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第4章 マニリア帝国編
第41話 瘴気と激突して
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戦いを決意したところでオレは自分自身に【除霊】をかける。
これは霊体からの攻撃や精神の浸食に対して防御となる魔術だ。
それでこちらからの攻撃が出来るようになるわけではないが、ひとまずは己の身を守るのが先決である。
すると先ほどまでオレの心に浮かんでいた、苦悶する人々のイメージは一気に消え失せこちらの精神もどうにか落ち着いてくる。
考えて見るとオレが先に自分の身を防御していたら、この瘴気はエジーラから離れなかっただろう。
慌てて自分の防御を忘れたに過ぎないとは言え、結果オーライだったな。
しかし瘴気そのものが消えたわけではない。
どこから湧いてきたのか。
原因は何なのか。
そして宮女を襲った後はどこに消えていくのか。
分らない事だらけだが、今はとりあえずコイツをどうにかして他の宮女が襲われないようにするのが先決だ!
見ると瘴気はオレへの攻撃を諦めたのか、その一部を触手のように伸ばしてあたりをうごめいている。
どうやら他の獲物を探しているらしい。
その動きを見ると、明確な意志があるというよりは、ただ本能的に蠢いては目につく相手を襲っているようにも思えてくる。
毎回、襲っているのは宮女一人だけだし、そう考えると以前に対面した【屍収集家】あたりに比べると、大した事は無いかもしれない。
だがそうだからと言って見逃すつもりはない!
ひとまず|【霊体遮断】をこの部屋にかける。
この魔術は霊体のみを遮断し、そこから動けなくする魔術だ。これによってとりあえずコイツが部屋から逃げ出し、他の宮女を襲う事は出来なくなったはず。
そして夜間に宮女を襲っているということは、普通に考えて陽光には弱いはずだ。
オレは魔力を錬ると【陽光】を手の平から放つ。
以前にコープス・ギャザラーの相手をした時は、魔力全開でオレの全身から放っていたが、今回は魔力を絞って手の平のみからの照射だ。
部屋の中とは言え【陽光】の全力放射などしたら、後宮の一室がまばゆく輝くわけで、これは外から見て少々目立ちすぎる。
だが手の平からだけでも部屋の中の相手に対してなら十分だ。
この瘴気が陽光に弱いなら、この狭い部屋の中に充満しているだけなのだからかわしようがあるまい。
さしずめ掃除機でゴミを一掃するように――吸引ならぬ放射だが――この場はこれで十分消し去れるはず。
最初は思わぬ事態に少々焦ったが、落ち着いて対処すればこんな瘴気程度はチート魔力を有するオレの敵ではなかったな。
オレは自信を込めて【陽光】のビームで部屋をなぎ払う。すると――
瘴気は一斉にオレの腕にすがるように集まって、一気にまとわりついてきたのだ。
なんだと。こいつら光に弱いんじゃないのか?
そうでないと夜しか出てこない理由が説明出来ないじゃないか。
いや。よく見ると違う。
確かにこいつらは【陽光】で払われている様子があるのだが、それでもどういうわけか、オレの放つ光に群がっていているのだ。
まるで蝋燭に明かりに飛び込む昆虫のような有様だが、死力を尽くしてオレの元に集まってこられると、こちらの【除霊】の防御まで浸食され、瘴気の有する意識の一部が流れ込んでくる。
『なぜだ……なぜ我らを呼んでいながら……』
こいつらを呼んでいるだと?
いったい誰が、何のために、どうやって?
『ああ。まばゆい。光りが欲しい……』
ぬう。こいつらはある意味で『自殺』しようとしているというのか。
ひょっとすると宮女ばかり狙っていたのは、若い娘の生命力に引き寄せられていたとか、そういう理由があったのか?
くう。いまはこいつらの事を考えている場合じゃない。
オレの身体が覆われてしまったら、こちらの防御も破られて精神が破壊されてしまいかねない。
さっき【霊体遮断】で、この瘴気を部屋から出られなくしたお陰で、オレが集中攻撃を受けることになっている。
まあ瘴気が部屋の外に出て、他の宮女達が襲われるのに比べたら、オレが一身に攻撃を引き受けた方がまだマシだと思うけど、それでもたまったもんじゃない。
こうなったら背に腹は代えられない。
外から見て少しばかり目立つ事になるが、ここは全力で【陽光】を放って、この瘴気を完全に消し去るより他はあるまい。
一瞬だけなら何とかごまかせるだろう。マルキウスやオントールも穏便に済ませたいだろうし、深く追求されることはあるまい。
ならば。躊躇の必要は無い。
オレが魔力を全解放すると、髪にかけた【着色】の黒が洗われるかのようにぬぐい去られ、黄金へと変わっていく。
本来のオレの髪が黒色だったことを考えれば、これを『本来の髪の色』と表現するのには非常に抵抗があるな。
だが今はそんなことを考えていてもしかたない。
オレの髪が輝いた次の瞬間、今度は全身からまばゆい閃光が放たれ、こちらの身体にまとわりついていた瘴気は、まるで突風でなぎ払われたかのように吹き飛んだ。
そして吹っ飛んだ瘴気は逃げ場を求めるかのように蠢いていたが、あいにくそれを見逃してやるほどオレは優しくは無い。
トドメを刺そうと、あらためて手から魔力を絞った【陽光】を放とうとした時、オレの耳には聞き慣れた、そして聞きたくなかった声が響いた。
「あ……あなたは、アルタシャさん……ですか?」
ええ? どうしてここに?
オレが思わず振り向いた時、部屋の入り口には驚愕でその目を見開いたデレンダが立ちすくんで、黄金に輝くオレを呆然と見つめていた。
これは霊体からの攻撃や精神の浸食に対して防御となる魔術だ。
それでこちらからの攻撃が出来るようになるわけではないが、ひとまずは己の身を守るのが先決である。
すると先ほどまでオレの心に浮かんでいた、苦悶する人々のイメージは一気に消え失せこちらの精神もどうにか落ち着いてくる。
考えて見るとオレが先に自分の身を防御していたら、この瘴気はエジーラから離れなかっただろう。
慌てて自分の防御を忘れたに過ぎないとは言え、結果オーライだったな。
しかし瘴気そのものが消えたわけではない。
どこから湧いてきたのか。
原因は何なのか。
そして宮女を襲った後はどこに消えていくのか。
分らない事だらけだが、今はとりあえずコイツをどうにかして他の宮女が襲われないようにするのが先決だ!
見ると瘴気はオレへの攻撃を諦めたのか、その一部を触手のように伸ばしてあたりをうごめいている。
どうやら他の獲物を探しているらしい。
その動きを見ると、明確な意志があるというよりは、ただ本能的に蠢いては目につく相手を襲っているようにも思えてくる。
毎回、襲っているのは宮女一人だけだし、そう考えると以前に対面した【屍収集家】あたりに比べると、大した事は無いかもしれない。
だがそうだからと言って見逃すつもりはない!
ひとまず|【霊体遮断】をこの部屋にかける。
この魔術は霊体のみを遮断し、そこから動けなくする魔術だ。これによってとりあえずコイツが部屋から逃げ出し、他の宮女を襲う事は出来なくなったはず。
そして夜間に宮女を襲っているということは、普通に考えて陽光には弱いはずだ。
オレは魔力を錬ると【陽光】を手の平から放つ。
以前にコープス・ギャザラーの相手をした時は、魔力全開でオレの全身から放っていたが、今回は魔力を絞って手の平のみからの照射だ。
部屋の中とは言え【陽光】の全力放射などしたら、後宮の一室がまばゆく輝くわけで、これは外から見て少々目立ちすぎる。
だが手の平からだけでも部屋の中の相手に対してなら十分だ。
この瘴気が陽光に弱いなら、この狭い部屋の中に充満しているだけなのだからかわしようがあるまい。
さしずめ掃除機でゴミを一掃するように――吸引ならぬ放射だが――この場はこれで十分消し去れるはず。
最初は思わぬ事態に少々焦ったが、落ち着いて対処すればこんな瘴気程度はチート魔力を有するオレの敵ではなかったな。
オレは自信を込めて【陽光】のビームで部屋をなぎ払う。すると――
瘴気は一斉にオレの腕にすがるように集まって、一気にまとわりついてきたのだ。
なんだと。こいつら光に弱いんじゃないのか?
そうでないと夜しか出てこない理由が説明出来ないじゃないか。
いや。よく見ると違う。
確かにこいつらは【陽光】で払われている様子があるのだが、それでもどういうわけか、オレの放つ光に群がっていているのだ。
まるで蝋燭に明かりに飛び込む昆虫のような有様だが、死力を尽くしてオレの元に集まってこられると、こちらの【除霊】の防御まで浸食され、瘴気の有する意識の一部が流れ込んでくる。
『なぜだ……なぜ我らを呼んでいながら……』
こいつらを呼んでいるだと?
いったい誰が、何のために、どうやって?
『ああ。まばゆい。光りが欲しい……』
ぬう。こいつらはある意味で『自殺』しようとしているというのか。
ひょっとすると宮女ばかり狙っていたのは、若い娘の生命力に引き寄せられていたとか、そういう理由があったのか?
くう。いまはこいつらの事を考えている場合じゃない。
オレの身体が覆われてしまったら、こちらの防御も破られて精神が破壊されてしまいかねない。
さっき【霊体遮断】で、この瘴気を部屋から出られなくしたお陰で、オレが集中攻撃を受けることになっている。
まあ瘴気が部屋の外に出て、他の宮女達が襲われるのに比べたら、オレが一身に攻撃を引き受けた方がまだマシだと思うけど、それでもたまったもんじゃない。
こうなったら背に腹は代えられない。
外から見て少しばかり目立つ事になるが、ここは全力で【陽光】を放って、この瘴気を完全に消し去るより他はあるまい。
一瞬だけなら何とかごまかせるだろう。マルキウスやオントールも穏便に済ませたいだろうし、深く追求されることはあるまい。
ならば。躊躇の必要は無い。
オレが魔力を全解放すると、髪にかけた【着色】の黒が洗われるかのようにぬぐい去られ、黄金へと変わっていく。
本来のオレの髪が黒色だったことを考えれば、これを『本来の髪の色』と表現するのには非常に抵抗があるな。
だが今はそんなことを考えていてもしかたない。
オレの髪が輝いた次の瞬間、今度は全身からまばゆい閃光が放たれ、こちらの身体にまとわりついていた瘴気は、まるで突風でなぎ払われたかのように吹き飛んだ。
そして吹っ飛んだ瘴気は逃げ場を求めるかのように蠢いていたが、あいにくそれを見逃してやるほどオレは優しくは無い。
トドメを刺そうと、あらためて手から魔力を絞った【陽光】を放とうとした時、オレの耳には聞き慣れた、そして聞きたくなかった声が響いた。
「あ……あなたは、アルタシャさん……ですか?」
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