異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第17章 海と大地の狭間に

第699話 『塔の先端』に棲まうものは

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 先の地面から突き出ているのが、都市の尖塔部分だとしたら、もしかするとこの大地の下に都市がごっそりと埋まっているのか。
 そうだとすればまさにここが大噴火によって一瞬で埋もれたという『忌まわしの都』である可能性が高い。
 いや。とりあえず決めつけるのはやめておこう。
 本当に塔の先の部分なのかはまだ確認したわけでもないし、また仮にそうだとしてもその下にはほとんど何もない可能性だってあるのだからな。
 とにかく今はエレリアを止めようと思ったら、ガレリアが駆けつけてエレリアの肩をつかんで止める。

「おい! エレリア! しっかりしろ!」

 そういえばガレリアがそんなに必死に声を出してエレリアに呼びかけるということは、どうもテレパシーが通じていないということらしい。
 やっぱりエレリアは霊媒的な体質から何かに取り憑かれたとまではいかなくとも、その霊気に当てられたような状況のようだ。
 オレの『霊視』ソウルサイトでは何も見えていないが、あの塔の頂部には何かがあるのか?
 そしてここでヴェガもオレに問いかけてくる。

「ううむ。エレリアに何があったのだ?」
「わたしにもよく分かりませんけど、あの廃虚に何かがあるようです。とにかく近づいて何があるのか確かめますので、ヴェガさんはここにいて下さい」
「ちょっと待て。なぜアルが先に行くのだ?」

 ヴェガでは危険があるかもしれないから、などと答えたらたぶん納得はしてくれないだろうなあ。
 そんなわけでここは敢えて押し切ろう。

「ヴェガさんはここであちらの双子の事をお願いします!」
「お、おい?」

 オレは強引に決めつけると、ひとまず先に進む。
 本当に地面から突き出ている小さな石造りの構造物が、埋もれた塔なのか。
 これがただのオレの見間違いなのか。それに何より地元住民が近づく事も恐れる程のものなのかはこのオレが自分の身で確認せねばなるまい。

 そんなわけでオレは小さな建物に近づく。
 もしも脅威となる存在があったとしても、こんな小さなところに棲まう相手なら普通は霊体のたぐいだろう。
 それならオレでもどうにかなるはず。
 そう思って近づくと、オレの『魔法眼』ウィザード・アイに反応がある。
 いったい何だ? そう思った瞬間、小さな廃虚の頂部に魔力が集まり、そこからオレに向けて閃光が放たれる。
 げえ?!
 とっさにかわしたが、それとほぼ同時に背後の地面が焼き払われ、草木が黒こげになる。
 もしも『魔法眼』で魔力が放たれる瞬間を見ていなかったら、間違い無く突っ立ったまま直撃を受けて消し炭にされていたはず。
 地元住民がこの地を恐れて近づかなくなった理由がこれなのは、先ほどの閃光を見るのと同じぐらい明らかだ。

「アル! いま助けにいくぞ!」
「駄目です! 近づかないで!」

 ガレリアが慌ててこちらに駆け寄ろうとするが、オレは手を広げて制止する。
 もしもガレリアがさっきの魔法の直撃を受けたら、確実に即死だ。
 幾らオレの回復魔法でも死なれたらどうしようもない。

「しかしこのままでは――」
「あなたはエレリアさんを連れて逃げて下さい!」

 エレリアが憑かれたような様子になったのは、やはりここにいる存在の影響を受けたからだろう。
 とにかく何があるのか、オレが確認せねばなるまい!
 だがまたしても魔力が高まって、塔の頭頂部に集まるのが見える。
 むう。あれだけの魔法を放っておいて、この短時間で再度放てるのか。
 この世界の基準では、先ほどオレを攻撃したような魔法が放てる魔法使いはごく一握りだ。
 それを一日に何度も使えるとなると一国に何人というレベルのはず。
 そのような卓越した人間が、あんな小さな廃虚に居座っているとは考えられない。つまり相手は人間では無い事になる。
 いったい何者だ?
 そこで魔法がまたしてもオレに向けて放たれる。
 今度こそ確実に仕留めるためか、周囲をなぎ払うように閃光が当たりを照らす。
 この反応からすると、相手は機械的に近づいた相手を闇雲に攻撃しているのでは無く、こちらの動きを見て対処している、つまり知性のある存在だということだ。
 だが前もって来ると分かっていればオレならばどうにでもなるんだよ。
 オレは『魔力消散』ディスミス・マジックで迫ってきた魔法をかき消す。

「!!」

 さすがにヴェガ達も驚いたらしく、息を呑む音が聞こえた気がするな。
 ここまでやらかしたら、後の説明がいろいろと面倒だけど、今はそんな事を考えている場合では無い。
 オレは次の魔法が放たれる前に、全力で駆ける。
 これまではエレリア達にあわせていたけど、魔法の『早足』モビリティをかけているので、全力で疾走すれば常人の数倍の移動は出来る。
 そしてオレが息せき切って、石造の廃虚に飛び込んだとき、そこにいたものはやはり事前の想像をいろいろとぶっちぎるものだった。
 小さな部屋の中では、既に干からびて萎び、縮んだミイラとしか言いようがない存在が座り込んでいたのだ。
 だがその身から発される魔力は明らかに常人を遥かに凌駕するもので、オレは緊張にその身を固めずにはいられなかった。
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