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エメラルドの光は青き精を照らし続ける
エメラルドの緑色は深い
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サファイアは帰ってしまった。呼び出された者はイィラという女の使いだった。連れて行かれた先は、貴族に与えられた控え室だった。中にいたのは艶かしい服を着た、イィラだった。何も言わずに、部屋を出て行ったが少し歩みを緩めた所で捕まった。
そして、強引に抱きつかれた。
まさかそんなところをサファイアに見られていたなんて、思いもしなかった。窓から差し込む月光が、心細く感じた。
自分が選んだドレスを身に纏った(まとった)サファイアは、とても綺麗でとても愛おしくなった。サファイアのことを好きだと感じたのは無意識だったけれど、今はサファイアと結婚だって考えてる。今日だって、キスしたくてたまらなかったのだ。次、会った時にきちんと謝らなければならない。けれど、会いたくてたまらない。
それに、エメラルドのことだって気になる。今もまだ、想っているのだろうか。嫉妬してしまう。サファイアを独り占めしたいのに、煙たくちらつく男の影。
ぎぃと音を発てて部屋のドアが開く。
驚いてドアの方を見ると、細身の青年が立っていた。知らない人だ。
「失礼します。 ジストと申します。」
ノックしない者なんて珍しいが、とても綺麗な声をしている。今日、舞踏会に来ている貴族だろうか。
「よろしければ少し来ていただきたい所があるのですが、お時間ありますか?」
ちょうどすることも無いし、どうせサファイアのことを想って落ち込むだけだろう。少しは気晴らしになれば良いと思う。
「あぁ、良いだろう。」
着いたのは、王宮の内枠にある渡り廊下だ。向かいにも渡り廊下があり、左右にもある。上から見ると、長方形に見える。
何故、こんな所で話す必要があるのだろう。
「まず、これをお返ししますね。」
そう言って差し出されたのは、サファイアのドレスだった。何故返されるのか、何故彼が持っているのか、聞きたいことがたくさんある。
「何故君がこれを持っているんだ?」
今日サファイアが舞踏会に来ていることを知っているのは、サファイアの姉だけのはずだ。ならば、その姉の使いだろうか。
「僕は、サファイア様の魔鳥なんです。サファイア様が、返して来て欲しいと。」
サファイアの魔鳥。つまり、サファイアの側にずっといる訳だ。
彼なら、エメラルドのことを知っているのかもしれない。
「そうか・・・」
サファイアなりに気遣ったのか、それとも気に入らなかったのだろうか。わざわざ持ってきてもらったのだから、受け取るしかない。
「見てください。」
ジストが指差す方を見ると、男女がいた。
ケイセとサファイアの姉が唇を合わせる。
信じられない光景に、何度も瞬きをする。ジストは二人の関係を知っていたのだろうか。二人の接吻は離れては合わせ、離れては合わせ、随分と情熱的だ。積極的に自ら唇を合わせるケイセは、普段のケイセと別人と言われても信じられる。
「サファイア様のことですが、もう会いたく無いとおっしゃっていましたよ。」
あえてなのか、目を合わせず二人の方に目を向けながらさらりと言う。 もう会いたく無い。 そんなこと言われる程、傷つけてしまったんだ。 勝手に誘っておきながら、他の女と抱き合っていた。それはただの屈辱だし、サファイアにも考えがあるのかもしれない。
どっちみちサファイアにはエメラルドがいて、自分だってどこかの貴族の娘と政略結婚させられるのだろう。
あの舞踏会から、今日で一週間経つ。ここまで誰かを想って辛く、恋しく感じたことは無い。
サファイアに会いたい・・・・・・・
そして、強引に抱きつかれた。
まさかそんなところをサファイアに見られていたなんて、思いもしなかった。窓から差し込む月光が、心細く感じた。
自分が選んだドレスを身に纏った(まとった)サファイアは、とても綺麗でとても愛おしくなった。サファイアのことを好きだと感じたのは無意識だったけれど、今はサファイアと結婚だって考えてる。今日だって、キスしたくてたまらなかったのだ。次、会った時にきちんと謝らなければならない。けれど、会いたくてたまらない。
それに、エメラルドのことだって気になる。今もまだ、想っているのだろうか。嫉妬してしまう。サファイアを独り占めしたいのに、煙たくちらつく男の影。
ぎぃと音を発てて部屋のドアが開く。
驚いてドアの方を見ると、細身の青年が立っていた。知らない人だ。
「失礼します。 ジストと申します。」
ノックしない者なんて珍しいが、とても綺麗な声をしている。今日、舞踏会に来ている貴族だろうか。
「よろしければ少し来ていただきたい所があるのですが、お時間ありますか?」
ちょうどすることも無いし、どうせサファイアのことを想って落ち込むだけだろう。少しは気晴らしになれば良いと思う。
「あぁ、良いだろう。」
着いたのは、王宮の内枠にある渡り廊下だ。向かいにも渡り廊下があり、左右にもある。上から見ると、長方形に見える。
何故、こんな所で話す必要があるのだろう。
「まず、これをお返ししますね。」
そう言って差し出されたのは、サファイアのドレスだった。何故返されるのか、何故彼が持っているのか、聞きたいことがたくさんある。
「何故君がこれを持っているんだ?」
今日サファイアが舞踏会に来ていることを知っているのは、サファイアの姉だけのはずだ。ならば、その姉の使いだろうか。
「僕は、サファイア様の魔鳥なんです。サファイア様が、返して来て欲しいと。」
サファイアの魔鳥。つまり、サファイアの側にずっといる訳だ。
彼なら、エメラルドのことを知っているのかもしれない。
「そうか・・・」
サファイアなりに気遣ったのか、それとも気に入らなかったのだろうか。わざわざ持ってきてもらったのだから、受け取るしかない。
「見てください。」
ジストが指差す方を見ると、男女がいた。
ケイセとサファイアの姉が唇を合わせる。
信じられない光景に、何度も瞬きをする。ジストは二人の関係を知っていたのだろうか。二人の接吻は離れては合わせ、離れては合わせ、随分と情熱的だ。積極的に自ら唇を合わせるケイセは、普段のケイセと別人と言われても信じられる。
「サファイア様のことですが、もう会いたく無いとおっしゃっていましたよ。」
あえてなのか、目を合わせず二人の方に目を向けながらさらりと言う。 もう会いたく無い。 そんなこと言われる程、傷つけてしまったんだ。 勝手に誘っておきながら、他の女と抱き合っていた。それはただの屈辱だし、サファイアにも考えがあるのかもしれない。
どっちみちサファイアにはエメラルドがいて、自分だってどこかの貴族の娘と政略結婚させられるのだろう。
あの舞踏会から、今日で一週間経つ。ここまで誰かを想って辛く、恋しく感じたことは無い。
サファイアに会いたい・・・・・・・
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