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第17章 海と大地の狭間に
第662話 協力を約束したところで
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取りあえず全く先が見えないけど、それでもこうなるとやっぱりこの兄妹の味方をするしか無いな。
それで失敗したら――取りあえず逃げ出して、誰か知り合いにこの兄妹を紹介すれば最低限度の義理は果たせるだろう。
相変わらずぶっつけ本番で行き当たりばったりだが、それでもどうにかするしかあるまい。
「分かりました。お二方に協力させていただきます」
「ありがとうございます」
「おお! そこもとが力を貸して下さるのか! 感謝するぞ!」
エレリアは嬉しげに微笑み、ガレリアは満面の笑顔を浮かべてオレの手を取る。
幾ら妹さんの言葉とは言えど、ちょっと嬉しすぎやしないかね。
この人は少なくとも妹のエレリアに対してはあくまでも兄としての愛情を注いでいるのであって、恋愛感情を抱いているわけではない。
そうするとやっぱりオレに対し、男としていろいろと嬉しいところがあって当然だろう。
オレがガレリアの立場でも絶対にそう思うはずだ。
「兄さん。あまりに現金ではありませんかね?」
「う……いや。何を言っているんだ。俺はあくまでも助けてくれることに感謝の意を表しているだけであってやましい事など何も考えてはおらんぞ」
そもそも『やましい』事を考えていなかったら、そんな言葉は出てこないと思うけど今のところは勘弁してやろう。
「本当でしょうか?」
「当たり前だ! この地を救う事とお前を守るのが俺の使命だ。他の事など一切目に入らないからな!」
「ならば兄さんのその手は一体何なのですか?」
「こ……これは……すまん!」
ここでガレリアはようやくオレの手を握ったままである事に気付いたらしく、慌てて離して距離をとる。
この兄妹には同年配の知り合いが殆どいなかったそうだけど、当然ガレリアは妹以外に同年配の異性との付き合いの経験も無いわけだ。
いろいろと微笑ましいのだが、いつまでも付き合っているわけにもいかない。
「いえ。それは構いませんが、そろそろ本題に入らせてもらっていいですか? あなた方が寺院を出奔して、何をされるおつもりなのか教えていただけないでしょうか?」
「分かりました。それでは――」
エレリアがそこまで口にしたところで、思わぬ事が起きる。
『う……ぐぅ……』
周囲にいきなりくぐもった、無理矢理口を押さえられた悲鳴のような声が響きだしたのだ。
「ま、まさか?!」
エレリアとガレリアが揃って怖れの表情を浮かべたのとほぼ同時に、オレ達のいる小さな家屋の壁を抜けて飛び込んできた相手があった。
『むぐう……』
その外見は半透明で輪郭がぼんやりした人型の姿だが、よくよく見るとその全身が焼けただれているように見える。
そしてその相手は言葉にはなっていない苦悶の声を絶えず挙げているようだ。
どうやら何らかの亡霊らしい。
だが亡霊の一体ぐらいならどうにでもなる。
そう思ってオレが対峙しようとしたするとガレリアはベッドのエレリアを担ぎつつ叫ぶ。
「逃げろ! これは『地の底に呼ぶもの』だ!」
それがこいつらの名前なのか。
この焼けただれた外見から想像するに、この地が出来るきっかけとなったという火山の大噴火で命を落とした人の亡霊だろうか。
そしてガレリアの態度からして、これがたまたまやってきたのではなく、何者かが送り込んできたのも明らかだ。
「もしかして双子神の教団が使役しているのですか?」
「そうだ! 普通なら教団の敵や背教者に対して送り込むのだが……」
「まさか私達にそこまでするとは……」
そうすると逃げ出した二人を双子神の教団は敵と認定したのか。それともあくまでも貴重な『神の寵愛篤き双子』を逃がさないために、送り込んで来ただけなのか。
まあ今はどちらでもいい。オレのやることは決まっているのだ。
「そこもとも急いで逃げろ!」
「いいえ。これぐらいなら大丈夫ですよ」
「なんだと?!」
オレはいつも通り霊体をこの世界から放逐する魔法である『追放』を使おうと身構える。しかし――
『がぁ……』
『あ……ああ……』
『おううう……』
最初の相手に引き続き、次から次へと亡霊が姿を見せたのだ。
もちろんどれもこれもその外見は焼けただれた無惨な有様だ。
そりゃまあ火山の噴火に巻き込まれて命を落とし、地の底に埋もれてしまった人間は大勢いた事を考えるとさして不思議では無いが、それが群れ集う光景は見るもおぞましい光景だよ。
普通の人間であれば恐怖に震えるだけだろう。
しかも『追放』では同時に一体しか放逐できない。
以前に霊体の集合体である『地獄の轟き』を放逐出来たが、こいつらの場合はまとめて『地の底に呼ぶもの』と呼ばれていても別々の存在だ。
つまりひとまとめに追い払う事も出来ないので、面倒なのは間違い無い。
だがオレにとっては脅威にはならないさ。
向かってきた霊体の群れに対しひとまず『霊体遮断』を使い食い止める。
「それは?!」
「やはり私の思ったとおりですね」
このときオレの魔法を見てガレリアは驚いているが、エレリアは予想通りと言わんばかりだ。
そのエレリアの態度に対し、オレは目の前で亡霊の群れと対面している状況にありながら、ちょっとばかり漠然とした不安を感じるのだった
それで失敗したら――取りあえず逃げ出して、誰か知り合いにこの兄妹を紹介すれば最低限度の義理は果たせるだろう。
相変わらずぶっつけ本番で行き当たりばったりだが、それでもどうにかするしかあるまい。
「分かりました。お二方に協力させていただきます」
「ありがとうございます」
「おお! そこもとが力を貸して下さるのか! 感謝するぞ!」
エレリアは嬉しげに微笑み、ガレリアは満面の笑顔を浮かべてオレの手を取る。
幾ら妹さんの言葉とは言えど、ちょっと嬉しすぎやしないかね。
この人は少なくとも妹のエレリアに対してはあくまでも兄としての愛情を注いでいるのであって、恋愛感情を抱いているわけではない。
そうするとやっぱりオレに対し、男としていろいろと嬉しいところがあって当然だろう。
オレがガレリアの立場でも絶対にそう思うはずだ。
「兄さん。あまりに現金ではありませんかね?」
「う……いや。何を言っているんだ。俺はあくまでも助けてくれることに感謝の意を表しているだけであってやましい事など何も考えてはおらんぞ」
そもそも『やましい』事を考えていなかったら、そんな言葉は出てこないと思うけど今のところは勘弁してやろう。
「本当でしょうか?」
「当たり前だ! この地を救う事とお前を守るのが俺の使命だ。他の事など一切目に入らないからな!」
「ならば兄さんのその手は一体何なのですか?」
「こ……これは……すまん!」
ここでガレリアはようやくオレの手を握ったままである事に気付いたらしく、慌てて離して距離をとる。
この兄妹には同年配の知り合いが殆どいなかったそうだけど、当然ガレリアは妹以外に同年配の異性との付き合いの経験も無いわけだ。
いろいろと微笑ましいのだが、いつまでも付き合っているわけにもいかない。
「いえ。それは構いませんが、そろそろ本題に入らせてもらっていいですか? あなた方が寺院を出奔して、何をされるおつもりなのか教えていただけないでしょうか?」
「分かりました。それでは――」
エレリアがそこまで口にしたところで、思わぬ事が起きる。
『う……ぐぅ……』
周囲にいきなりくぐもった、無理矢理口を押さえられた悲鳴のような声が響きだしたのだ。
「ま、まさか?!」
エレリアとガレリアが揃って怖れの表情を浮かべたのとほぼ同時に、オレ達のいる小さな家屋の壁を抜けて飛び込んできた相手があった。
『むぐう……』
その外見は半透明で輪郭がぼんやりした人型の姿だが、よくよく見るとその全身が焼けただれているように見える。
そしてその相手は言葉にはなっていない苦悶の声を絶えず挙げているようだ。
どうやら何らかの亡霊らしい。
だが亡霊の一体ぐらいならどうにでもなる。
そう思ってオレが対峙しようとしたするとガレリアはベッドのエレリアを担ぎつつ叫ぶ。
「逃げろ! これは『地の底に呼ぶもの』だ!」
それがこいつらの名前なのか。
この焼けただれた外見から想像するに、この地が出来るきっかけとなったという火山の大噴火で命を落とした人の亡霊だろうか。
そしてガレリアの態度からして、これがたまたまやってきたのではなく、何者かが送り込んできたのも明らかだ。
「もしかして双子神の教団が使役しているのですか?」
「そうだ! 普通なら教団の敵や背教者に対して送り込むのだが……」
「まさか私達にそこまでするとは……」
そうすると逃げ出した二人を双子神の教団は敵と認定したのか。それともあくまでも貴重な『神の寵愛篤き双子』を逃がさないために、送り込んで来ただけなのか。
まあ今はどちらでもいい。オレのやることは決まっているのだ。
「そこもとも急いで逃げろ!」
「いいえ。これぐらいなら大丈夫ですよ」
「なんだと?!」
オレはいつも通り霊体をこの世界から放逐する魔法である『追放』を使おうと身構える。しかし――
『がぁ……』
『あ……ああ……』
『おううう……』
最初の相手に引き続き、次から次へと亡霊が姿を見せたのだ。
もちろんどれもこれもその外見は焼けただれた無惨な有様だ。
そりゃまあ火山の噴火に巻き込まれて命を落とし、地の底に埋もれてしまった人間は大勢いた事を考えるとさして不思議では無いが、それが群れ集う光景は見るもおぞましい光景だよ。
普通の人間であれば恐怖に震えるだけだろう。
しかも『追放』では同時に一体しか放逐できない。
以前に霊体の集合体である『地獄の轟き』を放逐出来たが、こいつらの場合はまとめて『地の底に呼ぶもの』と呼ばれていても別々の存在だ。
つまりひとまとめに追い払う事も出来ないので、面倒なのは間違い無い。
だがオレにとっては脅威にはならないさ。
向かってきた霊体の群れに対しひとまず『霊体遮断』を使い食い止める。
「それは?!」
「やはり私の思ったとおりですね」
このときオレの魔法を見てガレリアは驚いているが、エレリアは予想通りと言わんばかりだ。
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