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第20章 とある国と聖なる乙女
第846話 学校医の元を訪れた結果
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オレはネアラに対し頼み込む。
「少しばかり気分が悪いので、校医の先生のところに行かせてもらえないでしょうか?」
「仕方ないわね……魔法授業の先生にはあたしの方から言っておくわ」
「ありがとうございます」
そんなわけでオレは急ぎ蒼穹女学院の保健室――元の世界の感覚でオレがそう呼んでいるだけだが――に向かう。
授業はフケるが遊びまわる不良生徒ではないつもりだ。
専門の保健室があって校医が常駐しているのも、この世界ではかなり進んだ学校なのは間違いない。
改めて確認すると保健室は校舎と別棟で、神殿に寄り添うように建てられている小さな建物だ。
神殿では聖女の崇拝する治癒の女神イロールも祀られているから、その関係だろうか。
「すみません。失礼します」
「おや。あなたは先ほどのアルさんですね。どうしました?」
校医の聖女――外見は妙齢の美女というところ――はもちろんオレのことを覚えていた。
「調子が良くないので、休ませていただけますか?」
中に入るとオレが入った蒼穹女学院側だけでなく、神殿側の方にもう一つドアがある。
重大な問題が発生した時は、そのまま神殿に直行して葬儀も出来て効率的――などとブラックな妄想が脳裏をよぎった。
「大丈夫ですか? 何でしたら私が診ましょうか」
「いえ。結構です。少し疲れただけですから」
真剣な表情を向けられて、オレはちょっとばかり罪悪感を抱く。
さすがにここでは『保健室登校』するような生徒はいない――そもそもまともに勉強しない生徒は登校自体認められないだろう。
この世界は落ちこぼれを救ってくれたりはしないのだ。
「自己紹介をさせてもらうけど、私の名前はサーシェルよ」
「ありがとうございます。サーシェル先生。ところで一つ伺いたいのですが、先生は『聖女』ですよね」
「もちろんよ。あなたと同じようにね」
「ええ!」
サーシェルはあっさりと言い切り、オレは絶句した。
いや。違うんだけど、毎度ながら白を切っても通用しないのは分かっている。
「なぜそう思ったのです?」
「あなたのような青紫の瞳はこの地域では聖女以外では非常に珍しいわ」
「それだけですか」
だったらカマをかけただけなのか。
「それにあなたはサバシーナ先生に対面しても、まるで動じていなかったでしょう。普通ではありえないことよ」
「どちらも根拠としては弱いと思いますけど」
「何より決定的なのは、今のあなたの行動よ。見たところ何も問題は無いのに、授業を抜けたのはそこに理由があるからでしょう」
魔法の授業をフケた事で気づいたとしたら、やっぱりオレの正体を見抜いたのか?
もちろん『アルタシャ』は聖女ではないのだけど『聖女教会の英雄』とされている以上、そう言われるのはやむを得ない。
「おそらくあなたが入学した目的は、この町に移住させられた聖女達のことですね」
現状ではそれも目的だけど、他にもいろいろあり過ぎて説明は何とも面倒だ。しかしここまで見抜かれているとなると、もうごまかしようが無いぞ。
「それでこの私に接触して協力を求めにきたのでしょう?」
「え? あ……そうです」
オレの正体に気づくと思っていなかったので、サーシェルの協力など考えてもいなかったけど、これはこれで有益なのかもしれないぞ。
「それで聖女教会の中央としては、現在の状況をどう考えているのですか?」
そんなことはオレが聞きたいぐらいだよ。
だがサーシェルがオレがアルタシャだと見抜いているなら『放浪の英雄』のはずだ。
聖女教会中央の事を聞くとは、もしかしたら――
「やはり。そこまでは分かりませんか。同じ下っ端同士つらいですね」
オレの沈黙に対してサーシェルは皮肉な笑みを浮かべる。
やっぱりそうか! 彼女はスコテイと同じようにオレが『聖女教会からこの国の状況を探るために送り込まれた聖女』だと思っているんだ。
これまたスコテイと同様に、前々からその可能性を考えていたのだろう。
だからオレが保健室に顔を出した時に『ピンと来た』わけだ――やっぱり誤解だけど。
つくづく人間の考えることは、どこでも誰でも大して変わらないものなんだな。
それはともかくオレの年齢からすれば、聖女の基準で駆け出しレベルのはずだし、聖女教会でもしばしば誰もやりたくなく仕事を下っ端にやらせる事があるから、オレも同じだと思ったのだろう。
まあいい。それならそれで利用させてもらうとしよう。聖女教会にはまだまだ貸しがうなるほどあるのだから、これぐらいは当然というものだ。
「申し訳ないのですけど、少しサーシェル先生に協力していただきたいことがあるのです」
「分かっていますよ。魔法の授業で適性を調べられるのがまずいのでしょう」
「そんなところです」
「いいでしょう。そこは私がどうにかします」
これで一安心というところか。出たとこ勝負ながら結果オーライだな。
「ありがとうございます。それで幾つか教えてもらいたい事があるのですが」
「残念ですが、私はこの地の聖女教会とはほとんど繋がりが無いのですよ。所属していたのはもう二十年以上前ですからね」
サーシェルの外見年齢は三十歳ぐらいだけど、そうすると実年齢は少なくとも五十歳は過ぎているだろうな。
「夫が戦いで戦死し、私はその心の傷から立ち直れず聖女を引退したのです。そんな私にここの校医になるように勧めてくれたのが、古い友人であった今の学長なのですよ」
「もしかしてこの学院にお二人は通っておられたのですか?」
「いいえ。聖女はあくまでも教会の施設で教育されるはずですが、あなたの郷里では違ったのですか?」
「ま、まあそんなところです」
そもそもオレはもともと男子高校生だ、などと言ったところで空しいだけなのは分かっているよ。
「学長と友誼が出来たのは、ここの生徒断に伝染病が広まった時に、私たち聖女で治療した事がきっかけです」
そう言ってサーシェルは懐かしげな表情を浮かべる。
おそらくサーシェルと学長の実年齢はそれほど変わらないはずだから、見た目が年齢相応の学長の方はいろいろ複雑な気分かもしれないな。
しかしサーシェルはオレがこの国をスパイしにきたと思っている割には、どこか呑気な雰囲気が漂っているが、もともとその手の活動には向いていない人だな――オレが他人の事を言えた義理ではないことは自覚している。
とりあえず一安心したのでオレはもう一つの懸念についてサーシェルに問う。
「ところでこの国の王妃様の事なのですが――」
「王妃様について私は何も存じません」
むう。急に表情が険しくなったぞ。むしろ重要な事を隠しているように見える。
もしや王妃が『アルタシャ』という噂について、サーシェルは何らかの情報を知っているが、口にできないのかもしれないぞ。
だがこの時、神殿側のドアの方にはオレにとって深刻な存在が迫っていたのだった。
「少しばかり気分が悪いので、校医の先生のところに行かせてもらえないでしょうか?」
「仕方ないわね……魔法授業の先生にはあたしの方から言っておくわ」
「ありがとうございます」
そんなわけでオレは急ぎ蒼穹女学院の保健室――元の世界の感覚でオレがそう呼んでいるだけだが――に向かう。
授業はフケるが遊びまわる不良生徒ではないつもりだ。
専門の保健室があって校医が常駐しているのも、この世界ではかなり進んだ学校なのは間違いない。
改めて確認すると保健室は校舎と別棟で、神殿に寄り添うように建てられている小さな建物だ。
神殿では聖女の崇拝する治癒の女神イロールも祀られているから、その関係だろうか。
「すみません。失礼します」
「おや。あなたは先ほどのアルさんですね。どうしました?」
校医の聖女――外見は妙齢の美女というところ――はもちろんオレのことを覚えていた。
「調子が良くないので、休ませていただけますか?」
中に入るとオレが入った蒼穹女学院側だけでなく、神殿側の方にもう一つドアがある。
重大な問題が発生した時は、そのまま神殿に直行して葬儀も出来て効率的――などとブラックな妄想が脳裏をよぎった。
「大丈夫ですか? 何でしたら私が診ましょうか」
「いえ。結構です。少し疲れただけですから」
真剣な表情を向けられて、オレはちょっとばかり罪悪感を抱く。
さすがにここでは『保健室登校』するような生徒はいない――そもそもまともに勉強しない生徒は登校自体認められないだろう。
この世界は落ちこぼれを救ってくれたりはしないのだ。
「自己紹介をさせてもらうけど、私の名前はサーシェルよ」
「ありがとうございます。サーシェル先生。ところで一つ伺いたいのですが、先生は『聖女』ですよね」
「もちろんよ。あなたと同じようにね」
「ええ!」
サーシェルはあっさりと言い切り、オレは絶句した。
いや。違うんだけど、毎度ながら白を切っても通用しないのは分かっている。
「なぜそう思ったのです?」
「あなたのような青紫の瞳はこの地域では聖女以外では非常に珍しいわ」
「それだけですか」
だったらカマをかけただけなのか。
「それにあなたはサバシーナ先生に対面しても、まるで動じていなかったでしょう。普通ではありえないことよ」
「どちらも根拠としては弱いと思いますけど」
「何より決定的なのは、今のあなたの行動よ。見たところ何も問題は無いのに、授業を抜けたのはそこに理由があるからでしょう」
魔法の授業をフケた事で気づいたとしたら、やっぱりオレの正体を見抜いたのか?
もちろん『アルタシャ』は聖女ではないのだけど『聖女教会の英雄』とされている以上、そう言われるのはやむを得ない。
「おそらくあなたが入学した目的は、この町に移住させられた聖女達のことですね」
現状ではそれも目的だけど、他にもいろいろあり過ぎて説明は何とも面倒だ。しかしここまで見抜かれているとなると、もうごまかしようが無いぞ。
「それでこの私に接触して協力を求めにきたのでしょう?」
「え? あ……そうです」
オレの正体に気づくと思っていなかったので、サーシェルの協力など考えてもいなかったけど、これはこれで有益なのかもしれないぞ。
「それで聖女教会の中央としては、現在の状況をどう考えているのですか?」
そんなことはオレが聞きたいぐらいだよ。
だがサーシェルがオレがアルタシャだと見抜いているなら『放浪の英雄』のはずだ。
聖女教会中央の事を聞くとは、もしかしたら――
「やはり。そこまでは分かりませんか。同じ下っ端同士つらいですね」
オレの沈黙に対してサーシェルは皮肉な笑みを浮かべる。
やっぱりそうか! 彼女はスコテイと同じようにオレが『聖女教会からこの国の状況を探るために送り込まれた聖女』だと思っているんだ。
これまたスコテイと同様に、前々からその可能性を考えていたのだろう。
だからオレが保健室に顔を出した時に『ピンと来た』わけだ――やっぱり誤解だけど。
つくづく人間の考えることは、どこでも誰でも大して変わらないものなんだな。
それはともかくオレの年齢からすれば、聖女の基準で駆け出しレベルのはずだし、聖女教会でもしばしば誰もやりたくなく仕事を下っ端にやらせる事があるから、オレも同じだと思ったのだろう。
まあいい。それならそれで利用させてもらうとしよう。聖女教会にはまだまだ貸しがうなるほどあるのだから、これぐらいは当然というものだ。
「申し訳ないのですけど、少しサーシェル先生に協力していただきたいことがあるのです」
「分かっていますよ。魔法の授業で適性を調べられるのがまずいのでしょう」
「そんなところです」
「いいでしょう。そこは私がどうにかします」
これで一安心というところか。出たとこ勝負ながら結果オーライだな。
「ありがとうございます。それで幾つか教えてもらいたい事があるのですが」
「残念ですが、私はこの地の聖女教会とはほとんど繋がりが無いのですよ。所属していたのはもう二十年以上前ですからね」
サーシェルの外見年齢は三十歳ぐらいだけど、そうすると実年齢は少なくとも五十歳は過ぎているだろうな。
「夫が戦いで戦死し、私はその心の傷から立ち直れず聖女を引退したのです。そんな私にここの校医になるように勧めてくれたのが、古い友人であった今の学長なのですよ」
「もしかしてこの学院にお二人は通っておられたのですか?」
「いいえ。聖女はあくまでも教会の施設で教育されるはずですが、あなたの郷里では違ったのですか?」
「ま、まあそんなところです」
そもそもオレはもともと男子高校生だ、などと言ったところで空しいだけなのは分かっているよ。
「学長と友誼が出来たのは、ここの生徒断に伝染病が広まった時に、私たち聖女で治療した事がきっかけです」
そう言ってサーシェルは懐かしげな表情を浮かべる。
おそらくサーシェルと学長の実年齢はそれほど変わらないはずだから、見た目が年齢相応の学長の方はいろいろ複雑な気分かもしれないな。
しかしサーシェルはオレがこの国をスパイしにきたと思っている割には、どこか呑気な雰囲気が漂っているが、もともとその手の活動には向いていない人だな――オレが他人の事を言えた義理ではないことは自覚している。
とりあえず一安心したのでオレはもう一つの懸念についてサーシェルに問う。
「ところでこの国の王妃様の事なのですが――」
「王妃様について私は何も存じません」
むう。急に表情が険しくなったぞ。むしろ重要な事を隠しているように見える。
もしや王妃が『アルタシャ』という噂について、サーシェルは何らかの情報を知っているが、口にできないのかもしれないぞ。
だがこの時、神殿側のドアの方にはオレにとって深刻な存在が迫っていたのだった。
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