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第11章 文明の波と消えゆくもの達と
第318話 『目』の精霊の正体は
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オレ達の周囲に浮かんでいた無数の目が、迫り来る中で耳をつんざくような叫びが高らかに夜空に響く。
「ウォォォォ!」
テルモーと銀月は迫り来る無数の『目』に向けて雄叫びを挙げ、ミキューは相棒の銀月の影に隠れるように動く。
しかしそんな彼らにも次から次へと『目』が襲いかかっていく。
これはマズい。
とりあえず【霊体遮断】で防御壁を形成して、周囲の精霊を近づかないようにさせねばなるまい。
「みんなわたしの側に寄ってきて! 離れないで下さい!」
さしもの『数多の目』の精霊も、オレの【霊体遮断】を超える事は出来ないようでオレ達の周囲はあっという間に『目』で埋め尽くされる。
元の世界で例えるなら、生物パニックものの映画で蟻や蜂の集団に襲われているかのような感覚だな。
そしてこの精霊は、一体一体の力はさほどでもないが数がかなり多い。たぶん大勢の人間をまとめて攻撃するのには向いているタイプなんだろうな。
この世界でも殆どの一般人は、たとえ貧弱な精霊でも反撃する術など持っていないから、集落を襲ってそこを略奪するにはうってつけの精霊だと言えるかも知れない。
あの『目を潰された男』はどうやってか、この精霊と出会い、そしてたぶんえぐった人間の目を捧げる事で味方につけて利用しているのだろう。
オマケにこちらの周囲には精霊越しに何本も矢が飛んでくる。
どうやらごろつき共は、どんな能力があるのかも分からないこちらに対して無理押しするよりも、精霊をけしかけた上で遠巻きにして攻撃するという安全策をとったらしい。
「ぬう!」
テルモーはその半人半獣の姿でオレの前に立って矢を受ける。
「大丈夫ですか?!」
「心配するな。この程度など傷にも入らん」
確かにテルモーが変身すれば、ちょっとばかりの傷なら耐えられるようだけど、それでもすぐに限界がくるだろう。
だがテルモーはオレだけで無く、ミキューや銀月の分まで攻撃を引き受けているらしく、そのせいで見る見るその身に突き立つ矢の数が増えてくる。
「なぜ……私を?」
思わぬ事態にミキューは困惑しているようだ。
「知るか! お前など守りたくもないが……あんなやつらよりはずっとマシだからな!」
顔を見れば喧嘩どころか殺し合う関係だったテルモーとミキューだけど、一緒に旅をして苦労してきたお陰で、少しは仲良くなれたらしい。
しかしそんな事で安心していられる状況ではない。テルモーも致命傷にはほど遠いようだけど、傷が増えていっていることに変わりは無いのだ。
こうなったらもう遠慮はしない!
かなり久しぶりの気もするが、ここで本気を出すしかないな。【着色】で黒く染めていたオレの髪が、月光を浴びて金色の光を放つようになる。
「なんだ? お前……その姿は?」
「あなたはいったい?」
「説明は後です! 今はこの場を切り抜ける事を考えて下さい!」
オレは全力で周囲に集まってきている『数多の目』の精霊に対して『追放』をかける。
本来、この魔法はあくまでも精霊を一体だけこの世界から放逐するものなので、数が多いと何よりも使う魔力が膨大なものになるが、こうなったら出し惜しみなんぞしてられない。
あっという間に一面を埋め尽くした『目』が減っていくが、それと共にオレの意識にはボンヤリとした景色が浮かび上がってくる。
これはひょっとしたらこの精霊の記憶か何かか?
どうもシャーマン的な事に関わり続けた結果として、少しは精霊の意識が読み取れるようになってきたらしい。
それによるとどうやらこの近辺では、殺人や聖所の冒涜など重大な犯罪に手を染めた人間は目を潰されて放逐されるという『死刑』が長らく行われていたようだ。
それは重大な罪人を人の手で直接処刑するのではなく、その罪人の生命を崇拝している自然の精霊にゆだねるという信仰の一形態でもあったらしい。
フォンリット帝国の支配と文明化により、次第にそのような残酷な刑罰が行われる事は少なくなっていったが、それでも過去にその刑罰を受けて死んでいった人間達の恨みの念が集まって、この『数多の目』の精霊となったのだ。
残念ながら罪人の運命を自然の精霊にゆだねようが何だろうが、目を潰されて放逐され、苦難の末に死んでいった人間の魂が浄化されて善人になるという都合のいい事にはならなかったのである。
長年に渡って数多くの恨みを吸収してきたこの精霊は、ただの憎悪の固まりであって、自分達を苦しめて死なせた相手と他の精霊への恨みに凝り固まっている。
そして同じ刑罰を受けて追放され、死に瀕していたこの『目の男』と精霊は出会って契約を結び、互いの恨みを晴らすべく協力しあっているわけだ。
だがこの精霊も所詮は『罪人の恨みの念』が元となっている存在に過ぎず、通常の崇拝を受けている精霊の領域に近づける力は無かったので、これまでは人里にまでやってくる事は出来ず、ただ恨みをため込むだけだった。
だがそれまで長らく地元民が崇拝していた、生活に密着した素朴な自然精霊への敬意がすたれて、直接人間世界に関与する事の少ない神々への崇拝が広まった結果として、このような行為が可能になったのだ。
そういう素朴でやや原始的とも言える崇拝により、罪人に課された残酷な刑罰の結果として生まれた恨みの念から、人々を守ってきた精霊への敬意が減少した事が、こういう皮肉な現象を産んでしまったということらしい。
元の世界でも開発が進んだ事で、地元の人間が得てきた自然に対する敬意と経験が失われて、それが時として人命を損なう災害を招くことがあったけど、こっちの世界でもそれと近い現象があったのだ。
「ウォォォォ!」
テルモーと銀月は迫り来る無数の『目』に向けて雄叫びを挙げ、ミキューは相棒の銀月の影に隠れるように動く。
しかしそんな彼らにも次から次へと『目』が襲いかかっていく。
これはマズい。
とりあえず【霊体遮断】で防御壁を形成して、周囲の精霊を近づかないようにさせねばなるまい。
「みんなわたしの側に寄ってきて! 離れないで下さい!」
さしもの『数多の目』の精霊も、オレの【霊体遮断】を超える事は出来ないようでオレ達の周囲はあっという間に『目』で埋め尽くされる。
元の世界で例えるなら、生物パニックものの映画で蟻や蜂の集団に襲われているかのような感覚だな。
そしてこの精霊は、一体一体の力はさほどでもないが数がかなり多い。たぶん大勢の人間をまとめて攻撃するのには向いているタイプなんだろうな。
この世界でも殆どの一般人は、たとえ貧弱な精霊でも反撃する術など持っていないから、集落を襲ってそこを略奪するにはうってつけの精霊だと言えるかも知れない。
あの『目を潰された男』はどうやってか、この精霊と出会い、そしてたぶんえぐった人間の目を捧げる事で味方につけて利用しているのだろう。
オマケにこちらの周囲には精霊越しに何本も矢が飛んでくる。
どうやらごろつき共は、どんな能力があるのかも分からないこちらに対して無理押しするよりも、精霊をけしかけた上で遠巻きにして攻撃するという安全策をとったらしい。
「ぬう!」
テルモーはその半人半獣の姿でオレの前に立って矢を受ける。
「大丈夫ですか?!」
「心配するな。この程度など傷にも入らん」
確かにテルモーが変身すれば、ちょっとばかりの傷なら耐えられるようだけど、それでもすぐに限界がくるだろう。
だがテルモーはオレだけで無く、ミキューや銀月の分まで攻撃を引き受けているらしく、そのせいで見る見るその身に突き立つ矢の数が増えてくる。
「なぜ……私を?」
思わぬ事態にミキューは困惑しているようだ。
「知るか! お前など守りたくもないが……あんなやつらよりはずっとマシだからな!」
顔を見れば喧嘩どころか殺し合う関係だったテルモーとミキューだけど、一緒に旅をして苦労してきたお陰で、少しは仲良くなれたらしい。
しかしそんな事で安心していられる状況ではない。テルモーも致命傷にはほど遠いようだけど、傷が増えていっていることに変わりは無いのだ。
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かなり久しぶりの気もするが、ここで本気を出すしかないな。【着色】で黒く染めていたオレの髪が、月光を浴びて金色の光を放つようになる。
「なんだ? お前……その姿は?」
「あなたはいったい?」
「説明は後です! 今はこの場を切り抜ける事を考えて下さい!」
オレは全力で周囲に集まってきている『数多の目』の精霊に対して『追放』をかける。
本来、この魔法はあくまでも精霊を一体だけこの世界から放逐するものなので、数が多いと何よりも使う魔力が膨大なものになるが、こうなったら出し惜しみなんぞしてられない。
あっという間に一面を埋め尽くした『目』が減っていくが、それと共にオレの意識にはボンヤリとした景色が浮かび上がってくる。
これはひょっとしたらこの精霊の記憶か何かか?
どうもシャーマン的な事に関わり続けた結果として、少しは精霊の意識が読み取れるようになってきたらしい。
それによるとどうやらこの近辺では、殺人や聖所の冒涜など重大な犯罪に手を染めた人間は目を潰されて放逐されるという『死刑』が長らく行われていたようだ。
それは重大な罪人を人の手で直接処刑するのではなく、その罪人の生命を崇拝している自然の精霊にゆだねるという信仰の一形態でもあったらしい。
フォンリット帝国の支配と文明化により、次第にそのような残酷な刑罰が行われる事は少なくなっていったが、それでも過去にその刑罰を受けて死んでいった人間達の恨みの念が集まって、この『数多の目』の精霊となったのだ。
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長年に渡って数多くの恨みを吸収してきたこの精霊は、ただの憎悪の固まりであって、自分達を苦しめて死なせた相手と他の精霊への恨みに凝り固まっている。
そして同じ刑罰を受けて追放され、死に瀕していたこの『目の男』と精霊は出会って契約を結び、互いの恨みを晴らすべく協力しあっているわけだ。
だがこの精霊も所詮は『罪人の恨みの念』が元となっている存在に過ぎず、通常の崇拝を受けている精霊の領域に近づける力は無かったので、これまでは人里にまでやってくる事は出来ず、ただ恨みをため込むだけだった。
だがそれまで長らく地元民が崇拝していた、生活に密着した素朴な自然精霊への敬意がすたれて、直接人間世界に関与する事の少ない神々への崇拝が広まった結果として、このような行為が可能になったのだ。
そういう素朴でやや原始的とも言える崇拝により、罪人に課された残酷な刑罰の結果として生まれた恨みの念から、人々を守ってきた精霊への敬意が減少した事が、こういう皮肉な現象を産んでしまったということらしい。
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