異世界転移したら女神の化身にされてしまったので、世界を回って伝説を残します

高崎三吉

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第20章 とある国と聖なる乙女

第889話 スコテイの大いなる野望は

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 とりあえずオレが捕まるのは仕方ないが、イオドとネアラはどうにかせねばなるまい。

「イオドさん。とにかくネアラさんを連れて逃げて下さい」
「しかし……それでは……」
「今はネアラさんの安全を最優先して下さい。いま学院内にはアイウーズさんがいますからこの状況を伝え、助けを求めて下さい」
「わ、分かった」

 もちろんスコテイが二人を逃してくれるとは思えない。
 スコテイはオレと王妃がかわした話の中身まで知らないとしても、つながりがある事は確信したのでこの挙に出たはず。
 いくら王妃がこの国における現在の主流派では無いと言っても、取るに足らない存在では無いからその動向に強い関心を抱いていたに違いない。
 そうするとオレを捕まえた事は今のところ隠しておきたいだろうから、イオド達を逃がす事はあり得ない。
 もちろんいつの間にか周囲は兵士で覆われていて、もちろん弓でも狙われていて少しでも変な動きをすればこちらを矢ぶすまにするつもりのようだ。
 とりあえず今は時間を稼ぐしかない。

「ところでなぜ今になってこんなことをしているのですか? わたしを捕まえるつもりならもっと早い段階でどうにでもなったでしょう」
「最初から全ては私の手のひらの上で、お前も我が深謀遠慮の駒でしかなかったのだ」
「それは嘘ですね?」

 いくら何でも初っぱなからそれはあり得ないよな。
 今まで数多くの神様に出会ってきたけど、不死の存在でありながら大して凄い事は考えていなかったぞ。
 スコテイがそれ以上の存在とはとても思えないのだけど。

「いずれにしてもお前が王妃と接触した事で、我が国における不穏分子は動き出した」

 これまでは曲がりなりにも『王妃殿下』と呼んでいたのに、いつのまにか『王妃』と敬称略になっているな。
 もう王妃と敵対している事を隠すつもりも無いらしい。

「もちろんこれまで逼塞していた王妃達が、お前を旗頭に担ぎ出だすだろうと、私は予想していたのだ」

 なるほど。今になって急に動き出したのはそれが理由だったのか。
 王妃やそれに近しい派閥が行動を起こした後で、そのきっかけになった『大陸に名をはせた女英雄』を捕らえる――最低でも殺害する――事が出来れば、一気に瓦解する事になるのは間違いない。
 だがそれを前もって準備していたのも間違いないが、その一方であくまでもスコテイ個人が行動しているように見える。

「なるほど。あなたは手柄を独り占めしたいのですね」
「そこは私ひとりだけが全てを見抜いていたと表現して欲しいものだな。何しろ王妃達が動き出すよう、あえてお前を接触させたのだから」

 いかにも自分が凄い先見の明を有した策略家のように言っているけど、後からこじつけているようにしか見えません。

「今頃は王妃達がお前の存在を反主流派の貴族達に伝えて、行動を起こすよう呼びかけているはずだ。間抜けな奴らが動き出した後で、お前の有様を見てどんな顔をするか、今から楽しみだよ」

 最初から全てがスコテイの仕込みというのはホラとしても、そこまで予想して準備していたとは大したものだ。
 ただ当てが外れた場合に備えて、独断で動かせる兵士だけにしたので、精鋭を集められなかったから、集まったのがロクでもない連中だったに違いない。
 だけど逆を言えばスコテイは手柄を独り占めするために自分のところで全てを握りつぶしているという事になるな。

「あなたが楽しみにしているのは、むしろその後での自分の出世ではないのですか?」
「ふん。それがどうした?」

 開き直った?!

「お前のように地位にも富貴にも全く頓着せず、平然と捨てて回るような者には理解出来ぬかもしれぬが、私にとってはこの国で地位を上げる事が最優先だ。そのために可能な事を全て行って何が悪い!」

 王妃達がオレを旗頭に担ぎ出した大きな理由は、オレが地位や富貴にまるで興味が無いので『後腐れの無い都合のいい女』だったからなわけだが、そう考えてみるとスコテイはオレの対極でもあるわけだな。
 もっともオレとスコテイのどっちが『人間』として普通かと言えば、やっぱりスコテイの方なのだろう。

「もしもお前が従順に従うなら、全てが片付いた後の事も考えてやってよいぞ」

 また『妻にしてやる』とかその類いかよ。正直に言ってただウンザリするだけですが。
 そんなオレの表情に気づいたのか、スコテイは勝ち誇った笑みを浮かべる。

「なあに心配するな。お前を捕らえて国王陛下に献上するだけだ」

 コイツ。さんざん下ネタを口にしてきたくせに、肝心なところでは出世が最優先なのか。

「次の王妃となれるのだから光栄に思うがいい。いや。うまくいけば将来的には『偉大な帝国を再興した皇妃』として伝説になるだろう」

 どう考えてもオレの名声をこれからの戦争に利用する気が満々ですが。
 もちろん『王妃』などと言ったところで、身柄は拘束されて行動どころか発言すら自由にならない生活だろう。
 確かに権力闘争の旗頭されるのも好きではないが、戦争に利用されるなど真っ平御免だ。

「さあ。そこまで聞かせてやったのだから、もう安心出来るだろう。イオドと妹も共に拘束させてもらうぞ」

 やっぱりあの二人も人質として使う気か。
 スコテイの言葉と共に兵士達がこちらにどんどん近づいてくる。
 だがここでオレもようやく無駄話で時間を稼いだ成果が出てきた。

「そうですね。どうにかこちらの準備も整いましたよ」
「なんだと?!」

 周囲の地面がスコテイの言葉を合図にしたかのように急に脈打ち出す。
 オレが先ほど立ち上がる時にかけていた魔法の『精霊使い』ファミリア・スピリットで呼んでいた大地の精霊がようやくやってきてくれたのだ。
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