異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第13章 広大な平原の中で起きていた事

第423話 瘴気をかき分けて向かう先には

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 いつの間にかオレ達一行の周囲は霧が立ちこめているかのように、瘴気で視界が遮られるようになっていた。

「これは思っていたよりも、瘴気が濃いな……」
「やはり瘴気は『餓えし幽鬼』に任せて、俺達は引いた方がいいのではないのか?」

 この程度の瘴気とそれに宿る霊体など、オレにとっては大した相手でも無いのだが、ターダはもちろんボラボにすら脅威であるらしい。
 しかしこの世から放逐するだけならどうにでもなるけど、それではすぐにこの世に戻ってきて、また人を襲うのだから面倒だ。
 その瘴気の大元が何なのかは分からないが、どうにかして人間を捧げる事無く抑えたいところだ。

「ところで瘴気の出所について、ボラボさんはどれぐらいご存じなんですか?」
「いつもならこの辺りで憑かれた人間とは別れて【亡霊給餌】フィード・ゴーストの儀式を準備するところなんだけどな。それで一年はおとなしくなるはずだ」

 一年に一度人間を捧げる事で亡霊を抑えるのが『餓えし幽鬼』に属する人達の能力なのか。
 あと考えてみると『餓えし幽鬼』の名はボラボ達がなだめている亡霊の事であって、呼称が混乱しているように思えるな。
 こういう話もよくあることだけど、誤解を招く要素になっているのも明らかだ。
 他の地域に彼らの話が伝わったら、きっとロクでもない亡霊を崇める人食い集団だと勘違いされて『正義の騎士』様が退治しに来てもおかしくはない。
 もっともボラボの方はそれで強い敵が寄ってきた方がいいので、放置しているのかもしれないけどな。

「それではボラボさんもこの先に何があるのかは分かっていないのですか?」
「ああそうだ。こちらは先祖代々の言い伝えで、あちこち回って、そこの瘴気なり亡霊なりをなだめるだけだからな。いちいち『そいつらがなぜそこにいるのか』など考えたりはしないのさ」

 そこは少しぐらい疑問を持てよと言いたくなるけど、彼らも命がかかっているわけだから仕方の無いことなのだろう。
 しかしオレの場合はそうはいかない。

「ところでアルタシャはどうするつもりなんだ?」
「もちろん瘴気の出所を探ります」

 ターダによれば瘴気の出所は穴になっていて、中に入って生きて帰ってきたものはいないそうだが、それもただの言い伝えだからどこまで真実かは分からない。
 そういう話が真実の一端を伝えていたとしても、真実そのものではないのは当たり前であって、本当にどうにかするには自分の目で確認せねばならないのだ。

「やっぱり……そうか」

 さしものボルボも息を呑んだ様子だ。

「言っておくが、瘴気や亡霊の出所を探るような事はするべきではないと言い伝えられていてな。そういうところに足を踏みいれ、二度と帰ってこなかったシャーマンの話は幾らでもあるんだぞ」
「出所を探るのは禁じられているのですか?」
「そういうわけでもないが、いちいち探っても仕方ないので、とにかく人間を捧げてなだめそれ以上の悪さをさせない事が肝心なのさ」

 好奇心に負けてそういうヤバいところにクビを突っ込み、命を落とすシャーマンだっているのは間違いない。
 ボラボたち『餓えし幽鬼』は間違いなく少数派であり、何年も修行を積んだ貴重なシャーマンの犠牲を出さないためには、対象から一定の距離を置く事も求められているのだな。
 それにこの先にあるのは、たくさんある瘴気の出所の一つでしかないので、あくまでも仕事の一環として深く考えずに片付けるのも仕方ない。
 相手が人間だったら『喰らって自分達の力とすべき強敵』を求めるが、喰らうものがない相手には慎重に振る舞うとは、現金な態度と言うべきか。
 しかしオレとしては、ここで寄ってくる相手を蹴散らし続けても何の意味もないので、実際に瘴気を止められるかどうかは別として、その原因を調べねばなるまい。

 そんなわけでオレは瘴気をかき分けるように先に進む。
 視界が悪いので、肝心の瘴気の出どころは見えないが、より瘴気が濃く、また亡霊が集まっているところが元凶なのは間違いないはずだ。
 しかしオレはともかくついてきている二人が心配だ。

「二人とも下がっていてください。ここから先は一人で行きますから」
「そんなわけにはいかん!」

 ああ。本当にターダは頑固だな。
 下手をすると『いざとなったら見捨てていけ』などと言い出しかねないから、いろいろと厄介な頑固者だ。
 そんなわけでオレは今まさにターダへと食らいつくかのように襲ってきた霊体を【追放】バニッシュメントで異次元に追い払う。
 ターダには瘴気はともかく霊体は見えていないので、本人はまるで気付いていないのだが見えていてもたぶん遠慮はしないだろうなあ。
 ボラボの方はターダがどうなろうと知ったこっちゃ無いというか、このまま生け贄になればいいのだから助けるはずも無いし、引き下がりもしないようだ。

「この程度もののかずではない……とは言わないが、こちらも瘴気の相手が仕事なんでね」
「しかしあなた方の言い伝えでは、瘴気の出所に近づくべきではないのでしょう?」
「先ほども言ったように、禁じられているワケではないからな」

 普段なら気にもとめていないのに、他人が先に進むのでついつい付き合ってしまっているというところだろうか。
 まあ先にいるのが霊体だけなら、まだしもひょっとしたら強力なモンスターがいるかもしれないのだから、そのときはこの二人も戦力として当てにさせてもらうとしよう。
 そしてしばらく進んだところで、オレの【霊視】には数多くの霊体が集まり、また瘴気が渦を巻いている場所が飛び込んできた。
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