・・・

  もぅ、好きになってたんだ

  気付いてたのかもしれないけれど、見つめるのが怖くて、好きになるのが怖くて、だけどやっぱりこうなるのが一番怖かった。


  好きになるなんて・・・・・・・・・・・
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