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第11章 文明の波と消えゆくもの達と
第314話 そして思わぬ脅威が
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オレはひとまず注意しつつ、テルモー達と人気の無い獣道を進んでいた。
人の目を避ける行動はいつものことなのでもう気にもならないが、警戒すべきものはもっと別にある。
さっき狩人達から聞いた『人の皮を被った獣』がテルモー達の事なのか、それとも別の『獣精霊崇拝者』なのか、はたまたもっとまるで別の怪物なのか分からないが、それでも人間の相手をするよりはマシだろう。
人間相手にして命を奪うような真似はオレ自身が真っ平だし、下手に怪我をさせても執拗に報復を招きかねないからな。
ただその相手がなんだろうと地元の住民でどうにかなるのなら、オレも戦って勝つとまではいかなくとも逃げるぐらいなら出来るはず。
そんなわけでオレ自身はさほど心配していないが、テルモー達にも釘を刺しておかねばなるまい。
「とにかく何かに出会っても、下手な事をせずに逃げて下さい。後の事はこっちで引き受けますから」
「お前はいつもそういうが、本当に大丈夫なのか?」
「まあ勝手にすればいいでしょう。どうせあなたは私達と無関係ですからね」
テルモーはやっぱり心配してくれているが、ミキューはちょっとばかり刺々しい。
まあ人間だけでなく、同族にすら裏切られて今では相棒狼の銀月しか『家族』がいない彼女がなんだかんだ言ってもオレと一線を引いているのは仕方ないか。
「おい。アルタシャはオレ達のためにやってくれているんだぞ」
「どうせ。『吠え猛る者』の遺跡になにか宝があるかとか、そんな事でも考えているんでしょう。私達を連れているのは、遺跡にいるかもしれない精霊をなだめるためとかそんな理由ではないですか」
う~ん。やっぱり疑われているか。
それは仕方ないけど、どっちかと言えばミキューの方がテルモーより文明人的な発想をしているな。
たぶんミキューの一族はまだ人間社会に近いところで生活していて、互いに相手の領域には関わらないようにしつつ、交易などもしていたかもしれない。
少なくとも『狼人間形態に変化する』よりも『相棒の狼を連れている』方がより普通の人間に近いだろうからな。
しかしそうやって人間社会とそれなりの付き合いをしていたにも関わらず、開発の手が伸びてきたら裏切られて狩り出されたとすればその気持ちはよく分かる。
まあ同様の例は元の世界でも開発が進むと、それまで交易などで親しくしてきた現地住民を手の平を返して迫害するなんて珍しくなかったらしいから、そのあたりもこっちと大した違いはないということらしい。
それはともかく日が暮れてきたところで、オレ達の視界にはいくつかの松明の明かりが目に入った。
むう。まさか夜中に入っても、警戒を続けているのか?
いや。それにしては何かおかしいぞ。
ざっと見たところでも十人以上はいるらしい。
当たり前だが狩人はそれほど大人数で集まって行動する事は普通無い。大人数で固まって獲物を追うのは無意味だからな。
そうするとあの連中は何者だろうか?
ちょっとヤバそうな雰囲気が漂っているぞ。
「おい。あれは何だ?」
「人間の群れらしいけど、何のつもりなのかしらね?」
テルモー達も異変には気付いたようだ。
こちらは皆、常人よりもずっと夜目がきくメンツなので、明かりを灯しておらず、相手には気付かれていないはず。
そうするとまずは様子見をした方がいいだろう。
「ちょっとここで待っていて下さい。わたしが見てきますから」
「お前はいつもそう言うが、俺は頼りにならんのか?」
テルモーは少々不満げだ。
いや。正直に言えばあんまり頼りにしていません。
あなたは確かに戦闘能力なら人並み以上にあるでしょうけど、オレはそんなものを望んでいないのです。
しかしここでミキューがまたしても余計な口を挟む。
「あなたが頼りにならないのは当たり前でしょう。この『銀月』の方がよほど賢くて頼りになるわ」
「なんだと!」
「ああもう。二人とも喧嘩しない! 何度も言わせないで下さい! あ……まずい……」
思わず叫んでしまったところで、オレは自分の口を押さえる。
こっちは隠密活動なのに声を荒げてしまうなど愚の骨頂もいいところだ。
「とにかく。二人はここにいて。何かあったら逃げて下さい」
こうなるのが大体、オレ達のパターンであり、それでオレが偵察してどうにか相手を避けるところまでが定番だった。
しかしこの日はそれまでとは違っていた。
そう思ってオレが前に出ようとしたとき、思わぬものがこちらの眼前に広まっていたのだ。
それは『幾つもの空中に浮かぶ目』とでも言うべき存在だったのだ。
「なに? これは?!」
「ぬう! 逃げろ!」
いきなりテルモーが叫んだ瞬間、先ほどの『目』が一斉に襲いかかって来た。
これはかなりマズい!
オレが【霊体遮断】の魔法を展開すると、数多くの『目』はそこで見えない壁にぶつかったように動きを止める。
間違いない。コイツは精霊だ。しかも何者かの敵対的な意志を感じる。
ひょっとしたら先ほどの叫びが、何者かに聞かれてしまって、そのせいでこんな精霊がやってきたのか?!
オレは自分の迂闊さに臍を噛む思いだった。
人の目を避ける行動はいつものことなのでもう気にもならないが、警戒すべきものはもっと別にある。
さっき狩人達から聞いた『人の皮を被った獣』がテルモー達の事なのか、それとも別の『獣精霊崇拝者』なのか、はたまたもっとまるで別の怪物なのか分からないが、それでも人間の相手をするよりはマシだろう。
人間相手にして命を奪うような真似はオレ自身が真っ平だし、下手に怪我をさせても執拗に報復を招きかねないからな。
ただその相手がなんだろうと地元の住民でどうにかなるのなら、オレも戦って勝つとまではいかなくとも逃げるぐらいなら出来るはず。
そんなわけでオレ自身はさほど心配していないが、テルモー達にも釘を刺しておかねばなるまい。
「とにかく何かに出会っても、下手な事をせずに逃げて下さい。後の事はこっちで引き受けますから」
「お前はいつもそういうが、本当に大丈夫なのか?」
「まあ勝手にすればいいでしょう。どうせあなたは私達と無関係ですからね」
テルモーはやっぱり心配してくれているが、ミキューはちょっとばかり刺々しい。
まあ人間だけでなく、同族にすら裏切られて今では相棒狼の銀月しか『家族』がいない彼女がなんだかんだ言ってもオレと一線を引いているのは仕方ないか。
「おい。アルタシャはオレ達のためにやってくれているんだぞ」
「どうせ。『吠え猛る者』の遺跡になにか宝があるかとか、そんな事でも考えているんでしょう。私達を連れているのは、遺跡にいるかもしれない精霊をなだめるためとかそんな理由ではないですか」
う~ん。やっぱり疑われているか。
それは仕方ないけど、どっちかと言えばミキューの方がテルモーより文明人的な発想をしているな。
たぶんミキューの一族はまだ人間社会に近いところで生活していて、互いに相手の領域には関わらないようにしつつ、交易などもしていたかもしれない。
少なくとも『狼人間形態に変化する』よりも『相棒の狼を連れている』方がより普通の人間に近いだろうからな。
しかしそうやって人間社会とそれなりの付き合いをしていたにも関わらず、開発の手が伸びてきたら裏切られて狩り出されたとすればその気持ちはよく分かる。
まあ同様の例は元の世界でも開発が進むと、それまで交易などで親しくしてきた現地住民を手の平を返して迫害するなんて珍しくなかったらしいから、そのあたりもこっちと大した違いはないということらしい。
それはともかく日が暮れてきたところで、オレ達の視界にはいくつかの松明の明かりが目に入った。
むう。まさか夜中に入っても、警戒を続けているのか?
いや。それにしては何かおかしいぞ。
ざっと見たところでも十人以上はいるらしい。
当たり前だが狩人はそれほど大人数で集まって行動する事は普通無い。大人数で固まって獲物を追うのは無意味だからな。
そうするとあの連中は何者だろうか?
ちょっとヤバそうな雰囲気が漂っているぞ。
「おい。あれは何だ?」
「人間の群れらしいけど、何のつもりなのかしらね?」
テルモー達も異変には気付いたようだ。
こちらは皆、常人よりもずっと夜目がきくメンツなので、明かりを灯しておらず、相手には気付かれていないはず。
そうするとまずは様子見をした方がいいだろう。
「ちょっとここで待っていて下さい。わたしが見てきますから」
「お前はいつもそう言うが、俺は頼りにならんのか?」
テルモーは少々不満げだ。
いや。正直に言えばあんまり頼りにしていません。
あなたは確かに戦闘能力なら人並み以上にあるでしょうけど、オレはそんなものを望んでいないのです。
しかしここでミキューがまたしても余計な口を挟む。
「あなたが頼りにならないのは当たり前でしょう。この『銀月』の方がよほど賢くて頼りになるわ」
「なんだと!」
「ああもう。二人とも喧嘩しない! 何度も言わせないで下さい! あ……まずい……」
思わず叫んでしまったところで、オレは自分の口を押さえる。
こっちは隠密活動なのに声を荒げてしまうなど愚の骨頂もいいところだ。
「とにかく。二人はここにいて。何かあったら逃げて下さい」
こうなるのが大体、オレ達のパターンであり、それでオレが偵察してどうにか相手を避けるところまでが定番だった。
しかしこの日はそれまでとは違っていた。
そう思ってオレが前に出ようとしたとき、思わぬものがこちらの眼前に広まっていたのだ。
それは『幾つもの空中に浮かぶ目』とでも言うべき存在だったのだ。
「なに? これは?!」
「ぬう! 逃げろ!」
いきなりテルモーが叫んだ瞬間、先ほどの『目』が一斉に襲いかかって来た。
これはかなりマズい!
オレが【霊体遮断】の魔法を展開すると、数多くの『目』はそこで見えない壁にぶつかったように動きを止める。
間違いない。コイツは精霊だ。しかも何者かの敵対的な意志を感じる。
ひょっとしたら先ほどの叫びが、何者かに聞かれてしまって、そのせいでこんな精霊がやってきたのか?!
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