異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

文字の大きさ
156 / 1,316
第8章 ライバンス・魔法学院編

第156話 女神と一神教のややこしい関わりの話

しおりを挟む
 スビーリーとアニーラの二人から思わぬ糾弾を受けて、少々どころでなくオレは返答に窮していた。
 大陸の中央部から西の果てであるこのライバンスまで旅してきて『ちょっと調べ物に来ました』などと口にするのは、元の世界の感覚だと『別の星からUFOに乗ってアキバにオタグッズ買いに来ました』と言うぐらい非常識なものだったのだ。

 確かにこれでは何か裏があると思われても仕方が無い。
 正直に言って、かなりマズい状況だな。
 もちろん話を打ち切って、とっととこの湯船から逃げ出す道もあるが、それだと確実に『重大な何かを隠している』と決めつけられてしまうだろう。
 最初からこの二人とは仲良くなかったのだけど、やっぱり誤解されたままなのは気分がよくないし、後々に悪影響もあるだろう。
 もちろんオレは行く先々で誤解されまくっているんだけど、それでも不本意である事にかわりは無いのだ。
 オレが使える精神操作系魔法は、一時的に気分を落ち着かせたり、戦闘意欲を喪失させたりするところまでは出来るが、残念ながら記憶を消すような真似は不可能だ。
 そんなわけでこの場はどうにか言い逃れるしかない事になる。
 しかしオレが黙り込んでいると、二人は更にかさにかかってきた。

「ひょっとしてあなたがここに来たのは、ガランディアさんの事に関係があるのですか?」
「やはりそうか!」

 おい。なんでいきなりあのスケベ野郎の話になっているんだよ!
 オレがハーレム要員扱いされていることは、とっくの昔から分っていたけど、いくら何でも飛躍が過ぎる。
 あれ? しかしこの話は妙だな。
 ガランディアは千年前の英雄にして背教者ガーランドの末裔という話だったけど、いくら何でも大陸中央部から何千キロも旅して、探し求めるような存在ではないはずだぞ。
 ひょっとしてオレの知らない何かの秘密があるのだろうか?

「ちょっと待って下さい。今の話からすると大陸の半分を横切ってまで、ガランディアさんに関わろうとする何かがあるんですか?」

 この問いかけに対し、二人は少しばかり引いた表情を浮かべ、とげとげしい空気がゆるんだ気がするぞ。
 するとスビーリーがズイとその身を寄せてくる。
 湯船で顔を紅潮させた少女が、その巨乳を半分水面に浮かべて近寄ってくる光景は、もし今のオレが男だったら、血流が頭と下半身に一気に偏ったことだろうな。

「本当になにも知らないんですか?」
「当たり前ですよ。そもそもここに来るまでガランディアさんどころかガーランドの事すら全く知らなかったんですからね」
「それはやっぱり信じられないわ」

 アニーラが今度はスビーリーとは逆の方向にやってきてオレを問い詰めにくる。
 ああ。お風呂で美少女二人に全裸で迫られるとは、男だった頃には想像も出来ない夢のような世界だよ ―― オレ自身が女であり、こんなシチュエーションでもまるで身体も心も反応しなくなっているのは悪夢だけどな。

「なんでアニーラさんはさっきからそんなにとげとげしいのですか? 今の話と何か関係あるんでしょうか?」
「それについてはわたしの方から説明しましょう」

 ここでどういうわけかスビーリーの方が割って入ってくる。

「実は偉大な英雄だったガーランドを誘惑し、堕落させ、多神教に引き込んだのが黄金の髪と青紫の瞳を持つ美しき乙女だったという逸話があります」
「え……それって……まさか?」

 そういえばガーランドが活躍していたとされるのは千年前、そしてイロールが人間だったのもまたほぼ千年前、つまり両者の活動時期はかぶっているんだ。
 ならばその二人に接点があっても不思議じゃ無い。
 いや。ひょっとしたらあの女神は、一神教の開祖である聖セルムについても何か知っているかもしれないぞ。
 この話を知っていたら、さっき会った時に問うことも出来たのに何ともタイミングが悪い話だな。

「そのことからガーランドに道を踏み外させたのがイロールだとする学説も存在するのです」

 それでこっちがガーランドの末裔であるガランディアを誘惑しようとしていると彼女達は勝手に勘違いしているということか。
 そしてオレの容姿から、イロールを崇拝する聖女教会の関係者だと疑うのは何の不思議も無い。
 当たり前だが容姿だけでなく、回復魔法の使い手で、なおかつイロールの情報を求めて数千キロを旅してきたとなれば、無関係だと幾ら主張しても信じてもらえるはずが無い ―― オレが彼女達の立場でも同じだろう。

「しかし……その話はあくまでも伝説でしょう? 幾つもの矛盾した伝説がある中で、そういう解釈も出来るというだけなのではないですか?」

 そしてここでオレの脳裏に一つの可能性が思い浮かんだ。

「一つ聞きますけどジャニューブ河沿いの街々で聖人として崇拝されている『黄金の乙女』もほぼ同時期に活動していたのですよね? 伝えられている容姿も金髪で青紫の瞳ですから共通しています」
「つまり……あなたは『黄金の乙女』が実はイロール自身だったと言うのですか?」
「その可能性はあると思いますけど」

 人間だった時の姿が西方の一神教徒の間で聖者として崇拝され、それから大陸中央部で神として崇拝されているとは何ともややこしい気がするけど、元の世界における世界的宗教の悪魔達も、元は別の宗教の神様だったりするわけだからこの世界でそんな事があっても何の不思議も無い。
 しかしそれを考えると本当にややこしいな。
 たぶんそんな例はイロールだけではないはずだ。
 何しろオレ自身が今では地域によって女神だったり聖者だったりするわけなんだから。


 結局のところ一神教の聖人も多神教の神様も、信者から崇拝を受ける事で、ある程度まで共通しているところがあるのは間違いないようだ。
 オレが知っているところで、たとえると多神教の地域では『街の守護神』なのが一神教の地域では『街の守護聖者』という扱いだけど一見すると両者にはほとんど違いは無い。
 その地域で支配的な信仰に合わせて『守護神』と『守護聖者』を使い分けているだけに過ぎないようにも思えてくるぐらいだ。
 神様も支配的な宗教に合わせて大悪魔になったり、聖者様になったりいろいろと忙しいけど、ある意味でそれが神にしろ信徒にしろ『生き残り策』というものなのだろうか。
 ただ神様として崇拝されている場合、自分の意志を信徒に対して『神託』という形で示す事が多いが、それが聖者になると意志を顕わすことはなくなるらしい。
 これはたぶん神様そのものが変化するのでは無く、信徒の崇める形態が変った結果なんだろうな。
 そんな事を考えているとアニーラがオレを問い詰めにくる。

「それであなたは今の話、つまりイロールが『黄金の乙女』であるかどうかを調べるためにここに来ているのですね!」
「違いますよ! さっき言った通り、その話もまるで知らなかったんですから」

 ひょっとすると彼女達は聖セルム教の聖人が多神教の女神と同一だと唱える事で、聖セルム教を貶めようとしているとか、そんな風に考えているのかもしれない。
 今までオレは幸いにも『異教徒の虐殺』とか『奴隷化』とかそんな場面に出くわした事は一度も無い。
 宗教を盾に略奪するようなロクでもない連中もいたけど、それでもオレ自身がそれを直接目の当りにはせずにすんだ。
 しかしそれはオレがたまたま今まではせいぜい『摩擦』ですんだぐらいで、深刻な宗教対立には接した事がないだけなのだ。
 ライバル関係にある異教に対し、何かの切っ掛けさえあったらその足を引っ張るために行動に出る事は決しておかしくはない。
 神様が実際に御利益を与えてくれるわけでもない、元の世界でも宗教を巡っては熾烈な争いが二一世紀でもあっちこっちで起きていたのだ。
 現実に神様が存在して、信徒に力を与えているこの世界では、宗教対立が火を吹いたら元の世界よりももっと深刻な事にもなりかねない。
 しかしオレは宗教的無節操を自認しているが、それは別に各宗教の美味しいところをつまみ食いしたいのではなく、可能な限り患わされたくないだけなんだよ。
 そう思っても『男に戻る』ためには自分から深入りせざるを得ないのが悲しいところなんだけど。

「あなたは先ほどから『知らない』ばかりですね!」
「だからこそ『知る』ためにここに来たんです。分りませんか?」

 オレもいい加減ウンザリしてきたよ。
 まあ彼女達からすれば、オレは謎が多すぎて、強力な魔法使いで、しかも大陸の中央部から何千キロも旅してやってきて、異教徒の教団と繋がりがありそうな存在だ。
 そしてたぶん『恋敵』でもあるのだろう。
 ここまであれこれと詰め込まれていたら、何を聞いても額面通り受け止められないのは当然かもしれないが、本当にいつもいつもオレは誤解されてばかりだな。
 もっともオレもまた自分が異世界出身で、元男だったりする事を隠しているから、誤解されても仕方ない面もあるのだが、それでも限度はあるよね?

「あなたの話を額面通りに受け止めると、本当に大陸中央からただ知識を得るためにここに来たということになりますね」
「本当にそれだけなんですって。信じられないかもしれませんけど、紛れも無い真実なのですよ」
「もちろんあなたの言うとおり信じられません。何か隠しているとしか思えませんよ」

 アニーラはやっぱり疑っているようだな。しかしここでスビーリーがオレの身体をグッと引っ張る。
 そのために彼女の胸にオレの腕が押しつけられて、男だった時の感覚を思い出す ―― ウソです。男だった時にそんな経験ありません。

「お待ちなさい。確かにわたしも鵜呑みにはしていませんけど、この人はウソをつくのがうまいとも思えません。本当に後ろ暗い意図があるなら、もっとうまい言い訳を考えるでしょう。それに――」
「分っていますよ。一度は助けてもらったのですからね」

 どうやら二人ともここで矛を収めてくれるようだ。
 たぶんオレについての謎はむしろ深まったけど、今この場でどこまでも追求するつもりではないらしい。
 残念ながら女湯は『女が本音を語る場所』とまではいかなかったようだ。
 そんなわけでオレもそろそろ話を打ち切らせてもらいたい。

「十分に身体も温もって綺麗になったことですし、そろそろ上がらせて――」
「お待ちなさい。今晩はこの女子寮に泊まって行きなさいな」
「ええ?! どうしてですか?」

 引き留められてオレはちょっとばかり驚く。

「あなたが一人でいてまた先ほどのような怪物に襲撃されたら困るでしょう?」
「確かにその通りね。何ものかに狙われているのは明らかなのだから」
 
 え? この人達オレを追い出したかったんじゃないの?

「勘違いしないでくれますか。確かにあなたに対して思うところはいろいろとありますけど、危険がある事を承知で放り出すなんて真似はしません」
「あなたが邪な者どもに襲われて喜ぶほど腐ってはいないつもりよ」

 おお。本気なのか。オレを迎え入れたら危険があるのは分っているはずなのに、それでもここに泊まれというのか。
 どうやらオレが彼女達の事を勘違いしていたらしい。
 ここしばらくこんな厚情を受けた事が無かったので、オレはついつい感激してしまった。
 しかしやっぱりこれには裏がある事に、オレはすぐに気付かされる事になるのだが。
しおりを挟む
感想 104

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...