異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第17章 海と大地の狭間に

第704話 お宝の扱いを巡って

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 オレとしては何とも珍しい事だが、一見しただけで凄い価値のあるものを見つけ出したわけだ。
 しかしこんなものをオレが持っていても仕方が無い。
 これはガレリア達が教団に持ち帰って『失われた聖地を見いだした証拠』とするべきものだろう。
 そんなわけでオレは杖をエレリアに差し出す。

「これはエレリアさんが持っていて下さい」
「え? 私ですか?」

 ヴェガがいなければ『差し上げますよ』と言ったところだけど、そんな事を口にしたら『そもそも権利が無い』とツッコミが入りそうなので、そこは遠慮しておこう。

「なんだと? これだけのものをエレリアに? 本当にいいのか?」
「ええ。わたしには無用のものですから」

 目の玉が飛び出す程、価値のありそうなものをオレがアッサリ『無用』と言い切ったのでガレリアはかなり驚いているらしい。
 そしてヴェガも一瞬、驚いた様子を示したがガレリアに対して釘を刺す。

「おい。勘違いするな。あくまでも一時預かるだけであって、別にお前達のものになるわけではないぞ」
「それでは誰のものになるんだ?」

 ガレリアはかなり不満げな様子で問いかける。

「それについてはまず神託で正式な所有権のありかを探る」
「そんな事を言っても、この杖はこの下に埋まっている街のものだろう。いま所有者なんているはずがない」
「だからといって、お前達が勝手に扱っていいものではないぞ」

 まずいな。
 オレにとってはこんな杖の価値などどうでもいいから気にしていなかったけど、見つかったお宝を巡って仲間割れというのは、よくある話じゃ無いか――フィクションなら普通は小悪党の末路だけど、世の中はそんなに甘くない。
 こんなところでヴェガとガレリアが喧嘩するというのは何としても避けたい。

「待って下さい。今はあくまでもエレリアさんがこの杖を持つという事であって、誰が所有するかどうかの話は後回しにしましょう」
「まあ……アルがそう言うなら、そこは後で構わないが……」
「おい。勘違いしないでくれ。俺は別にこれが誰のものになるかなんて気にしてないぞ。だたヴェガの――いや。いい」

 ガレリアが黙ったのは、妹からテレパシーで釘を刺されたからだろうな。
 そしてエレリアは杖をヴェガに向けて差し出す。

「別に私は誰が持とうが構いません。お疑いならヴェガさんにお渡ししましょう。アルさんもそれでよろしいでしょうか?」

 オレは誰が持とうが構わなかったのでそのまま頷くが、ヴェガは少しばかりバツが悪そうに視線を逸らす。

「いや。私も意地になって悪かった……」

 ひとまず収まってくれたようで何よりだが、この下にまた別のお宝が埋もれていたら、ちょっとばかり面倒になりかねないな。
 実際問題として所有権について、たぶんヴェガの寄って立つ法には遥か昔に失われたお宝は想定外なのかもしれないな。

「ところでヴェガさんの法では、この杖の扱いはどうなるのですか?」
「先ほど言ったように、神託で所有権をハッキリさせて、その相手に戻す事になるな」

 それは何百年前に失われたお宝でも一緒ということか。
 まあ神託で調べる事が出来るからこそのルールなんだろうな。
 そういえば前に訪れたバッド・ディール酷い取り引きの街でも、廃虚から命がけで冒険者達が回収したものを、神造者が強制的に買い上げて――安く買いたたいて――いたな。
 こっちの世界では、手に入れたものが即座に自分達のものになる元の世界のRPGのようにはいかないのだ。

「もちろん宝を見つけ出した者はタダで引き渡す必要は無いぞ。所有権があったとしても相応の礼はせねばならない」
「その礼の中身が妥当かどうかも司法官が決めるのですか」
「もちろんだとも」

 ヴェガは言い切ったけど、たぶん殆どの場合、司法官とは無関係に処理されてしまっているのだろうなあ。

「もしも所有権を引き継ぐ相手が誰もいなければどうなるのです?」
「その場合は見つけ出した土地の所有者と権利を分け合う事になるな。もっともこの地だといろいろやっかいだ――」

 ヴェガは断言こそしなかったけど、たぶんこの土地の所有者も存在しない場合を考えたのだろうな。
 まあ元の世界のように役所で土地を登記している筈が無いし、周辺を含めて火山の噴火で破壊されて開拓された土地となると、殆ど『言ったもの勝ち』というのが現実なんだろう。

「まあ土地の所有者もハッキリしないなら、最終的に見つけた相手のものとなるだろう」

 いろいろと面倒だけど、今回のお宝の扱いはヴェガにとってもかなり例外的なものとなりそうだ。
 う~ん。この世界で冒険者が滅多にいないのは、こういう事情も関わっているかもしれないな。
 命がけで亡霊がうろつく廃虚を探索し、もの凄い価値のあるお宝を手に入れても、それを巡って神託で追いかけてくる面倒な相手がいるとなると、とてもやっていられないだろう。
 もちろん『そんなの知った事か』で廃虚漁りをする人間もいたのだろうけど、今回はあの不死の大司祭が頑張っていたお陰で、ここは何百年も手つかずのままだったため、ヴェガの寄って立つ法の『盲点』と言っていいちょっとばかり面倒な事になったらしい。
 しかしこれ以上、お宝の事をあれこれと考えていても仕方が無い。
 もともとここに来た本来の目的からすれば、黄金に輝く杖もただのオマケだ。
 この下に埋もれている遥か昔に忘れられた干拓地の守護神である双子神の聖地を見いだすのが目的なわけで、オレは気分を引き締めると下への階段へとようやく一歩を踏み出した。
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